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2026年6月16日 (火)

日銀金融政策決定会合は政策金利を1.0%に引き上げる

昨日から本日6月16日にかけて、日銀金融政策決定会合が開催されており、日銀は0.75%から25ベーシス引き上げて政策金利を1.0%にするとした「金融市場調節方針の変更について」を公表しています。この金利引上げの影響については、先週6月8日にみずほ銀行から「日銀利上げ影響の試算アップデート」と題するリポートが明らかにされています。家計への影響は全体で年間1.0兆円、世帯当たり同2万円のプラスがあるとした一方で、住宅ローンなどの負債保有世帯では世帯当たり年間1.2万円のマイナスと見込まれています。また、企業部門については経常利益には▲1.0%、▲1.1兆円の減益圧力になるとの試算結果を示しています。

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まず、上のグラフはみずほ銀行のリポートから 1%への利上げによる家計への影響 のグラフを引用しています。上のパネルは世帯全体、下は負債保有世帯です。いずれも2人以上世帯なのですが、10歳刻みの世帯主の年齢階級別に試算されています。見れば明らかですが、普通預金の利子収入については、各年代を通して大きな差はありません。しかし、第1に、定期預金の利子収入が60歳以上で大きくなっている上に、第2に、20代から50代の勤労世代で住宅ローン利払い増が大きくのしかかっています。結果として、勤労世代ではなく引退世代、すなわち高齢世帯ほど有利となっているのが明らかです。もっといえば、金利引上げは勤労世代から高齢世代への所得移転をもたらす、と考えるべきです。

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続いて、上のグラフはみずほ銀行のリポートから 1%への利上げによる企業への影響 のグラフを引用しています。資本金で見た企業の規模別に影響が試算されています。これも見ての通りで、企業部門は規模別に分類しても、すべての規模でマイナスの影響を受けるのですが、資本金規模で見て小さい企業ほど金利引上げのマイナスの影響が大きいのが見て取れます。これは、家計部門のように、所得移転を伴うものではありませんが、金利引上げは相対的に大企業ほど有利に働くのは事実と考えるべきです。

金利引上げの影響を取りまとめると、家計vs企業でいえば、企業部門から家計部門への所得移転となります。1990年代初頭におけるバブル崩壊以降の日本経済の大きな問題のひとつが企業部門の貯蓄過剰でしたから、このinter-sectorで考える企業部門から家計部門への所得移転という金利引上げの影響は悪くありません。ただし、家計部門、企業部門、それぞれのintra-sectorで見ると、家計部門内では現役世代から引退世代に所得が移転し、企業部門内では規模の小さい企業ほどマイナスの影響が大きいというのは、それぞれ、決して好ましくない可能性があると私は考えています。全体で物価上昇を抑制する効果とともに、金利引上げの経済効果をどう考えるかの重要な材料ではないか、と私は受け止めています。

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2026年6月15日 (月)

帝国データバンク「カレーライス物価指数」やいかに?

やや旧聞に属するトピックながら、先週6月10日に帝国データバンクから4月の「カレーライス物価指数 」が明らかにされています。カレーライスの構成食材が2026年基準に改定されているようです。pdfファイルのリポートもアップロードされています。まず、帝国データバンクのサイトからSUMMARYを3点引用すると次の通りです。

SUMMARY
  • 2026年4月のカレーライス物価平均は1食364円(前年343円)となった。
  • 前年に比べると値上げ幅は過去1年間で最小。ただ、前月(2026年3月: 362円)からは2円上昇し、3カ月ぶりに前月を上回った。
  • 2026年5月のカレーライス物価は1食あたり平均366円前後で推移する見通し。野菜や畜肉価格の上昇を背景に高止まりでの推移が予想される。

続いて、帝国データバンクのサイトからカレーライス物価推移のグラフを引用すると次の通りです。

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この帝国データバンクのカレーライス物価指数は、ビーフカレー、ポークカレー、チキンカレー、シーフードカレー、そして、野菜カレーの5メニューの平均値で算出しているのですが、前年同月からの推移では、全5メニューで前年を上回っています。ただ、メニューによって値上げ幅は異なっていて、もっとも値上げ幅が大きいメニューはシーフードカレーとなっており、前年から+30円の値上がりとなっています。ただ、昨年2025年12月には+20%超の上昇率を記録していましたし、上のグラフを見ても理解できる通り、ひところに比べると落ち着きつつあることは確かなようです。また、全5メニューのうちもっとも値上げ幅が小さいのは野菜カレーとなっていて、前年から+12円の上昇にとどまっています。
このように、カレーライス物価指数は、一見すると、落ち着きつつあるように見えます。今年2026年4月の統計で見て、総務省統計局による消費者物価指数のうち、生鮮食品の前年同月比上昇率は+0.3%、生鮮食品を除く食料は+4.1%であり、帝国データバンクの算出するカレーライス物価指数の値上がりは+6.1%です。この先、消費者物価指数並みの上昇率に収束しているのかもしれません。

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2026年6月14日 (日)

京セラドームで現地観戦もオリックスにサヨナラ負け

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  RHE
阪  神0010100000 290
オリックス0001001001x 3120

【神】 西勇、工藤、木下、岩崎、ドリス - 坂本
【オ】 九里、入山、寺西、椋木、マチャド、吉田 - 若月

京セラドームで現地観戦も、オリックスにサヨナラ負けでした。
コロナ以降で久々の現地での野球観戦でした。しかし、打棒振るわず、最後はドリス投手がオリックス打線につかまりました。

残り交流戦2戦は、
がんばれタイガース!

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2026年6月13日 (土)

初めての環状交差点=ラウンドアバウト

我が家の近くで、初めて環状交差点=ラウンドアバウトを見ました。海外ではロータリーと呼んでいて、我が国のような左側通行であれば時計回り、大陸欧州のような右側通行であれば反時計回りとなります。10年余り前の道路交通法の改正から出来たと聞き及んでいます。それまで、我が国では「止まれ」の一本やりだったのですが、「ゆずれ」ができたわけです。下の写真の通りです。

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知っている人は知っていると思いますが、日本ではほぼほぼ「止まれ」一本なのですが、英国では「止まれ」=STOPに加えて、「ゆずれ」=GIVE WAYというのがあります。要するに、いったん停止する必要はないが、別ルートの方が優先である、という趣旨です。写真の環状交差点=ラウンドアバウトも同じです。
京都府警の資料によれば、環状交差点=ラウンドアバウトは京都府内には南丹市と福知山市の2箇所にしかないようなのですが、滋賀県警の資料によれば何と県内に13箇所もあるそうです。写真の環状交差点=ラウンドアバウトは栗東市市岡にあるものだと思います。

私は海外経験がそれなりにありますから、日本にはない少し奇妙な交通ルールはいくつか知っています。EU本部のあるブリュッセルを首都とするベルギーでは、常に左側から来る車が優先です。「止まれ」や「ゆずれ」の標識はほとんどありません。何も標識がなくても、たとえどんなに細くて小さな道でも左側が優先です。これには、各国のEU代表部大使館の外交官が戸惑っている、と聞き及んだことがあります。

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今週の読書は小説なしで計6冊

今週の読書感想文は以下の通りです。
まず、小峰隆夫ほか『スマートシュリンクへの道』(中央経済社)では、現在の日本の人口減少に対して、抑制したり反転させて人口増加を目指すのではなく、人口減少を受け入れて適応した上で、どのようなシュリンク=縮み方が望ましいのかを議論しています。ただ、処方箋は今後の課題かもしれません。東田啓作[編著]『グリーンウォッシュの経済分析』(中央経済社)では、「環境パフォーマンスが低いにもかかわらず、それについて肯定的なコミュニケーションを行う」グリーンウォッシュについて、第1に環境への意識高い消費者の選択を歪め、第2に高コスト負担を強いるデメリットが議論されています。イアン・ゴールディン『移民は悪か?』(プレジデント社)では、序に続く第1部で英語の原題タイトル通りに移民や移住の歴史をポジティブな面から概観した後、第2部で移民や移住の経済効果ほかを分析しています。移民や移住に関しては賛否ありますが、多様化だけをとっても悪くないとの結論です。方丈貴恵『矛と盾』(角川書店)では、罪を犯した者を必ず捕らえて有罪にし、絶対に逃さない探偵と助手、逆に、事件を隠蔽・捏造して犯人を確実に逃がす仕事人の3人が、密室トリックやアリバイトリックによる殺人事件をめぐって対決します。小塩真司『「数値化」中毒』(PHP新書)では、単一の指標にはバイアスがつきものであり、多様な見方による評価を重視するとともに、グッドハートの法則やそれを補完するようなキャンベルの法則について議論し、バイアスが避けられない指標による判断に代替する方法を提案しています。榎本博明『すぐに「できません」と言う人たち』(PHP新書)では、興味がないと言って仕事を断る、自分には「できない」と言う権利があると思っている、管理職になるのを避けようとする、好き嫌いを仕事にもち込む、といった職場での対応に関して心理学的な観点から分析を加えています。
今年2026年の新刊書読書は、1~5月に合わせて126冊、6月に入ってから先週の6冊と今週の6冊を加えて合計138冊となります。たぶん、今年2026年も250冊から300冊くらいレビューするのではないかと思います。これらの読書感想文については、できる限り、FacebookやX(昔のtwitter)、あるいは、mixi、mixi2などのSNSでシェアしたいと予定しています。なお、カツセマサヒコほか『もふもふ』(新潮文庫nex)については、すでにSNSでシェアしていますが、本日のレビューには含めていません。

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まず、小峰隆夫ほか『スマートシュリンクへの道』(中央経済社)を読みました。著者は何人かいるのですが、うち小峰教授は私の役所の先輩であり、研究所勤務の折には上司としてお仕えした経験もありますが、ほとんど接点はなかった気がします。本書は、中曽根康弘世界平和研究所における経済社会研究グループの成果が土台になっているようです。タイトルから容易に理解できるように、人口減少に対して抑制したり反転させて人口増加を目指すのではなく、人口減少を受け入れて適応した上で、どのようなシュリンク=縮み方が望ましいのかを本書では議論しています。まず、日本経済の実績として、人口が減少しているにもかかわらず、GDPで計測した経済規模は拡大しており、決して人口減少がそのまま経済規模の縮小につながるわけではないと強調しています。その上で、1人当たりGDPやウェルビーイングの観点から、スマートにシュリンクする方向を目指す重要性が強調されています。さらに、人手不足への対応、企業経営、社会保障の持続性の維持、地域のスマートシュリンク、気候変動などのチャプターごとに専門家が議論を展開しています。私自身は基本的に同じ考えであり、人口減少を抑制することはともかく、反転させて人口増加を目指すのは、むしろムダが多い可能性が否定できないと考えています。ただ、冒頭のp.8では人口減少や少子化を構造改革のきっかけにすることを考えていて、3点上げています。第1にメンバーシップ型からジョブ型へのの雇用の転換、第2と第3で男女の役割分担の見直しや女性参画の拡大などですが、これらについては本書では取り上げられていません。実は、同じ著者による小峰隆夫『地域と人口減少の経済学』(中公新書)という本があるのを知り、大学生協で注文したところなのですが、ソチラで扱われているのかもしれないと期待しています。取りあえずの評価としては、現状分析は十分なされており、政策の方向性も私は大いに同意できるものと受け止めています。ただ、本書は書籍としてはボリューム的に十分ではなく、政策の詳細を分析した処方箋がそれほど充実しておらず、今後の課題という面は否定できません。ですから、第3章のウェルビーイングと経済の課題を考えている部分でも、p.76からの生産性向上のために基礎的成長率の引上げ、なんていわれても、「何それ」あるいは「トートロジー」という受け止めは少なくないものと私は想像しています。もうひとつは、経済学的分析に基づいていますので、結局、超長期の対応の部分はできていない、と考えるべきです。超長期の対応、というのは、人口減少に適応的に対応するとしても、全国レベルで考えるとしても、何らかの地域レベルで考えるとしても、私はどこかに最小限維持すべき人口規模があると考えています。極端な見方かもしれませんが、おそらく100万人くらいまで人口が減少すると、国防や産業など、国家としての活動は維持できなくなると私は考えていて、根拠はありませんが、おそらく、2000-3000万人のあたりに critical value がありそうな気がしています。ですから、どこかで人口減少を食い止める必要があるわけで、「適応戦略」が未来永劫に有効なわけではありません。ただ、経済学のスキームでこういった超長期の分析をするのはムリがあります。別の学問分野の課題だという気がします。

