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2025年9月 4日 (木)

4-6月期GDP統計速報2次QEは1次QEから大きな修正はない予想

今週9月1日公表の法人企業統計など必要な統計がほぼ出そろって、来週9月8日に、4~6月期GDP統計速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。ということで、いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下のテーブルの通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、GDP統計の期間である4~6月期ではなく、足元の7~9月期から先行きの景気動向を重視して拾おうとしています。先行き経済について言及しているシンクタンクは大和総研やみずほリサーチ&テクノロジーズなどであり、特に後者は詳細に分析していますので長々と引用してあります。いずれにせよ、1次情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE+0.3%
(+1.0%)
n.a.
日本総研+0.2%
(+0.9%)
2025年4~6月期の実質GDP(2次QE)は、設備投資が下方改定される見込み。この結果、成長率は前期比年率+0.9%(前期比+0.2%)と、1次QE(前期比年率+1.0%、前期比+0.3%)から下振れると予想。
大和総研+0.4%
(+1.6%)
2次速報では、トランプ関税が強化された中でも財輸出や設備投資がいずれも増加し、経済活動への影響が限定的であった姿が改めて示されるだろう。
みずほリサーチ&テクノロジーズ+0.5%
(+1.9%)
8月にトランプ大統領は約70の国・地域に対して10~50%の相互関税を正式に発動した。貿易状況に応じた追加措置が盛り込まれているほか、トランプ大統領は半導体への高関税に言及するなど、継続協議となったメキシコ・中国の動向も含め不透明感は引き続き残存している状況だ。
日本は相互関税15%・自動車関税12.5%(既存税率含めて15%)で合意に至ったが、関税コストの上昇を日本の輸出企業が輸出価格引下げで吸収し続けることは(マージン圧縮による収益への負担から)難しいとみられる。日本政策投資銀行「全国設備投資計画調査(2025年6月)」によると、大企業の関税対応では「販売価格引き上げ」が20.2%とトップ(輸送用機器では約27%)となっている。日本企業の多くは関税政策による影響を見極め中とみられるが、見極めが進んだ大企業では販売価格引き上げの動きがみられる。7月時点では輸出価格引き下げを通じて関税による輸出数量の下押し影響が緩和される状況が継続し、対米輸出数量は横ばい圏で推移しているが、今後は乗用車やその他の品目で現地販売価格が徐々に上昇することに伴い、需要減が先行きの輸出数量や生産を下押しする影響も次第に顕在化する可能性が高いだろう。米国景気も(後述するように腰折れするとまでは筆者はみていないが)減速に向かうとみられ、財輸出に景気のけん引役は期待しにくい。インバウンド需要についても、7月訪日外客数は344万人(前年比+4.4%)と伸びが鈍化しており、地震を巡る情報のSNS等での拡散を受けて香港(前年比▲36.9%)や韓国(前年比▲10.4%)など一部で訪日旅行を回避する動きが続いているとみられる。こうした動きは今後縮小するとみられるが、7~9月期のサービス輸出についても一時的な訪日回避の動きが下押し要因になる点には留意が必要だ。
一方、内需については、住宅投資が前述した駆け込み着工の反動減を受けて進捗ベースで落ち込むことがマイナスに寄与することが見込まれる。7月の新設住宅着工は全体で前年比▲9.7%(6月同▲15.6%)と4カ月連続のマイナスで推移しており、駆込みの反動減から元のトレンド水準まで回復していない状態が継続している。さらに、個人消費・設備投資にも力強さを期待しにくい。7月の小売業販売額(実質ベース)は前月比▲2.0%と減少しており、6月の猛暑で夏物衣類やエアコン等の夏物需要が先食いされた反動が出ているとみられるほか、生鮮野菜価格の高騰など食料インフレが個人消費を下押しする構図が続いている。コメ価格(銘柄米)も高止まりしており、新米価格の動向(25年産の仮渡金が24年産を上回っている)も踏まえれば先行きもコメ価格の高騰が個人消費の重石になることが見込まれる。原油安に伴う輸入物価の低下(7月の輸入物価は円ベースで前年比▲10.4%と前年比2桁マイナスが継続している)や制度要因(電気・ガス料金の補助再開により8月以降のコアCPIが0.3%Pt程度押し下げられる)に伴うエネルギー価格の下落等を受けて消費者物価上昇率が徐々に鈍化することで、実質賃金は改善傾向で推移し、個人消費は増加基調を維持するとみているが、回復ペースは緩慢なものとなる可能性が高いだろう。設備投資も、交易条件の改善が企業収益を下支えすることに加え、省力化対応や脱炭素関連など持続的な投資需要が顕在化することが押し上げ要因になるとみているが、前述したように製造業では関税コストを輸出価格引下げで吸収することでマージンが圧縮されており、先行きの設備投資が下押しされる可能性が高い(機械受注(船舶・電力を除く民需)をみると、4~6月期は前期比+0.4%と減速しているほか、7~9月期の受注見通しは同▲4.0%となっている)。
以上を踏まえ、全体としてみれば、7~9月期は小幅なマイナス成長となる可能性が高いとみている。経済活動が腰折れするまでには至らないものの、当面は停滞局面(「踊り場」)となる可能性が高いとみている。
ニッセイ基礎研+0.2%
(+0.9%)
9/8公表予定の25年4-6月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.2%(前期比年率0.9%)になると予想する。1次速報の前期比0.3%(前期比年率1.0%)からほぼ変わらないだろう。
第一生命経済研+0.3%
(+1.3%)
先行きについては不安が残る。今後、自動車メーカーが価格転嫁を進めることで輸出数量が減少する可能性があるほか、企業収益の悪化を受けて製造業の設備投資に下押し圧力がかかることも懸念される。日米交渉の大枠合意は前向きに受け止められるが、それでも15%という高い関税がかけられることは変わらず、日本経済への下押しも相応に大きい。4-6月期まで目立った悪影響が顕在化していないからといって、関税による悪影響を過小評価することは避けたい。
また、25年4月に実施された建築基準法・省エネ法改正に伴う駆け込み需要の反動から住宅着工が4-6月期に激減したが、この悪影響が7-9月期に本格化することにも注意が必要だ。悪化幅はかなりのものになるとみられ、7-9月期の成長率を押し下げるだろう。7-9月期の実質GDP成長率はマイナスになる可能性が高いと予想している。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.3%
(+1.1%)
2025年4~6 月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、1次速報値から微妙に上方修正されるが、全体の伸び率自体は前期比+0.3%から修正はない見込みである(ただし、前期比年率換算値では1.0%から1.1%に上方修正)。このため、「景気は緩やかに持ち直しているものの、その勢いは弱い」との判断を修正する必要はないであろう。
明治安田総研+0.2%
(+0.9%)
4-6月期の実質GDP成長率は2次速報でもプラスになったとみるが、先行きの日本景気には不安材料が散見される。日米貿易交渉が合意に至ったことで米関税に対する不確実性は低下したが、複数の日本車メーカーが米国における車両販売価格引き上げに踏み切っており、輸出数量の下押し要因になると見込まれる。また、今年4月の建築基準法改正(省エネ基準の適合義務化など)を前にした住宅着工件数急増の反動から、住宅投資が大きく落ち込む可能性が高いことも踏まえると、7-9月期の実質GDP成長率はマイナスに転じると予想する。
東京財団▲0.47%
(▲1.85%)
新たに予測に反映したデータのうち、7月の出荷指数や輸出が減少したこと等を受け、前回の予測値(0.03%)から下方改定となった。モデルは、マイナス成長を予測しているが、こうした背景には、追加関税が課されている米国向け自動車輸出の落ち込みなどの動きがあり、米国の通商政策の影響によりGDPが下振れする可能性を示唆している。

