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2025年10月16日 (木)

2か月連続で減少して基調判断が下方修正された8月の機械受注

本日、内閣府から8月の機械受注公表されています。民間設備投資の先行指標であり、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月から▲0.9%減の8900億円と、2か月連続の減少を記録しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

8月の機械受注0.9%減、2カ月連続マイナス 基調判断を下方修正
内閣府が16日発表した8月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標とされる船舶・電力を除く民需(季節調整済み)は前月比で0.9%減の8900億円だった。2カ月連続のマイナスとなった。製造業は2.4%減の4180億円、非製造業は6.4%減の4690億円だった。
基調判断は「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に下方修正した。QUICKが事前にまとめた市場予測の中央値は0.3%増だった。
製造業は運搬機械などを含む汎用・生産用機械が21.9%減、化学工業が48.9%減と押し下げた。航空機といった「その他輸送用機械」も36.2%減った。いずれも前月からの反動減があったと内閣府の担当者は説明している。
自動車・同付属品は2.9%減と3カ月ぶりのマイナスとなった。内閣府は「4月ごろに米国の関税措置が発動した影響で一時落ち込んだ可能性がある。その後、基調として戻しているものの、関税が発動する前の年初の水準には持ち直していない」と指摘する。
非製造業では、リース業で社内システムなどに使う電子計算機が落ち込んだ。
民需(船舶・電力除く)に関して、毎月のぶれをならした3カ月移動平均は0.9%減と3カ月連続で減少した。

包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、機械受注のグラフは上の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

photo

引用した記事の2パラめにある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前月比でわずかに増加すると見込まれていました。ロイターの記事「機械受注8月は2カ月連続減、判断「持ち直しに足踏み」に下方修正」でも、小幅な増加を見込んでいた旨が明らかにされています。実績の▲0.9%減は、レンジ下限の▲4.2%減を上回るレンジ内とはいえ、やや下振れした印象です。4~6月期の四半期ベースでは前期比+0.4%と3期連続のプラスでしたが、統計作成官庁である内閣府では、3か月移動平均で見て▲0.9%源であることから、基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」下方修正しています。8月統計を業種別に季節調整済みの前月比で見て、製造業が▲2.4%減、船舶・電力除く非製造業も▲6.4%減となっています。4~6月期までのコア機械受注は3期連続のプラスでしたが、7~9月期見通しでは▲4.0%の減少に転ずると見込まれています。しかも、製造業・非製造業ともに前期比マイナスの見通しです。
日銀短観などで示されたソフトデータの投資計画が着実な増加の方向を見込んでいる一方で、機械受注やGDPなどのハードデータで設備投資が増加していないという不整合があり、現時点ではまだ解消されているわけではないと私は考えています。人手不足は見込み得る範囲の近い将来にはまだ続くことが歩く予想されますし、DXあるいはGXに向けた投資が盛り上がらないというのは、低迷する日本経済を象徴しているとはいえ、大きな懸念材料のひとつです。かつて、途上国では機械化が進まないのは人件費が安いからであるという議論が広く見受けられましたが、日本もそうなってしまうのでしょうか。設備投資の今後の伸びを期待したいところですが、先行きについては決して楽観はできません。特に、日銀が金利の追加引上げにご熱心ですので、すでに実行されている利上げの影響がラグを伴って現れる可能性も含めて、為替への影響を別にしても、金利に敏感な設備投資には悪影響を及ぼすことは明らかです。どう考えても、先行きについてリスクは下方に厚いと考えるべきです。

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