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2026年6月 5日 (金)

「上方への局面変化」の基調判断が据え置かれた4月の景気動向指数とまずまず堅調な家計調査と毎月勤労統計

本日、内閣府から景気動向指数が、また、総務省統計局から家計調査が、さらに、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。いずれも4月の統計です。景気動向指数のヘッドラインとなるCI先行指数は前月から+0.5ポイント上昇の115.9、CI一致指数も2か月連続の上昇で+1.1ポイント上昇の117.9を記録しています。家計調査の方は、2人以上世帯の消費支出の前年同月比は、実質▲0.5%の減少、名目は+1.0%の増加となりました。毎月勤労統計のうち、賃金指数について季節調整していない原系列で見て、名目の現金給与総額は31万2425円と前年同月比+3.5%増となり、消費者物価上昇率を上回ったため実質賃金は前年同月比で+1.9%増と、4か月連続のプラスを記録しています。まず、各統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから引用すると以下の通りです。

4月景気動向一致指数、前月比+1.1ポイント 判断据え置き=内閣府
内閣府が5日公表した4月の景気動向指数(速報値、2020年=100)は、指標となる一致指数は前月から1.1ポイント上昇した。同指数から機械的に決める基調判断は「上方への局面変化を示している」とし、前月から据え置いた。
先行指数は同0.5ポイント上昇した。
*この記事はこの後更新します。
実質消費支出4月は0.5%減、中東情勢でポリ袋などは買いだめの傾向
総務省が5日に公表した4月の家計調査によると、物価変動を除いた1世帯(2人以上)当たりの実質消費支出は前年比0.5%減少した。食料、光熱・水道、被服・履物、教育への支出減で5カ月連続のマイナスとなった。一方、一部品目では中東情勢の影響を受けている可能性もあり、ポリ袋やラップフィルムなどに買いだめの傾向がみられるという。
ロイターが集計した調査では、消費支出は前年比1.5%減と予想されていた。季節調整済み前月比は1.6%増と、ロイター調査の0.8%増を上回った。
食料は実質0.6%減少。品目別内訳は穀類が6カ月連続の減少と足を引っ張った。前年比7.8%減少したコメの影響が大きかった。販売価格が低下傾向にあることが支出額の減少につながった。一方、玉ねぎやじゃがいもなど価格が上がっている品目では購入数量が減少。野菜・海藻は3カ月連続減となった。
光熱・水道は電気・ガスともに3月の使用分。前年より比較的暖かい日が多く、0.73%減だった。被服・履物や教育の減少も全体に影響した。
伊藤忠総研副主任研究員の高野蒼太氏は「GDP(国内総生産)等で見る個人消費に比べて家計調査は下振れているのではないかというのが率直な感想。個人消費は堅調に推移しており、家計調査は、電気・ガスの補助金をはじめ、一時的な特殊要因が大きく反映されやすいと思われる」と分析する。「今後とも中東情勢の影響は要注意だが、毎月勤労統計も実質賃金がプラスを続けるなど、個人消費を取り巻く環境は改善している」とした。
4月実質賃金は前年比1.9%増、4カ月連続プラス=毎勤統計
厚生労働省が5日公表した4月の毎月勤労統計によると、名目賃金から物価変動の影響を除いた実質賃金は前年比1.9%増だった。前月の1.4%から伸び幅が拡大し、4カ月連続でプラスとなった。賃金自体が伸長した上、学校給食や私立高校授業料の無償化、ガソリン補助金といった政府の施策が物価の上昇を抑制した。
労働者1人当たりの平均名目賃金を示す現金給与総額は前年比3.5%増の31万2425円だった。52カ月連続のプラスで、前月の3.1%増から伸びが加速した。
このうち基本給に当たる「所定内給与」は3.4%増だった。33年6カ月ぶりに4カ月連続で3%以上の伸びを記録した。特別に支払われた給与も7.4%増加して、前月の0.7%減から持ち直した。
消費者物価(持ち家の帰属家賃を除く総合)の上昇率は前年比1.5%と前月の1.6%からやや軟化した。政府のエネルギー価格や物価対策などで1年前の上昇率3%台から低下した。
厚労省の担当者は「米・イラン戦争がどのような帰すうをたどるのか、賃上げへの影響を含めて注視したい」とみていた。

いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。ただし、統計公表直後の記事を引用していますので、その後、追加記事や差替え記事が出ている可能性があります。続いて、景気動向指数のグラフは次の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、CI一致指数が前月から+1.0ポイントの上昇、先行指数も同じく+0.9ポイントの上昇と予想されていました。実績の一致指数+1.1ポイント、先行指数+0.5ポイントのそれぞれ上昇はほぼコンセンサスの範囲内といえます。繰返しになりますが、4月統計のCI一致指数は、2か月連続の上昇となります。さらに、内閣府のプレスリリースによれば、3か月後方移動平均は前月から横ばいとなり、加えて、7か月後方移動平均は前月から+0.40ポイント上昇し、これは4か月連続の上昇となっています。統計作成官庁である内閣府による基調判断は、先月3月統計から「上方への局面変化」に上方修正されていて、4月も据え置かれています。先行きに関しては、私はいろいろと紆余曲折を経つつも、米国経済がソフトランディングに成功するとすれば、そう簡単には日本経済が景気後退局面に入ることはない、と考えています。ただし、そもそも、米国経済でも日本経済でもまだまだインフレが高止まりしており、特に、日本ではすでに景気回復・拡大局面の後半に入っている点は忘れるべきではありません。それにもまして、米国とイスラエルによるイラン攻撃から、先行きはまったく不透明になったと考えるべきです。石油価格は指標となるWTI先物がバレル当たり90ドル台で推移しています。東証の日経平均株価だけは最高値を記録しましたが、長期金利が2.8%超となっている中で、多くのエコノミストが円高を展望して待ち望んでいる金融引締めは景気を下押しすることが明らかです。日米同時リセッションの可能性が否定できません。
一応、本日公表の統計のうち、CI一致指数の前月差+1.1ポイント上昇への寄与度を見ておくと、引用した記事にもあるように、 投資財出荷指数(除輸送機械)の+0.63ポイントがもっとも大きな寄与を示したほか、 商業販売額(卸売業)(前年同月比)が+0.30ポイント、 耐久消費財出荷指数が+0.16ポイント、生産指数(鉱工業)が+0.14ポイントのそれぞれプラスの寄与度となっています。CI先行指数については、日経商品指数(42種総合)や鉱工業用生産財在庫率指数(逆サイクル)のプラス寄与が大きくなっています。

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続いて、家計調査のグラフは上の通りです。上のパネルは、名目及び実質の消費支出の前年同月比の推移であり、下は季節調整済みの名目指数及び実質指数です。いずれも影をつけた期間は景気後退期です。引用した記事の2パラ目にある通り、ロイターによる市場の事前コンセンサスは前年同月比で▲1.5%減でしたし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、同じく、実質消費支出の前年同月比が▲1.5%減と予想されていました。実績の▲0.5%はやや上振れした印象ながら、前年同月比マイナスである点は変わりありません。家計調査はもともとが振れの大きな統計ですし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスのレンジ上限がプラスでしたので、大きなサプライズというほどのことはありません。それでも、上振れながらマイナスということは変わりありません。品目別に、これも引用した記事の2パラ目にある食料については前年同月比で実質▲0.6%減、寄与度も▲0.16%なのですが、足元ではコメの価格は安定しているものの、他の野菜なども含めて、高価格が続いたことから消費が減退している可能性があります。食料よりもマイナス寄与が大きいのが教育であり、授業料や補修教育などへの支出減により実質▲19.4%減、寄与度で▲1.45%となっています。4月からの高校無償化などの制度要因であり、教育を除いて考えると4月の消費支出は実質プラスであったことになります。ほかに、電気代、ガス代などの光熱・水道はもともと3月使用分の支払いが4月に支出されたわけで、気温との関係で実質で▲8.6%減、寄与度も▲0.73となっています。最後に、引用した記事の最初のパラにあるように、「ポリ袋やラップフィルムなどに買いだめの傾向がみられる」には、ある程度は家計の合理的な消費行動であり、政府が節約の要請や呼びかけを一切していないにもかかわらず、買いだめを示唆する消費行動が始まっている可能性がある、と私は受け止めています。家計調査の最後に、勤労者世帯の実収入は3月+4.7%増に続いて、4月も+2.3%と高い伸びが続いています。

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まず、賃金については、4か月連続で前年同月比で実質賃金がプラス、4月統計では+1.9%増というのは、そもそも、現金給与総額が前年同月比で+3.5%増となった上に、帰属家賃を除く消費者物価上昇率が+1.5%にとどまったことに起因します。3月統計では、現金給与総額が+3.1%増、実質賃金が+1.4%増でした。さらに、よりくわしく、賞与と3か月を超える通勤手当の変動の大きな部分を除いた「きまって支給する給与」と「所定内給与」を見ると、名目の現金給与指数で見て、「きまって支給する給与」が3月+3.1%増から4月は+3.5%増に伸びが拡大し、「所定内給与」も3月の3.3%増から4月は+3.4%増となっています。加えて、賞与と3か月を超える通勤手当の合計である「特別に支払われた給与」が3月の▲0.7%減から4月は+7.4%増の上昇に転じています。最近時点での消費者物価指数(CPI)の前年同月比で見たインフレ率が+2%を下回っていますので、賃金上昇がようやくインフレを上回る状態になった、あるいは、逆から見て、政策的に賃金上昇率を下回るインフレに抑制されているということが出来ます。要するに、業績見合いのボーナスなど「特別に支払われた給与」もさることながら、経済学的にいう恒常所得に近い概念の「きまって支給する給与」や「所定内給与」がようやくプラスになった、ということが出来ますので、この恒常所得の伸びは消費の増加に直結することが期待されます。

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