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2025年9月11日 (木)

上昇率が加速した8月の企業物価指数(PPI)と企業マインドの回復を示す7-9月期法人企業景気予測調査

本日、日銀から8月の企業物価 (PPI) が公表されています。統計のヘッドラインとなる国内物価は前年同月比で+2.7%の上昇となり、3月+4.3%、4月+3.9%、5月の+3.1%、6月+2.7%、7月+2.5%と7月まで上昇率が減速していましたが、8月統計では再び加速を見せており、高い伸びが続いています。まず、ロイターのサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

国内企業物価指数8月は前年比+2.7%に加速、市場予想と一致
日銀が11日に発表した8月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数は前年比2.7%上昇した。伸び率は前月の2.5%(改定値)から拡大、ロイターがまとめた市場予想に一致した。
前月比は0.2%下落と、2カ月ぶりのマイナスだった。
政府の電気・ガス料金負担軽減策により電力・都市ガス・水道が前年比2.9%下落と、7月の0.1%からマイナス幅が大きく拡大した。
ただ、農林水産物は前年比40.1%上昇と、前月の42.5%上昇から減速したものの、コメ・鶏卵などの高騰の影響で高い伸びが続いている。また、8月は銅などの非鉄金属が市況を反映して、同6.2%上昇と、前月の0.3%から伸びが加速した。
SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「今後は前年の反動から、2%を割らないまでも、減速気味で推移するのではないか」とみている。
企業物価指数を構成する515品目中、上昇は375、下落は117。差し引き258品目と7月の240から増加した。
北米向けの乗用車の輸出価格(契約通貨ベース)は20.9%下落し、下落率は前月の18.8%を上回った。米国の高関税への対応で日本の自動車メーカーが輸出価格を大幅に引き下げる動きが続いてきたが、日銀の担当者によると、関税率25%への対応が広がっているという。
トランプ米大統領は4日、日本から輸入する自動車の関税を15%に引き下げる大統領令に署名した。同担当者は、今後時間差を伴って日本からの自動車の輸出価格が引き上げられる可能性があると話した。

インフレ動向が注目される中で、長くなってしまいましたが、いつもながら、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業物価指数(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率をプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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ヘッドラインとなる国内企業物価の前年同月比上昇率について、引用した記事にある通り、ロイターによる市場の事前コンセンサスは実績と同じ+2.7%でしたし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも同じく+2.7%でした。ただ、これでも日銀物価目標の+2%を大きく上回っていることは事実です。上昇率が高止まりしている要因は、農林水産物とそれに連動した飲食料品の価格上昇です。引き続き、コメなどが高い上昇率を示しています。ただ、引用した記事にも「政府の電気・ガス料金負担軽減策」と言及している通り、電気・ガス料金負担軽減支援事業が実施されており、「7月、8月、9月の使用分について電気・ガス料金補助を行い、家計・企業等の負担を軽減することを目指す」とされています。また、対ドル為替相場は7月+1.5%の円安に続いて、8月もわずかながら+0.7%の円安となっています。私自身が詳しくないので、エネルギー価格の参考として、日本総研「原油市場展望」(2025年8月)を見ておくと、7月中旬にかけて60ドル台後半で推移していたWTI原油先物価格は、「本年末にかけて50ドル台後半に下落する見通し」とされています。ただ、円ベースの輸入物価指数の前年同月比は、5月から7月まで3か月連続で2ケタの下落を続けていましたが、8月には△3.9%と大きく下落幅を縮小させています。いずれにせよ、国内物価の上昇は政策要因も含めた国内要因による物価上昇であることは明らかです。
企業物価指数のヘッドラインとなる国内物価を品目別の前年同月比上昇率・下落率で少し詳しく見ると、まず、農林水産物は7月の+42.5%から8月も+40.1%と高止まりしています。これに伴って、飲食料品の上昇率も7月の+4.7%から8月は+5.0%と高い伸びが続いています。電力・都市ガス・水道は7月の▲0.1%から、8月は▲2.9%と電気・ガス料金負担軽減支援事業により下落幅を拡大しています。

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物価から目を転ずると、本日、財務省から7~9月期の法人企業景気予測調査が公表されています。ヘッドラインとなる大企業全産業の景況感判断指数(BSI)は足元の7~9月期は+4.7、先行き10~12月期には+4.3、来年2026年1~3月期にも+4.7と、企業マインドは順調に回復する見通しが示されています。ただし、足元も先行きもともに、米国の通商政策の影響を受けやすい大企業製造業は、大企業非製造業よりもBSIのプラス幅が小さくなっていることも事実です。また、雇用人員は引き続き大きな「不足気味」超を示しており、大企業全産業で見て9月末時点で+26.8の不足超、12月末で+23.6、来年2026年3月末でも+21.2と大きな人手不足が継続する見通しです。設備投資計画は今年度2025年度に全規模全産業で+6.8%増が見込まれています。期待していいのではないかと思いますが、計画倒れに終わらないように願っています。
果たして、10月1日公表予定の日銀短観やいかに?

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