高止まりする4月の企業向けサービス価格指数(SPPI)
本日、日銀から4月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。ヘッドラインの前年同月比上昇率は前月1月からわずかに加速して+2.7%を記録しています。変動の大きな国際運輸を除くコアSPPIの上昇率も同じくやや加速して+2.7%の上昇となっています。まず、ロイターのサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
4月企業向けサービス価格、前年比3.0%上昇 「外航貨物輸送」は伸び拡大
日銀が27日に公表した4月の企業向けサービス価格指数は前年比3.0%上昇となった。中東情勢の不安定化の影響で「外航貨物輸送」が伸び率を一段と拡大したが、「諸サービス」を中心に値上げ改定の動きが前年と比べて小幅にとどまったことから、全体の価格上昇ペースは前月から鈍化した。前月比は0.5%上昇だった。
「外航貨物輸送」は前年比59.1%上昇と、伸び率が前月(44.6%)から拡大した。「外航タンカー」は、ホルムズ海峡の航行中に攻撃を受ける可能性をリスクプレミアムとして荷主に請求する動きが出たという。外航タンカー以外の外航貨物輸送も、中東情勢の影響で燃料油価格が上昇したことが影響した。
「諸サービス」は前年比2.6%上昇と、伸び率が前月の3.4%から鈍化した。「建物サービス」やプラントエンジニアリングなどの技術サービス、「宿泊サービス」や「機械修理」、「警備」などの伸びがそれぞれ縮小した。
調査対象146品目のうち、上昇は116品目、下落は10品目だった。
日銀の担当者は、中東情勢緊迫の影響を含めた海運市況や国際商品市況の動向、各種コストの上昇分を価格転嫁する動きの持続性、インバウンドの増勢を受けて力強い伸びを示してきた各種サービスの先行きなどを引き続き注視していくとした。
生産額に占める人件費投入比率の違いで分類した指数では「高人件費率サービス」が前年比2.5%上昇と、伸び率は前月から0.4%ポイント低下した。「低人件費率サービス」は同3.5%上昇で、伸び率は前月から横ばいだった。
何といっても、物価指標は現在もっとも注目されている経済指標のひとつですので、やや長い記事でしたが、いつものように、よく取りまとめられているという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは次の通りです。上のパネルから順に、ヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、真ん中のパネルは日銀の公表資料の1ページ目のグラフをマネして、国内価格とサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。一番下のパネルはヘッドラインSPPI上昇率の他に、日銀レビュー「企業向けサービス価格指数(SPPI)の人件費投入比率に基づく分類指数」で示された人件費投入比率に基づく分類指数のそれぞれの上昇率をプロットしています。影を付けた部分は、景気後退期を示しています。

上のグラフで見ても明らかな通り、モノの方の企業物価指数(PPI)のトレンドはヘッドラインとなる国内物価指数の前年同月比上昇率で見ると、今年2026年に入って、1月+2.4%、2月+2.1%、3月+2.9%の後、もっとも最近のデータが利用可能な4月統計で+4.9%に跳ね上がっています。もちろん、米国とイスラエルのイラン攻撃から始まった中東情勢の不安定化、特に、石油タンカーがホルムズ海峡を安全に航行できないため、ナフサなどの石油製品の供給制約から価格上昇が引き起こされています。同様に、本日公表された企業向けサービス物価指数(SPPI)も、今年2026年に入って、1-2月に+2.7%を記録した後、3月は+3.3%と上昇率が加速し、直近でデータが利用可能な4月統計でも+3.0%となっています。どちらも、まだ+2%を大きく上回って高止まりしています。特に、引用した記事にもある通り、企業向けサービス物価指数(SPPI)では外航タンカーなどの外航貨物輸送が3月の+44.6%に続いて、4月も+59.1%の上昇とリスクプレミアムも含めて跳ね上がっています。もちろん、日銀の物価目標+2%は消費者物価指数(CPI)のうち生鮮食品を除いた総合で定義されるコアCPIの上昇率ですから、企業物価指数(PPI)や本日公表の企業向けサービス価格指数(SPPI)とは指数を構成する品目もウェイトも大きく異なるものの、最近の上昇率を見ると、デフレに慣れきった国民や企業の意識からすれば、かなり高い物価上昇と映っている可能性が大きいと考えるべきです。しかも、4月統計では企業物価指数(PPI)も企業向けサービス価格指数(SPPI)もいずれも、中東情勢によるエネルギー価格の上昇や、その波及を受けた国際運輸の要因から高い上昇率となっています。
もう少し詳しく、SPPIの大類別に基づいて本日公表された4月統計のヘッドラインSPPI上昇率+3.0%への寄与度で見ると、労働者派遣サービスや宿泊サービスや土木建築サービスといった諸サービスが+1.01%ともっとも大きな寄与を示していて、ヘッドライン上昇率の⅓を占めています。諸サービス以外では、中東情勢に起因するエネルギー価格上昇の波及を受けたと考えられる外航貨物輸送をはじめとする運輸・郵便が+0.83%、ソフトウェア開発などの情報通信が+0.58%、さらに、リース・レンタルが+0.31%、不動産も+0.18%、金融・保険が+0.05%、広告が+0.03%などとなっています。
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