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2025年9月17日 (水)

とうとうトランプ関税が輸出数量に現れた8月貿易統計

本日、財務省から8月の貿易統計が公表されています。統計のヘッドラインを季節調整していない原系列で見ると、輸出額が前年同月比▲0.1%減の8兆4251億円に対して、輸入額は▲5.2%減の8兆6676億円、差引き貿易収支は▲2425億円の赤字を計上しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

8月の対米輸出13.8%減 トランプ関税で落ち込み続く
財務省が17日発表した8月の貿易統計速報によると、米国向けの輸出額は1兆3854億円と、前年同月に比べ13.8%減った。減少は5カ月連続。対米貿易黒字は50.5%減の3239億円と、2023年1月以来の低水準だった。トランプ米政権の関税政策の影響が続き、自動車の輸出額が減少した。
米国向け自動車の輸出額は28.4%減の3076億円で、台数は9.5%減の8万6480台だった。輸出額を台数で割った平均単価は20.9%減の355万円だった。6カ月連続で前年同月を下回った。国内メーカーが低価格の車種を優先して輸出したり、関税影響を和らげるために輸出価格を引き下げて自社で関税コストを吸収したりする動きが続いた可能性がある。
全世界に対しての輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2425億円の赤字だった。赤字は2カ月連続。
輸出額は0.1%減の8兆4251億円だった。
中国向けの輸出は0.5%減の1兆5007億円だった。減少は6カ月連続。半導体製造装置や自動車部品などの輸出が落ち込んだ。
欧州連合(EU)向け輸出は5.5%増の7804億円で、2カ月ぶりに増加した。建設用・鉱山用機械やハイブリッド車などの輸出が増えた。
全世界からの輸入額は5.2%減の8兆6676億円だった。中東からの原粗油や韓国からの軽油などが減少した。原粗油は金額ベースで21%減と、7カ月連続で減少した。数量は2.5%減だった。8月の平均為替レートは1ドル=147円73銭で、前年同月から2.1%の円高だった。
EUからの輸入額は18.2%減の9013億円と4カ月ぶりに減った。医薬品や航空機類の輸入が減少した。
中国からの輸入額は2.1%増の1兆9264億円だった。パソコンやスマートフォンの輸入が増えた。米国からは11.6%増の1兆614億円だった。航空機類などの輸入が増加した。

包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、貿易統計のグラフは下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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引用した記事にはありませんが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは▲5000億円超の貿易赤字が見込まれていたところ、実績の▲2400億円を超える赤字はややや上振れした印象です。予測レンジの上限が▲2476億円でしたので、このレンジ上限付近ということになります。季節調整済みの系列でも、8月統計では▲1500億円ほどの赤字を記録しています。ただし、いずれにせよ、私の主張は従来から変わりなく、輸入は国内の生産や消費などのために必要なだけ輸入すればよく、貿易収支や経常収支の赤字と黒字は何ら悲観する必要はない、と考えています。固定為替相場制度を取っていた1950-60年代の高度成長期のように、「国際収支の天井」を意識した政策運営は、現在の変動為替制度の下ではまったく必要なく、比較優位に基づいた貿易が実行されればいいと考えています。それよりも、米国のトランプ新大統領の関税政策による世界貿易のかく乱によって資源配分の最適化が損なわれる可能性の方がよほど懸念されます。すなわち、引用した記事のタイトルのように、トランプ関税で日本の輸出が減少したり、貿易収支が赤字の方向に振れることではなく、貿易を含めた資源配分の最適化ができなくなってしまう点が問題と考えるべきです。ただ、私のような考え方は、政府でも、経済界でも、メディアでも少数派なんだろうということは理解しているつもりです。ひょっとしたら、学界ですら少数派なのかもしれません。
本日公表された8月の貿易統計について、季節調整していない原系列の前年同月比により主要品目別に少し詳しく見ておくと、まず、輸入については、原油及び粗油が数量ベースで▲2.5%減、金額ベースでも▲21.0%減と大きく減少しています。石油価格が大きく下落している商品市況を反映しています。さらに、エネルギーを上回る注目を受けている食料品は金額ベースで▲0.2%減となっているのですが、輸入総額の前年同月比伸び率が▲5.2%に達している中で、ほぼ横ばいの印象です。特に、食料品のうちの穀物類は数量ベースで▲1.5%減、ただし、金額ベースでは▲8.2%減となっています。原料品のうちの非鉄金属鉱は数量ベースで+8.3%増、金額ベースでも+19.6%増を記録しています。輸出に目を転ずると、トランプ関税で注目の自動車が数量ベースで+0.2%増となったものの、金額ベースでは▲7.9%減となっています。引用した記事にもあるように、自動車輸出のうちの米国向けは、数量ベースで▲9.5%減、金額ベースで▲28.4%減となっています。自動車輸出において数量ベース減を上回る金額ベース減は明らかに、日本のメーカーあるいは輸出商社の方で関税の一部を相殺するような価格設定により、販売台数の減少を食い止めようとしていることを表していると考えるべきです。どこまでこういった関税負担がサステイナブルであるかは私には不明です。ただ、すでに、米国向け自動車関税は27.5%から15%に引き下げられている点には注意が必要です。電気機器も金額ベースで▲12.0%減、一般機械も▲17.6%減と大きく落ち込んでいます。輸出だけは国別の前年同月比もついでに見ておくと、引用した記事にもあるように、中国向け輸出が前年同月比で▲0.5%減となったにもかかわらず、中国も含めたアジア向けの地域全体では+1.7%増を記録しています。また、他方で、EU向けは+5.5%増ながら、米国向けは▲13.8%減と大きく落ち込んでいます。

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