10月の企業向けサービス価格指数(SPPI)上昇率は+2%台に減速
本日、日銀から10月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は前月8月の+2.7%から、9月は+3.0%と4か月ぶりにふたたび+3%台を記録しています。ただ、変動の大きな国際運輸を除くコアSPPIの上昇率は+2.9%の上昇となっています。まず、ロイターのサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
企業向けサービス価格10月は+2.7%、日中関係悪化で懸念の声も
日銀が26日に公表した10月の企業向けサービス価格指数(速報)は、前年比2.7%上昇し、伸び率は前月の3.1%を下回った。昨年10月の値上げの反動で、郵便・信書便の上昇率が大幅に縮小したことが要因。前月比では0.6%上昇した。
高市早苗首相の存立危機事態を巡る発言で日中関係が急速に悪化し、調査対象先からは今後宿泊キャンセルが出ることへの懸念の声が出ており、日銀担当者は宿泊サービスの価格動向を注目点に挙げた。
内訳では「運輸・郵便」が2.0%上昇で、前月の3.6%上昇を下回った。このうち、郵便・信書便は前年比変わらずとなり、前月の24.5%上昇から失速した。このほか、外航貨物輸送は4.1%下落で前月の4.0%上昇から下落に転じた。外航貨物輸送(除く外航タンカー)では、運賃に含まれる燃料油価格が上昇した前年同月の反動が見られた。
一方で、「諸サービス」のうち、宿泊サービスは18.1%上昇と、伸び率は前月の11.1%を上回った。大阪・関西万博の閉幕直前で駆け込み需要が高まるもとで、インバウンド需要の増勢が再び強まってきている。
日銀担当者は今後の注目点として、中国人旅行客の減少が、宿泊サービスなどインバウンド需要の増勢を受けてこれまで力強い伸びを示してきたサービス価格に及ぼす影響を挙げた。現時点でデータとして具体的に出てきているわけではないが「調査先からは、この先キャンセルが出てくるのではないかと懸念する声が聞かれている」という。11月速報、12月速報で影響が出てくる可能性があり、注視していきたいとしている。
調査対象146品目のうち、上昇は109、下落は20でその差は89。前月の98より少なかった。
生産額に占める人件費投入比率の違いで分類した指数では、「高人件費率サービス」が3.0%上昇と前月の3.4%上昇を下回った。郵便・信書便の伸び率大幅縮小が要因。半面で、「低人件費率サービス」は2.4%上昇で伸び率は前月と変わらなかった。
注目の物価指標だけに、やや長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルから順に、ヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、真ん中のパネルは日銀の公表資料の1ページ目のグラフをマネして、国内価格とサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。一番下のパネルはヘッドラインSPPI上昇率の他に、日銀レビュー「企業向けサービス価格指数(SPPI)の人件費投入比率に基づく分類指数」で示された人件費投入比率に基づく分類指数のそれぞれの上昇率をプロットしています。影を付けた部分は、景気後退期を示しています。

上のグラフで見ても明らかな通り、モノの方の企業物価指数(PPI)のトレンドはヘッドラインとなる国内物価指数で見る限り、今年2025年6月統計で+2%台に減速し、6~10月の5か月連続で+2%台を記録しています。他方、本日公表された企業向けサービス物価指数(SPPI)は、指数水準としてコンスタントに上昇を続けている一方で、今年2025年年央までは国内企業物価指数ほど上昇率が大きくなかったのが見て取れます。企業向けサービス価格指数(SPPI)のヘッドラインの前年同月比上昇率は、PPI国内物価と同様に6~8月統計で3か月連続で+2%台後半となった後、9月統計で再び+3%に上昇率が加速した後、本日公表の10月統計では+2.7%を記録しています。まだ、日銀物価目標の+2%を大きく上回って高止まりしています。もちろん、日銀の物価目標+2%は消費者物価指数(CPI)のうち生鮮食品を除いた総合で定義されるコアCPIの上昇率ですから、本日公表の企業向けサービス価格指数(SPPI)とは指数を構成する品目もウェイトも大きく異なるものの、+3%前後の高い上昇率はデフレに慣れきった国民や企業の意識からすれば、かなり高い物価上昇と映っている可能性が大きいと考えるべきです。人件費投入比率で分類した上昇率の違いをプロットした一番下のパネルを見ても、低人件費比率のサービス価格であっても+2%超の上昇率を示しており、高人件費率のサービスでは+3%台の上昇率となっています。すなわち、人件費をはじめとして幅広くコストアップが価格に転嫁されている印象です。その意味では、政府や日銀のいう物価と賃金の好循環が実現しているともいえますが、実態としては、物価上昇が賃金上昇を上回っており、国民生活が実質ベースで苦しくなっているのは事実と考えざるをえません。
もう少し詳しく、SPPIの大類別に基づいて本日公表された10月統計のヘッドラインSPPI上昇率+2.7%への寄与度で見ると、宿泊サービスや土木建築サービスや建物サービスといった諸サービスが+1.35%ともっとも大きな寄与を示していて、ヘッドライン上昇率のほぼ半部を占めています。加えて、ソフトウェア開発や情報処理・提供サービスやインターネット附随サービスなどといった情報通信が+0.65%、さらに、道路貨物輸や国内航空旅客輸送や旅行サービスなどの運輸・郵便が+0.33%、ほかに、不動産+0.24%、リース・レンタルが+0.08%、金融・保険が+0.05%などとなっています。
先行きの企業向けサービス価格について考えると、引用した記事の5パラ目にあるように、中国人旅行客の減少がもし大きくなれば、宿泊サービスをはじめとしたサービス価格にも影響が出る可能性は否定できません。
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