« 1-2月の統計はすでに過去の数字かも-景気動向指数と景気ウォッチャーと経常収支 | トップページ | 国内物価が+2%上昇まで縮小した2月の企業物価指数(PPI) »

2026年3月10日 (火)

2025年10-12月期GDP統計速報2次QEはやや上方改定

本日、内閣府から2025年10~12月期GDP統計速報2次QEが公表されています。季節調整済みの系列で前期比+0.3%増、年率換算で+1.3%成長を記録しています。1次QEから上方改定されいます。設備投資などが上振れています。なお、GDPデフレータは季節調整していない原系列の前年同期比で+3.4%、国内需要デフレータも+2.8%に達しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

GDP年率1.3%増に上方修正 10-12月改定値、設備投資など伸び
内閣府が10日発表した2025年10~12月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値が前期比0.3%増、年率換算で1.3%増だった。2月発表の速報値(前期比0.1%増、年率0.2%増)から上方修正した。最新の経済指標を反映した結果、設備投資などが上振れした。
1次速報時と同様に、実質ベースで2四半期ぶりにプラスに転じた。QUICKが事前にまとめた民間予測の中心値は年率1.1%増だった。
成長率への年率の寄与度は内需がプラス0.3ポイント、外需がマイナス0.00ポイントだった。速報値はそれぞれプラス0.04ポイント、プラス0.02ポイントで、設備投資や個人消費など内需の伸びが全体を押し上げた。
設備投資は速報値の前期比0.2%増から1.3%増に上振れした。3月発表の法人企業統計など各種統計を反映した。人工知能(AI)需要を背景にデータセンター投資が続く情報通信業が堅調だった。建設も都市開発で速報値の想定より高くなった。
GDPの半分を占める個人消費は速報値の0.1%増から0.3%増に上方修正した。「サービス産業動態統計調査」などの最新の統計を反映した結果、ゲーム・玩具や飲食サービスのマイナス幅が速報時より縮小した。インバウンド(訪日外国人)需要が堅調だった宿泊サービスも上振れした。
住宅投資は4.9%増と速報値の4.8%増から上方修正した。
民間在庫の成長率への寄与度は0.3ポイントのマイナス寄与だった。速報値から0.1ポイント下向きに修正した。
政府消費は0.1%増から0.4%増に見直した。公共投資は1.3%減から0.5%減に上方修正した。
輸出と輸入はいずれも0.3%減で速報値から変わらなかった。
25年通年でみると、実質GDPは前年比1.2%増の591兆4314億円だった。名目GDPは4.7%増の663兆7573億円で、いずれも速報段階から上振れした。
国内の総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比3.4%上昇で、速報値と変わらなかった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。なお、雇用者報酬については2種類のデフレータで実質化されていてる計数が公表されていますが、このテーブルでは「家計最終消費支出(除く持ち家の帰属家賃及びFISIM)デフレーターで実質化」されている方を取っています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2024/10-122025/1-32025/4-62025/7-92025/10-12
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.5+0.3+0.6▲0.7+0.1+0.3
民間消費+0.0+0.7+0.2+0.5+0.1+0.3
民間住宅+0.6▲0.2+0.0▲8.4+4.8+4.9
民間設備▲0.5+0.5+1.2▲0.0+0.2+1.3
民間在庫 *(▲0.2)(+0.4)(+0.0)(▲0.2)(▲0.2)(▲0.3)
公的需要▲0.2▲0.1+0.5▲0.1▲0.2+0.2
内需寄与度 *(▲0.3)(+0.9)(+0.5)(▲0.4)(+0.0)(+0.3)
外需寄与度 *(+0.8)(▲0.6)(+0.1)(▲0.3)(+0.0)(▲0.0)
輸出+1.7▲0.2+1.9▲1.4▲0.3▲0.3
輸入▲1.9+2.5+1.4▲0.1▲0.3▲0.3
国内総所得 (GDI)+0.5▲1.0+0.7+0.1+0.1+0.4
国民総所得 (GNI)+0.2+0.4+0.6+0.3▲0.5▲0.2
名目GDP+1.1+0.9+2.2▲0.0+0.6+0.9
雇用者報酬+0.5▲1.0+0.7+0.1+0.5+0.5
GDPデフレータ+3.0+3.6+3.2+3.5+3.4+3.4
内需デフレータ+2.5+3.1+2.6+2.8+2.6+2.6

上のテーブルに加えて、需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、縦軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された2025年10~12月期のGDP統計速報2次QEの最新データでは、前期比成長率が2四半期ぶりのプラス成長を示し、赤の民間消費と緑色の民間住宅と水色の民間設備がにプラス寄与していますが、灰色の民間在庫がマイナスの寄与度を示しているのが見て取れます。なお、最近時点での見やすさを重視したスケールに変更していて、コロナ期の大きな振幅を無視してカットされる部分もあります。

photo

先月2月17日に公表された1次QEでは季節調整済みの系列で前期比+0.1%増、前期比年率で+0.2%増の成長であったところ、繰り返しになりますが、本日の2次QEではそれぞれ+0.3%増、+1.3%増に上方修正されています。内需のうち、民間消費と民間住宅と民間設備の国内需要が上方修正された一方で、民間在庫が少し下方修正されています。ただ、民間税この下方修正は成長率にはマイナス寄与ですが、在庫調整の進展があったことを示しており、決して、好ましくない動向と考えるべきではありません。加えて、1次QEから昨年公表された産業連関表に従って、基準年次が2020年に変更されており、これに従って過去にさかのぼって、かなり大きな改定がなされています。他方で、外需(純輸出)は小幅にマイナス寄与となっています。ただし、この統計はまったく過去の数字、と私は考えています。いうまでもなく、米国とイスラエルによるイラン攻撃に伴うホルムズ海峡封鎖により、石油価格が跳ね上がっているからです。米国の関税に関しても不透明感が強く、先行きはまったく見通せません。ただし、大きな原則的見方として、米国がこのままソフトランディングに成功して、景気後退にならなければ、日本もそうそう景気後退に陥ることはない、と私は楽観しています。いずれにせよ、景気後退ともなれば雇用をはじめとして急激な景気の悪化が見られるのが通常であり、それ故に景気後退については回避できれるのであれば回避すべきという考えがエコノミストの間では強いのですが、直前のリーマン証券破綻後の金融危機とか、コロナのパンデミックとか、きわめて厳しい景気の悪化に比べれば、現在の日本経済は景気後退局面ではない、というか、それほど厳しい景気悪化には陥っていない、と私は考えています。ただ、先行きはまったく不透明、と考えるべきです。

|

« 1-2月の統計はすでに過去の数字かも-景気動向指数と景気ウォッチャーと経常収支 | トップページ | 国内物価が+2%上昇まで縮小した2月の企業物価指数(PPI) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 1-2月の統計はすでに過去の数字かも-景気動向指数と景気ウォッチャーと経常収支 | トップページ | 国内物価が+2%上昇まで縮小した2月の企業物価指数(PPI) »