日本に財政拡大余力はどれくらいあるのか?
先週9月12日に、第一生命経済研究所から「日本の財政状況と財政余力」と題するリポートが明らかにされています。もちろん、pdfでもアップロードされています。まず、とても長くなりますが、リポートから要旨を4点引用すると下の通りです。
要旨
- 日本の財政収支は過去30年で最も改善しており、ストック面から見た財政状況も改善している。背景には、インフレ経済に移行したことにより名目GDPが拡大し、税収弾性値も政府想定よりも高水準のためである。こうしたことからすれば、まず最優先に必要なのは、日本も90年代前半まで行っていたインフレ調整減税といえる。
- インフレ調整減税を加味しても公債残高対GDP比を上昇させないことを条件とすると、足元の状況に最も近い内閣府「中長期の経済財政に関する試算(25年8月)」の成長移行ケースに基づけば、2034年度までに年10兆円を大きく上回る財政余地があると計算される。
- 仮により慎重に財政運営すべきだとしても、毎年10兆円程度の範囲内での追加的な財政支出であれば、財政支出の拡大と公債残高対GDP比の低下の両立が可能となる。
- アベノミクス前後の財政状況を考えると、それ以前のデフレが日本の財政を悪化させたことは明らかである。財政悪化がデフレから生じたことを勘案すれば、名目GDPを成長させることが最も重要であり、そのためには2%の物価安定目標は必達といえる。
私が紀要論文で "An Essay on Public Debt Sustainability: Why Japanese Government Does Not Go Bankrupt?" を書いたのは一昨年2023年9月でしたが、その後、日本の財政については、大きな変化はないと私も認識しています。ですので、私の紀要論文の Figure 2: actual and projection of general government primary balance as a percentage of GDP と同じ趣旨のグラフ 一般政府の資金過不足 をリポートから引用すると下の通りです。
2020年からのコロナ・ショックに伴って、一般国民向けの特定給付金の支給やワクチン費用負担、もちろん、事業者向けの持続化給付金などの財政支出とともに、税収も伸び悩んだことから財政は一気に赤字幅を拡大しましたが、一般的な傾向として一般政府の財政赤字や資金不足が緩和されてきているのは誰が見ても明らかです。
続いて、リポートから 名目GDP成長率と税収伸び率 を引用すると上の通りです。内閣府「中長期の経済財政に関する試算 (2025年8月)」で用いられている税収弾性値2.13で修正した税収と中長期試算が前提とする支出を用いて、政府債務残高対GDP比を上昇させない財政余力を考えると、財政余力は少なくとも12兆円以上に拡大すると結論しています。最後に、リポートから 国の公債残高/GDPを上昇させない範囲の財政余力と税収上振れ額 のグラフを引用すると下の通りです。
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