日銀金融政策決定会合は政策金利を1.0%に引き上げる
昨日から本日6月16日にかけて、日銀金融政策決定会合が開催されており、日銀は0.75%から25ベーシス引き上げて政策金利を1.0%にするとした「金融市場調節方針の変更について」を公表しています。この金利引上げの影響については、先週6月8日にみずほ銀行から「日銀利上げ影響の試算アップデート」と題するリポートが明らかにされています。家計への影響は全体で年間1.0兆円、世帯当たり同2万円のプラスがあるとした一方で、住宅ローンなどの負債保有世帯では世帯当たり年間1.2万円のマイナスと見込まれています。また、企業部門については経常利益には▲1.0%、▲1.1兆円の減益圧力になるとの試算結果を示しています。
まず、上のグラフはみずほ銀行のリポートから 1%への利上げによる家計への影響 のグラフを引用しています。上のパネルは世帯全体、下は負債保有世帯です。いずれも2人以上世帯なのですが、10歳刻みの世帯主の年齢階級別に試算されています。見れば明らかですが、普通預金の利子収入については、各年代を通して大きな差はありません。しかし、第1に、定期預金の利子収入が60歳以上で大きくなっている上に、第2に、20代から50代の勤労世代で住宅ローン利払い増が大きくのしかかっています。結果として、勤労世代ではなく引退世代、すなわち高齢世帯ほど有利となっているのが明らかです。もっといえば、金利引上げは勤労世代から高齢世代への所得移転をもたらす、と考えるべきです。
続いて、上のグラフはみずほ銀行のリポートから 1%への利上げによる企業への影響 のグラフを引用しています。資本金で見た企業の規模別に影響が試算されています。これも見ての通りで、企業部門は規模別に分類しても、すべての規模でマイナスの影響を受けるのですが、資本金規模で見て小さい企業ほど金利引上げのマイナスの影響が大きいのが見て取れます。これは、家計部門のように、所得移転を伴うものではありませんが、金利引上げは相対的に大企業ほど有利に働くのは事実と考えるべきです。
金利引上げの影響を取りまとめると、家計vs企業でいえば、企業部門から家計部門への所得移転となります。1990年代初頭におけるバブル崩壊以降の日本経済の大きな問題のひとつが企業部門の貯蓄過剰でしたから、このinter-sectorで考える企業部門から家計部門への所得移転という金利引上げの影響は悪くありません。ただし、家計部門、企業部門、それぞれのintra-sectorで見ると、家計部門内では現役世代から引退世代に所得が移転し、企業部門内では規模の小さい企業ほどマイナスの影響が大きいというのは、それぞれ、決して好ましくない可能性があると私は考えています。全体で物価上昇を抑制する効果とともに、金利引上げの経済効果をどう考えるかの重要な材料ではないか、と私は受け止めています。
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