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2026年4月24日 (金)

2か月連続で物価目標の+2%を下回った3月の消費者物価指数(CPI)と+3%を超えた企業向けサービス価格指数(SPPI)

本日、総務省統計局から消費者物価指数 (CPI) が、また、日銀から企業向けサービス価格指数 (SPPI)が、それぞれ公表されています。いずれも3月の統計です。CPIでは生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は、季節調整していない原系列の前年同月比で見て、前月からさらに減速して+1.6%を記録しています。日銀物価目標の+2%を下回ったのは3年11か月ぶりだそうです。生鮮食品を含むヘッドライン上昇率は+1.3%まで減速している一方で、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率は+2.5%となっています。また、SPPIではヘッドラインの前年同月比上昇率は前月1月からわずかに加速して+2.7%を記録しています。変動の大きな国際運輸を除くコアSPPIの上昇率も同じくやや加速して+2.7%の上昇となっています。まず、ロイターのサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

全国コアCPI、3月+1.8%で2%割れ続く ガソリンは下落率急縮小
総務省が24日に発表した3月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数、コアCPI)は、前年比1.8%上昇した。伸び率は前月の1.6%から拡大したが、2カ月連続で2%を下回った。米国・イスラエルによるイランへの軍事攻撃で原油価格が高騰し、ガソリン価格の前年比下落率が大幅に縮小する一方で、生鮮食品を除く食料の伸び率鈍化が続き、コアCPIの伸びを抑えた。
コアCPIは、ロイターが集計した民間調査機関の予測中央値に一致した。
エネルギー価格は5.7%下落と、前月の9.1%下落から下落率が縮小した。ガソリンは5.4%下落とガソリン暫定率廃止の影響でマイナスの推移が続いたものの、下落率は前月の14.9%から大幅に縮小した。ガソリンの調査は3月11-13日に行われたため、同月19日に再開した政府補助金の影響はまだ出ていない。灯油は6.3%上昇で、前月の3.5%下落から上昇に転じた。
生鮮食品を除く食料は5.2%上昇と、伸び率は前月の5.7%を下回った。8カ月連続で伸び率が縮小した。コメ類は6.8%上昇と、前月の17.1%上昇を大きく下回った。
コア対象522品目のうち、上昇は381、下落は106、変わらずが35。上昇品目は前月の382を1つ下回った。
2025年度平均のコア指数は前年度比2.7%上昇。伸び率は24年度と変わらず、4年連続で2%を超えた。コメ類が48.9%上昇して過去最高を更新するなど、生鮮食品を除く食料は7.0%上昇した。
3月の総合指数は前年比1.5%上昇し、伸びは前月の1.3%から拡大。生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は2.4%上昇し、伸びは前月の2.5%から縮小した。2024年12月以来の低い伸び。
企業向けサービス価格、3月は前年比3.1%上昇 中東緊迫「外航貨物輸送」伸び拡大
日銀が24日に公表した3月の企業向けサービス価格指数は前年比3.1%上昇となった。中東情勢の緊迫化で「外航貨物輸送」の価格が大きく上昇し、伸び率が前月から0.4%ポイント拡大した。前月比は1.2%上昇だった。
「外航貨物輸送」は前年比42.1%上昇と、伸び率が前月(9.7%)から大幅に拡大した。このうち「外航タンカー」は、米国とイランの軍事衝突でホルムズ海峡の航行が困難となり、供給が絞られたことで価格が上昇した。外航タンカー以外の外航貨物輸送も、中東情勢の影響で燃料油価格が上昇したことが影響した。
「宿泊サービス」は前年比10.5%上昇と、伸びが前月(8.5%)から加速した。中国政府による渡航自粛要請を受けた中国人観光客の減少傾向は続いているものの、それ以外の国からの観光客数が増勢を強めている。
調査対象146品目のうち、上昇は116品目、下落は13品目だった。
日銀の担当者は「外航貨物輸送」が大きく上昇した以外は「おおむね小動きだった」と指摘。引き続き中東情勢緊迫の影響を含めた海運市況や国際商品市況の動向、各種コストの上昇分を価格転嫁する動きの持続性などを注視していくとした。
生産額に占める人件費投入比率の違いで分類した指数では「高人件費率サービス」が前年比3.0%上昇と、伸び率は前月から0.1%ポイント上昇した。「低人件費率サービス」は同3.1%上昇で、前月から0.7%ポイント上昇した。

