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2026年5月12日 (火)

2か月連続の上昇で基調判断が上方修正された3月の景気動向指数と2か月連続の実質マイナスとなった3月の家計調査

本日、内閣府から景気動向指数が、また、総務省統計局から家計調査が、それぞれ公表されています。いずれも3月の統計です。景気動向指数のヘッドラインとなるCI先行指数は前月から+1.3ポイント上昇の114.5、CI一致指数も2か月ぶりの上昇で+0.3ポイント上昇の116.5を記録しています。家計調査の方は、2人以上の世帯消費支出の前年同月比は、実質▲2.9%の減少、名目も▲1.3%の減少となりました。まず、統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから引用すると以下の通りです。

景気一致指数3月は0.3ポイント上昇、基調判断1年10カ月ぶり上方修正
内閣府が12日公表した3月の景気動向指数速報(2020年=100)によると、足元の景気を示す一致指数が前月比0.3ポイント上昇の116.5で、2カ月ぶりのプラスとなった。一致指数から一定の計算式で決まる基調判断は、前回の「下げ止まりを示している」から「上方への局面変化を示している」に引き上げた。基調判断の上方修正は1年10カ月ぶり。
一致指数を押し上げたのは、輸出数量指数、鉱工業用生産財出荷指数、商業販売額(小売業)など。アジアや米国向けの輸出が増加。はん用・業務用機械や非鉄金属の出荷などが押し上げ要因となった。小型車や軽自動車などの販売も堅調だった。
一方、生産指数(鉱工業)は押し下げ要因になった。中東情勢緊迫化の影響などで化学製品や石油・石炭製品が減少した。
基調判断は上方修正されたものの、前月比の上昇は0.3ポイントと小幅にとどまっており、これから出てくるデータによっては今月下旬に発表される確定値でマイナスになったり横ばいになったりする可能性には留意が必要という。
先行指数は前月比1.3ポイント上昇の114.5と、10カ月連続でプラスだった。新規求人数や最終需要財在庫率指数、鉱工業用生産財在庫率指数などが押し上げた。
実質消費支出3月は2.9%減、中東情勢受け一部商品で買いだめも
総務省が12日に公表した3月の家計調査によると、物価変動を除いた1世帯(2人以上)当たりの実質消費支出は前年比2.9%減少した。食料品や自動車への支出減などで4カ月連続のマイナスとなり、下げ幅は昨年10月以来の大きさだった。一方、中東情勢の混乱を受け、一部商品には買いだめ傾向がみられた。
主な内訳では、酒類・外食など食料が前年比2.9%減少し2カ月連続のマイナス、自動車関連など交通・通信が16.8%減少し4カ月連続の前年割れとなった。
ロイターが集計した調査では、消費支出は前年比1.3%減と予想されていた。
一方、総務省の担当者によるとポリ袋、サランラップ、トイレットペーパーなどへの支出が増え、中東情勢の緊迫化で「買いだめの影響を受けている可能性がある」という。教養娯楽サービスでも外国パック旅行が減少する一方で国内旅行が伸びており、イラン情勢が影響している可能性があると分析している。
2025年度の実質消費支出は前年同期比0.1%増で、わずかながら3年ぶりのプラスとなった。食料品価格が高騰する中で、自動車関連支出やパック旅行がけん引したという。
消費支出に占める食費の割合であるエンゲル係数は、2024年度(28.3%)から伸長して28.8%となり、1980年度(28.9%)以来、45年ぶりの高水準となった。
SMBC日興証券シニアエコノミストの宮前耕也氏は、足元で実質賃金がプラスになるなど前向きな動きが出ているものの、消費の改善は「一時的な動き」になるかもしれないと分析する。
同氏は、家計消費の趨勢は「弱い」とみている。今後夏場に向けて、食料品やエネルギー価格の上振れが生じると、実質賃金のマイナスへの再転換を招き、消費の下押しになりかねない、と注意を促した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。ただし、統計公表直後の記事を引用していますので、その後、追加記事や差替え記事が出ている可能性があります。続いて、景気動向指数のグラフは次の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、CI一致指数が前月から+0.3ポイントの上昇、先行指数も同じく+1.3ポイントの上昇と予想されていました。実績の一致指数+0.3ポイント、先行指数+1.3ポイントのそれぞれ上昇はジャストミートしました。繰返しになりますが、3月統計のCI一致指数は、2か月ぶりの上昇となります。さらに、内閣府のプレスリリースによれば、3か月後方移動平均は+0.70ポイント上昇し、3か月連続の上昇となり、加えて、7か月後方移動平均も前月から+0.37ポイント上昇し、これは4か月連続の上昇となっています。統計作成官庁である内閣府による基調判断は、昨年2025年5月統計から「下げ止まり」に下方修正されていましたが、本日公表の3月統計で「上方への局面変化」に上方修正されています。ただし、基調判断は上方修正ながら、すでに「過去の数字」である可能性が否定できません。先行きに関しては、私はいろいろと紆余曲折を経つつも、米国経済がソフトランディングに成功するとすれば、そう簡単には日本経済が景気後退局面に入ることはない、と考えています。ただし、そもそも、米国経済でも日本経済でもまだまだインフレが高止まりしており、特に、日本ではすでに景気回復・拡大局面の後半に入っている点は忘れるべきではありません。それにもまして、米国とイスラエルによるイラン攻撃から、先行きはまったく不透明になったと考えるべきです。石油価格は指標となるWTI先物がバレル当たり100ドル近辺で推移しています。東証の日経平均株価だけは最高値を記録しましたが、長期金利が2.5%超となっている中で、多くのエコノミストが円高を展望して待ち望んでいる金融引締めは景気を下押しすることが明らかです。日米同時リセッションの可能性が否定できません。
一応、本日公表の統計のうち、CI一致指数の前月差+0.3ポイント上昇への寄与度を見ておくと、引用した記事にもあるように、輸出数量指数の+0.36ポイントのほか、 商業販売額(小売業)(前年同月比)が+0.24ポイント、 商業販売額(卸売業)(前年同月比)が+0.20ポイントのそれぞれプラスの寄与度と、引用した記事のタイトルにもあるように、生産や出荷の押上げ効果が大きくなっています。

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続いて、家計調査のグラフは上の通りです。上のパネルは、名目及び実質の消費支出の前年同月比の推移であり、下は季節調整済みの名目指数及び実質指数です。いずれも影をつけた期間は景気後退期です。引用した記事の3パラ目にある通り、ロイターによる市場の事前コンセンサスは前年同月比で▲1.3%減でしたし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、同じく、実質消費支出の前年同月比が▲1.3%減と予想されていました。実績の▲2.9%は大きく下振れした印象ながら、もともとが振れの大きな統計ですし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスのレンジ下限が▲4.3%減でしたので、大きなサプライズというほどのことはありません。それでも、下振れということは変わりありません。品目別に、これも引用した記事の4パラ目にある「ポリ袋、サランラップ、トイレットペーパー」への支出増は、「買いだめの影響を受けている可能性」が指摘されていて、中東情勢に起因する価格高騰やモノ不足の傾向に対して、政府が節約の要請や呼びかけを一切していないにもかかわらず、買いだめを示唆する消費行動が始まっている可能性がある、と私は受け止めています。加えて、私が注目していたのは食料なのですが、前年同月比で見て名目+0.6%増、実質▲2.9%減でした。食料支出の名目増加・実質減少は食費の支出が増えているにもかかわらず、購入できている量が減少している、ということです。引用した記事にもあるエンゲル係数の上昇とともに、国民生活が貧しくなっていることを、生活実感だけでなく統計からも確認された気がします。

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