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2025年9月26日 (金)

明治安田総研リポート「消費税と社会保険料、逆進性の構造を解剖」

ちょうど1週間前の先週金曜日の9月19日に明治安田総研から「消費税と社会保険料、逆進性の構造を解剖」と題するリポートが明らかにされています。タイトル前半の消費税が逆進的であることは、今さら特に考えるまでもありませんので、後半の社会保障について少し考えたいと思います。まず、リポートからポイントを3点引用すると下の通りです。

ポイント
  • 社会保障財源である消費税・社会保険料は低所得者ほど所得に対する負担割合が大きくなる逆進性を有する。もっとも、社会保険料は給付時に所得再分配機能を組み込むことで、負担時の逆進性を緩和
  • 日本では、累進性のある所得税の税収全体に占める割合が低下するなか、消費税の割合が増えてきたため、税による再分配機能は弱い。再分配効果を高める観点からは消費税の逆進性対策は支持される
  • 消費税の逆進性対策としては食料品税率0%より給付付き税額控除が有効 。実施に伴う代替財源確保や所得再分配の強化に向けては、所得税の課税ベース拡大や税額控除への移行も選択肢

まあ、第1点目の消費税が社会保障の財源であるかどうかはきわめて疑わしく、加えて、第3点目の給付付き税額控除については本日の段階では言及しませんが、重要なポイントは第1点目にあり、社会保障負担は逆進性がある。ということです。ただ、給付の方で所得再分配機能があるので、その逆進性が緩和されている、という分析結果なのですが、通常のエコノミストであれば、反対に表現すると思います。すなわち、社会保障には所得再分配機能があるのですが、その機能が社会保険料の負担で減殺されている、ということです。この点は、少し古いんですが、経済協力開発機構(OECD)のリポート Growing Unequal? でも指摘されていて、リポートの p.112 Figure 4.6. Reduction in inequality due to public cash transfers and household taxes で日本の税による所得再分配機能がほとんどゼロであることが明らかにされています。最後に、明治安田総研のリポートから (図表4)厚生年金保険の保険料と月収に対する割合 及び (図表5)厚生年金における月収と給付の関係 を引用すると下の通りです。上のパネルの保険料負担が月収70万円から負担割合が低下する逆進性を示している一方で、下のパネルでは現役時の月収が半分でも引退後の年金額が半分になるわけではない、という点が示されていると思います。引退した後に政府から国民がもらう年金給付は所得再分配機能により格差縮小的なのですが、現役の時に国民が政府に支払う負担の方では逆進的で格差拡大の方向に作用しているわけです。ですから、リポートには一言も書かれていませんが、特に格差の下の方の階層では現役の時の生活が苦しくなるわけです。

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