何といっても、消費者物価指数(CPI)は現在もっとも注目されている経済指標のひとつですし、企業向けサービス価格指数(SPPI)も物価指標ですので、やや長い記事でしたが、いつものように、よく取りまとめられているという気がします。続いて、消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1ケタの指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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引用した記事の2パラめにもある通り、コアCPI上昇率はロイターによる市場の事前コンセンサスに一致したようですが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは+1.7%ということでした。総務省統計局のプレスリリースによれば、ガソリンの暫定税率廃止及び政策による効果の寄与度が試算されており、ガソリンについては当月分で▲0.96%、ただし、前年剥落分が+0.49%あり、合わせて▲0.47%の寄与、同様に、電気代についても当月分で▲0.49%、ただし、前年剥落分が+0.27%あり、合わせて▲0.22%の寄与などの結果が示されています。品目別に消費者物価指数(CPI)の前年同月比上昇率とヘッドライン上昇率である+1.5%に対する寄与度を少し詳しく見ると、まず、エネルギーの寄与度は3月統計では、まだ、政府の政策効果もあってマイナスであり、前月の2月統計の▲0.71%に対して、2026年1月は▲0.45%となっています。したがって、いわゆる寄与度差は+0.26%に達していて、コアCPI上昇率が2月の+1.6%から3月の+1.8%に+0.2%ポイントへの拡大を超える割合を占めています。逆にいえば、エネルギーを除く物価には大きな変化はない、もしくは、やや物価上昇は減速している、と考えることもできます。例えば、生鮮食品を除く食料価格はコメを含む指標ですが、その上昇は引き続き大きいとはいえ、前年同月比で2月の+5.7%、寄与度で+1.39%から3月は+5.2%、寄与度+1.27%に減速しています。ですので、数字だけを見れば、ヘッドラインCPIの上昇率である+1.3%のほぼすべてが食料価格の上昇に起因するというわけです。引き続き、コメの価格上昇が継続しているものの、コメ以外に価格上昇している食料も少なくない点は見逃すべきではありません。すなわち、生鮮食品を除く食料の寄与度+1.27%のうち、コシヒカリを除くうるち米の寄与度は+0.10%を占めています。引用した記事の「コメ類は6.8%の上昇」とは少し分類が異なりますが、コシヒカリを除くうるち米の上昇率は前年同月比で+6.4%ですから、一時のピークは超えた可能性が大きいものの、まだまだ高い上昇率と考えるべきです。コメが値上げされれば、当然に、おにぎりやすしの価格も上がります。ただ、こういった食料価格の上昇がピークアウトしつつあり、米国とイスラエルによるイラン攻撃に伴う中東情勢、特にホルムズ海峡の封鎖に起因するエネルギー価格の動向に焦点が移りつつあるのも事実です。
まだ前年同月比でマイナスを続けているエネルギーではなく、食料の細かい内訳に注目すると、前年同月比上昇率とヘッドラインCPI上昇率に対する寄与度で見て、繰り返しになりますが、生鮮食品を除く食料が上昇率+5.2%、寄与度+1.27%に上ります。その食料の中で、これも繰り返しになりますが、コシヒカリを除くうるち米が寄与度+0.10%あります。コメを上回る上昇となっている食料も多く、カカオショックとも呼ばれたチョコレートなどの菓子類は上昇率+8.2%、寄与度+0.22%に上っています。特に、その中でも、チョコレートは上昇率+24.0%、寄与度0.10%とうるち米に並ぶ寄与度を示しています。コメ値上がりの余波を受けた弁当などの調理食品が上昇率+5.2%、寄与度+0.20%に上っています。同様に、すしなどの外食も上昇率+3.9%、寄与度+0.18%を示しています。ほかの食料でもコーヒー豆などの飲料も上昇率+9.6%、寄与度0.17%となっており、コアCPIの外数ながら、ぶりなどの生鮮魚介が上昇率+7.3%、寄与度+0.10%、などなどと書き出せばキリがないほどです。食料とエネルギーはともに国民生活に欠かせない基礎的な財であり、実効ある物価対策とともに、価格上昇を上回る賃上げや最低賃金の大幅な引上げを期待しています。

