国内物価が+2%上昇まで縮小した2月の企業物価指数(PPI)
本日、日銀から2月の企業物価 (PPI) が公表されています。統計のヘッドラインとなる国内物価は前年同月比で+2.0%の上昇となり、60か月、すなわち、5年連続の上昇です。先月1月統計からやや上昇率が縮小し、日銀物価目標の+2%近傍となっています。まず、ロイターのサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
国内企業物価、2月は前年比2.0%上昇 銅・金など市況高で
日銀が11日に発表した2月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数は前年比2.0%上昇した。60カ月連続プラス。銅や金などの市況高により非鉄金属が大幅上昇したほか、農林水産物、飲食料品なども押し上げに寄与した。一方、前月比では0.1%下落し、2025年8月以来6カ月ぶりのマイナスとなった。
ロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値は前年比2.1%上昇、前月比0.1%上昇だった。
前年比で最も押し上げに寄与したのは非鉄金属で、前年比32.5%上昇した。銅や金などの市況上昇が影響した。続く農林水産物は同18.5%上昇。集荷業者が農家に支払う概算金が引き上げられたことがコメの値上がりにつながった。飲食料品は同4.6%上昇。引き続き原材料や包装資材などの諸コスト上昇を転嫁する動きが出ている。
全515品目中、前年比で上昇したのは365品目、下落は127品目。差し引きは38品目だった。
>イラン攻撃の影響は3月以降に反映<
前月比で最も押し下げ方向に影響したのは、電力・都市ガス・水道。電気・ガス料金負担軽減支援事業による負担軽減策で事業用電力と都市ガスの価格が下落した。上水道も一部の自治体が減免措置を講じたことで値下がりした。
一方、石油・石炭製品は前月比で押し上げに寄与した。中東地域の地政学リスクの高まりに伴って上昇したドバイ原油市況を反映し、ガソリンや軽油などが値上がりした。
エネルギー関連財の価格上昇を、事業用電力や都市ガスの価格下落がおおむね相殺する形となり、前月比は小幅な下落となった。米国とイスラエルのイラン攻撃の影響は反映されておらず、3月以降の指数に影響が出てくるとみられている。
2月の輸入物価指数(円ベース)は前年比2.8%上昇だった。前月(0.7%上昇)から上昇幅を拡大。2024年7月以来の高い伸びとなった。銅や金など国際商品市況の価格上昇を反映した。
インフレ動向が注目される中で、長くなってしまいましたが、いつもながら、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業物価指数(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下のパネルは国内物価指数そのものを、それぞれプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

まず、企業物価のうちヘッドラインとなる国内物価上昇率は、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは+2.1%でした。引用した記事の2パラにもあるように、ロイターでも同じ+2.1%と見込んでおり、実績の+2.0%はホンの少し、▲0.1%ポイントだけ下振れしました。国内物価が上昇率が高止まりしている要因は、引用した記事の1パラメや3パラめにあるように、非鉄金属と農林水産物の価格上昇であり、さらに、農林水産物に連動して飲食料品の価格上昇も継続しています。コメなどが高い上昇率を示しています。また、対ドル為替相場は、2月に入って▲1.1%の円高ですが、平均で対ドルレートは150円台後半を記録しています。さらに、私はエネルギー動向に詳しくないので、日本総研「原油市場展望」(2026年2月)を参考として見ておくと、1月のWTI原油先物価格は、米国によるベネズエラ攻撃やイランにおける反政府デモの激化、さらに、ロシアの石油タンカーに対するドローン攻撃など、地政学的リスクの増大を通じた供給懸念により一時60ドル台に乗せたものの、先行き見通しについては「原油価格は、年央にかけて50ドル台に下落する見通し」とされています。ただ、3月に入って、米国とイスラエルによるイラン攻撃やホルムズ海峡の封鎖などにより、石油価格動向はまったく不透明です。いずれにせよ、2月統計を見る限り、国内物価の上昇は原油価格ではなく国内要因による物価上昇であることは明らかです。
企業物価指数のヘッドラインとなる国内物価を品目別の前年同月比上昇率・下落率で少し詳しく見ると、まず、引用した記事にもある通り、非鉄金属は1月+33.0%、2月+32.5%と、きわめて高い上昇率が続いています。農林水産物も1月の+21.9%からやや減速したとはいえ、2月も+18.5%と高止まりしています。農林水産物の価格上昇に伴って、飲食料品の上昇率も2月は+4.6%と、前月1月の+5.1%と大きな違いはない上昇となっています。電力・都市ガス・水道は▲6.7%と政府の電気・ガス料金負担軽減支援事業により下落しています。ただ、この政策は3月使用分までですので、4月からはどうなるのか不透明です。最後に、石油・石炭製品は1月▲12.9%に続いて、2月統計でも▲11.7%の下落を見せていますが、指標となるWTI先物価格が大きく乱高下しており、3月統計でどうなるかはまったく見通せません。
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