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2026年6月17日 (水)

石油輸入が減少続ける5月の貿易統計と持ち直しが続く4月の機械受注

本日、財務省から5月の貿易統計が、また、内閣府から4月の機械受注が、それぞれ公表されています。統計のヘッドラインについて、貿易統計では季節調整していない原系列で見て、輸出額が前年同月比+17.0%増の9兆5115億円に対して、輸入額は+12.5%増の9兆8902億円、差引き貿易収支は▲3786億円の赤字を計上しています。機械受注では、民間設備投資の先行指標であり、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月から+8.7%増の1兆985億円と、2か月ぶりの前月比増を記録しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

貿易収支4カ月ぶり赤字、5月3786億円 原油輸入コスト高まる
財務省が17日発表した5月の貿易統計速報によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は3786億円の赤字となった。赤字は4カ月ぶり。赤字幅は前年同月と比べて42.8%縮小した。中東混乱で原油の調達コストはかさんでいる。
輸出額は9兆5115億円で前年同月と比べて17.0%増えた。9カ月連続の増加となった。中国向けのICなど半導体等電子部品や、米国への自動車の輸出が伸びた。
輸入額は9兆8902億円で12.5%増えた。4カ月連続の増加となった。台湾からのICなど半導体等電子部品や、中国からのスマホなど通信機の輸入が押し上げた。
原油輸入に関しては、輸入量が減った一方で単価は上昇した。
中東情勢の悪化を受け、世界全体で原油の輸入量は472万キロリットルと57.3%減少した。輸入額は5391億円と28.5%減となっている。輸入単価は円建てで1キロリットルあたり11万4076円と67.2%上がった。
原油の輸入を地域別で見ると、中東からの輸入量は396万キロリットルで61.9%減だった。輸入額は4458億円と37.3%減少した。米国からは57万キロリットルで24.0%増加した。財務省の担当者は「代替調達が進んでいる」と話した。
4月の機械受注8.7%増、2カ月ぶり増加 基調判断は「持ち直し」維持
内閣府が17日発表した4月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標とされる民需(船舶と電力除く季節調整済み)は前月比で8.7%増の1兆985億円だった。2カ月ぶりに増加した。
QUICKが事前にまとめた市場予測の中央値は0.9%増だった。
増加の主因は一部の大型案件で、内閣府は基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。月ごとのぶれをならした3カ月移動平均は3.7%増となった。
製造業からの受注は前月比で5.1%増の5135億円と2カ月ぶりに増加した。製造17業種のうち10業種がプラスだった。造船業が2.6倍となり、全体を押し上げた。電気機械は14.3%増えた。
非製造業は6.7%増の5701億円と2カ月ぶりに増加した。鉄道車両の大型案件があった運輸業・郵便業が36.9%増だったほか、建設業が14.0%増でプラスに寄与した。

