+3%の高い伸びが続く11月の消費者物価指数(CPI)と日銀利上げ
本日、総務省統計局から11月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は、季節調整していない原系列の前年同月比で見て、前月と同じ+3.0%を記録しています。日銀物価目標の+2%に比べてかなり大きなインフレが続いています。日銀の物価目標である+2%以上の上昇は2022年4月から43か月、すなわち、3年半ほど続いています。ヘッドライン上昇率も2.9%に達しており、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率も+3.0%となっています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
消費者物価指数、11月も3.0%上昇 生鮮除く食料は7%上がる
総務省が19日発表した11月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合が112.5となり、前年同月と比べて3.0%上昇した。2カ月連続で3%だった。食料の物価上昇は鈍化しているが、依然として全体を押し上げている。
上昇率が3%台になる月は25年で9回目。QUICKが事前にまとめた市場予測の中央値は3.0%の上昇だった。生鮮食品を除く総合指数の上昇は51カ月連続となった。
生鮮食品を除く食料は7.0%上昇した。伸び率は4カ月連続で縮小した。2024年夏ごろから価格が上がっていたコメ類の上昇率は縮小傾向で、37.1%だった。
コーヒー豆は主要輸出国のブラジルの天候不良により51.6%上昇、チョコレートは26.7%上がった。24年秋からの鳥インフルエンザの影響で鶏卵は12.8%上昇した。
エネルギー価格は2.5%上昇し、3カ月連続のプラスだった。電気代は4.9%、都市ガス代は0.9%上昇した。政府が実施した電気・ガス料金の補助が終了した影響があった。今年は補助が10月請求分までで、24年は11月請求分までだった。
インバウンド(訪日外国人)の増加などによる需要増加で宿泊料は9.2%上がった。
何といっても、消費者物価指数(CPI)は現在もっとも注目されている経済指標のひとつですので、やや長い記事でしたが、いつものように、よく取りまとめられているという気がします。続いて、消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1ケタの指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは+3.0%ということでした。実績の+3.0%とジャストミートしたということのようです。また、エネルギー関連の価格については、引用した記事にもある通り、「電気・ガス料金負担軽減支援事業」による補助は9月いっぱいで終了しました。加えて、「燃料油価格定額引下げ措置」によるガソリンなどの価格の引下げについては、11月中旬から実施ですので、本日公表の11月統計には部分的にしか反映されていないようです。ということで、品目別に消費者物価指数(CPI)の前年同月比上昇率とヘッドライン上昇率である+3.0%に対する寄与度を少し詳しく見ると、まず、繰り返しになりますが、政府補助金などによりエネルギーの寄与度は9月統計からプラスに転じています。ヘッドラインCPI上昇率に対するエネルギーの寄与度は前月の10月統計の+0.16%に対して、11月は+0.19%となっています。したがって、いわゆる寄与度差は+0.03%しかありません。ヘッドライン上昇率で見て、11月統計の上昇率は前月と同じだったわけですが、エネルギーの寄与は小さいといえます。CPI総合の前年同月比上昇率の+3.0%へのエネルギーの寄与も+0.19%にとどまっています。逆にいえば、エネルギーを除く物価が上昇している、と考えるべきです。例えば、生鮮食品を除く食料価格の上昇は引き続き大きく、前年同月比で+7.0%、寄与度で+1.69%に上ります。CPI総合の上昇率である+3.0%の半分以上が食料というわけです。特に、食料の中で上昇率が大きいのはコメであり、生鮮食品を除く食料の寄与度+1.74%のうち、コシヒカリを除くうるち米だけで寄与度は+0.22%に達しています。引用した記事とは少し分類が異なりますが、上昇率は前年同月比で+37.1%ですから、一時のピークは超えた可能性がありますが、まだまだきわめて高い上昇率と考えるべきです。コメが値上げされれば、当然に、おにぎりやすしの価格も上がります。ただ、消費者物価の全体、というか平均として上昇率としてはまだ日銀の物価目標である+2%を超えているものの、物価上昇がピークアウトしつつある可能性もあります。
多くのエコノミストが注目している食料の細かい内訳について、前年同月比上昇率とヘッドラインCPI上昇率に対する寄与度で見ると、繰り返しになりますが、生鮮食品を除く食料が上昇率+7.0%、寄与度+1.69%に上ります。その食料の中で、これも繰り返しになりますが、コシヒカリを除くうるち米が大きく値上がりしていて、寄与度も+0.22%あります。消費者物価指数(CPI)は継続性を重視して、品目指定で価格を調べているので、安価な備蓄米などはCPIには組み入れられていません。うるち米を含む穀類全体の上昇率は+15.8%、寄与度は+0.41%に上ります。東京都区部のコメ価格のグラフは農水省のサイトで見ることが出来ます。主食のコメに加えて、カカオショックとも呼ばれたチョコレートなどの菓子類も上昇率+8.8%、寄与度+0.24%に上っています。特に、その中でも、チョコレートは上昇率+26.7%、寄与度0.11%に達しています。コメ値上がりの余波を受けたおにぎりなどの調理食品が上昇率+6.3%、寄与度+0.24%、調理食品の中でもおにぎりが上昇率+13.8%、寄与度0.02%に上っています。同様に、すしなどの外食も上昇率+4.2%、寄与度+0.20%を示しています。ほかの食料でも、ブラジルの天候不良による需給逼迫のため、コーヒー豆などの飲料も上昇率+8.4%、寄与度0.15%、鶏肉などの肉類が上昇率+4.3%、寄与度+0.12%、乳卵類も上昇率+7.7%、寄与度+0.11%、などなどと書き出せばキリがないほどです。食料はエネルギーとともに国民生活に欠かせない基礎的な財であり、実効ある物価対策とともに、価格上昇を上回る賃上げや最低賃金の大幅な引上げを期待しています。
こういった物価上昇を受けて、日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、政策金利である無担保コールレート(オーバーナイト物)を+25ベーシス利上げし、0.75%程度で推移するよう促す、との金融市場調節方針を決定しています。上の画像は日銀のプレスリリース資料を引用しています。
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