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次に、東田啓作[編著]『グリーンウォッシュの経済分析』(中央経済社)を読みました。編著者は、関西学院大学経済学部教授であり、本書は、関西学院大学産研叢書として出版されています。タイトル通りにグリーンウォッシュについて経済学的に分析を加えています。本書でも何度か指摘されているように、グリーンウォッシュは、通常、Delmas and Burbano (2011) "The Drivers of Greenwashing" で定義されているように、"poor environmental performance and positive communication about environmental performance" 「環境パフォーマンスが低いにもかかわらず、それについて肯定的なコミュニケーションを行うこと」とされていて、要するに、環境負荷の低い企業活動をしている、あるいは、そういった製品やサービスを提供しているという誇張された広告宣伝などを行っている、という意味です。どうして困るのかというと、第1に環境への意識高い消費者の選択を歪め、第2に環境配慮という名の高コスト負担を強いる、ということです。もちろん、これら以外にも弊害はあります。逆に、環境配慮について過小にコミュニケーションを取る、あるいは、まったく公表すらしないというグリーンハッシュも、EUのグリーンクレーム指令 Green Claims Directive から生じるようになっていると、本書では指摘しています。また、本書は、割合と短めの10章ほどのチャプターから構成されていて、グリーンウォッシュについて、いくつかのチャプターで定量的な評価と数理モデルによる解析的な評価を試みています。第1章は序章的な位置づけで、いわゆるエディトリアルを提供しています。最初の方の2-4章では、グリーンウォッシュほかの環境情報の認知、さらに、環境意識について分析しています。特に、第4章で消費者が環境配慮行動を取ったことによるウォームグロー効果の分析が私には興味深かったです。ウォームグロー効果とは、何かいいことをしたという内面的な報酬を指します。このウォームグロー効果が存在する場合、価格上昇が生じて消費量と消費効用がともに減少し、これがウォームグロー効果を上回ることから逆に消費者の利得が低下する可能性がある、という結果を数理モデルで示唆しています。5-7章では、企業がどうしてグリーンウォッシュ行動をするのか、という核心部分の分析をしています。第7章では、EUのグリーンクレーム指令によって生じたグリーンハッシュについても数理モデルにより分析しています。8-10章では、グリーンウォッシュについて、かなり突っ込んだ発展モデルを考えています。規制に対するロビー活動、循環型社会におけるグリーンウォッシュの位置づけ、国際間の認証問題がグリーンウォッシュに及ぼす影響などです。私自身の環境経済学の理解度はまだまだだと認識しているのですが、正面切っての環境問題ではなく、こういったニッチなグリーンウォッシュも少し勉強してみたい、という気になりました。

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次に、イアン・ゴールディン『移民は悪か?』(プレジデント社)を読みました。著者は、英国オックスフォード大学教授であり、ご専門はグローバリゼーション、開発学のようです。本書の英語の原題は The Shortest History of Migration であり、2024年の出版です。英語の原題に比較して、どうしてこういう邦訳タイトルになったのかはまったく不明ですが、基本的に、移民の歴史をポジな観点から振り返っています。ボージャス教授の議論などとは違います。全体で370ページほどのボリュームの2部構成になっており、序に続く第1部で270ページほどを費やして本来のタイトル通りに移民や移住の歴史を概観した後、第2部で100ページ足らずながら、移民や移住の経済効果ほかを分析しています。まずそもそも、人類がアフリカから out of Africa したわけで、それが移住の始まりであることは確かです。ギリシア・ローマの古典古代から移住はありましたが、本格的には中世後期から始まるという本書の見立てには、どこまで同意するかは歴史の見方によります。本書では、中世後期のセファルディの追放によるユダヤ人のディアスポラあたりを念頭に置いているようで、その後のアフリカから米州大陸などへの黒人奴隷の強制的な移住、あるいは、流刑先への移住なども視野に含めています。ただ、そういった宗教的観点や経済的インセンティブあったとはいえ強制的な移住はともかく、エコノミストとしての私の観点からは、やっぱり、本書の第7章の19世紀半ばからの米州大陸への集団移住以降が重要と考えています。南北米州大陸への集団移住と同時期に、中国人の海外移住も大規模に始まっており、本書ではそれほど大きく取り上げてはいませんが、日本語の「華僑」という言葉に示されているように、世界のいくつかの都市でチャイナタウンが出来たりしているのは広く知られている通りです。そして、本書でも指摘しているように、20世紀初頭の第1次世界大戦まで国境という概念はそれほど強いものではなく、国際法に基づくパスポートは一定普及していたとはいえ、国境を越境する移動や移住への制限はかなり緩やかであったと考えられます。それが、20世紀初頭の第1次世界大戦で一変したことは本書でも強調している通りです。第2部では第12章と第13章の移民と経済の問題がどうしても中心的なトピックとなります。私自身も remittances の問題を "An Essay on Remittances Effects to Economic Development: A Survey" と題する紀要論文を取りまとめたことがありますが、本書でも、古代中国の送金システムである「飛銭」を紹介したりしています。いずれにせよ、移民や移住に関してはいくつかの観点から賛否あることと思いますが、多様化が進むことだけをとっても経済的に悪いことではないと本書では指摘しており、私も同意します。その移民や移住の歴史を本書はコンパクトに取りまとめています。

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次に、方丈貴恵『矛と盾』(角川書店)を読みました。著者は、我が母校である京都大学のミス研ご出身のミステリ作家です。デビュー以来この作家の作品はだいたいの作品は読んでいると私は自負しています。本書は、タイトル通り、というか、何というか、どちらが矛でどちらが盾かはさて置き、罪を犯した者を必ず捕らえて有罪にするという意味で、絶対に逃さない探偵である草津、そして、その草津を助手としてアシストする霧島、逆に、事件を隠蔽して証拠すら捏造して犯人を確実に逃がすという意味で、必ず無罪にする仕事人のヒミコこと氷見の3人が主たる登場人物です。3人は一時期同じ中学校の同級生だったことがあるという設定です。長編というよりは、短編から中編くらいの連作中編集といった構成で、3章から編まれています。第1章では本書全体のプロットも案内しつつ、雪山の別荘で置きた殺人事件の密室トリック、第2章が健康食品会社の社長の殺人事件で、東京と大阪という距離的に離れた場所をめぐるアリバイトリック、第3章が東京西部の山奥の閉鎖的な集落における密室かつアリバイトリック、となっていて、それぞれに趣向を凝らしている点は評価できると思います。ただし、同じ学校に在籍した同級生が犯罪者と探偵で対決するという趣向は、例えば、青崎有吾「ノッキンオン・ロックドドア」のシリーズもあって、それほどめずらしいわけではありません。しかも、論理的に犯人を探るwhodunnitや手法を推理するhowdunnitではなく、草津が早々に犯人を指摘した後、お互いに探偵サイドでは証拠を捏造したり、あるいは、逃がす方では証拠を隠滅したり、といったアクション合戦に重点が置かれている気がします。ですので、探偵サイドの草津が自らを知の領分、助手の霧島を暴の領分とうそぶいていますが、決して「知」の占める比率がそれほどでもなく、「暴」の方もそれなりに重要なポイントとなっています。ミステリではハードボイルドなんかでそういうのがありそうな気がします。ただ、論理的なパズルとしては物足りません。そして、明確にシリーズ化はしないという作者の強い意志が最後に表明されています。コナン-ドイルによるライヘンバッハの滝と同じです。また、第3章の出来事は推理題材としてはいいのかもしれませんが、近代国家日本の首都近くの事件としてはいかにも異質な気がして、到底ありえない違和感を感じました。ギリギリ及第点の60点は稼いでいるかもしれませんが、論理性に欠けたストーリー展開である点が難点であり、それほどの高評価は差し上げられないと感じました。私はこの作家のファンですから読んでおきましたが、そうでなければ、私からオススメするのは少し躊躇します。

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次に、小塩真司『「数値化」中毒』(PHP新書)を読みました。著者は、早稲田大学文学学術院教授であり、ご専門はパーソナリティ心理学、発達心理学だそうです。本書のタイトルを見て、いわゆるグッドハートの法則、すなわち、「ある指標が目標となると、それはもはや良い指標ではなくなる」(p.69)という経済学の領域だろうと私は思っていて、心理学の専門家が論じている点を疑問に思っていました。第6章が、そういった私の疑問を少し解消してくれて、要するに、単一の指標にはバイアスがつきものだから、多様な見方でもって評価しましょうね、という結論なんだろうという気がします。ですので、大学の合否判定や偏差値による評価など、学力に関する測定がそれなりの割合を占めています。加えて、第3章ではグッドハートの法則を補完するようなキャンベルの法則、すなわち、定量的指標が重視されればされるほど、不正行為や歪んだ行動を引き起こしやすい、という見方です。これも、全国学力テストにおける不正行為や歪んだ行動とあわせて引き合いに出されています。ただし、他方で、何らかの指標が必要なケースも有り得る、と考える読者が多いことを考慮し、本書のきわめてすぐれた点として、計測して数値化した指標による判断に代替する方法を提案しています。それが、多様な人物を選抜する方法としてp.168以降で論じられているくじ引きです。はい、ランダムサンプリングによる選抜です。ただし、無条件にくじ引きで選ぶのではなく、一定の条件を満たす範囲からくじ引きで選ぶ、という主張です。ただし、そうすると、イタチごっこで、その一定基準を満たすかどうかが、またまた、本書で指摘しているような指標になりかねない恐れがあると私は思わないでもないのですが、私はこのくじ引き方式はかなり重要な指摘だと考えています。反対意見が多いであろう点は理解していますが、例えば、選挙なんかにも有効と考えていたりします。また、人物選抜だけではなく、何らかの選択をする場合に、くじ引きが有効かどうかはケースによると考えるべきです。例えば、人物選抜のカテゴリーで考えれば、大学入学者や新規採用者などは一定範囲内でのくじ引きによる選抜が妥当な場合がありそうな気がしますが、結婚相手であれば熟慮に熟慮を重ねる必要があるのは言うまでもありません。

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次に、榎本博明『すぐに「できません」と言う人たち』(PHP新書)を読みました。著者は、MP人間科学研究所代表だそうですが、これだけではよく判りかねます。ご専門は心理学で、博士の学位もお持ちのようです。本書では、主として、タイトルの「できません」は職場での発言や態度として考えているようで、私の勤務する大学で学生が示すものはスコープ外なのかもしれません。本書ではいくつか例が上げられており、興味がないと言って仕事を断る、諦めずに何とかするという気力がない、自分の頭で考えずに、すぐに人に頼ってくる、自分には「できない」と言う権利があると思っている、管理職になるのを避けようとする、キャリアに傷がつくのを恐れ、予防線を張る、好き嫌いを仕事にもち込む、実力不足なのにクリエイティブな仕事しかしたがらない、といった例です。私は少なくとも多様化した選択肢の中で、仕事を進める上でこういった選択をするのは、十分理由のあることで、そういった選択を自己責任でする限り、職場では許容する必要があるのではないか、という考え方もできると考えています。私が今の立命館大学の前に教員経験がある長崎大学では、教授になるのを嫌がっていた准教授がいたりしました。教授になると学部の役職を引き受けねばならず研究時間が減る、という理由だったと記憶しています。したがって、今の立命館大学で准教授も副学部長をやっているのを知って、私は驚愕したりしました。ですので、自分の人生でウェルビーイングを向上させるために、そういった選択は可能にするような経済社会の方がむしろ望ましいとすら私は考えています。その意味で、本書は令和の若者に昭和の仕事のやり方を押し付けているような気がして、少し違和感あります。もうひとつの違和感は、社会的に、あるいは、経済全体で解決するべき課題を個人で解決しようというムリが出ているような気がしてなりません。いつも私が例として引き合いに出すのですが、交通事故を減らそうとすれば、信号を設置して、横断歩道を引いて、速度制限や何やといった規制を導入することで達成できるわけで、個人の努力だけで交通安全が達成できると考えるのは、私は楽観的に過ぎると見なしています。本書は経済社会全体の変化を企業の管理職が個人で何とかしようと努力する方向を指し示しているような気がしてなりません。ただ、1点だけ私が同意したいと思うのは、自分から見た主観的な自分自身の能力と客観的な能力のギャップの存在なのですが、それは今に始まったことではありません。昔から「夜郎自大」という言葉もあるように、自分自身の能力は客観的な評価よりも過大評価してしまうものではないでしょうか。

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2026年6月12日 (金)

オリックスにも負けて泥沼の4連敗

  RHE
阪  神000010000 150
オリックス20000000x 250

【神】 村上、木下 - 坂本
【オ】 ペルドモ、入山、高島、吉田、岩嵜、山崎、椋木、マチャド - 若月

オリックスにも負けて、泥沼の4連敗でした。
先発村上投手は7回2失点ですから、十分QSといえます。わずかに立ち上がりの初回にソロホームランを2発被弾しての負け投手です。実に、かわいそうです。打線は相変わらずサッパリです。5回の押出しフォアボールの1点に抑え込まれてしまいました。6回以降はこまかな継投で目先をかわされ、ノーヒットに終わりました。

明日は何とか、
がんばれタイガース!

