2か月ぶりの前月比マイナスとなった7月の機械受注
本日、内閣府から7月の機械受注公表されています。民間設備投資の先行指標であり、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月から▲4.6%減の8980億円と、2か月ぶりの減少を記録しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。
7月の機械受注、4.6%減 基調判断は据え置き
内閣府が18日発表した7月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標とされる船舶・電力を除く民需(季節調整済み)は前月比で4.6%減の8980億円だった。2カ月ぶりにマイナスとなった。製造業が3.9%増、非製造業が3.9%減だった。
基調判断は「持ち直しの動きがみられる」と据え置いた。QUICKが事前にまとめた市場予測の中央値は1.4%減だった。
製造業は3.9%増の4284億円だった。運搬機械などが伸び、汎用・生産用機械が16.7%増とけん引した。自動車・同付属品は2.9%増だった。
自動車・同付属品の受注額の水準は自動車関税が課され始めた4月以前の水準には戻っていない。内閣府の担当者は7月下旬にまとまった日米の関税合意の影響は「現時点で確認できない」と説明する。
非製造業(船舶・電力を除く)が3.9%減の5011億円だった。金融・保険業で電子計算機などデジタル関連の受注に反動減があり7月はマイナスとなった。
民需(船舶・電力除く)について毎月のぶれをならした3カ月移動平均は0.8%減と小幅なマイナスにとどまり、基調に大きな変化はみられない。
包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、機械受注のグラフは上の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

引用した記事の2パラめにある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前月比▲1%を超える減と見込まれていました。実績の▲4.6%減はやや下振れした印象ながら、レンジ下限が▲5.5%減ですし大きなサプライズはありませんでした。いずれにせよ、3月統計で前月比+13.0%増を記録した後の4月統計は反動で▲9.1%減、5月統計でも▲0.6%減と、3月の大幅増の反動も終わって、6月統計で+3.0%増の後、本日公表の7月統計では▲4.6%減となっています。また、この統計では発注が取り消された場合、その取消しが生じた月で調整することになっていますので、あるいは、ひょっとしたら、トランプ関税による発注取消しがここ何か月かで不連続に生じている可能性は否定できません。4~6月期の四半期ベースでは前期比+0.4%と3期連続のプラスでしたし、統計作成官庁である内閣府では、基調判断を「持ち直しの動きがみられる」との基調に変化は見られないとして据え置いています。7月統計を業種別に季節調整済みの前月比で見て、製造業が+3.9%増の一方で、船舶・電力除く非製造業は▲3.9%減となっています。4~6月期までのコア機械受注は3期連続のプラスでしたが、7~9月期見通しでは▲4.0%の減少に転ずると見込まれています。しかも、製造業・非製造業ともに前期比マイナスの見通しです。
日銀短観などで示されたソフトデータの投資計画が着実な増加の方向を示している一方で、機械受注やGDPなどのハードデータで設備投資が増加していないという不整合があり、現時点ではまだ解消されているわけではないと私は考えています。人手不足は見込み得る範囲の近い将来にはまだ続くことが歩く予想されますし、DXあるいはGXに向けた投資が盛り上がらないというのは、低迷する日本経済を象徴しているとはいえ、大きな懸念材料のひとつです。かつて、途上国では機械化が進まないのは人件費が安いからであるという議論が広く見受けられましたが、日本もそうなってしまうのでしょうか。でも、設備投資の今後の伸びを期待したいところですが、先行きについては決して楽観はできません。特に、海外要因としては、米国のトランプ政権の関税政策が決着したとはいえ、米国連邦準備制度理事会(FED)は連邦公開市場委員会(FOMC)において、"the Committee decided to lower the target range for the federal funds rate by 1/4 percentage point to 4 to 4-1/4 percent." と金利引下げを決定し、為替が円高に振れる可能性が高まっており、いくぶんなりとも、輸出にマイナスの影響を及ぼす可能性がありますし、したがって、製造業の設備投資にはマイナスのインパクトがあると考えるべきです。国内要因として、日銀が金利の追加引上げにご熱心ですので、すでに実行されている利上げの影響がラグを伴って現れる可能性も含めて、為替への影響を別にしても、金利に敏感な設備投資には悪影響を及ぼすことは明らかです。どう考えても、先行きについてリスクは下方に厚いと考えるべきです。
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