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2025年8月 1日 (金)

6月の雇用統計は改善から悪化に向かう転換点かも

本日、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が公表されています。いずれも6月の統計です。統計のヘッドラインは、失業率は前月から横ばいで2.5%、有効求人倍率は▲0.02ポイント悪化して1.22倍を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

6月の有効求人倍率1.22倍、2カ月連続で低下 失業率は2.5%
厚生労働省が1日発表した6月の有効求人倍率(季節調整値)は1.22倍と、前月から0.02ポイント低下した。2カ月連続の低下となった。卸売業・小売業での求人減が響いた。
総務省が同日発表した6月の完全失業率(季節調整値)は2.5%だった。前月と同じだった。
有効求人倍率は全国のハローワークで職を探す人について、1人あたり何件の求人があるかを示す。有効求人数は1.2%減った。有効求職者数は0.4%増だった。
厚労省の担当者は「物価高で新たな収入を求める人もいる一方で、今後の経済情勢の不安感と賃金上昇の期待感から転職を控える動きもある」とみる。
景気の先行指標とされる新規求人数(原数値)は前年同月と比べて2.5%減った。産業別では卸売業・小売業が11.7%減と最もマイナス幅が大きかった。生活関連サービス業・娯楽業も9.1%減った。
情報通信業は5.2%増となった。大手ECサイトの運営事業者が新たな拠点開設に伴って営業スタッフなどを募集したことが押し上げた。

的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、雇用統計のグラフは下の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。よく知られたように、失業率は景気に対して遅行指標、有効求人倍率は一致指標、新規求人数ないし新規求人倍率は先行指標と見なされています。影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、失業率が2.5%有効求人倍率は1.25倍でしたし、ロイターの記事でもまったく同じで、失業率は2.5%、有効求人倍率は1.25倍が見込まれていました。本日公表された実績で、失業率が2.5%、有効求人倍率が1.22倍、というのは、市場の事前コンセンサスに比べると、有効求人倍率についてはやや下振れした印象です。しかも、日経・QUICKではレンジ下限が1.22でしたので、まさに、有効求人倍率については予想の下限でした。いずれにせよ、人口減少局面下の人手不足が背景にありながらも、いつまでも雇用の改善が続くわけではないと考えるべきです。ただ、現在の雇用改善鈍化の状態は、従来のように一気に悪化する景気後退局面とは異なるように見えます。従来の景気後退局面での雇用の経験則では、正のフィードバックを持って雇用は一気に悪化するのですが、まだ、徐々に悪化している段階であるように見え、この先に急速な悪化に見舞われる景気後退局面が待っている可能性は十分あるものの、まだ、景気の踊り場にあってさらなる改善がないわけではない、という感じかと思います。7月29日に公表されたばかりの「経済財政白書」2025年版でも指摘されているように、従来は輸出や生産が景気回復の出発点となっていましたが、現在の景気拡大における消費の動向は少し違って見えます。さまざまな要因によって景気循環が変容した可能性もゼロではありません。来週は、少し「経済財政白書」を取り上げたいと予定しています。

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