ついつい長くなりましたが、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、貿易統計のグラフは下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、引用した記事にはありませんが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、▲5000億円超の貿易赤字が見込まれていましたので、実績の▲3786億円の赤字はやや上振れした印象ながら、予測レンジ内となっています。注目の原油及び粗油の5月統計での輸入は、引用した記事の5パラ目にあるように、キロリットル単位の数量ベースで前年同月比▲57.3%減の減少を見せており、価格ベースでも▲28.5%減となっています。先月公表された4月の貿易統計速報の時点では、原油及び粗油の輸入は数量ベースで▲63.7%減でしたので、4月から5月にかけてホンのチョッピリ供給制約は緩和された、という評価はできるかもしれません。ただ、ほぼほぼ政府広報紙と化した日経新聞では、引用した記事の最後のパラにあるように、「代替調達が進んでいる」点を強調したいのだろうと思います。いずれにせよ、私の主張は従来から変わりなく、輸入は国内の生産や消費などのために必要なだけ輸入すればよく、貿易収支や経常収支の赤字と黒字は何ら悲観も楽観もする必要はない、と考えています。固定為替相場制度を取っていた1950-60年代の高度成長期のように、「国際収支の天井」を意識した政策運営は、現在の変動為替制度の下ではまったく必要なく、比較優位に基づいた貿易が実行されればいいのですが、地政学リスクにより比較優位に基づく貿易が、現時点では、阻害されている可能性が否定できない、と考えています。すなわち、米国とイスラエルによるイラン攻撃に端を発する中東での武力紛争により石油輸入の量と価格の動向が大きな問題と考えるべきです。
本日公表された5月の貿易統計について、季節調整していない原系列の前年同月比により主要品目別に少し詳しく見ておくと、まず、輸入については、繰返しになりますが、もっとも注目されている原油及び粗油がキロリットルの数量ベースで▲57.3%減、金額ベースでも▲28.5%減となっています。特に、中東からの原油及び粗油の輸入は、数量ベースで前年同月から▲61.9%減となっています。さらに、エネルギーに次いで注目されている食料品は金額ベースで▲3.5%減となっています。原料品のうちの非鉄金属鉱は重量ベースで▲21.0%減ながら、商品市況の高騰により金額ベースでは+49.7%増を記録しています。輸出に目を転ずると、輸送用機器のうちの自動車が台数ベースで▲2.3%減、金額ベースでは+13.7%増となっています。ただし、米国向けの自動車輸出について、さらに詳しく見ると、数量ベースで▲3.6%減、金額ベースで+25.4%増となっており、ようやく、トランプ関税の価格転嫁が始まっている可能性があります。自動車を含む輸送用機器は金額ベースで12.9%増、電気機器も+32.4%増、一般機械も+6.7%増となっています。

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まず、引用した記事の2パラ目で「QUICKが事前にまとめた市場予測の中央値は0.9%増だった。」とありますが、私が調べた範囲で、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前月比▲0.1%減が見込まれていました。また、ロイターの記事では「ロイターがまとめた民間調査機関の予測(0.9%)を上回った。」とあります。いずれにせよ、実績の+8.7%増は、市場の事前コンセンサスを大きく上回り、ちょっとしたサプライズと私は受け止めています。ただし、引用した日経新聞の記事でも、ロイターの記事でも「大型案件」への言及がなされており、関西の片田舎に住む私には詳細不明ながら、どこまでサステイナブルな増加なのかは判りかねます。いずれにせよ、統計作成官庁である内閣府では、基調判断を「持ち直しの動きがみられる」と据え置いています。業種別に前月比で見て、引用した記事の最後の方の2つのパラにあるように、製造業が+5.1%増、船舶・電力を除く非製造業も+6.7%増でした。
日銀短観などで示されたソフトデータの投資計画が着実な増加の方向を見込んでいる一方で、機械受注やGDPなどのハードデータで設備投資が増加していないという不整合があり、昨年2025年10~12月期から機械受注はかなりの増勢を見せているものの、GDP統計ベースでは1~3月期の設備投資が前期比マイナスであった点も含めて、現時点ではまだ完全には解消されているわけではないと私は考えています。人手不足は見込み得る範囲の近い将来にはまだ続くことが軽く予想されますし、DXやGXに向けた投資が盛り上がらないというのは、低迷する日本経済を象徴しているとはいえ、大きな懸念材料のひとつです。かつて、途上国では機械化が進まないのは人件費が安いからであるという議論が広く見受けられましたが、日本もそうなってしまう可能性が否定できません。設備投資の今後の伸びを期待したいところですが、先行きについては決して楽観はできません。特に、日銀が金利の追加引上げにご熱心で、昨日に政策金利が引き上げられ、12月にも追加利上げが予想されていますし、市場における積極財政の評価もあって、長期金利はかなり高い水準にまで上昇しています。為替への影響を別にしても、金利に敏感な設備投資には悪影響を及ぼすことは明らかです。

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