一応、ご注意まで、私のテーブルの作成が判りにくくて申し訳ありませんが、最後の東京財団のナウキャスティングは4~6月期ではなく、足元の7~9月期の予想です。
今週月曜日9月1日に法人企業統計を取り上げた際の繰り返しになりますが、先月公表の1次QEから大きな変更はなく、少しだけ上方修正というにが私の直感なのですが、東京財団のナウキャスティングを別にすれば、上方修正が4機関、下方修正が3シンクタンクとなります。私は下方修正の可能性も排除できないものの、いずれにせよ、1次QEから大きな変更はなく景気判断にも変更の必要ないものと考えています。ただし、ただしなのですが、4~6月期が、そこそこ、+1%くらいの成長であった背景には米国のトランプ関税に対して、自動車輸出が予想された関税効果ほど減少しておらず、なぜなら、数量重視で関税による価格引上げ分をメーカーの方で利益を犠牲にして価格圧縮したことによる部分が無視できないと私は考えており、これは経済としても企業の経営としてもまったくサステイナブルではないため、逆に、足元の7~9月期に一定の反動が来るとすれば輸出の減少からマイナス成長も十分ありえる、と考えなければなりません。すなわち、米国の関税政策の効果は足元の7~9月ないしその先に出始める可能性がある、といえます。これは、東京財団のナウキャスティングで、実にまっとうに予測している通りです。
最後に、みずほリサーチ&テクノロジーズのリポートから 2025年4-6月期GDP(2次速報)予測 のグラフを引用すると下の通りです。

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