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2026年1月22日 (木)

1000億円の黒字を計上した2025年12月の貿易統計

本日、財務省から昨年2025年12月の貿易統計が公表されています。統計のヘッドラインを季節調整していない原系列で見ると、輸出額が前年同月比+5.1%増の10兆4115億円に対して、輸入額も+5.3%増の10兆3058億円、差引き貿易収支は+1057億円の黒字を計上しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから引用すると以下の通りです。

貿易収支、12月は1057億円の黒字 対米輸出2カ月ぶり減少
財務省が22日発表した貿易統計速報によると、2025年12月の貿易収支は1057億円の黒字となった。ロイターが事前にまとめた調査機関の予測中央値は3566億円の黒字で、黒字幅は予想を下回った。25年暦年の赤字額は2兆6507億円だった。
貿易収支のうち、輸出は前年同月比5.1%増の10兆4115億円だった。半導体電子部品や非鉄金属などの輸出が増えた。
対米輸出は2カ月ぶりのマイナスに転じた。12月は前年同月比11.1%減の1兆8113億円となった。欧州連合(EU)やアジア向けはプラスを維持した。対中輸出は2カ月ぶりにプラスに転じた。
輸入は5.3%増の10兆3058億円だった。対前年比のプラスは4カ月連続。通信機や医薬品、半導体電子部品が押し上げ要因となった。

包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。ただ、第一報ですので、1時以降に差し替えられる可能性はあります。続いて、貿易統計のグラフは下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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引用した記事には1パラ目で「ロイターが事前にまとめた調査機関の予測中央値は3566億円の黒字」とありますが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも+3500億円余りの貿易黒字と、ともに、+3500億円を超える黒字が見込まれていたところ、実績の+1057億円の黒字はやや下振れした印象です。日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスの予測レンジの下限が+2000億円弱でしたので、そのレンジを越えています。トランプ関税の影響かどうかは微妙なところです。また、季節調整済みの系列でも、昨年2025年10月+740億円、11月+629億円と、2か月連続の黒字を記録していましたが、12月は▲2000億円超の赤字を記録しています。ただし、いずれにせよ、私の主張は従来から変わりなく、輸入は国内の生産や消費などのために必要なだけ輸入すればよく、貿易収支や経常収支の赤字と黒字は何ら悲観する必要はない、と考えています。固定為替相場制度を取っていた1950-60年代の高度成長期のように、「国際収支の天井」を意識した政策運営は、現在の変動為替制度の下ではまったく必要なく、比較優位に基づいた貿易が実行されればいいと考えています。日経新聞では引用した記事のほかに「貿易赤字5割減の2.6兆円 25年、トランプ関税で対米黒字は1割減」と題した記事では、2025年を通した貿易統計を概観して「米国向けの自動車輸出は11.4%減の5兆3409億円だった。輸出額を台数で割った平均単価は10.4%減の392万円で6年ぶりに減少した。」と報じています。それよりも、米国のトランプ新大統領の関税政策による世界貿易のかく乱によって資源配分の最適化が損なわれる可能性の方がよほど懸念されます。すなわち、引用した記事のタイトルのように、トランプ関税で日本の輸出が減少して貿易収支が赤字の方向に振れることではなく、貿易を含めた資源配分の最適化ができなくなってしまう点が問題と考えるべきです。加えて、経済外の影響かもしれませんが、国際間で自由で民主的な協調体制が崩壊する可能性を私は危惧しています。第2次世界大戦の原因のひとつは関税に基づくブロック経済化にあった、とする有力な見方は否定しようがありません。
本日公表された2025年12月の貿易統計について、季節調整していない原系列の前年同月比により主要品目別に少し詳しく見ておくと、まず、輸入については、原油及び粗油が数量ベースで▲1.5%減ながら、金額ベースはこれを上回って▲8.6%減となっています。石油価格が低迷している商品市況を反映しています。さらに、エネルギーよりも注目されている食料品は金額ベースで+8.8%増となっています。特に、食料品のうちの穀物類は数量ベースで+14.7%増、金額ベースでも+16.5%増となっています。原料品のうちの非鉄金属鉱は数量ベースで▲35.6%減、金額ベースでも▲22.7%減を記録しています。輸出に目を転ずると、輸送用機器のうちの自動車が数量ベースで▲2.2%減、金額ベースでも▲3.1%減となっています。自動車輸出における数量ベースと金額ベースの増減が全世界向けではほぼほぼ整合的になっています。ただし、米国向けの自動車輸出について、さらに詳しく見ると、数量ベースでは▲15.5%減を記録した一方で、金額ベースでは▲19.2%減となっており、引き続き、日本のメーカーあるいは輸出商社の方で部分的なりともトランプ関税を相殺するような価格設定により、販売台数の維持を図っていると考えられます。どこまでこういった関税負担がサステイナブルであるかは私には不明です。自動車を別にすれば、電気機器は金額ベースで+11.3%増とプラスを記録した一方で、一般機械は▲0.1%減となっています。輸出だけは国別の前年同月比もついでに見ておくと、中国向け輸出が前年同月比で+5.6%増となり、中国も含めたアジア向けの地域全体では+10.2%増となっています。日中間のビミョーな外交的関係が中国向け輸出に影響している可能性は否定できません。他方で、米国向けは▲11.2%減と停滞を見せています。西欧向けは+5.2%増となっています。もっとも、米国経済にはまだ停滞色が残っており、先行き順調に我が国からの輸出が拡大するかどうかは不明、と考えるべきです。

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