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高校生の時の仲間のグリットは長期に影響が及ぶ

もう10年も前になりますが、アンジェラ・ダックワース『やり抜く力 GRIT』でも注目されたgritについて、高校生のころの仲間のグリット high school peers' grit がかなり長期の波及効果を持つとする研究成果が、"Gritty Peers" と題する学術論文で定量的に明らかにされています。まず、論文の引用情報は次の通りです。

次に、ジャーナルのサイトから論文のAbstractを引用すると次の通りです。

Abstract
We use the National Longitudinal Study of Adolescent to Adult Health to explore how high school peers' grit, a personality trait characterized by perseverance and passion, influences long-term outcomes approximately 15 years after high school. Exploiting random variation within schools across cohorts and the longitudinal nature of our data, we find that peer grit significantly increases future earnings by 4.2%, especially for students from disadvantaged backgrounds. This implies that peer grit may help bridge socioeconomic gaps. We uncover three potential channels through which peer grit affects long-term earnings: college enrollment, job alignment with long-term career goals, and increased resilience to difficulties. Additionally, peer grit leads to higher job satisfaction and asset accumulation. Thus, peer grit's effects extend beyond short-term educational performance and persist into adulthood.

繰返しになりますが、いわゆる学力に近い概念の認知能力に対して、grittは非認知能力に属する能力であり、目標達成に向けて困難や挫折に負けず、努力を継続して最後までやり抜く力とされていて、冒頭に言及したダックワース女史の本によれば、Guts=度胸、Resilience=回復力、Initiative=自発性、Tenacity=執念の4要素で構成されると指摘しています。論文では、自分自身のグリット own grit とともに、仲間のグリット peer grit の重要性を National Longitudinal Study of Adolescent to Adult Health のデータを用いて、高校卒業15年後の長期的な成果にどのように影響しているかを分析しています。その結果、将来収入 future earnings を+4.2%増加させることを定量的に確認しています。

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そして、その要因を分析した結果が上の Table 9 Underlying mechanisms です。ジャーナルのサイトから引用しています。4要因をモデル式に入れて検証していますが、リスク回避=Risk aversionには統計的な有意性が見られず、残りの3要因、すなわち、大学進学=College enrollment、長期的なキャリア目標に沿った仕事の選択=Job aligned with career goals、そして、困難の克服力=Overcome difficulties が統計的な有意性を示しています。さらに、グラフやテーブルは引用しませんが、仕事への満足度の向上や資産形成=higher job satisfaction and asset accumulation についても、仲間のグリットからいい影響を受けることが示されています。

自分でがんばるのは、もちろん、重要なのですが、周囲の仲間からがんばるためのいい影響を受け取るのも重要、という結論が示唆されています。特に、高校生のころというのは思春期の感じやすい年ごろでもあり、いい影響を及ぼしてくれるいい友人と接することが出来る学校に学ばせてやりたい、という親ごころもよく理解できる気がします。

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2026年6月11日 (木)

哀れ、ソフトバンクにも3連敗

  RHE
阪  神000101000 290
ソフトB00020010x 370

【神】 伊藤将、湯浅、畠、及川 - 坂本
【ソ】 スチュワート・ジュニア、津森、木村光、松本裕、杉山 - 海野

ソフトバンクに3連敗でした。哀れなもんです。
先発伊藤将投手は5回2失点ですから、QSに近くて、久々の先発にしてはよく投げた気がします。リリーフ陣も、結果的には畠投手が失点して負け投手になりましたが、決して責められません。問題は野手陣、打つ方です。今夜の試合も、相手を上回る9安打を放ち、四死球も4ありながら、決定打がなく得点できません。少し前の矢野監督の時代に逆戻りしたのかもしれません。

明日はオリックス相手に、
がんばれタイガース!

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法人企業景気予測調査は中東の武力衝突で足元4-6月期に停滞

本日、財務省から4~6月期の法人企業景気予測調査が公表されています。ヘッドラインとなる大企業全産業の景況感判断指数(BSI)は足元の4~6月期は▲0.5、先行き7~9月期には+4.3、10~12月期には+4.5と、景況感は改善が続くと見込まれています。2月末に始まった米国とイスラエルによるイラン攻撃に伴う中東の武力衝突が企業マインドに影を落としつつも、先行きには楽観的な、見通しが示されています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

大企業の4-6月景況感、4四半期ぶりマイナス 中東混迷響く
内閣府と財務省が11日発表した4~6月期の法人企業景気予測調査によると、大企業全産業の景況判断指数(BSI)はマイナス0.5だった。4四半期ぶりのマイナスとなった。中東混迷による原油高などが影響した。
調査時点は5月15日。指数は自社の景況が前の四半期より「上昇」と答えた企業の割合から「下降」の割合を引いて求める。前回1~3月期の大企業全産業はプラス4.4と3四半期連続のプラスだった。
4~6月期の大企業製造業はマイナス1.8と4四半期ぶりのマイナスとなった。1~3月期はプラス9.6だった自動車・同付属品製造業が今回はマイナス19.4だった。食料品製造業はマイナス7.4だった。ともに原材料や資材の価格上昇が響いた。
非製造業はプラス0.0で4四半期連続のプラスとなった。金融業・保険業は貸し出し金利や株価の上昇により収益が改善した。サービス業は欧米からの訪日客の宿泊需要が堅調だったほか、専門サービスなどコンサル需要の増加もプラスに寄与した。
大企業の先行きは全産業ベースで7~9月期はプラス4.3、10~12月期はプラス4.5と改善が続く見通しだ。
中堅企業の現状は全産業がマイナス3.9で4四半期ぶりのマイナスとなった。中小企業の全産業はマイナス17.6と低迷している。
財務省の担当者は「景気が緩やかに回復しているとの政府認識と齟齬(そご)がない。中東情勢など含め、今後の企業動向を注視していく」と語った。

かなり長くなりましたが、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIのグラフは下の通りです。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と水色の折れ線の色分けは凡例の通り、濃い赤のラインが実績で、水色のラインが先行き予測です。影をつけた部分は、景気後退期を示しています。

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繰返しになりますが、統計のヘッドラインとなる大企業全産業の景況判断指数(BSI)は足元の4~6月期はわずかにマイナスを示したものの、先行きには好転すると見込まれています。したがって、企業部門の景況感は順調に改善を続けていると考えるべきです。ただ、繰返しになりますが、中東の武力衝突やその余波としての石油価格上昇には今後とも不透明感がつきまといますので、先行き企業マインドにどのような変化があったかは、現状では不明としかいいようがありません。過去の数字と見なすエコノミストも少なくないと私は想像しています。なお、日銀発表によれば、日銀短観の調査表発送日は5月28日、基準回収日は本日6月11日だそうですから、この法人企業景気予測調査の結果から日銀短観が大きく異なる可能性は少ないと私は考えています。
景況判断指数(BSI)以外の生産要素過不足に関するマインド、すなわち、雇用と設備投資を簡単に見ておきたいと思います。まず、雇用については、引き続き大きな「不足気味」超となっており、大企業よりも中小企業、さらに、中堅企業で「不足気味」超が大きくなっています。ただし、引き続き不足超の水準は高いものの、6月末の現状判断よりも先行きの9月末や12月末では徐々に不足超のDIが低下する傾向となっています。設備投資も雇用ほどではないにしても小幅な「不足気味」超で推移しており、大企業よりも中堅企業や中小企業の規模の小さな企業で「不足気味」超が大きくなっています。このため、今年度2026年度、ソフトウェアを含み土地を除くベースで設備投資計画は+8.2%増となっています。ただ、設備投資のスタンスとしては、大企業や中堅企業では「維持更新」がもっとも重要度が高くなっていて、わずかに、中小企業では「生産(販売)能力の拡大」がトップの重要度となっています。

はたして、6月調査の日銀短観やいかに?

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2026年6月10日 (水)

格の違いを見せつけられてソフトバンクに連敗

  RHE
阪  神020000000 271
ソフトB00021030x 690

【神】 大竹、畠、及川、津田 - 伏見
【ソ】 松本晴、木村光、オスナ、松本裕、杉山 - 海野

ソフトバンクに連敗でした。
打つ方は伏見捕手のラッキーパンチで2回に2点を先制した後は鳴かず飛ばずで、結局、その2得点で終わりました。クリンナップ3人で1安打ではどうしようもありません。先発大竹投手は5回まで3失点、4回に2点を失ってからはズルズルと投手陣も失点を重ねました。特に、及川投手は四死球を出しては打たれて自滅した形です。
なお、藤川監督が7回の攻撃で、2度目のリクエスト失敗の後に抗議して、判っていて退場させられました。結果、そのウラに及川投手が乱調を来したわけですが、この判りきった退場劇はショウとしてのプロ野球のひとつの要素と考えるべきです。監督は笛を吹きましたが、及川投手はまったく勘違いして、ほかも選手はだれも踊らなかったわけです。

明日は3タテを阻止すべく、
がんばれタイガース!

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上昇率がさらに加速した5月の企業物価指数(PPI)

本日、日銀から5月の企業物価 (PPI) が公表されています。統計のヘッドラインとなる国内物価は前年同月比で+6.3%の上昇となり、先月4月統計の+5.3%から上昇率がさらに加速しています。2023年3月以来の高い伸びとなりました。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

5月の企業物価指数6.3%上昇、3年ぶり高水準 原油高で値上げ品目拡大
日銀が10日発表した5月の企業物価指数(速報値、2020年平均=100)は134.5と前年同月比で6.3%上昇した。伸び率は4月(5.3%)と、民間予想の中央値(5.5%)を上回り、23年3月以来3年2カ月ぶりの高水準となった。原油価格の高騰が幅広い製品に波及し始めている。
企業物価指数は企業間で取引するモノの価格動向を示す。サービス価格の動向を示す企業向けサービス価格指数とともに消費者物価指数(CPI)に影響を与える。
内訳を見ると、中東情勢の悪化に伴う原油価格の上昇の影響が引き続き顕著だった。石油・石炭製品は13.8%上昇し、前月の5.3%から8.5ポイント拡大した。ガソリンや軽油に加え、エンジンオイルなどの潤滑油の価格も上がった。
化学製品はナフサの価格上昇を受けてポリエチレンやポリプロピレンなどに値上げの波及がみられ、伸び率が13.4%となった。前月の10.1%から3.3ポイント拡大した。日銀の担当者は「(供給網の)川中に相当する材まで価格の上昇が広がってきている」と指摘した。
非鉄金属は42.2%の上昇だった。中東情勢の悪化で製錬に必要な硫酸の供給が減り、銅の市況が上昇したほか、生産拠点が攻撃を受けたことでアルミニウム合金などの供給懸念も発生した。
電力・都市ガス・水道は前月がマイナス1.2%だったところ、プラス0.2%に転じた。政府の支援施策が終了したことが背景にある。飲食料品は原材料や資材の価格上昇を転嫁する動きが続く。今後については「包装資材の価格転嫁の動きもあると聞いている」(同)という。
円ベースで見た輸入物価指数は25.5%上昇し、伸び率は22年11月以来の高水準となった。日銀が公表している515品目のうち、価格が上昇したのは418品目、下落したのは82品目だった。15品目では価格が変わらなかった。

インフレ動向が注目される中で、長くなってしまいましたが、いつもながら、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業物価指数(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下のパネルは国内物価指数そのものを、それぞれプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期を示しています。なお、ちょっと見づらいかもしれませんが、下のパネルの指数水準が急にスティープになったのは先月の2026年3月からです。

