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2026年4月30日 (木)

2か月連続の減産となった3月の鉱工業生産(IIP)と商業販売統計

本日、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が公表されています。いずれも3月の統計です。IIPのヘッドラインとなる生産指数は季節調整済みの系列で前月から▲0.5%の減産、2か月連続の減産となります。商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額もは、季節調整していない原系列の統計で前年同月比+1.7%増の14兆3060億円を示し、季節調整済み指数も前月から+1.3%の上昇となっています。まず、ロイターのサイトから各統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産3月は0.5%低下、2カ月連続マイナス 化学減産響く
経済産業省が30日公表した3月の鉱工業生産指数速報は前月比0.5%低下で2カ月連続のマイナスとなった。ロイターの事前予測調査では1.1%上昇と予想されており、予想外に低下した。ナフサを原料とするポリエチレンなどを製造する化学工業の減産が響いた。
同省は化学工業の減産について、中東情勢の影響やナフサ分解炉などの定期修理が集中したことが要因と説明。どちらの影響が大きいかは不明としている。
<ポリエチレン約3割減産、化学は先行きも減産見込み>
基調判断は「総じてみれば、生産は一進一退で推移」とした。
企業の生産計画に基づく予測指数は4月が前月比2.1%上昇、5月は2.2%上昇となった。生産計画は上振れ傾向があるため、これを勘案した補正値は4月が前月比0.7%の低下となった。
業種別で押し下げに寄与したのは無機・有機化学(前月比8.6%減)のほか、汎用・業務用機械(4.3%減)、石油・石炭製品(7.7%減)など。ポリエチレンは29.8%の大幅減産となり、合成ゴムも13.8%減だった。ガソリンは7.3%、軽油が14.3%それぞれ減少した。
一方、航空機用発動機部品や半導体製造装置、電子回路基板などは前月比で増産だった。
化学工業の生産予測は4月が前月比1.9%減、5月は2.8%減。減産予測と中東情勢の関係は「分からない」と経産省は説明している。
同省は中東情勢を受けた燃料油の動向について追加資料を発表。3月の生産はジェット燃料が前月比0.7%減、灯油が13.8%減、重油は1.4%増だった。
3月小売業販売額は前年比+1.7%=経産省(ロイター予測: +0.8%)
経済産業省が30日に発表した3月の商業動態統計速報によると、小売業販売額(全店ベース)は前年比1.7%増となった。ロイターの事前予測調査では0.8%増が予想されていた。
業種別の前年比は、自動車9.0%増、その他小売業5.2%増、医薬品・化粧品2.8%増、各種商品1.4%増、機械器具0.7%増、飲食料品0.4%増など。
業態別前年比は 百貨店2.2%増、スーパー1.3%増、コンビニ2.3%増、家電大型専門店4.4%増、ドラッグストア5.8%増、ホームセンター3.4%増。

やや長くなりましたが、的確に取りまとめられた記事だという気がします。ただ、後の方の商業販売統計の記事は「この記事はこの後更新します。」とされていますが、1時半現在で更新されていません。このご、更新される可能性が十分あります。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは次の通りです。上のパネルは2020年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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まず、引用した記事の最初のパラにもありますが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、ともに、3月の鉱工業生産は+1.1%の増産が予想されていましたので、実績の▲1.1%の減産は下振れしたと考えるべきです。その主要な原因はナフサ由来の化学工業製品にあることが示唆されています。なお、ロイターの別の記事「ポリエチレンなどの国内在庫は1.8カ月分、3月生産8.6%減=経産省」では、「ポリエチレンやポリプロピレンといったナフサ由来の化学製品の在庫は国内需要の1.8カ月程度」という経済産業省の発表を報じています。また、統計作成官庁である経済産業省では生産の基調判断については、「一進一退」で据え置いています。一昨年2024年7月から1年半余り連続の据置きです。先行きについては記事にもある通り、製造工業生産予測指数を見ると、足下の4月は+2.1%の増産で、翌5月も+2.2%の増産となっていますが、指数の上振れ傾向を補正した試算値では4月は▲0.7%の減産とされています。ただし、私の直感ながら、米国とイスラエルによるイラン攻撃に端を発する中東情勢の混乱から先行きはまったく不透明としかいいようがありません。引用した記事のタイトルにもありますが、化学工業の減産が大きくなっています。経済産業省の解説サイトによれば、3月統計における生産は、減産方向に寄与したのはポリエチレンや合成ゴムなどの無機・有機化学工業が前月比▲8.6%減、寄与度▲0.35%、コンベヤや水管ボイラなどの汎用・業務用機械工業が前月比▲4.3%減、寄与度▲0.33%、ガソリンや軽油といった石油・石炭製品工業が前月比▲7.7%減、寄与度▲0.13%、となっており、逆に、増産方向に寄与したのは、航空機用発動機部品や船用ディーゼル機関などの輸送機械工業(除、自動車工業)が前月比+10.5%増で+0.29%の寄与度、などとなっています。

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続いて、商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない原系列の小売業販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整済みの2020年=100となる指数をプロットしています。影を付けた部分は景気後退期を示しています。小売業販売のヘッドラインは季節調整していない原系列の前年同月比で見るのがエコノミストの間での慣例なのですが、見れば明らかな通り、2023年年央あたりで前年同月比の伸び率が+5%から+6%台でピークを付けた後、前年同月比はプラスであるもののプラス幅が縮小し、3月統計では+1.7%増を記録しています。季節調整済み指数の前月比も、+1.3%の上昇を記録しています。統計作成官庁である経済産業省では基調判断について、季節調整済み指数の後方3か月移動平均により機械的に判断して、本日公表の3月統計までの3か月後方移動平均の前月比が+0.8%の上昇であることから、先月までの「一進一退」から明確に1ノッチ上方修正して「緩やかな上昇傾向」に改定しています。ただし、参考まで、消費者物価指数(CPI)との関係では、3月統計ではヘッドライン上昇率は+1.5%、生鮮食品を除く総合のコアCPI上昇率は+1.8%となっていますので、名目で計測した商業販売統計の3月統計は実質消費がプラスかマイナスかは微妙なところであると私は考えています。

最後に、ニュースなどで散発的に流れているナフサ由来のプラスチックなどの化学工業製品の不足が統計的に裏付けられたと私は受け止めています。もちろん、ナフサを経由せずとも燃料油の不足も報じられており、いずれも、米国とイスラエルによるイラン攻撃から始まった中東情勢に起因するわけです。私なんぞはノホホンと能天気に、二酸化炭素排出の削減やプラごみの減少にもつながる、といった面を考えないでもないのですが、死活問題という企業や関係者も少なくないものと想像しているのも事実です。短期的には、こういった石油や石油製品の供給を確保する一方で、代替品の開発も進める必要を忘れてはなりません。最後の最後に、ゴールデンウィーク休暇が明ければ、政府も本格的に石油や石油製品の節約・消費抑制に乗り出すのではないか、といった見方が一部のSNSなどで現れ始めています。私の方では確認しようがありませんが、どこまでホントなんですかね。

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