増産ながら弱めの鉱工業生産指数(IIP)と大きく増加した商業販売統計
本日は月末閣議日ということで、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)と商業販売統計が公表されています。いずれも1月の統計です。IIPのヘッドラインとなる生産指数は季節調整済みの系列で前月から+2.2%の増産、3か月ぶりの増産となります。商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額は、季節調整していない原系列の統計で前年同月比+1.8%増の12兆9540億円を示し、季節調整済み指数も前月から+4.1%の上昇となっています。まず、ロイターのサイトから各統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
鉱工業生産1月は前月比2.2%上昇、予想下回る 先行き減産を計画
経済産業省が27日公表した1月の鉱工業生産速報(2020年=100)は前月比2.2%上昇と、3カ月ぶりにプラスに転換した。ロイターがまとめた民間予測(中央値)は5.3%上昇でこれを下回った。基調判断は「一進一退」で据え置いた。
企業の生産計画から算出する予測指数は、2月が前月比0.5%低下、3月が同2.6%低下と減産を見込んでいる。
1月の生産を押し上げた主な業種は自動車、プラスチック製品、化学。前月比で普通乗用車が22.9%、頭髪用化粧品が27.3%、それぞれ増えた。頭髪用化粧品は「シャンプー・リンスの限定品・新商品の生産が増えた」(経産省)。もっとも普通乗用車の生産は「季節調整による統計処理で大きめに出ている可能性がある」(同)という。
一方、生産指数を下押しした品目は半導体製造装置(12.7%減)やフラットパネル・ディスプレー製造装置(54.4%減)など。
2月、3月の生産予測では金属製品、汎用・業務用機械など7業種が減産、パルプ・紙、電気・情報通信など5業種が増産を見込む。
小売販売額1月は前年比1.8%増、2カ月ぶりプラス
経済産業省が27日公表した1月の商業動態統計速報によると、小売業販売額は前年比1.8%増の12兆9540億円と2カ月ぶりにプラスとなった。ロイターがまとめた民間予測中央値は0.4%減だったが、予想外に増えた。食料品値上げによる押し上げに加え、自動車や家電などの販売好調も寄与した。
<パソコンや「スイッチ2」が好調>
業種別の前年比で最も押し上げに寄与したのは自動車で9.6%増。次いで家電など機械器具小売業が12.4%増、飲食料品も1.8%増えた。
業態別の前年比では百貨店が2.2%増、スーパー3.3%増、家電大型専門店9.6%増、ドラッグストア4.0%増など。
スーパーは食料品の値上げが寄与。家電大型専門店は、スマホやパソコン、ゲーム機が好調だった。半導体メモリーの先高感がパソコン販売を後押ししているほか、任天堂の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ2」の販売好調が続いている。
百貨店は中国人旅行客が減少しているもののインバウンド需要が堅調で、高額な衣料・宝石・時計などの販売が好調という。
ドラッグストアはコメ、コーヒーなど価格が上昇している食品の販売好調が継続している。
複数の統計をまとめて取り上げましたので、とてつもなく長くなりましたが、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは下の通りです。上のパネルは2020年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

まず、引用した記事でもロイター調査による市場の事前コンセンサスは+5.3%の増産とありますし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも同じく+5.6%の増産が予想されていました。日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスの予想レンジ下限が+3.3%増でしたので、実績である+2.2%の増産は市場予想から大きく下振れした印象です。ただし、統計作成官庁である経済産業省では生産の基調判断については、「一進一退」で据え置いています。昨年2024年7月から1年半ほど連続の据置きです。先行きについては記事にもある通り、製造工業生産予測指数を見ると、足下の2月は補正なしで▲0.5%の減産で、翌3月も▲2.6%の減産となっています。しかしながら、統計の上方バイアスを除去した補正値では、足元の2月の生産は▲1.9%の減産と試算されています。今年は中華圏の春節が2月17日からですので、1月増産、2月減産は、たぶん、想定内なんだろうという気がします。
引用した記事にも、自動車、プラスチック製品、化学など生産を押し上げた要因が列挙されていますが、経済産業省の解説サイトによれば、1月統計における生産は、増産方向に寄与したのは、普通乗用車や駆動伝導・操縦装置部品などの自動車工業が前月比+9.1%増、寄与度+1.16%、プラスチック製機械器具部品やプラスチック製フィルム・シートなどのプラスチック製品工業が前月比+8.1%増、寄与度0.35%、頭髪用化粧品や石けん類などの化学工業(除、無機・有機化学工業・医薬品)が前月比+7.4%増で+0.33%の寄与度、などとなっています。他方、その逆の減産方向に寄与したのは、半導体製造装置やフラットパネル・ディスプレイ製造装置の生産用機械工業が前月比▲2.0%減で▲0.18%の寄与度、印刷用紙(塗工)などのパルプ・紙・紙加工品工業が前月比▲0.1%減で▲0.00%の寄与度、などとなっています。

続いて、商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の小売業販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整済みの2020年=100となる指数をプロットしています。影を付けた部分は景気後退期を示しています。小売業販売のヘッドラインは季節調整していない原系列の前年同月比で見るのがエコノミストの間での慣例なのですが、見れば明らかな通り、2023年年央あたりで前年同月比の伸び率が+5%から+6%台でピークを付けた後、前年同月比はプラスであるもののプラス幅が縮小し、1月統計では+1.8%増を記録しています。引用した記事にある通り、実績の+1.8%増に対して、「ロイターがまとめた民間予測中央値は0.4%減だった」ので、かなり上振れした印象です。季節調整済み指数の前月比も、2025年中はまさに一進一退でしたが、2025年12月の▲+2.0%の大きなマイナスの反動もあって、1月には+4.1%増を記録しています。ただし、統計作成官庁である経済産業省では基調判断について、季節調整済み指数の後方3か月移動平均により機械的に判断して、本日公表の1月統計までの3か月後方移動平均の前月比が+0.9%の上昇とプラスを維持していることから、先月までの「一進一退」で据え置いています。ただし、参考まで、消費者物価指数(CPI)との関係では、1月統計ではヘッドライン上昇率は+1.5%、生鮮食品を除く総合のコアCPI上昇率は+2.0%となっています。本日公表の東京都区部2月中旬速報値でもヘッドライン上昇率が+1.6%ですので、名目で計測した商業販売統計の1月統計は実質消費がプラスかマイナスかは微妙なところであると私は考えています。
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