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まず、企業物価のうちヘッドラインとなる国内物価上昇率は、引用した記事の最初のパラにあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは+5.5%でした。また、ロイターの記事では、市場の事前コンセンサスは前月比で見ていて、予想の+0.5%に比べて実績が+0.9%であった旨を報じています。いずれにせよ、実績の上昇率はかなり上振れしているのですが、前年同月比で見て、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスの予想レンジ上限は+7.7%でしたから、これを上回るほどではありませんでした。ヘッドラインとなる国内物価だけでなく、輸出物価は+20.6%、輸入物価も+25.5%の2ケタ上昇を示しています。市場の事前コンセンサスを上回る上昇率となった理由は、引用した記事にもあるように、米国とイスラエルによるイラン攻撃から引き起こされた中東での軍事衝突、それに伴う石油価格の上昇です。本日公表された企業物価指数の輸入物価のうちの円建ての原油価格は、それぞれ、4月+36.6%、5月+53.6%の上昇率を示しています。私はエネルギー動向に詳しくないので、日本総研「原油市場展望」(2026年5月)を参考として見ておくと、WTI原油先物価格の先行き見通しについては、中東の軍事衝突次第ということのようで、「イランでの軍事衝突が夏頃までに終結することを前提とする標準シナリオでは、原油価格は100ドル前後で当面高止まりした後、緩やかに下落する見通し。」としつつも、当然、夏ごろに終わる可能性が決して大きいわけではないことから、「ただし、米国とイランが戦闘を再開すれば、価格が150ドル程度まで急騰するリスクも。」と指摘しています。はい、本日のヘッドラインニュースを見る限り、ヘリの撃墜により戦闘が再開されるリスクが高まっているような印象を私は持っています。
企業物価指数のヘッドラインとなる国内物価を品目別の前年同月比上昇率と下落率で少し詳しく見ると、まず、注目の石油・石炭製品は4月+5.3%でしたが、5月統計では+13.8%の上昇となっています。これに伴って、化学製品も4月の+10.1%から5月には+13.4%に跳ね上がっています。ナフサについては品薄感が強まっているという報道も見かけました。電力・都市ガス・水道は政府の電気・ガス料金負担軽減支援事業により4月▲1.2%、4月+0.2%と価格安定が続いています。加えて、農林水産物が4月+13.2%、5月も+10.1%と2ケタの高い上昇率を示しています。農林水産物の価格上昇に伴って、飲食料品の上昇率も4-5月はともに+4.1%と、高い上昇率となっています。非鉄金属は4月+37.9%、5月+42.2%と、きわめて高い上昇率が続いています。
最後に、繰返しになりますが、こういった物価上昇が石油価格の上昇からもたらされたものであることは、多くのエコノミストは理解していますが、おそらく、経済学の専門的な知識のないテレビコメンテータなどが主張する円安原因説は、多くのエコノミストは否定すると私は考えています。すなわち、専門用語ですが、為替の変化が国内の物価に影響する度合いを示すパススルーは日本円についてはかなり低くなっているのが多くのエコノミストの緩やかなコンセンサスです。よく参照される計量的な分析を含む論文は以下の通りです。為替レートの変化から生鮮食品を除くコア消費者物価(CPI)へのパススルーは0.02と計測されています。したがって、▲1%ポイントのコア消費者物価の引下げをもたらそうとすれば、何と50%の円高が必要ということです。現在160円近傍の円ドルレートを購買力平価見合いの120円くらいにしても、おそらく、▲0.5%ポイントのコアCPI引下げにしかなりません。現時点で日銀物価目標の+2%を下回っているインフレを為替レートの変化でさらに下げようとすることが国民的コンセンサスを得られるかどうか、よく考える必要があります。

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2026年6月 9日 (火)

序盤から圧倒的に打ち負けてソフトバンクに大敗

  RHE
阪  神000021010 461
ソフトB21214000x 10130

【神】 才木、椎葉、門別、工藤 - 梅野、嶋村
【ソ】 大津、津森、伊藤、鈴木豪 - 海野

ソフトバンクにボロ負けでした。
先発才木投手は3回まで毎回ホームランを浴びて5失点、後を継いだ椎葉投手も2回を投げて3発浴びて5失点、まったく試合になりませんでした。唯一のポイントは立石選手と森下選手のホームランだけで、空中戦では相手になりませんでした。どうでもいいことながら、阪神の場合、大量得点で大勝した翌日の試合は打てない、というジンクスがその昔にありましたが、明日のソフトバンク打線やいかに?

明日は、
がんばれタイガース!

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米国カリフォルニア州の例で富裕層課税について考える

全米経済研究所(NBER)から米国カリフォルニア州で億万長者の資産へ課税するとどうなるか、に関する頭の体操めいた試算結果を示す "California Billionaires: Wealth, Taxes, and Wealth Tax Revenue Estimates" と題するワーキングペーパーが明らかにされています。まず、論文の引用情報は次の通りです。

続いて、NBERのサイトから論文のABSTRACTを引用すると次の通りです。

ABSTRACT
This paper documents the wealth of California's billionaires and the taxes they pay. California billionaires' wealth exceeds $2 trillion today, the equivalent of 50% of California's GDP. It has grown 144% from 2023 to 2025, fueled by the AI boom. Over the longer run, the real wealth of California's billionaire class-the 0.0002% richest households-has been multiplied by 30 from 1982 to 2025, while average real family income in California has about doubled. California billionaires pay about 0.2% of their wealth in California income tax ($3.2 billion/year), representing 2.4% of total California income tax revenue on average over 2023-2025. Using Securities and Exchange Commission data from Alphabet, Meta, Oracle, and Nvidia since 2004, we estimate the trajectory of wealth, income, and taxes paid by the top 4 California billionaires-Page, Brin, Zuckerberg, Ellison (through 2020), and Huang (since 2021)-focusing on their business wealth. This group alone holds nearly $1 trillion in business wealth, almost half of total California billionaire wealth. For this group, wealth growth (+322% over 2023-2025) and low taxation (0.04% of wealth in annual California income tax) are more pronounced. The proposed one-off California billionaire tax of 5%, payable over 5 years, is both small relative to California billionaires' wealth gains and large relative to the taxes they currently pay. We estimate that it could raise about $100 billion, with comparatively minor impacts on income tax revenue. Using empirical estimates of mobility responses to wealth taxation, we find that an annual wealth tax on California billionaires could raise substantial additional revenue even after accounting for income tax losses due to mobility.

まず、予備知識として、JETROのサイトにある情報によれば、米国カリフォルニア州の2024年名目GDPは「4兆1,000億ドルに達し、日本のGDPをドルに換算した4兆200億ドルを上回った」そうです。名目GDPで見て、米国カリフォルニア州は「米国、中国、ドイツに次ぐ世界4位の経済規模」となっています。ついでに、ファーストオーサーのBoll教授は Paris School of Economicsのご勤務ですから、おそらく、ピケティ教授と何らかのつながりがあることと想像しています。サエズ教授とズックマン教授とは、以前、ピケティ教授との共同研究成果をいくつか発表しています。ですから、おそらく、執筆者3人とも格差や不平等の問題についてはリベラルな見方をしているものと考えてよさそうです。

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論文では、その米国カリフォルニア州の億万長者、すなわち、上位0.0002%の富裕層の資産は、2025年固定価格の実質額で見て1982年から2025年にかけて約30倍に増加していることを明らかにしています。上のグラフは、pdfファイルの論文 p.34 から CA Top .0002%wealth vs. GDP per family を引用しています。2025年固定価格による実質値で見て、1982年から2025年にかけて、黒い折れ線グラフのカリフォルニア州の1世帯あたりのGDPは年率+1.5%で成長したのに対し、赤の折れ線の上位0.0002%の富裕層の資産は年率8.2%で伸びています。はい、資産格差が大きく拡大していることが理解できると思います。

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上位0.0002%の富裕層の資産とその中でもトップ4家計、すなわち、GoogleのLarry PageとSergei Brin、また、METAのMark Zuckerbergほかのトップ4家族の資産をプロットした Wealth of CA billionaires ($ billion, end of year) をpdfファイルの論文 p.32 から引用すると上の通りです。わずかトップ4家計が億万長者の1/3くらいを占めているのが見て取れます。加えて、着目すべきは、この億万長者の資産に5%の税金をかけると about $100 billion 約1000億ドルの税収が得られると試算している点です。1ドル160円で換算すると大雑把に16兆円の税収であり、2026年度の我が国政府の当初予算に関する情報を収録したパンフレット「日本の財政関係資料」によれば、今年度の我が国の所得税収は約25兆円、法人税収は約21兆円、消費税収は約27兆円となっていますから、米国カリフォルニア州は日本より経済規模が大きいとはいえ、かなり多額の税収が見込めます。しかも、上のグラフを見て、5%の税金をかけても億万長者の資産には大きな影響を与えているように見えないのは、私だけではないと思います。したがって、富裕層課税を強化すべき、と考えるのも、私だけではないと思います。
Yes, Tax the Rich!

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2026年6月 8日 (月)

予想ほど下方修正されなかった1-3月期GDP統計速報2次QE

本日、内閣府から1~3月期GDP統計速報2次QEが公表されています。季節調整済みの系列で前期比+0.5%増、年率換算で+1.8%増を記録しています。プラス成長は2四半期連続です。なお、GDPデフレータは季節調整していない原系列の前年同期比で+3.4%、国内需要デフレータも+2.6%に達し、2年半10四半期連続のプラスとなっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

実質GDP年率1.8%増に下方修正 1-3月改定値、設備投資が下振れ
内閣府が8日発表した1~3月期の国内総生産(GDP)改定値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値が前期比0.5%増、年率換算で1.8%増だった。5月発表の速報値(前期比0.5%増、年率2.1%増)から下方修正した。
最新統計を反映し、設備投資が下振れした。速報値と同様に2四半期連続のプラスとなった。QUICKが事前にまとめた民間予測の中心値は前期比0.3%増、年率1.2%増だった。
項目別に見ると、設備投資が速報段階の前期比0.3%増から0.7%減とマイナスに転じた。法人企業統計の結果を反映し、2四半期ぶりのマイナスとなった。省力化などへのソフトウエア投資が減ったほか、計測器などの生産用機械や機械工具などの業務用機械への投資も落ち込んだ。
GDPの半分を占める個人消費は0.3%増と速報値と同じだった。住宅投資は0.5%増から0.9%増に上方修正した。
民間在庫の成長率への寄与度は0.1ポイントのマイナス寄与で、速報段階から変わらなかった。
政府消費は0.1%増から0.3%増に、公共投資は1.4%増から1.5%増にそれぞれ上方修正した。
輸出は1.7%増から1.8%増に上方修正した。輸入は0.5%増から0.4%増に修正した。
25年度の実質GDPは前年度と比べて0.8%増と速報段階と同じだった。2年連続のプラス成長となった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。なお、雇用者報酬については2種類のデフレータで実質化されていてる計数が公表されていますが、このテーブルでは「家計最終消費支出(除く持ち家の帰属家賃及びFISIM)デフレーターで実質化」されている方を取っています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2024/1-32025/4-62025/7-92025/10-122026/1-3
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.5+0.3▲0.6+0.2+0.5+0.5
民間消費+0.6+0.2+0.5+0.1+0.3+0.3
民間住宅▲0.5▲0.0▲8.0+5.0+0.5+0.9
民間設備+1.2+1.0▲0.1+1.2+0.3▲0.7
民間在庫 *(+0.7)(▲0.3)(▲0.2)(▲0.4)(▲0.1)(▲0.1)
公的需要▲0.2+0.5▲0.1+0.3+0.3+0.5
内需寄与度 *(+1.2)(+0.2)(▲0.3)(+0.1)(+0.2)(+0.2)
外需寄与度 *(▲0.6)(+0.1)(▲0.3)(+0.0)(+0.3)(+0.3)
輸出▲0.6+1.6▲1.6+0.2+1.7+1.8
輸入+2.2+1.1▲0.2▲0.3+0.5+0.4
国内総所得 (GDI)+0.3+0.8▲0.4+0.3+0.4+0.3
国民総所得 (GNI)+0.6+0.4+0.3▲0.2+0.5+0.5
名目GDP+0.9+1.9+0.2+0.9+0.8+0.6
雇用者報酬▲0.7+0.7▲0.0+0.6+0.2+0.3
GDPデフレータ+3.6+3.2+3.5+3.4+3.4+3.2
内需デフレータ+3.1+2.6+2.8+2.6+2.6+2.4

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、縦軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された1~3月期の最新データでは、前期比成長率がプラス成長を示し、プラス寄与している中で目立っているのは黒の純輸出と赤の民間消費ほかであり、少し見づらいのですが、マイナス寄与は水色の民間設備緑の民間住宅と灰色の民間在庫、となっています。

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先月5月19日に公表された1次QEでは季節調整済みの系列で前期比+0.5%、前期比年率で+2.1%の成長であったところ、繰り返しになりますが、本日の2次QEではそれぞれ+0.5%、+1.8%に小幅に下方修正されています。内需、特に民間設備が下方修正されています。内需も外需もいずれもプラス寄与で、やや外需の方が大きな寄与なのですが、いずれにせよ、1~3月期までの景気認識に大きな変更を加えるべき修正ではない、と考えています。在庫のマイナス寄与の幅がやや拡大していますが、成長率を少し押し下げた一方で在庫調整の進展でもありますので、決して悪い話ではありません。ただし、先行きに関しては、何といっても、米国とイスラエルのイラン攻撃から始まった中東紛争の行く方次第といえます。先週公表された経済開発協力機構(OECD)の「経済見通し」では、基本シナリオとして6月に武力紛争が終結するという楽観的なシナリオでしたが、さらに1年程度武力紛争が長引くシナリオでは、成長率見通しが大きく下方に修正される可能性が示唆されていました。私は基本的に米国とともに日本が景気後退に陥る可能性は決して低くないと考えています。ただし、今までの経験に即して考えれば、景気後退ともなれば急激な景気の悪化が見られるのが通常であり、それ故に景気後退については回避できれるのであれば回避すべきという考えがエコノミストの間では強いのですが、直前のリーマン証券破綻後の金融危機とか、コロナのパンデミックとか、きわめて厳しい景気の悪化に比べれば、今回の景気後退局面はそれほどではない可能性も十分あるのではないか、とも同時に考えています。要するに、景気後退に陥る可能性は否定できないが、従来のような深刻な景気後退ではない可能性も十分ある、といったところです。はい、日銀が今月6月の金融政策決定会合で政策金利を1%まで引き上げる可能性が高いことを考え合わせると、ひょっとしたら、目先2026年7~9月期の時点で景気後退局面入していたと、1年後の来年2027年の夏ごろに判定される可能性もないではありません。まあ、確率低いとは思います。