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続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは上の通りです。上のパネルから順に、ヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、真ん中のパネルは日銀の公表資料の1ページ目のグラフをマネして、国内価格とサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。一番下のパネルはヘッドラインSPPI上昇率の他に、日銀レビュー「企業向けサービス価格指数(SPPI)の人件費投入比率に基づく分類指数」で示された人件費投入比率に基づく分類指数のそれぞれの上昇率をプロットしています。影を付けた部分は、景気後退期を示しています。上のグラフで見ても明らかな通り、モノの方の企業物価指数(PPI)のトレンドはヘッドラインとなる国内物価指数で見る限り、1年余り前の2025年2-3月には前年同月比で+4.3%の上昇を示していましたが、2025年6月に+3%を下回って+2.8%となった後、今年2026年2月に+2.1%を記録した後、もっとも最近のデータが利用可能な今年2026年3月統計で+2.6%にやや加速しています。同様に、本日公表された企業向けサービス物価指数(SPPI)も、昨年2025年9月に+3.1%と直近のピークをつけた後、今年2026年2月に+2.7%まで上昇率がトレンドとして縮小してきていましたが、直近でデータが利用可能な3月統計でも+3.1%となっています。どちらも、まだ+2%を大きく上回って高止まりしています。もちろん、日銀の物価目標+2%は消費者物価指数(CPI)のうち生鮮食品を除いた総合で定義されるコアCPIの上昇率ですから、企業物価指数(PPI)や本日公表の企業向けサービス価格指数(SPPI)とは指数を構成する品目もウェイトも大きく異なるものの、減速しつつあるとはいえ+2%台半ばから後半の上昇率を見ると、デフレに慣れきった国民や企業の意識からすれば、かなり高い物価上昇と映っている可能性が大きいと考えるべきです。しかも、3月統計では企業物価指数(PPI)も企業向けサービス価格指数(SPPI)もいずれも、中東情勢によるエネルギー価格の上昇や、その波及を受けた国際運輸の要因から上昇率を加速させています。
もう少し詳しく、SPPIの大類別に基づいて本日公表された3月統計のヘッドラインSPPI上昇率+3.1%への寄与度で見ると、宿泊サービスや土木建築サービスや建物サービスといった諸サービスが+1.26%ともっとも大きな寄与を示していて、ヘッドライン上昇率の大きな部分を占めています。諸サービス以外では、中東情勢に起因するエネルギー価格上昇の波及を受けたと考えられる外航貨物輸送などをはじめとする運輸・郵便が+0.44%、ソフトウェア開発や情報処理・提供サービスやインターネット附随サービスなどといった情報通信が+0.50%、さらに、不動産+0.23%、リース・レンタルが+0.16%、広告が+0.14%、金融・保険が+0.05%などとなっています。
最後に、人件費投入比率で分類した上昇率の違いをプロットした一番下のパネルを見ると、低人件費比率・高人件費比率のサービス価格いずれも+3%以上の上昇率を示しています。その意味では、政府や日銀のいう物価と賃金の好循環が実現しているともいえますが、実態としては、物価上昇が賃金上昇を上回っているという意味は、企業サイドから見れば人件費以上の過剰な価格転嫁が行われている一方で、家計サイドから見れば国民生活が実質ベースで苦しくなっているのは事実と考えざるをえません。ですので、私の従来からの主張ですが、企業サイドの利潤を減少させることにより労働分配率を上昇させ、物価上昇を引き起こすことなく賃上げを実現することが可能です。法人企業統計を見ても、ここまで利益剰余金が積み上がっているんですから、3~5年くらいは物価上昇なしに賃上げが可能ではないか、と私は直感的に試算しています。名だたるエコノミストが誰もこの点を主張しないのは私にはとても不思議です。何か、マズいことがあって忖度が働いているのかもしれません。

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