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2025年11月11日 (火)

基調判断が上方修正された10月の景気ウォッチャーと大きな黒字を計上した9月の経常収支

本日、内閣府から9月の景気ウォッチャーが、また、財務省から8月の経常収支が、それぞれ公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは、季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+0.4ポイント上昇の47.1、先行き判断DIも+1.0ポイント上昇の48.5を記録しています。経常収支は、季節調整していない原系列の統計で+4兆4833億円の黒字を計上しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから引用すると以下の通りです。

街角景気10月は6カ月連続改善、判断を上方修正 万博・株高寄与か
内閣府が11日公表した景気ウオッチャー調査によると、街角の人々からヒヤリングした景気の現状判断指数(DI)は前月比2.0ポイント上昇の49.1となった。景気の良し悪しの境目とされる50は20カ月連続で下回ったものの、6カ月連続で改善し、基調判断は前月の「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直している」に上方修正した。
インバウンド需要や猛暑一服、株高などが好影響を及ぼした可能性があると内閣府では推察している。
先行きの判断については「価格上昇の影響等を懸念しつつも、持ち直しが続くとみられる」に表現を変更、米関税に関する文言を削除した。
指数の前月比の内訳は、企業動向関連が2.7ポイント、家計関連が2.1ポイント、雇用関連が0.2ポイントそれぞれ改善した。
地域別では全国12地域中10地域が前月比で改善した一方、北陸と沖縄は悪化した。
回答者のコメント内に登場するキーワード別検索では、インバウンドや万博、株などが前月比で増えた。
回答者からは「万博の盛り上がりに合わせて来客数が大きくのびた」(近畿の百貨店)、「株高などの影響が大きく、富裕層中心に消費に力強さが戻ってきている」(北関東の百貨店)、「インバウンドがかなり増えてホテルの稼働率が上がっている」(南関東の住宅販売会社)などのコメントがあった。
もっとも物価高などを懸念する声は引き続き多い。「米卸値の下落が見えず、家計の節約志向は年末に向けますます強まる」(沖縄のスーパー)、「物価上昇で日々の生活に精一杯で外食までに足が向かない」(東海の一般レストラン)などのコメントがあった。
経常黒字9月は4.48兆円で過去最大、海外子会社からの配当金が増加
財務省が11日に発表した国際収支速報によると、9月の経常収支は4兆4833億円の黒字だった。黒字額は比較可能な1985年の統計開始以来、過去最大を更新した。第一次所得収支の黒字幅拡大が全体を押し上げた。
ロイターが民間調査機関に行った事前調査では、予測中央値は2兆4677億円程度の黒字だった。
投資に伴う利子や配当の動向を示す第一次所得収支が4兆9497億円の黒字で、前年同月から2兆2343億円増加した。財務省によると、日本企業の海外子会社からの配当金が増えた。第2次所得収支は4878億円の赤字だった。
貿易・サービス収支は214億円の黒字だった。前年同月から6971億円増加し、黒字に転換した。

長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしており、色分けは凡例の通りです。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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景気ウォッチャーの現状判断DIは、最近では4月統計で前月から大きく▲2.5ポイント低下して42.6となった後、5月統計で反発して+1.8ポイント上昇の44.4、そして、本日公表の10月統計の49.1まで6か月連続で上昇を記録しています。先行き判断DIも同様に上昇を見せており、10月統計は前月から+4.6ポイント上昇の53.1となっています。先行き判断DIについても、現状判断DIとともに6か月連続の上昇です。本日公表の10月統計の季節調整済みの現状判断DIをより詳しく前月差で見ると、家計動向関連のうちでは、小売関連が+2.5ポイント、サービス関連が+2.1ポイント、それぞれ上昇した一方で、住宅関連が▲1.2ポイント、飲食関連が▲0.2ポイント、それぞれ低下しています。住宅関連については、9月統計で前月から+5.3ポイント上昇した反動もあり、ならしてみれば、前々月の8月統計から+4.1ポイントお上昇していますので、それほど悪化したという印象ではありません。企業関連では、製造業が+2.5ポイント、非製造業も+3.1ポイント、それぞれ上昇しています。製造業でも、米国の通商政策の影響が一巡した可能性が十分あります。また、家計関連と企業関連とは別の雇用関連は前月から+0.2ポイントと、小幅に上昇しています。統計作成官庁である内閣府では、基調判断を5月から「景気は、持ち直しの動きがみられる。」と上方修正したのですが、10月統計では「景気は、持ち直している」と半ノッチ上方修正しました。ただし、国際面での米国の通商政策とともに、国内では価格上昇の懸念は大いに残っていて、今後の動向が懸念されるところです。景気判断理由の概要について、引用した記事にもいくつかありますが、内閣府の調査結果の中から、家計動向関連に着目すると、「政権が代わり、期待感で一杯である。来街者などとも話すが、とても期待をしており、将来に幾らか希望が出てきた様子である(東京都)。」といった新政権への期待を上げた意見を見かけました。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。引用した記事にもあるように、ロイターによる市場の事前コンセンサスは+2兆5o00億円程度の黒字でしたし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、同程度の見込みでしたので、実績の+4.5兆円近い黒字はやや上振れた印象です。季節調整していない原系列の統計では、引用した記事にもあるように、貿易・サービス収支が+200億円を少し上回るくらいの黒字ながら、第1次所得収支が5兆円近い黒字を計上しています。何といっても、日本の経常収支は第1次所得収支が巨大な黒字を計上していますので、貿易・サービス収支が赤字であっても経常収支が赤字となることはほぼほぼ考えられません。はい。トランプ関税によって貿易収支や貿易・サービス収支の赤字が拡大したとしても、第1次所得収支で十分カバーできると考えるべきです。ですので、経常収支にせよ、貿易・サービス収支にせよ、たとえ赤字であっても何ら悲観する必要はありません。エネルギーや資源に乏しい日本では消費や生産のために必要な輸入をためらうことなく、経常収支や貿易収支が赤字であっても何の問題もない、逆に、経常黒字が大きくても特段めでたいわけでもない、と私は考えています。ただ、米国の関税政策の影響でやたらと変動幅が大きくなるのは避けた方がいいのは事実です。

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