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また、本日、内閣府から5月の景気ウォッチャーが公表されています。統計のヘッドラインを見ると、季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+2.8ポイント上昇の43.6で3か月ぶりの前月差プラスとなった一方で、先行き判断DIも+1.3ポイント上昇の40.7を記録しています。米国とイスラエルによるイラン攻撃から始まった中東の武力紛争後では初めての現状判断DIの上昇です。ただ、統計作成官庁である内閣府では、基調判断を「このところ持ち直しの動きに弱さがみられる」で据え置いています。

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さらに、本日、財務省から4月の経常収支が公表されています。統計のヘッドラインを見ると、季節調整していない原系列の統計で+3兆9078億円の黒字を計上しています。15か月連続の黒字です。

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2026年6月 7日 (日)

いよいよ関東甲信と東海も梅雨入り

気象庁は、本日6月7日、関東甲信地方と東海地方が「梅雨入りしたとみられる」と発表しました。関東甲信地方は平年並み、東海地方は平年より1日遅い梅雨入りだそうです。近畿はすでに6月4日に梅雨入りしており、6月20-21日前後の北陸や東北の梅雨入り平年値を考え合わせると、早ければ来週中にも梅雨のない北海道を除く日本列島各地で梅雨入り、ということになるかもしれません。近畿では来月7月中下旬の梅雨明けまで長雨の季節が続くことになります。
下のテーブルは日本気象協会のサイトから引用しています。

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2026年6月 6日 (土)

今週の読書は経済書からミステリまで計6冊

今週の読書感想文は以下の通りです。
まず、宮川努『社会的共通資本の経済学』(東京大学出版会)では、宇沢弘文教授が提唱した社会的共通資本の議論を基礎に議論を展開させて、後半第6章では格差を取り上げ、ナイーブな逆U字仮説を批判し、やや物足りないながら、最低賃金制やベーシックインカムなどに関して議論しています。中林真幸『経済史で学ぶ社会・経済のしくみ』(日本評論社)は、タイトル通りに、経済史から現在の経済社会について学ぶ、という目的らしいのですが、それほどバランスのいい記述になっているとは言い難く、初学者にオススメするのは少し厳しいかも、と感じました。丹羽宇一郎『Z世代は戦後初めて銃をとる世代になるかもしれない』(東洋経済)では、戦争に進む原因のひとつとして、テゥキュディデスの罠を上げ、同時に、簡単に国民意志は戦争に向かってしまう恐ろしさも指摘しつつ、メディアが政府や権力者のプロパガンダ機関と化している現実を憂慮しています。大山悠輔『常に前へ』(ベースボール・マガジン社)では、阪神タイガースのクリンナップの一角を担うスラッガーである著者が、アマチュア時代の大学まで、さらに、阪神タイガースにドラフト1位で指名されて入団し、現在までの野球歴を語るとともに、野球や人生に対しての考えを綴っています。市塔承『女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処』(講談社)は、メフィスト賞受賞作品であり、非常に複雑なメタ構造を取り、いくつもの作中作品を作中の登場人物が読む、という構成の長い序の後、化学を専攻する大学院生の主人公エリメが意識と記憶を失って郷里で療養を必要とした原因を明らかにします。フリーダ・マクファデン『ハウスメイド』(ハヤカワ・ミステリ文庫)では、前科持ちのハウスメイドであるミリーが雇われたウィンチェスター家は、ハンサムで完璧な亭主と奇妙な言動・行動の女主人とわがまま放題の娘の家族で、一家の裏側にある真実を感じ取っているエンツォから忠告を受けます。
今年2026年の新刊書読書は、1~5月に合わせて126冊、6月に入ってから今週の6冊を加えて合計132冊となります。たぶん、今年2026年も250冊から300冊くらいレビューするのではないかと思います。これらの読書感想文については、できる限り、FacebookやX(昔のtwitter)、あるいは、mixi、mixi2などのSNSでシェアしたいと予定しています。

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まず、宮川努『社会的共通資本の経済学』(東京大学出版会)を読みました。著者は、学習院大学経済学部教授です。本書は、タイトルから容易に想像されるように、宇沢弘文教授が提唱した社会的共通資本について論じています。2部構成であり、前半で社会的共通資本の基本的構成、広範で社会的共通資本の展開を考えています。前半ではまず、ヴェブレンから説き起こしています。その上で、宇沢教授の示した社会的共通資本の構成として、自然資本、社会インフラ、制度資本を上げ(p.2)、サステイナビリティや気候変動問題にも着目しつつ、さらに、社会インフラについても、いわゆるハコモノではなく無形のインフラを考えています。ひとつの例として、全国総合開発計画(全総)が資源再配分機能を持った可能性が示唆されています。私が役所で公務員をしていたころに "Japan's High-Growth Postwar Period: The Role of Economic Plans" という論文を役所の同僚とともに取りまとめましたが、高度成長期には経済企画庁の長期経済計画についても同様の役割が期待されていたような気がします。後半の社会的共通資本の展開では、まず、人的資本がどうして宇沢教授のスコープに入っていないかについて議論し、シカゴ大学のベッカー教授のような人的資本に関する議論を嫌ったためではないか、と示唆しています。私もその昔に長崎大学に在籍していたころ、「九州7県における人的資本の推計」と題する論文で人的資本に関する推計を試みたことがありますが、まさに、宇沢教授の目指す市場原理主義的な経済学からの脱却からはほど遠いものであったと反省しています。資本ストックなどと同じように生産を拡大し付加価値を生み出す観点からの人的資本論については、社会的共通資本とは方向性が違う、というのは明らかです。後半第6章では格差を取り上げています。とてもナイーブなクズネッツ的な逆U字仮説はピケティ教授らも批判していますし、本書でも宇沢教授の観点から同様の見方を示しています。格差是正の観点からの最低賃金制やベーシックインカムに関する本書の議論については、私は少し物足りなく感じました。最後に、本書のキーワードはもちろん、タイトル通りに社会的共通資本なのですが、もうひとつ隠れたキーワードとして「ゆたかさ」というのを指摘することができると思います。通常の経済学ではきわめて単純に1人当たりGDPをゆたかさの代理変数にする場合が多いのですが、本書ではどのように「ゆたかさ」を捉えているのかが少し気になりました。例えば、ガルブレイス教授の著書に『ゆたかな社会』というのがあり、市場で供給される私的財への消費が肥大化している中、教育や医療をはじめとする公共サービスがむしろ貧困化しているアンバランスを鋭く批判しています。宇沢教授の社会的共通資本とも視点を同じくする部分が少なくありませんが、その『ゆたかな社会』の英語の原題は The Affluent Society です。ゆたかな=affluent であり、形容詞なのですが名詞で考えると、おそらく、経済学的には scarcity=希少性の対極をなす言葉ではないかと私は考えています。加えて、斎藤幸平准教授なんかが批判の対象としている左派的な進歩主義を私はまだ信じており、何度か指摘したように、生産力が増大して商品の希少性が低下して、最終的に希少性が失われた先が共産主義経済に近いのではないか、と考えていたりします。

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次に、中林真幸『経済史で学ぶ社会・経済のしくみ』(日本評論社)を読みました。著者は、東大社研教授です。本書では、タイトル通りに、経済史から現在の経済社会について学ぶ、というのが目的らしいのですが、序章と終章を除いた全5章を読んで、経済史を題材にしているのは前半3章だけで、第4章と第5章は経済史とはそれほど関係深くありません。序章で比較制度史的な視点を示した後、第1章では経済の思想を知るという、それほど経済学のメインストリームにはないテーマに挑戦しており、資本主義や共産主義について考えています。ただ、社会主義や共産主義について、生産関係からではなく制度史的に残余制御権と残余請求権で説明しようとするのは、ムリがあるような気がします。分配の制度だけではなく、経済学的な視点であれば生産を念頭に置きたいところです。第2章と第3章が本書の中核となる部分ではないかと私は考えていて、経済社会の変化と現在の経済社会の成立ちを経済史からひも解こうと試みています。ただ、かなり記述が一面的で、例えば、貨幣に関する考え方なんかは諸説あるところ、かなりご自分の見方だけを披露しているように見えます。すなわち、貨幣としての受容性だけを考えていて、負債の側面をまったく無視しているような気がします。ですので、この第2章と第3章の中核部分はもちろん、他の部分でも、それほどバランスのいい記述になっているとは言い難く、初学者にオススメするのは少し厳しいと私は受け止めました。むしろ、基礎的な経済学を学んだ後に、ややバランスに欠ける部分を含んでいる可能性を考えつつ本書を読むのがいいような気もします。江戸幕府と現在の令和の時代の政府の財政を比べるのは、決して不可能ではないかもしれませんが、どこまで意味があるか、あるいは、意味がないかを理解できるレベルがあればともかく、そういった点を明示するような初学者への配慮も欲しいところです。最後に、繰返しになりますが、第4章と第5章は経済史の題材が尽きたのか、歴史とはそれほど関係なく議論を進めています。日本経済の成長には生産性向上一本足打法なのですが、賃金引上げにはサービスの価格付けも引合いに出しています。こういったいろんな見方が示されている部分は参考にすべきかもしれませんが、一本足打法で決め打ちしている部分は、「読者によって」とはいいつつも、少し眉に唾つけて読んだ方がいい可能性もあります。

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次に、丹羽宇一郎『Z世代は戦後初めて銃をとる世代になるかもしれない』(東洋経済)を読みました。著者は、伊藤忠商事社長、政府の経済財政諮問会議の民間委員、在中国大使などを歴任しています。タイトル通りの本です。2年半ほど前の2023年暮れに「新しい戦前」というバズワードが出て、その後、昨年に現在の高市内閣が成立して、どんどんと右傾化が進んで「戦争ができる国」の準備が進んでいると感じているのは、たぶん、私だけではないと思います。そして、戦争に進む方向については、あくまで私の想像ながら、賛成しているのはごく一部であり、大多数の国民が反対していることと思います。戦争に進む原因のひとつとして、本書ではテゥキュディデスの罠を上げていますが、同時に、国民の反戦の意見は熱狂によってかき消され、簡単に国民意志は戦争に向かってしまう恐ろしさも過去の経験から明らかにしています。そして、安倍内閣による集団的自衛権の閣議決定などから始まって、岸田内閣の敵基地攻撃能力の整備、さらに現在の高市内閣のいくつかの安全保障政策はもちろん、昨今の方向を突き詰めれば戦争に行き着きます。したがって、第3章のタイトルは本書のタイトルと同じで、Z世代が銃を取って戦争に参加させられる可能性を論じています。村上春樹『1Q84』ではチェーホフを引いて、小説に銃が出てくれば発射されねばならないと登場人物に言わしめています。同様に、戦争準備が整えば戦争を始める可能性が高くなるのは当然です。引用元を明示できませんが、核兵器をこれだけ積み上げておいて、核兵器を戦争で使わなかったのは歴史的に見てきわめて異例である、といった主張も見かけたことがあります。本書の主張で、もっとも私が注目した点のひとつは、第5章のメディアとの関係です。現在、さまざまな要因・原因があるのでしょうが、テレビや新聞といった伝統的なメディアがことごとく政府や権力者のプロパガンダ機関と化している現実に、私はとても大きな危惧を持っています。もっともはなはだしいのが、いうまでもなく、NHKであり、政府の広報機関となっています。今でも「大本営発表」といえば、真実からかけ離れた政府や権威筋の公式見解、という意味で使われますし、メディアが「大本営発表」を垂れ流すのではなく、政府や権力との適切な緊張関係にあることを願う意見は無視できないと私は考えています。ただ、最後に、本書の見方を2点批判しておきたいと思います。第1に、戦争が始まるのはさまざまな要因があるとはいえ、突き詰めて考えれば、戦争で何らかの利益を上げる集団が権力を握るからです。おそらく、国民主権の見方からすれば、圧倒的多数の国民は戦争からネガな影響を受けるのですが、ごく一部といえどもポジな結果を受け取る集団があるわけで、それが決定権を握る可能性を排除できなければ戦争に向かいかねません。第2に、反戦を貫くためには、本書では「戦争に近づかない」と表現していますが、受け身でその方向も重要かもしれませんが、数は少なくても一定規模の集団が積極的に反戦を訴える必要があり、そういった勢力への国民の支持が不可欠です。

