石油価格の上昇はどれくらい物価を押し上げるのか?
先週金曜日の4月17日、大和総研から「原油高の国内への波及経路と価格転嫁率を踏まえた消費者物価への影響」と題するリポートが明らかにされています。3月27日に公表された内閣府による「原油価格の変動が国内物価に与える影響」では、さすがにお役所らしく、試算結果の数字がそれほど明らかではありませんでしたが、この大和総研のリポートでは数字が明記されています。ということで、まず、長くなりますが、リポートから要約を2点引用すると次の通りです。
要約
- 中東情勢の緊迫化を背景とした原油価格の上昇は、エネルギー価格にとどまらず、「原油関連製品」への依存度が高い産業を通じて幅広い品目へと波及する。産業連関表を用いて投入構造を部門別に確認すると、「原油関連製品」への依存度は、石油関連製品に加えて、化学・鉄鋼・セメントなどの素材部門や、輸送部門・電力部門といった非製造業でも高い。
- 原油・天然ガス・石炭価格が10%上昇した場合、消費者物価への影響は全面転嫁シナリオで+0.27%、部分転嫁シナリオ(エネルギー関連では全面転嫁、それ以外は50%転嫁)では+0.12%となる。足元のエネルギー価格動向を当てはめると約40%分の上昇に相当するが、この場合、消費者物価への影響は+0.49%~+1.08%となる見込みだ。ただし、政府が実施しているガソリン等への補助金により、物価への影響は+0.32%~+0.90%程度に抑えられるとみられる。
要約の1点目にあるように、石油価格の上昇はエネルギーだけでなく、幅広い品目の価格へ波及します。その上で、+10%の価格上昇がどのように物価に波及するかを、いくつかのシナリオに基づいて試算しています。そのグラフを引用すると次の通りです。

なお、左右のグラフに共通する「一定程度の価格転嫁」とは、「原油等のコスト上昇による影響を直接受ける部門および料金制度4により転嫁が制度的に担保されている電気部門、ガス・熱供給部門については全面的に転嫁され、それ以外の部門は50%分が転嫁されると想定」しています。足元の価格上昇に近い+40%上昇の想定で試算した右のグラフが現実的な気がします。消費者物価への影響はおおよそ+1%ポイントということになります。これを大きいと考えるか、あるいは、それほどでもないと見るか、いろんな見方が分かれると思います。ただ、私の方から2点だけ指摘しておきたいと思います。第1に、ガソリン補助金のような対象を企業とする補助金ではなく、広く国民を対象にした給付のほうが望ましいと考えます。政府から補助金がもらえるのもいいのかもしれませんが、国民の選択をより重視し企業努力が報われるような制度設計が求められます。第2に、短期的にはエネルギー価格の上昇のショックを和らげるような対策はもちろん重要ですが、長期的には脱炭素やプラごみ削減の視点も必要であり、石油消費を抑制するような仕組みも併せて志向されるべきと考えます。
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