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2026年2月18日 (水)

1兆円を超える赤字を計上した1月の貿易統計

本日、財務省から昨年2025年12月の貿易統計が公表されています。統計のヘッドラインを季節調整していない原系列で見ると、輸出額が前年同月比+16.8%増の9兆1874億円に対して、輸入額は▲2.5%減の10兆3401億円、差引き貿易収支は▲1兆1526億円の赤字を計上しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

貿易赤字、1月は1兆1526億円 対米輸出は2カ月連続減少
財務省が18日発表した1月の貿易統計速報によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1兆1526億円の赤字と、前年同月に比べて58.0%縮小した。赤字は3カ月ぶり。
輸出額は前年同月比16.8%増の9兆1874億円だった。増加は5カ月連続。1月としては過去最大だった。アジア向けの半導体などの電子部品や非鉄金属が増えた。
輸入額は2.5%減の10兆3401億円だった。減少は5カ月ぶり。原粗油が金額ベースで8.1%減少した。数量は5.7%増えたものの、原油価格が下がった。輸入通関単価は円建てで1キロリットルあたり6万5872円と、13.0%下がった。
国・地域別でみると、米国向けの輸出額は1兆4620億円と、前年同月に比べ5.0%減った。減少は2カ月連続。自動車が9.9%減の3954億円だった。輸出額を台数で割った平均単価は9.2%減の407万円と、11カ月連続で減少した。トランプ米政権の関税政策の影響が続いた。
中国向けの輸出は32.0%増の1兆5497億円だった。半導体や液晶向けプラスチック板の輸出が増えた。輸入は0.6%増の2兆6334億円だった。半導体や灯油などの輸入が増えた一方、下着など衣類は減少した。
輸出が増加した要因について財務省は「春節の期ずれ影響の可能性がある」とみる。中国の春節による連休期間は現地の物流や工場が止まり、日本からの輸出の動きが鈍る傾向がある。前年は1月だったが、今年は2月のため前年比で輸出が拡大したとみられる。
アジア全体向けの輸出は25.8%増の5兆2087億円だった。台湾向けの半導体が増えた。輸入は0.4%減の5兆3115億円。マレーシアからの液化天然ガスやインドからのスマートフォンの輸入が減った。
欧州連合(EU)向けの輸出額は29.6%増の8473億円だった。電気自動車(EV)や建設用機械の輸出が拡大した。輸入額は0.7%減の1兆497億円。航空機類が落ち込んだ。

包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、貿易統計のグラフは下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは▲2兆円を超える貿易赤字が見込まれていましたので、実績の▲1兆円をやや上回る赤字はやや上振れした印象です。予測レンジの上限が▲1.7兆円でしたので、そのレンジを越えています。このあたりは、よく判りません。というのは、1月や2月は中華圏の春節があり、今年2026年は2月17日から、昨年2025年は1月29日からでした。この旧暦に基づく春節が、日本をはじめとする近隣諸国の貿易をかく乱している気がします。引用した記事でも、「春節の期ずれ」の可能性を示唆しています。なお、昨年2025年1月の日本の貿易赤字は▲2.7兆円でした。また、季節調整済みの系列で見ると、貿易収支は黒字であり+4500億円超を記録しています。いずれにせよ、私の主張は従来から変わりなく、輸入は国内の生産や消費などのために必要なだけ輸入すればよく、貿易収支や経常収支の赤字と黒字は何ら悲観も楽観もする必要はない、と考えています。固定為替相場制度を取っていた1950-60年代の高度成長期のように、「国際収支の天井」を意識した政策運営は、現在の変動為替制度の下ではまったく必要なく、比較優位に基づいた貿易が実行されればいいと考えています。それよりも、米国のトランプ新大統領の関税政策による世界貿易のかく乱によって資源配分の最適化が損なわれる可能性の方がよほど懸念されます。すなわち、引用した記事のタイトルのように、トランプ関税で日本の輸出が減少して貿易収支が赤字の方向に振れることではなく、貿易を含めた資源配分の最適化ができなくなってしまう方が問題と考えるべきです。加えて、経済外の影響かもしれませんが、国際間で自由で民主的で協調的な通商体制が崩壊する可能性を私は危惧しています。第2次世界大戦の原因のひとつは関税に基づくブロック経済化にあった、とする有力な見方は否定しようがありません。
本日公表された1月の貿易統計について、季節調整していない原系列の前年同月比により主要品目別に少し詳しく見ておくと、まず、輸入については、原油及び粗油が数量ベースで+5.7%増ながら、金額ベースでは▲8.1%減となっています。石油価格が低迷している商品市況を反映しています。さらに、エネルギーよりも注目されている食料品は金額ベースで+3.4%増と、輸出額総額が▲2.5%減となっているのに対して、食料輸入は増加を示しています。特に、食料品のうちの穀物類は数量ベースで+6.7%増、金額ベースでも+6.7%増となっています。原料品のうちの非鉄金属鉱は数量ベースで▲9.5%減ながら、商品市況の高騰により金額ベースでは+21.1%増を記録しています。輸出に目を転ずると、輸送用機器のうちの自動車が台数の数量ベースで+3.7%増、金額ベースでも+0.4%増となっています。ただし、米国向けの自動車輸出について、さらに詳しく見ると、数量ベースでは▲0.8%減にとどまっている一方で、金額ベースでは▲9.9%減となっており、引き続き、日本のメーカーあるいは輸出商社の方で部分的なりともトランプ関税を相殺するような価格設定により、販売台数の維持を図っている可能性があると考えられます。どこまでこういった関税負担がサステイナブルであるかは私には不明です。自動車を別にすれば、電気機器は金額ベースで+27.3%増、一般機械も+14.3%増となっています。輸出だけは国別の前年同月比もついでに見ておくと、中国向け輸出が前年同月比で+32.0%増となり、「春節の期ずれ」による何らかの影響がうかがえます。中国も含めたアジア向けの地域全体では+25.8%増となっています。他方で、米国向けは▲5.0%減と停滞を見せています。他方で、西欧向けは+25.5%増となっています。

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