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次に、大山悠輔『常に前へ』(ベースボール・マガジン社)を読みました。著者は、たぶん、口述筆記か何かで録音してAIか誰かが文章に起こしたんだとは思いますが、大山悠輔であり、私が熱烈に応援する阪神タイガースのクリンナップの一角を担うスラッガーです。2023年にタイガースがリーグ優勝と日本一を成し遂げた際には、レギュラーシーズンすべての試合でスターティングメンバーの4番打者を務めています。リーグ優勝を決めたゲーム後に大泣きしていた姿は今でも目に浮かぶようです。その作者が、小学校1年生で野球を始めてから、アマチュア時代の高校や大学まで、さらに、阪神タイガースにドラフト1位で指名されて入団し、現在までの野球歴を語るとともに、野球や人生に対しての考えを綴っています。10年前のドラフトで阪神タイガースから1位指名された際の阪神ファンのブーイングや失望感をバネに、さまざまな監督やコーチらとともに自分を鍛え上げ、2023年のリーグ優勝と日本一、さらに、2024年オフのFA宣言の末に阪神タイガースに残留した経緯などを明らかにしています。FA宣言と残留については、私のような情報に疎い者が接した以上の特ダネ的な情報はありませんが、人柄がよく出ている気がしました。著者については、もちろん、立派なスラッガーである点はいうまでもありませんが、著者自身では言いにくいところで、野球の技術や体力やといった面もさることながら、阪神タイガースのファンである私がいくつかの報道などに接する限り、人格的な面、すなわち、人柄の良さというものが強調されているように見受けます。もちろん、プロスポーツの選手なのですから、人柄に少々難あっても、技量や体力に優れて良好な結果を残し、プロ野球であればチームの勝利に貢献する選手が尊ばれるのはいうまでもありません。でも、超トップクラスではないとしても、大山選手は十分チームのクリンナップを務め、優勝や日本一に貢献できる上に人柄が良い、ということで多くのファンに愛されているのだろうと私は感じています。そして、本書でも明らかにされているように、いうまでもなく阪神タイガースはプロ野球球団の中でもトップの人気球団であり、注目度は高いことこの上ありません。ですから、私がチラチラと見ている限りの推測ですが、実力ありながら、例えば、ドラフトで上位指名されながら、それほど活躍できずに去っていく選手は、チームの人気に溺れているケースが少なからずあるのではないか、という気がしています。ちょっと活躍すると周囲からチヤホヤされ自分を見失う選手も、ひょっとしたら、いそうな気がしてなりません。著者の大山選手は人柄だけでなく、そういったメンタルも良好であったのだろうと想像しています。

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次に、市塔承『女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処』(講談社)を読みました。著者は、ミステリ作家なのでしょうが、本作品が第66回メフィスト賞を受賞してデビューしています。さらに、本書の巻末に第2長編を執筆中で、冬にも出版予定のような宣伝文句があります。ということで、一見したところ、ややいびつな構成で、470ページくらいのボリュームのうち、序が4部に分かれていて300ページ余りを占めます。その序の後に、第1章と第2章と最終章が置かれていて、序を除いて本編といえる部分は150ページに満たないボリュームです。というのも、非常に複雑なメタ構造になっていて、序だけで5話くらいからなる作中作品を作中の登場人物が読む、という構成になっているからです。まず、舞台は神聖ニアニ共和国、でも、200年ほど前までは君主をいただく神聖ニアニ王国でした。時代は、たぶん、現代に近い印象です。主人公は、おそらく、エリメであり、首都ルッリにある大学の大学院生でしたが、意識と記憶を失って郷里で療養しています。というか、療養して、意識を取り戻したところから序が始まります。そして、長々としたボリュームの序は、主人公のエリメが弟のキーとともに首都ルッリに戻る車中で作中作のズバリ「女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処」を読みます。そして、この作中作の「女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処」もさらに作中作があって、私は記憶力に難があるので順不同ながら、『ヒアニビレの業績録』、『砂漠に残された真実』、『本泥棒と少女』、『水神叙事詩』であろうと思いますが、見逃しているのがるかもしれません。そして、序を終えて、というか、何というか、エリメが首都ルッリに帰り着きます。エリメの専攻は化学なのですが、ルームメイトは3人いて、ギルロウが物理学、モアドレが生物学、とりわけ遺伝学、そして、イアポーレが電磁気学のそれぞれ専攻です。序を終えたという意味で、わずか150ページほどながら本編でエリメが郷里の両親のもとでの療養を必要とし、一部なりとも記憶を失った理由が明らかにされます。そこは読んでみてのお楽しみとしかいいようがありません。驚愕の事実、といえるかもしれません。ボリュームある序は読みこなすのに苦労する可能性がありますが、実は、序の中の第3部なんかは第1部と第2部のサマリを提供してくれていたりしますし、それほど難解であるわけではありません。ただ、日本人が必ずしも得意ではない宗教が国の大きな礎になっていますので、そのあたりは覚悟しておく必要がある、という気がします。最後に、私は第2長編は読まないかもしれません。ビミョーなところです。

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次に、フリーダ・マクファデン『ハウスメイド』(ハヤカワ・ミステリ文庫)を読みました。著者は、ミステリ作家なのですが、別に脳外科医という顔も持っています。私は、田舎の図書館の新刊書コーナーに無造作に置かれていた本書の続編『ハウスメイド2』を借りて先に読んでしまいましたので、本書に立ち戻って読んでみた次第です。英語の原題は The Housemaid であり、2022年の出版です。主人公はミリー・キャロウェイ、バーをクビになってハウスメイドをしています。大金持ちのウィンチェスター家に住み込んでいます。雇い主の女主人はニーナ、亭主はアンドリュー、子どもはセシリア(シシー)です。ウィンチェスター家の3人以外には、地域の庭仕事を請け負っているエンツォというイタリア人がいます。表紙裏の登場人物一覧にはエンツォはウィンチェスター家の庭師、とありますが、ウィンチェスター家だけではなく周囲十数軒の庭仕事を請け負っているようです。ある意味で、キーパーソンの1人です。ミリーは殺人による前科があり、当然に、勤め先を見つけるのが難しいのですが、何とか職にありついたわけです。しかし、完璧にハンサムで紳士に見えるアンドリューのほかには、その仕事場であるウィンチェスター家にはいろいろ問題があり、女主人であるミリーの奇妙な言動や行動、わがまま放題のセシリア、などなど、ミリーは料理や家事に悩まされます。エンツォはそれほど英語を理解できるようには見えませんので、ついつい、ミリーはスペイン語で会話しようとしたりします。そして、ハンサムで完璧な亭主と奇妙な言動・行動の女主人とわがまま放題の娘のウィンチェスター家の裏側にある真実をエンツォは感じ取っていたりします。はい、謎解きばかりではないのですが、3部構成のうちの第1部だけながら、ミステリですのであらすじはこれくらいにしておきます。米国の超がつくくらいの大金持ちって、これくらいの奇妙な家族がいたりするんでしょうか。一般ピープルの私にはまったく不明です。まあ、私はドラマの「家政婦は見た」シリーズは視聴していませんでしたが、日本でも家政婦を雇えるクラスのご家庭はそうなのかもしれません。続編のシリーズ3作目があるのかどうか知りませんが、3作目があった場合、私が読むかどうかはビミョーなところです。

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2026年6月 5日 (金)

久々に猛虎打線が爆発し楽天に快勝

  RHE
楽  天000000100 161
阪  神00002240x 8100

【楽】 岸、渡辺翔、伊藤樹 - 伊藤光
【神】 高橋、畠、湯浅 - 伏見

楽天に快勝でした。
先発高橋投手は7回まで6安打を打たれつつも1失点に抑え、打線が大量点を取ったことから8-9回はリリーフ陣に託しました。畠投手と湯浅投手がともに楽天打線をノーヒットに抑えています。猛虎打線が久々に爆発し、中盤5回に佐藤輝選手の長打で2点先制した後、6回には熊谷選手とドラ1ルーキー立石選手のタイムリーで加点しました。風船が飛んだラッキーセブンには、さらに、伏見捕手のタイムリーに熊谷選手の満塁の走者一掃のツーベースでダメを押しました。

明日も、
がんばれタイガース!

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堅調な労働市場を示す5月の米国雇用統計

日本時間の今夜、米国労働省から5月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の前月差は、4月統計の+179千人増から5月統計では+172千人増となり、失業率は4月から横ばいの4.3%を記録しています。まず、CNNのサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

The US economy added a stronger-than-expected 172,000 jobs last month
The US labor market appears to have found its footing: The economy added 172,000 jobs in May, shattering expectations, new data from the Bureau of Labor Statistics showed Friday.
The latest jobs report provided some reassurance that the US labor market may be stabilizing after a year of weak and stilted job growth: Unemployment held steady at 4.3%, while employment gains topped 100,000 for the third consecutive month, a pattern not seen since early 2024.
Job growth was also far stronger than initially thought in recent months. March's payroll gains were revised up by 29,000 to 214,000, while April's tally was revised higher by 64,000 to 179,000 jobs added.
Economists were expecting that employers added 105,000 jobs last month and that the unemployment rate wouldn't budge from 4.3%.
Recent months' data appears to indicate that the labor market and broader economy remain resilient despite a barrage of shocks. However, economists caution that a protracted war could keep gas prices high and cut into consumer spending, raise business costs, and trickle into higher prices for other goods and services.
May's job gains were slightly more broad-based than in prior months, as hiring ramped up in the leisure and hospitality sector as well as the public sector (specifically, local governments) in addition to the stalwart job-generator of healthcare, BLS data showed.
Leisure and hospitality added an estimated 70,000 jobs in May, more than double the gains in April for the industry; the government sector added 52,000 jobs (with local government, excluding education, accounting for 43,500 of those); and healthcare and social assistance added 47,200 jobs.

注目の経済指標ですので長くなりましたが、よく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルでは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門を、さらに、下は失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。NBERでは2020年2月を米国景気の山、2020年4月を谷、とそれぞれ認定しています。ともかく、2020年4月からの雇用統計からやたらと大きな変動があって縦軸のスケールを変更したため、わけの判らないグラフになって、その前の動向が見えにくくなっています。少し見やすくしたのですが、それでもまだ判りにくさが残っています。その上、米国連邦政府のシャットダウンにより、2025年10月の失業率は公表されていません。よ~く見ると、下のパネルの失業率がその部分が欠損値になっているのが見て取れます。

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米国の雇用は非農業部門雇用者の増加については、引用した記事のタイトルにも現れているように、市場の事前コンセンサスを上回り、米国景気の底堅さを示す結果となりました。失業率も4%台前半から半ばを続けています。米国労働省の労働統計局(BLS)のヘッドラインでは "Total nonfarm payroll employment increased by 172,000 in May, and the unemployment rate was unchanged at 4.3 percent." と評価しています。加えて、引用した記事の3パラ目にあるように、3月の雇用者は+29千人を積み増して+214千人増に、また、4月も+64千人上方改定されて+179千人増に、それぞれ修正されています。平均時給は前年比+3.4%となり、4月の消費者物価指数のヘッドライン上昇率が+3.8%であったことも考え合わせると、雇用はまだ堅調でインフレ圧力も残っている、と考えるべきです。例えば、別の報道では米国のガソリン価格はガロン当たり4ドルをまだ超えており、一時のピークからは下がったものの、割高感を感じる4ドルを上回って推移していることから、物価はまだ高いと感じられている可能性が十分あります。もちろん、中東情勢がきわめて不透明で、石油価格の上昇がさらに進むかもしれませんし、逆に、企業マインドが悪化して雇用の減少につながる可能性も残されています。
米国連邦準備制度理事会(FED)は2025年中に175ベーシスの利下げを実行していますが、4月28-29日の連邦公開市場委員会(FOMC)では金利が据え置かれています。次のFOMCは今月6月16-17日に開催されます。米国とイスラエルによるイラン攻撃に端を発する中東情勢の緊迫化は、石油価格の上昇を通じて明らかにインフレ圧力を高める可能性が高い一方で、経済活動には下押し圧力をもたらすと考えられます。日銀は植田総裁が一昨日6月3日のきさらぎ会で、6月15-16日に開催される次回の金融政策決定会合で利上げする意向を強くにじませた発言を繰り返しましたが、雇用と物価のデュアルマンデートを背負う米国連邦準備制度理事会(FED)は難しい金融政策の舵取りを担うことになります。

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「上方への局面変化」の基調判断が据え置かれた4月の景気動向指数とまずまず堅調な家計調査と毎月勤労統計

本日、内閣府から景気動向指数が、また、総務省統計局から家計調査が、さらに、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。いずれも4月の統計です。景気動向指数のヘッドラインとなるCI先行指数は前月から+0.5ポイント上昇の115.9、CI一致指数も2か月連続の上昇で+1.1ポイント上昇の117.9を記録しています。家計調査の方は、2人以上世帯の消費支出の前年同月比は、実質▲0.5%の減少、名目は+1.0%の増加となりました。毎月勤労統計のうち、賃金指数について季節調整していない原系列で見て、名目の現金給与総額は31万2425円と前年同月比+3.5%増となり、消費者物価上昇率を上回ったため実質賃金は前年同月比で+1.9%増と、4か月連続のプラスを記録しています。まず、各統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから引用すると以下の通りです。

