ふたたび+3%に上昇率が拡大した9月の企業向けサービス価格指数(SPPI)
本日、日銀から9月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は前月8月の+2.7%から、9月は+3.0%と4か月ぶりにふたたび+3%台を記録しています。ただ、変動の大きな国際運輸を除くコアSPPIの上昇率は+2.9%の上昇となっています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
企業向けサービス価格、伸び4カ月ぶり3%台回復 人件費転嫁続く
日銀が27日に公表した9月の企業向けサービス価格指数速報は、前年比3.0%上昇し111.3(速報値=2020年平均100)となった。上昇幅は8月の2.7%上昇(改定値)から拡大し、4カ月ぶりの高い伸びを記録した。「高人件費率サービス」が3.3%上昇と高水準を維持しており、日銀の担当者は「引き続き人件費の企業向けサービス価格への転嫁が進んでいる」との見方を示した。
指数の前年比プラスは2021年3月以降、55カ月連続。振れ幅が大きい国際運輸費を除いても、9月は2.9%上昇と6月以来の伸びの高さとなった。
調査対象の146品目のうち指数が上昇したのは114品目、下落は18品目。差し引き96品目で、8月の94品目からやや増えた。
内訳をみると、「宿泊サービス」がインバウンド需要の鈍化を大阪・関西万博の来客者の増加が補い前年比11.1%上昇。「郵便・信書便」は値上げにより24.5%、「土木建築サービス」は人件費の高騰で4.5%、「警備」も4.4%それぞれ上昇した。旅行サービスの貸し切りバスも需要が強かった。
日銀の担当者は、「不確実性が高い」としつつ、人件費、労務費、物流費を価格に転嫁する動きの持続性、インバウンドを含めた人流回復とサービスの先行きを見極めたいと指摘。また、引き続き米関税政策による海外経済や地政学リスク、国際商品・海運市況を注視していくとしている。
注目の物価指標だけに、やや長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルから順に、ヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、真ん中のパネルは日銀の公表資料の1ページ目のグラフをマネして、国内価格とサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。一番下のパネルはヘッドラインSPPI上昇率の他に、日銀レビュー「企業向けサービス価格指数(SPPI)の人件費投入比率に基づく分類指数」で示された人件費投入比率に基づく分類指数のそれぞれの上昇率をプロットしています。影を付けた部分は、景気後退期を示しています。

上のグラフで見ても明らかな通り、モノの方の企業物価指数(PPI)のトレンドはヘッドラインとなる国内物価指数で見る限り、今年2025年4月統計まで+4%超の上昇率が続いた後、5月統計で+3%台に縮小し、6月統計でさらに+2%台に減速し、6~9月の4か月連続で+2%台を記録しています。他方、本日公表された企業向けサービス物価指数(SPPI)は、指数水準としてコンスタントに上昇を続けている一方で、今年2025年年央までは国内企業物価指数ほど上昇率が大きくなかったのが見て取れます。企業向けサービス価格指数(SPPI)のヘッドラインの前年同月比上昇率は、今年2025年3月に+3.4%の上昇率でピークを記録してから、PPI国内物価と同様に6~8月統計で3か月連続で+2%台後半となった後、本日公表の9月統計で再び+3%に上昇率が加速しています。まだ、日銀物価目標の+2%を大きく上回って高止まりしています。もちろん、日銀の物価目標+2%は消費者物価指数(CPI)のうち生鮮食品を除いた総合で定義されるコアCPIの上昇率ですから、本日公表の企業向けサービス価格指数(SPPI)とは指数を構成する品目もウェイトも大きく異なるものの、+3%前後の高い上昇率はデフレに慣れきった国民や企業の意識からすれば、かなり高い物価上昇と映っている可能性が大きいと考えるべきです。人件費投入比率で分類した上昇率の違いをプロットした一番下のパネルを見ても、低人件費比率のサービス価格であっても+2%超の上昇率を示しており、高人件費率のサービスでは+3%台の上昇率となっています。すなわち、人件費をはじめとして幅広くコストアップが価格に転嫁されている印象です。その意味では、政府や日銀のいう物価と賃金の好循環が実現しているともいえますが、実態としては、物価上昇が賃金上昇を上回っており、国民生活が実質ベースで苦しくなっているのは事実と考えざるをえません。
もう少し詳しく、SPPIの大類別に基づいて本日公表された9月統計のヘッドラインSPPI上昇率+3.0%への寄与度で見ると、宿泊サービスや労働者派遣サービスや建物サービスといった諸サービスが+1.24%ともっとも大きな寄与を示していて、ヘッドライン上昇率の半分近くを占めています。加えて、ソフトウェア開発や情報処理・提供サービスやインターネット附随サービスなどといった情報通信が+0.63%、さらに、SPPI上昇率高止まりの背景となっている項目として、昨年2024年10月から郵便料金が値上げされた郵便・信書便、石油価格の影響が大きい道路貨物輸送、さらに、国内航空旅客輸送などの運輸・郵便が+0.58%、ほかに、不動産+0.19%、広告が+0.11%、リース・レンタルが+0.10%、金融・保険が+0.05%などとなっています。
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