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2026年4月 9日 (木)

IMF World Economic Outlook 分析編を読む

日本時間の昨夜、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し分析編」IMF World Economic Outlook Analytical Chapters 2 and 3 が公表されています。まず、各チャプターのタイトルは次の通りです。

見れば判る通り、Conflict=紛争あるいは武力紛争をキーワードにしています。第2章と第3章を並べて、行き来しながら、いくつかグラフを引用しつつ、簡単に見ておきたいと思います。まず、下のグラフはリポート第2章から Figure 2.1. Defense Spending on the Rise を引用しています。見ての通りで、1946年の終戦直後から1990年代初頭の冷戦終了までは高い水準の防衛費支出が続いていましたが、ポスト冷戦に入って防衛費は徐々に低下していました。しかし、最近数年でまた防衛費の拡大が見られます。きっかけはいうまでもなく、露によるウクライナ侵攻であり、イスラエルのガザ侵攻、加えて、まだ統計では把握されていないこととは想像していますが、米国とイスラエルによるイラン攻撃で、当事国だけでなく世界的に、防衛費がさらに膨らむであろうことは容易に想像されます。

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続いて、下のグラフはリポート第3章に進んで Figure 3.4. Economic Costs of Conflicts を引用しています。一番上のパネルから、武力紛争は長引けば長引くほど産出=GDPへの負の影響が拡大し長期に及ぶと推計されており、直感的な印象とも一致すると思います。2番目、まん中のパネルを見ても、さすがに自然災害のダメージは場合によっては武力紛争を上回る可能性がありますが、通常のマクロ経済危機、すなわち、銀行危機、通貨危機、財政危機に比べて、武力紛争ははるかに大きなダメージを及ぼす点が理解されます。

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続いて、下のグラフはリポート第2章に戻って Figure 2.1. Defense Spending on the Rise を引用しています。特に、まん中のパネルで防衛費支出の拡大により社会保障支出が犠牲にされる点が強調されています。現在の日本の高市内閣がそうなのですが、武力紛争に備えて防衛費支出を拡大すると、政府の公的債務残高がさらに拡大し、社会保障予算が▲20%近く削減される可能性を示唆しています。

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最後に、引用はしませんが、リポート第2章の Figure 2.2. Defense Spending: Transmission Channels では、防衛費支出の拡大が短期と中長期でどのような経路で影響を波及させてゆくかを図解しています。短期には、需要や雇用を増加させ、資本稼働率も上昇し、さらにそれがケインズ的な乗数効果によって拡大し、需要の拡大やインフレ圧力の上昇につながる一方で、中長期には、そういった短期の需要拡大効果とともに、対外バランスや公的債務残高拡大の影響から設備投資をクラウディングアウトしたり、消費にネガティブな影響を及ぼす可能性を示唆しています。

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目を国内に転じると、本日、内閣府から3月の消費者態度指数が公表されています。3月統計では、前月から▲6.4ポイント低い33.3を記録しています。消費者態度指数を構成する4項目の指標について前月差で詳しく見ると、「暮らし向き」が▲9.8ポイント低下し29.7、「耐久消費財の買い時判断」が▲7.7ポイント低下して26.0、「雇用環境」も▲5.7ポイント低下して37.6、「収入の増え方」が▲2.5ポイント低下し39.8と、消費者態度指数を構成するコンポーネントすべてが軒並み大きく低下しました。また、消費者態度指数以上に注目を集めている1年後の物価見通しは、5%以上上昇するとの回答が、2月統計の36.5%から3月統計では53.4%に大きく増加しています。マインドの悪化も、物価見通しの上振れも、いずれも、米国とイスラエルのイラン攻撃を受けての変化であると考えるべきです。

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