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2026年6月 8日 (月)

予想ほど下方修正されなかった1-3月期GDP統計速報2次QE

本日、内閣府から1~3月期GDP統計速報2次QEが公表されています。季節調整済みの系列で前期比+0.5%増、年率換算で+1.8%増を記録しています。プラス成長は2四半期連続です。なお、GDPデフレータは季節調整していない原系列の前年同期比で+3.4%、国内需要デフレータも+2.6%に達し、2年半10四半期連続のプラスとなっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

実質GDP年率1.8%増に下方修正 1-3月改定値、設備投資が下振れ
内閣府が8日発表した1~3月期の国内総生産(GDP)改定値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値が前期比0.5%増、年率換算で1.8%増だった。5月発表の速報値(前期比0.5%増、年率2.1%増)から下方修正した。
最新統計を反映し、設備投資が下振れした。速報値と同様に2四半期連続のプラスとなった。QUICKが事前にまとめた民間予測の中心値は前期比0.3%増、年率1.2%増だった。
項目別に見ると、設備投資が速報段階の前期比0.3%増から0.7%減とマイナスに転じた。法人企業統計の結果を反映し、2四半期ぶりのマイナスとなった。省力化などへのソフトウエア投資が減ったほか、計測器などの生産用機械や機械工具などの業務用機械への投資も落ち込んだ。
GDPの半分を占める個人消費は0.3%増と速報値と同じだった。住宅投資は0.5%増から0.9%増に上方修正した。
民間在庫の成長率への寄与度は0.1ポイントのマイナス寄与で、速報段階から変わらなかった。
政府消費は0.1%増から0.3%増に、公共投資は1.4%増から1.5%増にそれぞれ上方修正した。
輸出は1.7%増から1.8%増に上方修正した。輸入は0.5%増から0.4%増に修正した。
25年度の実質GDPは前年度と比べて0.8%増と速報段階と同じだった。2年連続のプラス成長となった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。なお、雇用者報酬については2種類のデフレータで実質化されていてる計数が公表されていますが、このテーブルでは「家計最終消費支出(除く持ち家の帰属家賃及びFISIM)デフレーターで実質化」されている方を取っています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2024/1-32025/4-62025/7-92025/10-122026/1-3
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.5+0.3▲0.6+0.2+0.5+0.5
民間消費+0.6+0.2+0.5+0.1+0.3+0.3
民間住宅▲0.5▲0.0▲8.0+5.0+0.5+0.9
民間設備+1.2+1.0▲0.1+1.2+0.3▲0.7
民間在庫 *(+0.7)(▲0.3)(▲0.2)(▲0.4)(▲0.1)(▲0.1)
公的需要▲0.2+0.5▲0.1+0.3+0.3+0.5
内需寄与度 *(+1.2)(+0.2)(▲0.3)(+0.1)(+0.2)(+0.2)
外需寄与度 *(▲0.6)(+0.1)(▲0.3)(+0.0)(+0.3)(+0.3)
輸出▲0.6+1.6▲1.6+0.2+1.7+1.8
輸入+2.2+1.1▲0.2▲0.3+0.5+0.4
国内総所得 (GDI)+0.3+0.8▲0.4+0.3+0.4+0.3
国民総所得 (GNI)+0.6+0.4+0.3▲0.2+0.5+0.5
名目GDP+0.9+1.9+0.2+0.9+0.8+0.6
雇用者報酬▲0.7+0.7▲0.0+0.6+0.2+0.3
GDPデフレータ+3.6+3.2+3.5+3.4+3.4+3.2
内需デフレータ+3.1+2.6+2.8+2.6+2.6+2.4

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、縦軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された1~3月期の最新データでは、前期比成長率がプラス成長を示し、プラス寄与している中で目立っているのは黒の純輸出と赤の民間消費ほかであり、少し見づらいのですが、マイナス寄与は水色の民間設備緑の民間住宅と灰色の民間在庫、となっています。

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先月5月19日に公表された1次QEでは季節調整済みの系列で前期比+0.5%、前期比年率で+2.1%の成長であったところ、繰り返しになりますが、本日の2次QEではそれぞれ+0.5%、+1.8%に小幅に下方修正されています。内需、特に民間設備が下方修正されています。内需も外需もいずれもプラス寄与で、やや外需の方が大きな寄与なのですが、いずれにせよ、1~3月期までの景気認識に大きな変更を加えるべき修正ではない、と考えています。在庫のマイナス寄与の幅がやや拡大していますが、成長率を少し押し下げた一方で在庫調整の進展でもありますので、決して悪い話ではありません。ただし、先行きに関しては、何といっても、米国とイスラエルのイラン攻撃から始まった中東紛争の行く方次第といえます。先週公表された経済開発協力機構(OECD)の「経済見通し」では、基本シナリオとして6月に武力紛争が終結するという楽観的なシナリオでしたが、さらに1年程度武力紛争が長引くシナリオでは、成長率見通しが大きく下方に修正される可能性が示唆されていました。私は基本的に米国とともに日本が景気後退に陥る可能性は決して低くないと考えています。ただし、今までの経験に即して考えれば、景気後退ともなれば急激な景気の悪化が見られるのが通常であり、それ故に景気後退については回避できれるのであれば回避すべきという考えがエコノミストの間では強いのですが、直前のリーマン証券破綻後の金融危機とか、コロナのパンデミックとか、きわめて厳しい景気の悪化に比べれば、今回の景気後退局面はそれほどではない可能性も十分あるのではないか、とも同時に考えています。要するに、景気後退に陥る可能性は否定できないが、従来のような深刻な景気後退ではない可能性も十分ある、といったところです。はい、日銀が今月6月の金融政策決定会合で政策金利を1%まで引き上げる可能性が高いことを考え合わせると、ひょっとしたら、目先2026年7~9月期の時点で景気後退局面入していたと、1年後の来年2027年の夏ごろに判定される可能性もないではありません。まあ、確率低いとは思います。

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また、本日、内閣府から5月の景気ウォッチャーが公表されています。統計のヘッドラインを見ると、季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+2.8ポイント上昇の43.6で3か月ぶりの前月差プラスとなった一方で、先行き判断DIも+1.3ポイント上昇の40.7を記録しています。米国とイスラエルによるイラン攻撃から始まった中東の武力紛争後では初めての現状判断DIの上昇です。ただ、統計作成官庁である内閣府では、基調判断を「このところ持ち直しの動きに弱さがみられる」で据え置いています。

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さらに、本日、財務省から4月の経常収支が公表されています。統計のヘッドラインを見ると、季節調整していない原系列の統計で+3兆9078億円の黒字を計上しています。15か月連続の黒字です。

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