4月景気動向一致指数、前月比+1.1ポイント 判断据え置き=内閣府
内閣府が5日公表した4月の景気動向指数(速報値、2020年=100)は、指標となる一致指数は前月から1.1ポイント上昇した。同指数から機械的に決める基調判断は「上方への局面変化を示している」とし、前月から据え置いた。
先行指数は同0.5ポイント上昇した。
*この記事はこの後更新します。
実質消費支出4月は0.5%減、中東情勢でポリ袋などは買いだめの傾向
総務省が5日に公表した4月の家計調査によると、物価変動を除いた1世帯(2人以上)当たりの実質消費支出は前年比0.5%減少した。食料、光熱・水道、被服・履物、教育への支出減で5カ月連続のマイナスとなった。一方、一部品目では中東情勢の影響を受けている可能性もあり、ポリ袋やラップフィルムなどに買いだめの傾向がみられるという。
ロイターが集計した調査では、消費支出は前年比1.5%減と予想されていた。季節調整済み前月比は1.6%増と、ロイター調査の0.8%増を上回った。
食料は実質0.6%減少。品目別内訳は穀類が6カ月連続の減少と足を引っ張った。前年比7.8%減少したコメの影響が大きかった。販売価格が低下傾向にあることが支出額の減少につながった。一方、玉ねぎやじゃがいもなど価格が上がっている品目では購入数量が減少。野菜・海藻は3カ月連続減となった。
光熱・水道は電気・ガスともに3月の使用分。前年より比較的暖かい日が多く、0.73%減だった。被服・履物や教育の減少も全体に影響した。
伊藤忠総研副主任研究員の高野蒼太氏は「GDP(国内総生産)等で見る個人消費に比べて家計調査は下振れているのではないかというのが率直な感想。個人消費は堅調に推移しており、家計調査は、電気・ガスの補助金をはじめ、一時的な特殊要因が大きく反映されやすいと思われる」と分析する。「今後とも中東情勢の影響は要注意だが、毎月勤労統計も実質賃金がプラスを続けるなど、個人消費を取り巻く環境は改善している」とした。
4月実質賃金は前年比1.9%増、4カ月連続プラス=毎勤統計
厚生労働省が5日公表した4月の毎月勤労統計によると、名目賃金から物価変動の影響を除いた実質賃金は前年比1.9%増だった。前月の1.4%から伸び幅が拡大し、4カ月連続でプラスとなった。賃金自体が伸長した上、学校給食や私立高校授業料の無償化、ガソリン補助金といった政府の施策が物価の上昇を抑制した。
労働者1人当たりの平均名目賃金を示す現金給与総額は前年比3.5%増の31万2425円だった。52カ月連続のプラスで、前月の3.1%増から伸びが加速した。
このうち基本給に当たる「所定内給与」は3.4%増だった。33年6カ月ぶりに4カ月連続で3%以上の伸びを記録した。特別に支払われた給与も7.4%増加して、前月の0.7%減から持ち直した。
消費者物価(持ち家の帰属家賃を除く総合)の上昇率は前年比1.5%と前月の1.6%からやや軟化した。政府のエネルギー価格や物価対策などで1年前の上昇率3%台から低下した。
厚労省の担当者は「米・イラン戦争がどのような帰すうをたどるのか、賃上げへの影響を含めて注視したい」とみていた。

いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。ただし、統計公表直後の記事を引用していますので、その後、追加記事や差替え記事が出ている可能性があります。続いて、景気動向指数のグラフは次の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、CI一致指数が前月から+1.0ポイントの上昇、先行指数も同じく+0.9ポイントの上昇と予想されていました。実績の一致指数+1.1ポイント、先行指数+0.5ポイントのそれぞれ上昇はほぼコンセンサスの範囲内といえます。繰返しになりますが、4月統計のCI一致指数は、2か月連続の上昇となります。さらに、内閣府のプレスリリースによれば、3か月後方移動平均は前月から横ばいとなり、加えて、7か月後方移動平均は前月から+0.40ポイント上昇し、これは4か月連続の上昇となっています。統計作成官庁である内閣府による基調判断は、先月3月統計から「上方への局面変化」に上方修正されていて、4月も据え置かれています。先行きに関しては、私はいろいろと紆余曲折を経つつも、米国経済がソフトランディングに成功するとすれば、そう簡単には日本経済が景気後退局面に入ることはない、と考えています。ただし、そもそも、米国経済でも日本経済でもまだまだインフレが高止まりしており、特に、日本ではすでに景気回復・拡大局面の後半に入っている点は忘れるべきではありません。それにもまして、米国とイスラエルによるイラン攻撃から、先行きはまったく不透明になったと考えるべきです。石油価格は指標となるWTI先物がバレル当たり90ドル台で推移しています。東証の日経平均株価だけは最高値を記録しましたが、長期金利が2.8%超となっている中で、多くのエコノミストが円高を展望して待ち望んでいる金融引締めは景気を下押しすることが明らかです。日米同時リセッションの可能性が否定できません。
一応、本日公表の統計のうち、CI一致指数の前月差+1.1ポイント上昇への寄与度を見ておくと、引用した記事にもあるように、 投資財出荷指数(除輸送機械)の+0.63ポイントがもっとも大きな寄与を示したほか、 商業販売額(卸売業)(前年同月比)が+0.30ポイント、 耐久消費財出荷指数が+0.16ポイント、生産指数(鉱工業)が+0.14ポイントのそれぞれプラスの寄与度となっています。CI先行指数については、日経商品指数(42種総合)や鉱工業用生産財在庫率指数(逆サイクル)のプラス寄与が大きくなっています。

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続いて、家計調査のグラフは上の通りです。上のパネルは、名目及び実質の消費支出の前年同月比の推移であり、下は季節調整済みの名目指数及び実質指数です。いずれも影をつけた期間は景気後退期です。引用した記事の2パラ目にある通り、ロイターによる市場の事前コンセンサスは前年同月比で▲1.5%減でしたし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、同じく、実質消費支出の前年同月比が▲1.5%減と予想されていました。実績の▲0.5%はやや上振れした印象ながら、前年同月比マイナスである点は変わりありません。家計調査はもともとが振れの大きな統計ですし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスのレンジ上限がプラスでしたので、大きなサプライズというほどのことはありません。それでも、上振れながらマイナスということは変わりありません。品目別に、これも引用した記事の2パラ目にある食料については前年同月比で実質▲0.6%減、寄与度も▲0.16%なのですが、足元ではコメの価格は安定しているものの、他の野菜なども含めて、高価格が続いたことから消費が減退している可能性があります。食料よりもマイナス寄与が大きいのが教育であり、授業料や補修教育などへの支出減により実質▲19.4%減、寄与度で▲1.45%となっています。4月からの高校無償化などの制度要因であり、教育を除いて考えると4月の消費支出は実質プラスであったことになります。ほかに、電気代、ガス代などの光熱・水道はもともと3月使用分の支払いが4月に支出されたわけで、気温との関係で実質で▲8.6%減、寄与度も▲0.73となっています。最後に、引用した記事の最初のパラにあるように、「ポリ袋やラップフィルムなどに買いだめの傾向がみられる」には、ある程度は家計の合理的な消費行動であり、政府が節約の要請や呼びかけを一切していないにもかかわらず、買いだめを示唆する消費行動が始まっている可能性がある、と私は受け止めています。家計調査の最後に、勤労者世帯の実収入は3月+4.7%増に続いて、4月も+2.3%と高い伸びが続いています。

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まず、賃金については、4か月連続で前年同月比で実質賃金がプラス、4月統計では+1.9%増というのは、そもそも、現金給与総額が前年同月比で+3.5%増となった上に、帰属家賃を除く消費者物価上昇率が+1.5%にとどまったことに起因します。3月統計では、現金給与総額が+3.1%増、実質賃金が+1.4%増でした。さらに、よりくわしく、賞与と3か月を超える通勤手当の変動の大きな部分を除いた「きまって支給する給与」と「所定内給与」を見ると、名目の現金給与指数で見て、「きまって支給する給与」が3月+3.1%増から4月は+3.5%増に伸びが拡大し、「所定内給与」も3月の3.3%増から4月は+3.4%増となっています。加えて、賞与と3か月を超える通勤手当の合計である「特別に支払われた給与」が3月の▲0.7%減から4月は+7.4%増の上昇に転じています。最近時点での消費者物価指数(CPI)の前年同月比で見たインフレ率が+2%を下回っていますので、賃金上昇がようやくインフレを上回る状態になった、あるいは、逆から見て、政策的に賃金上昇率を下回るインフレに抑制されているということが出来ます。要するに、業績見合いのボーナスなど「特別に支払われた給与」もさることながら、経済学的にいう恒常所得に近い概念の「きまって支給する給与」や「所定内給与」がようやくプラスになった、ということが出来ますので、この恒常所得の伸びは消費の増加に直結することが期待されます。

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2026年6月 4日 (木)

World Bicycle Day

昨日6月3日は、国連の定める World Bicycle Day だったそうです。お天気がイマイチだったので、私は自転車に乗りそびれました。

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今年2026年の成長率見通しが中東紛争で下方修正されたOECD経済見通し

日本時間の昨夜、経済開発協力機構(OECD)が「OECD経済見通し」OECD Economic Outlook を公表しています。ヘッドラインとなる今年2026年の世界経済の成長率見通しは、昨年12月時点の+3.4%から大幅に下方修正して+2.8%と見込んでいます。ただし、来年2027年は+3.1%で修正はありません。ただし、中東紛争 conflict in Middle East の不確実性に応じて、短期収束と長期化の2つのシナリオを考えています。

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まず、短期収束シナリオの見通し総括表 Table 1.1. Global GDP growth is projected to moderate in the time-limited disruption scenario をリポート p.15 から引用すると上の通りです。短期収束シナリオについては、リポート p.32 で、"A "time-limited disruption scenario", with energy production in the Gulf economies gradually recovering from late in the second quarter of 2026 with regular air and shipping routes fully operational from that point." としています。まあ、大雑把に言って、今年2026年第2四半期末の6月には中東紛争が集結し、徐々に正常化する、という仮定です。他方、長期化シナリオは、"A "prolonged disruption scenario", with energy production in the Gulf economies remaining subdued up to the third quarter of 2027, and rising global supply shortages that cause disruptions to production in importing and exporting countries." ということで、2027年第3四半期まで中東紛争が継続する可能性を念頭に置いています。

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続いて、短期収束シナリオと長期化シナリオを対比させた Figure 1.21. A prolonged disruption scenario raises inflation and hits growth をリポート p.38 から引用すると上の通りです。短期収束シナリオの場合の2026年成長率+2.8%は、長期化シナリオでは▲0.7%ポイント低下して+2.1%となると予想しています。インフレは成長率以上に影響が大きいのは、上のグラフの右のパネルBを見ての通りです。要するに、中東紛争の期間次第で、不確実性が大きい、ということです。

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最後に、日本の見通しについては "The evolving conflict in the Middle East is partly disrupting the robust growth in early 2026" とされています。今年2026年の成長率は+0.6%、消費者物価指数(CPI)上昇率は+1.8%と見込まれています。しばらく、潜在成長率スレスレという感じなのかもしれません。上のテーブルは、日本の見通しの総括表であり、リポート p.209 の Japan: Demand, output and prices を引用しています。

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2026年6月 3日 (水)

やっぱり打線が打てずに西武に力負け

  RHE
西  武010000200 360
阪  神000000002 262

【西】 渡邉、甲斐野、岩城 - 古賀悠
【神】 大竹、湯浅、工藤 - 伏見

西武に力負けでした。
先発大竹投手は6回までネビン選手のソロの1失点に抑え、ナイスピッチングのQSでした。しかし、7回にタイムリーエラーが出て計3失点で負け投手になってしまいます。打線は、西武先発の渡邉投手が降板してからポツポツと打ち始め、最終回には佐藤輝選手の逆方向へのツーランが飛び出しましたが、時すでに遅しの感が強かったです。明日は西武は平良投手が先発ですから、どうも打てる気が褪せず、連敗が濃厚という気がしてきました。

何とか明日は、
がんばれタイガース!

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1-3月期GDP統計速報2次QEの予想やいかに?

