+4.9%の上昇と国内物価が跳ね上がった4月の企業物価指数(PPI)
本日、日銀から4月の企業物価 (PPI) が公表されています。統計のヘッドラインとなる国内物価は前年同月比で+4.9%の上昇となり、先月3月統計の+2.9%から上昇率が大きく加速しています。2021年3月に前年同月比上昇率がプラスに転じてから62か月、すなわち、5年余り連続の上昇です。まず、ロイターのサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。
国内企業物価、4月は前月比2.3%上昇 中東情勢不安定化の影響で
日銀が15日に発表した4月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数は前月比2.3%上昇と、3月(1.0%上昇)からプラス幅を大幅に拡大した。中東情勢の不安定化やホルムズ海峡の事実上の封鎖を受け、石油・石炭製品や化学製品など幅広い品目の価格が上昇した。
石油・石炭製品は前月比11.8%上昇。3月下旬以降の原油市況の上昇を反映し、ナフサ、軽油、B重油・C重油などの価格が上昇した。
化学製品は同6.1%上昇。ホルムズ海峡の事実上の封鎖を背景としたナフサ供給懸念の高まりを受け、エチレン、プロピレン、キシレンをはじめ石油化学基礎製品の多くが値上がりした。
非鉄金属は同2.7%上昇。イランの攻撃を受けたことでアルミニウム生産拠点の操業度が低下し、供給懸念が高まったことなどからアルミニウム市況が上昇、アルミニウム合金・同二次合金地金やアルミ圧延製品が値上がりした。
<国内企業物価の前年比上昇率、23年5月以来の高い伸び>
国内企業物価指数の前年比は4.9%上昇となった。3月(2.9%上昇)から大幅にプラス幅を拡大。ウクライナ情勢の影響が表れた2023年5月(5.4%)以来の大きな伸びとなった。
全515品目中、前年比で上昇したのは386品目、下落は106品目。日銀の担当者は、原油・ナフサ市況の上昇が幅広い品目に波及しつつあると説明した。
同時に発表された輸入物価指数(円ベース)は前年比17.5%上昇と、3月(8.0%上昇)からプラス幅を拡大した。2022年12月以来の高い伸びとなった。原油やジェット燃料油、ナフサなどが押し上げ方向に影響した。
ロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値は前年比3.0%上昇、前月比0.7%上昇だった。
インフレ動向が注目される中で、長くなってしまいましたが、いつもながら、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業物価指数(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下のパネルは国内物価指数そのものを、それぞれプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期を示しています。なお、ちょっと見づらいかもしれませんが、下のパネルの指数水準が急にスティープになったのは先月の2026年3月からです。

まず、企業物価のうちヘッドラインとなる国内物価上昇率は、引用した記事の最後のパラにあるように、ロイターのによる市場の事前コンセンサスは+3.0%でしたし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも同じく+3.0%でした。ですので、実績の+4.9%は大きく上振れしていて、ちょっとしたサプライズと私は受け止めています。なお、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスのレンジ上限は+3.7%でしたから、実績上昇率は軽く+1.0%ポイントを超えて上振れしました。ヘッドラインとなる国内物価だけでなく、輸出物価は+18.9%、輸入物価も+17.5%の2ケタ上昇を示しています。市場の事前コンセンサスを大きく超える上昇率となった理由は、引用した記事にもあるように、米国とイスラエルによるイラン攻撃から引き起こされた中東情勢の不安定化、それに伴う石油価格の上昇です。

上のグラフは、企業物価指数のうちの輸入物価の中から原油価格上昇率の推移をプロットしています。円建てと契約通貨建ての2本の折れ線です。ただ、2021年5月と6月は、それぞれ、円建てで+243.9%と+177.0%という途方もない上昇率でしたので、縦軸のスケールを調整しています。実は、円建ての原油価格上昇率は一昨年の2024年9月から今年2026年3月までほぼ1年半に渡って前年同月比でマイナスを続けていました。しかし、4月統計では一気に+16.8%の上昇率となっています。上のグラフからは、それほど大きな上昇率との印象は受けませんが、1年半に渡って前年同月比マイナスを続けてきた石油価格が急に2ケタ上昇となったのですから、それなりのショックと考えるべきです。私はエネルギー動向に詳しくないので、日本総研「原油市場展望」(2026年4月)を参考として見ておくと、WTI原油先物価格の先行き見通しについては、「イラン戦争の5月までの終結を前提とする標準シナリオでは、原油価格は100ドル前後で当面高止まりした後、緩やかに下落する見通し」としつつも、当然、5月に終わる可能性が大きいわけでもなく、「戦闘が再開すれば、価格が急騰するリスクも」と指摘しています。
企業物価指数のヘッドラインとなる国内物価を品目別の前年同月比上昇率と下落率で少し詳しく見ると、まず、注目の石油・石炭製品は3月▲7.1%でしたが、4月統計では+5.3%の上昇となっています。これに伴って、化学製品も3月の+0.8%から4月には+9.2%に跳ね上がっています。ナフサについてはさらに品薄感が強まっているという報道も見かけました。電力・都市ガス・水道は政府の電気・ガス料金負担軽減支援事業により3月▲6.3%、4月▲1.3%と下落が続いています。加えて、農林水産物が3月の+17.5%から、4月も+12.5%と2ケタの高い上昇率を示しています。農林水産物の価格上昇に伴って、飲食料品の上昇率も4月は+4.1%と、前月3月の+4.3%と大きな違いはない上昇となっています。非鉄金属は3月+31.5%、4月+37.9%と、きわめて高い上昇率が続いています。しています。
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