大型案件で大きく増加した2025年12月の機械受注
本日、内閣府から昨年2025年12月の機械受注が公表されています。民間設備投資の先行指標であり、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月から+19.1%増で1兆525億円、10~12月期で見ると前期比;7.9%増の2兆9292億円と、月次でも、四半期でも、いずれも増加を記録しています。ただし、今年2026年1~3月期の見通しは前期比▲4.5%減とマイナスに転じると見込まれています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。
機械受注7.9%増 25年10-12月期、2四半期ぶりプラス
内閣府が19日発表した2025年10~12月期の機械受注統計によると、設備投資の先行指標とされる船舶・電力を除く民需(季節調整済み)は前期比7.9%増の2兆9292億円だった。2四半期ぶりにプラスに転じた。非製造業が12.8%増と大きく伸び、全体を押し上げた。
製造業は1.4%減だった。前期からの反動減で化学工業などが落ち込んだ。
非製造業のうち通信業は通信機などの受注がありプラスに働いた。12月に飲食サービス業を含む「その他非製造業」で電子計算機などの受注が伸びた。
12月単月の民需は前月比19.1%増で1兆525億円だった。2カ月ぶりの増加となった。石油製品・石炭製品で大型受注があったことなどで製造業が25.1%増と伸びた。
基調判断は「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。米国による一連の関税政策の影響に関し「関税が始まる前の水準には戻っていない」と指摘した。
26年1~3月期の見通しは前期比4.5%減とマイナスに転じる。製造業が4.9%減、非製造業が3.3%減とみる。民需の毎月のぶれをならした3カ月移動平均は4.4%増だった。
包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、機械受注のグラフは上の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前月比+4.0%増、レンジの上限でも+7.7%増でした。実績の+19.1%増は予想レンジ上限を超える大きな上振れでした。ただし、前月の昨年2025年11月の前月比は▲11.0%減でしたし、引用した記事にもあるように、石油製品・石炭製品で大型受注があったことが要因ですので、統計作成官庁である内閣府では、基調判断を「持ち直しの動きがみられる」と据え置いています。足元の1~3月期の見通しは前期比▲4.5%減ですから、この先も引き続き増加が続くという見通しではない、ということなのだと思います。業種別に季節調整済みの前月比で見て、繰返しになりますが、石油製品・石炭製品で大型受注があった製造業が+19.1%増であった一方で、船舶・電力除く非製造業も+8.2%増となっています。
日銀短観などで示されたソフトデータの投資計画が着実な増加の方向を見込んでいる一方で、機械受注やGDPなどのハードデータで設備投資が増加していないという不整合があり、現時点ではまだ解消されているわけではないと私は考えています。人手不足は見込み得る範囲の近い将来にはまだ続くことが軽く予想されますし、DXやGXに向けた投資が盛り上がらないというのは、低迷する日本経済を象徴しているとはいえ、大きな懸念材料のひとつです。かつて、途上国では機械化が進まないのは人件費が安いからであるという議論が広く見受けられましたが、日本もそうなってしまうのでしょうか。設備投資の今後の伸びを期待したいところですが、先行きについては決して楽観はできません。特に、日銀が金利の追加引上げにご熱心で、市場における積極財政の評価もあって、長期金利はかなり高い水準にまで上昇しています。為替への影響を別にしても、金利に敏感な設備投資には悪影響を及ぼすことは明らかです。地政学的なリスクも不透明ですし、どう考えても、先行きについてリスクは下方に厚いと考えるべきです。
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