月曜日の法人企業統計などの必要な統計がほぼ出そろって、来週6月8日に、1~3月期GDP統計速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。ということで、いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下のテーブルの通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、GDP統計の期間である1~3月期ではなく、足元の4~6月期から先行きの景気動向を重視して拾おうとしています。ただし、2次QE予想は法人企業統計のオマケ的な存在で、それほど先行きについての言及はなく、先行きへの言及があるのは第一ライフ資産運用経済研究所と明治安田総研ぐらいであり、特にこの2機関は長々と引用してあります。また、ややタイミングが早いのか、2次QE予測を明らかにしていない機関もいくつかあります。いずれにせよ、1次情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。ただし、最後の行の東京財団だけは、いわゆるナウキャスティングですので、足元の4~6月期の予想となっています。なお、"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE+0.5%
(+2.1%)
n.a.
日本総研+0.5%
(+2.0%)
成長率は前期比年率+2.0%(前期比+0.5%)と、1次QE(前期比年率+2.1%、前期比+0.5%)からほぼ変わらないと予想。
大和総研+0.5%
(+1.9%)
1-3月期のGDPに対する中東情勢緊迫化の影響は限定的であった。2次QEでは、個人消費や公需・外需を中心に、日本経済が回復している姿が改めて示されるだろう。
ニッセイ基礎研+0.2%
(+1.0%)
6/8公表予定の26年1-3月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.2%(前期比年率1.0%)となり、1次速報の前期比0.5%(前期比年率2.1%)から下方修正されると予想する。
第一ライフ資産運用経済研+0.4%
(+1.4%)
先行きについては、イラン情勢悪化の影響が本格化することで、景気への下押し圧力が強まる可能性が高い。消費者マインドは足元で大きく悪化しており、次第に消費の伸びを抑える可能性がある。また、調達難による生産活動の下押しも見込まれる。一部の品目では、調達難による受注制限や納期の遅れ、価格上昇、減産といった動きが生じており、生産活動を中心に景気を下押しするだろう。4-6月期がマイナス成長となる可能性も十分ある。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.3%
(+1.1%)
2026年6月8日に内閣府が公表する2026年1~3月期の実質GDP(2次速報値)は、前期比+0.3%(年率換算+1.1%)と、5月19日に公表された1次速報値の同+0.5%(同換算+2.1%)から下方修正される見込みである。
伊藤忠総研+0.4%
(+1.7%)
2026年1~3月期GDP2次速報値は、1次速報値の前期比+0.5%(年率+2.1%)から+0.4%(+1.7%)へ下方修正されると予想する。
明治安田総研+0.3%
(+1.2%)
4-6月期については、ホルムズ海峡実質封鎖に伴う物流停滞が生産の足枷となるほか、中東向け輸出の減少などで財輸出は力強さを欠くと見込まれる。燃料価格上昇による航空運賃の値上がりもインバウンド需要の抑制要因となろう。設備投資については、省力化投資の需要が安定的に見込まれることが下支えするとみるが、建築資材の供給制約が進捗の遅れにつながることなどが懸念される。ガソリン代補助の効果でエネルギー価格の上昇が抑制されていることなどから、個人消費の大きな落ち込みは回避できるとみるものの、前期比ベースでの減速は避けられないと予想する。
東京財団+0.36%
(+1.44%)
モデルは、2026年4-6月期のGDP(実質、季節調整系列前期比)を、0.36%と予測。※年率換算: 1.44%

まず、何よりも、ほぼほぼすべてのシンクタンクで2次QEは1次から下方修正であると見込んでいます。この理由は、時間の経過とともに新たに明らかとなるデータを考慮した結果です。ですので、時間の経過とともに景気は下向きであるという点は忘れるべきではありません。加えて、足元の4~6月期についても、明確な言及ある第一ライフ資産運用経済研究所と明治安田総研はともに、成長率が減速すると予想しています。第一ライフ資産運用経済研究所のリポートでは、4~6月期マイナス成長の可能性まで示唆しています。景気減速の背景を考えると、2月末から始まった米国とイスラエルによるイラン攻撃とそれに伴う中東情勢の不安定化を上げざるを得ません。当初は、石油価格が125ドル/バレルを超えると日本も景気後退の可能性高まる、といった議論がありました。そして、現在のところ、WTI先物はニューヨーク市場でバレル90ドル台で推移しているようです。中東情勢、というかイラン戦争の先行きがまったく不透明ですので、シンクタンクなどで経済見通しを担当するエコノミストも大変だろうと思います。そういった中で、本日、経済開発協力機構(OECD)の「経済見通し」 Economic Outlook が公表される予定です。また、日を改めて取り上げたいと思います。
最後に、下のテーブルはニッセイ基礎研究所のリポートから引用しています。私も仕上がりベースで成長率は+1%そこそこと考えています。

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2026年6月 2日 (火)

帝国データバンク「食品主要195社」価格改定動向調査

広く報じられている通り、先週5月29日、帝国データバンクから「食品主要195社」価格改定動向調査の結果が明らかにされています。食料品値上げはまだまだ続きそうです。まず、帝国データバンクのサイトからSUMMARYを3点引用すると次の通りです。

SUMMARY
  • 2026年6月の飲食料品値上げは、合計1078品目となった。
  • 2026年通年の値上げ品目総数は、1~10月までの判明分で9361品目となった。6月中にも、調査を開始した2022年から5年連続となる年間1万品目突破が判明する見通し。
  • 中東情勢の悪化を背景に、飲食料品では今夏以降に広範囲な値上げラッシュが続くとみられる。

国民生活に深く関わる食料品価格ですから、図表を引用しつつ、簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、帝国データバンクのサイトから 月別値上げ品目数の推移 (2024年以降) を引用すると上の通りです。2026年通年の値上げ品目総数は、1~10月までの判明分で9361品目となり、早ければ6月中にも、調査を開始した2022年から5年連続となる年間1万品目突破が確定する可能性があるようです。食品分野別では、冷凍食品やパックごはん、缶詰、即席麺などの「加工食品」が3029品目ともっとも多く、次いで、マヨネーズ類やドレッシング類などの「調味料」が2537品目、さらに、PET飲料のほかビール飲料、焼酎・ワインなどの「酒類・飲料」が1494品目となっています。「パン」は978品目で、2025年に続き食パンや菓子パンなどで一斉に値上げとなるもようです。

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続いて、帝国データバンクのサイトから 月別値上げ品目数の推移 (2024年以降) を引用すると上の通りです。見ての通りで、「原材料高」の影響を受けた値上げが97.7%を占め、もっとも割合が高い一方で、3月以降は低下傾向で推移しています。他方で、「包装・資材」は73.7%と前月を上回り、5月末時点の水準として初めて7割台での推移となっています。トレーや容器などナフサ由来の資材価格高騰をはじめ、中東情勢による影響が要因となった値上げ、すなわち、「中東情勢」は22.7%を占めて下り、帝国データバンクでは、「今後はさらに高まる可能性が高い」と分析しています。

何度も繰り返していますが、食料とエネルギーは国民生活の基礎となる必需物資です。もう個人で出来る限界はとっくに超えています。政府の対応が必要です。

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2026年6月 1日 (月)

順調な企業活動を示す1-3月期の法人企業統計

本日、財務省から1~3月期の法人企業統計が公表されています。統計のヘッドラインは、季節調整していない原系列の統計で見て、売上高は前年同期比+1.1%増の408兆6614億円、経常利益は+14.6%増の32兆6271億円に上っています。経常利益は6期連続のプラスです。さらに、設備投資は前年同期からほぼ横ばいの18兆8064億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると次の通りです。

1-3月法人企業、経常利益14.6%増 6四半期連続のプラス
財務省が1日発表した1~3月期の法人企業統計によると、全産業(金融・保険業除く)の経常利益は前年同期比で14.6%増の32兆6271億円だった。6四半期連続のプラス。人工知能(AI)やデータセンター関連を中心に収益が伸びた。
法人企業統計は上場企業に限らず日本企業全体の動向を調べている。経常利益は遡れる1954年4~6月期以降の1~3月期での過去最大となった。
経常利益を業種別にみると、製造業は42.9%増と3四半期連続で増加した。1~3月期の伸び率は前期から加速した。情報通信機械や電気機械がけん引した。計測機器や光学機器などの業務用機械は落ち込んだ。
非製造業は1.4%増だった。旅客数や客単価が伸びて航空や鉄道といった運輸業・郵便業が50.5%増えた。資源価格の上昇による利益の拡大を受けて商社をはじめとする卸売業・小売業が6.7%伸びた。建設業と電気業は減益だった。
ソフトウエアを含む設備投資は18兆8064億円で前年同期と比べてほぼ横ばいだった。製造業は0.4%減、非製造業は0.3%増だった。季節調整済みの前期比では全産業で2.0%減少した。
売上高は全産業で408兆6614億円と前年同期比で1.1%増えた。四半期で最大となった。
財務省は「景気が緩やかに回復しているとの政府認識と齟齬(そご)がない」との見解を示した。「中東情勢や金融・資本市場の変動などを含め、今後も企業の動向を注視していく」と述べた

長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上高と経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影を付けた部分は景気後退期となっています。

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法人企業統計の結果について、基本的に、企業業績は好調を維持していると考えるべきです。ただし、法人企業統計の売上高や営業利益・経常利益などはすべて名目値で計測されていますので、物価上昇による水増しを含んでいる点は忘れるべきではありません。ですので、数量ベースの増産や設備投資増などにどこまで支えられているかは、現時点では明らかではありません。来週のGDP統計速報2次QEを待つ必要があります。他方で、その物価上昇も含めて、企業業績が昨今の株価に反映されているわけで、米国とイスラエルによるイラン攻撃から始まった中東の地政学的リスクの顕在化の後の現在においても、東証平均株価は6万円を超えているわけです。ただし、所得の伸び悩みに起因する個人消費などと違って、企業業績は基本的に好調を維持しているものの、何といっても、中東の地政学的リスクが顕在化し、エネルギー価格がどうなるかに左右されると考えるべきです。先行きが不透明であることはいうまでもありません。先行きの景気への影響という点に関しては、中東情勢に伴うエネルギー価格とともに、石油関連製品の供給、さらに、トランプ関税の今後の動向も懸念されます。製造業、中でも波及効果の大きい自動車産業の動向が今後一段と悪化する可能性が高いと考えられます。景気動向に関しては自動車をはじめとする製造業に注目しつつ、設備投資動向に関しては人手不足による影響が大きい非製造業、中でも、比較的労働集約的な業種の動向が注目されます。いずれにせよ、最大の懸念材料は中東情勢とエネルギー価格、さらに、米国の関税率や通商政策だろうとお考えるべきです。いずれも、先行き不透明です。

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続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率、さらに、利益剰余金、最後の4枚目は人件費と経常利益をそれぞれプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは法人に対する実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出した上で、このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。人件費と経常利益も額そのものです。利益剰余金を除いて、原系列の統計と後方4四半期移動平均をともにプロットしています。見れば明らかなんですが、コロナ禍を経て労働分配率が大きく低下を示しています。もう少し長い目で見れば、デフレに入るあたりの1990年代後半からほぼ一貫して労働分配率が低下を続けています。そして、現在でも労働分配率の低下は続いています。いろんな仮定を置いていますので評価は単純ではありませんが、デフレに入ったあたりの1990年代後半の75%近い水準と比べて、最近時点では▲20%ポイント近く労働分配率が低下している、あるいは、コロナ禍の期間の65%ほどと比べても▲10%ポイントほど低下している、と考えるべきです。名目GDPが約600兆円として50-100兆円ほど労働者から企業に移転があった可能性が示唆されています。加えて、一昨年2024年や昨年2025年の春闘では人口減少下の人手不足により賃上げ圧力が高まった結果として、労働分配率が下げ止まった可能性が示唆されていましたが、統計を見る限り決してそうはなっていません。昨年今年と春闘ではあれだけの賃上げがありながら、まだ労働分配率は低下し続けている可能性が高いと考えるべきです。しかも高インフレが続いており、これでは消費は伸びません。中東情勢に起因してエネルギー価格が上昇すれば、さらに物価上昇に拍車が掛かる可能性も大いにあります。いずれにせよ、日本経済には大きなマイナス要因だと私は考えています。設備投資/キャッシュフロー比率も底ばいを続けています。DXやGXに対応した設備投資の本格的な増加が始まったことが期待される一方で、決して楽観的にはなれません。他方で、ストック指標なので評価に注意が必要とはいえ、利益剰余金はまだまだ伸びが続いています。また、4枚めのパネルにあるように、直近統計で2020年くらいからは、人件費の伸びが高まっている可能性が見て取れますが、人件費以上に経常利益が伸びているのがグラフの傾きから明らかです。労働分配率の低下と整合的なデータであると考えるべきです。アベノミクスではトリクルダウンを想定していましたが、企業業績から勤労者の賃金へは滴り落ちてこなかった、というのがひとつの歴史的事実と考えるべきです。先行きについて逆に考えれば、現在のように、勤労者の賃金が上がらない中で、企業業績だけが伸びて株価が上昇する経済を転換することができれば、資本分配率を低下させて労働分配率が上昇することにより、諸外国と比べても高いインフレにならずに日本経済が成長するパスが実現できる可能性が生じており、それは中期的に望ましい、という私の考えは変わりありません。

最初のグラフに見られる通り、1~3月期の設備投資は季節調整済みの系列の前期比で見て、▲2.0%のマイナスでした。1~3月期GDP統計速報1次QEでは設備投資の伸びがプラスであったことから、これが下方修正され、GDP成長率としても下方修正されるであろうと私は受け止めています。詳細は日を改めて取り上げる予定です。

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