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2025年9月29日 (月)

明後日10月1日公表予定の日銀短観予想

明後日10月1日の公表を控えて、各シンクタンクから9月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業/非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下のテーブルの通りです。設備投資計画は今年度2025年度です。ただ、全規模全産業の設備投資計画の予想を出していないシンクタンクについては、適宜代替の予想を取っています。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、可能な範囲で、先行き経済動向に注目しました。短観では先行きの業況判断なども調査していますが、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
6月調査 (最近)+13
+34
<+6.7>
n.a.
日本総研+15
+35
<+6.9%>
先行き(12月調査)は、全規模・全産業で9月調査から▲2%ポイントの悪化を予想。製造業では、引き続きエネルギー安が素材業種の景況感を押し上げるものの、年末にかけて世界景気の減速が明確化するなか、輸出が多い加工業種を中心に景況感が弱含む見通し。
非製造業の景況感も小幅悪化する見通し。インフレ率の低下による家計の購買力改善が全体を押し上げるものの、今秋以降の最低賃金の引き上げなどに伴う人件費の増大が、中小の対面サービス業を中心に景況感を下押しする見込み。
大和総研+15
+32
<+7.5%>
大企業製造業では、「自動車」の業況判断DI(先行き)が低下するとみている。米国の対日自動車関税率は15%で決着したが、今後は関税負担の販売価格への転嫁に伴う米国向け輸出の減少や自動車部品の価格上昇といった要因で収益環境が悪化することへの警戒感が強まっているとみられる。
大企業非製造業については、「不動産」の業況判断DI(先行き)の低下を予想するほか、人件費高騰などを背景に「運輸・郵便」の業況判断DI(先行き)が低下するとみている。
みずほリサーチ&テクノロジーズ+14
+34
<+7.7%>
大企業・製造業の業況判断DIの先行きは、2ポイントの悪化を予測する。前述のとおりトランプ関税の影響が国内の生産活動に一部影響を与え始めている可能性も否定できず、こうした影響が一段と顕在化するリスクが相応に高い。国内に目を転じてみても、足元生産増に寄与しているPCやエアコンなどは一時的な押し上げ要因であり、先行きについては反動減が見込まれる。 大企業・非製造業の業況判断DIの先行きは5ポイントの悪化を予測する。景気下振れ懸念がある状況では、企業は先行き慎重姿勢を維持する傾向がある。食料インフレの継続が個人消費の重石となることが懸念されるほか、関税影響が完全に払拭されたわけではない足元の状況を踏まえると、今回調査においても同様のパターンを予想するが、悪化幅は比較的小さいとみている。輸入物価の低下に伴うCPIの上昇ペース鈍化などを受け、実質賃金が徐々に改善することにより先行きの個人消費は緩やかながらも回復するとみられるほか、インバウンド消費は高水準での推移が続く公算が大きく、景況感を下支えする見込みだ。
ニッセイ基礎研+15
+32
<+7.2%>
先行きの景況感も総じて悪化が示されると予想。製造業では、引き下げられたとはいえ、高関税が続くことでその影響の広がりが懸念されるうえ、予測困難なトランプ政権の動向への警戒感が燻るだろう。非製造業では、長引く物価高による消費の腰折れや各種コストの増加、人手不足への懸念が反映されると見ている。
第一生命経済研+15
+35
<大企業製造業14.0%>
10月1日に発表される日銀短観では、大企業・製造業の業況判断DIが改善すると予想する。前回6月調査は13の「良い」超だったのが、9月は15へと前回比+2ポイントの改善が見込まれる。
三菱総研+14
+34
<+7.1%>
先行きの業況判断DI(大企業)は、製造業+12%ポイント(9月調査「最近」から▲2%ポイント低下)、非製造業は+31%ポイント(同▲3%ポイント低下)を予測する。製造業では今後関税影響が本格化し、輸出企業の収益を下押しすることが予想される。非製造業は、物価高の長期化やトランプ関税の国内経済への波及などに対する懸念が下押し要因となるほか、先行きに対して相対的に慎重な見方を示す傾向を織り込んだ。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+15
+33
<大企業全産業+11.7%>
大企業製造業の業況判断DI(最近)は、前回調査から2ポイント改善の15と予測する。日米関税交渉の合意を受けて過度な警戒感が後退し、自動車等の加工業種を中心に業況感は改善しよう。一方、先行きは、トランプ関税による悪影響の本格化等がリスク要因として意識され、業況判断DI(先行き)は3ポイント悪化の12と慎重な見通しとなる可能性がある。
明治安田総研+14
+32
<+7.6%>
先行きDIについては、大企業・製造業が2ポイント悪化の+12、中小企業・製造業も2ポイント悪化の0と予想する。日米関税交渉は合意に至ったものの、交渉前と比べれば依然として高い関税が課されており、その影響は今後徐々に顕在化することが予想されている。加えて、関税政策を起因とした米国内の物価上昇が米国景気の下振れリスクを高め、海外経済へも波及する可能性があるとの警戒感から、先行きの業況判断は慎重な見方が示されるとみる。
農林中金総研+13
+33
<7.5%>
先行きに関して、製造業はトランプ関税による悪影響は今後強まると予想されるだろう。非製造業については物価沈静化による消費持ち直しが業績や景況を下支えするものの、人件費増が業績圧迫につながることへの警戒もあるほか、人手不足が深刻な業種では業務を順調にこなせないことへの不安も根強いとみられる。以上から、製造業では大企業が11、中小企業が▲3と、今回予測からいずれも▲2ポイントと予想する。非製造業では大企業が27、中小企業が9と、今回予測からそれぞれ▲6ポイント、▲4ポイントと予想する。

見れば明らかな通り、6月調査から設備投資計画こそ上方改定されると見込まれるものの、景況感については横ばい圏内で推移し、先行きは業況判断DIは低下すると見込まれています。大きな要因は米国のトランプ関税です。自動車の対米関税率15%が決着し、企業マインド、特に、製造業のマインドは安定すると考えられますが、決着したとはいえ、以前に比べて関税率はかなり高い水準となるわけですので、先行き業況感は低下する、という予想です。もっともらしく見えます。ただ、回答基準日は9月10日だと何かの報道で見ましたので、というかそもそも、自民党の総裁≅内閣総理大臣が未定なわけで、マクロ経済政策だけでなく、政策動向が政治空白のために大きな不透明感が残っているのも事実です。こういった場合、私のような大学教員は「不明」とか、「不透明」の一言で済ませてしまいますが、人ごととはいえ、ビジネス界のエコノミストはタイヘンなんだろうと想像しています。
下の画像は、三菱総研のリポートから引用しています。

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