上昇率が加速した9月の消費者物価指数(CPI)
本日、総務省統計局から9月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は、季節調整していない原系列の前年同月比で見て、前月の+2.7%からやや加速して+2.9%を記録しています。日銀物価目標の+2%からかなり大きな+3%近いインフレが続いています。日銀の物価目標である+2%以上の上昇は2022年4月から41か月、すなわち、3年余り続いています。ヘッドライン上昇率も+2.9%に達しており、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率も+3.0%と高止まりしています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
消費者物価、9月2.9%上昇 4カ月ぶり伸び拡大
総務省が24日発表した9月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合が111.4となり、前年同月と比べて2.9%上昇した。上昇率の拡大は4カ月ぶり。QUICKが事前にまとめた市場予測の中央値は2.9%の上昇だった。
政府が前年に電気・ガス料金の補助を実施した反動で、エネルギー価格は2.3%の上昇と3カ月ぶりにプラスに転じた。電気代は3.2%、都市ガス代は2.2%上昇した。今夏の電気代・ガス代補助は前年の「酷暑乗り切り緊急支援」より規模が小さかった。
生鮮食品を除く食料は7.6%上昇した。2カ月連続で伸び率が縮小した。コメ類の上昇率は49.2%で、8月の69.7%より下がった。
コメ類は前年の夏ごろから出回り量の減少や物流費の高騰によって価格上昇が目立ち始めた。前年同月と比べた伸びは一服しつつあり、生鮮食品を除く食料の上昇率を押し下げる方向に働いた。備蓄米は集計の対象外で、コシヒカリなど銘柄米の値動きを調べている。
チョコレート(50.9%)や、昨秋からの鳥インフルエンザの影響があった鶏卵(15.2%)などは高い伸びが継続している。
訪日客などの旅行需要の拡大で宿泊料は5.8%上昇した。1月に保険料水準が引き上がった影響で自動車保険料は4.1%上がった。
何といっても、現在もっとも注目されている経済指標のひとつですので、やや長い記事でしたが、いつものように、よく取りまとめられているという気がします。続いて、消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1ケタの指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

引用した記事の最初のパラには、「QUICKが事前にまとめた市場予測の中央値は2.9%の上昇」とあるのですが、私が調べた範囲では、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは+3.0%ということでした。よく判らないのですが、実績とジャストミートしたということのようです。また、エネルギー関連の価格については、引用した記事にもある通り、「電気・ガス料金負担軽減支援事業」により、低圧電気料金は8月2.4円/kWh、9月2.0円/kWhの補助がなされています。また、都市ガスについては8月10.0円/㎡、9月8.0円/㎡の補助が、9月使用分まで実施されます。加えて、「燃料油価格定額引下げ措置」によるガソリン価格の引下げ、額としては、調査対象期間である9月4日以降の支給額はガソリン・軽油で10.0円/Lとなっていますが、この引き下げ措置が昨年よりも小幅であったため、今年は電気・ガス料金が高止まりしていた、ということのようです。ということで、品目別に消費者物価指数(CPI)の前年同月比上昇率とヘッドライン上昇率である+2.9%に対する寄与度を少し詳しく見ると、まず、繰り返しになりますが、政府補助金などによりエネルギーの寄与度は今月9月統計からプラスに転じています。ヘッドラインCPI上昇率に対するエネルギーの寄与度は前月の8月統計の▲0.27%に対して、9月は+0.17%となっています。したがって、いわゆる寄与度差は+0.44%あります。ヘッドライン上昇率で見て、8月統計から9月統計にかけて+0.2%ポイントの上昇率の加速があったわけですが、それを大きく上回る寄与度さを示しており、逆にいえば、エネルギーを除く物価は上昇率が減速している、と考えるべきです。例えば、生鮮食品を除く食料価格の上昇は引き続き大きく、前年同月比で+7.6%、寄与度で+1.83%に上りますが、前月8月統計の上昇率+8.0%、寄与度+1.90%からはホンの少しだけスローダウンしています。ただし、生鮮食品を除く食料だけで9月のヘッドラインCPI上昇率2.9%のうちの⅔超を近くを占めていることは変わりありません。特に、食料の中で上昇率が大きいのはコメであり、生鮮食品を除く食料の寄与度+1.83%のうち、コシヒカリを除くうるち米だけで寄与度は+0.25%に達しています。引用した記事とは少し分類が異なりますが、上昇率は前年同月比で+48.6%ですから、一時のピークは超えた可能性がありますが、まだまだきわめて高い上昇率と考えるべきです。コメが値上げされれば、当然に、おにぎりやすしの価格も上がります。ただ、消費者物価の全体、というか平均として上昇率としてはまだ日銀の物価目標である+2%を超えているものの、物価上昇がピークアウトしつつある可能性もあります。
多くのエコノミストが注目している食料の細かい内訳について、前年同月比上昇率とヘッドラインCPI上昇率に対する寄与度で見ると、繰り返しになりますが、生鮮食品を除く食料が上昇率+7.6%、寄与度+1.83%に上ります。その食料の中で、これも繰り返しになりますが、コシヒカリを除くうるち米が大きく値上がりしていて、寄与度も+0.25%あります。新米が出回り始めたとはいえ、銘柄米はまだまだ高止まりしています。消費者物価指数(CPI)は継続性を重視して、品目指定で価格を調べているので、安価な備蓄米などはCPIには影響を及ぼしません。うるち米を含む穀類全体の上昇率は+18.0%、寄与度は+0.44%に上ります。コメ価格の推移は下のグラフの通りです。主食のコメに加えて、カカオショックとも呼ばれたチョコレートなどの菓子類も上昇率+12.2%、寄与度+0.33%に上っています。特に、その中でも、チョコレートは上昇率+50.9%、寄与度0.19%に達しています。コメ値上がりの余波を受けたおにぎりなどの調理食品が上昇率+6.1%、寄与度+0.23%、調理食品の中でもおにぎりが上昇率+17.8%、寄与度0.03%に上っています。同様に、すしなどの外食も上昇率+4.1%、寄与度+0.20%を示しています。ほかの食料でも、ブラジルの天候不良による需給逼迫により、コーヒー豆などの飲料も上昇率+10.1%、寄与度0.17%、鶏肉などの肉類が上昇率+4.8%、寄与度+0.13%、乳卵類も上昇率+8.5%、寄与度+0.12%、などなどと書き出せばキリがないほどです。食料はエネルギーとともに国民生活に欠かせない基礎的な財であり、実効ある物価対策とともに、価格上昇を上回る賃上げや最低賃金の大幅な引上げを期待しています。
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