OECD Tourism Trends and Policies 2026
やや旧聞に属するトピックながら、7月1日、経済開発協力機構(OECD)から OECD Tourism Trends and Policies 2026 と題するリポートが公表されています。2年おきに発表されるリポートです。もちろん、pdfの全文リポートもアップロードされています。日本ベースで考えれば、2023年5月にコロナ(COVID-19)に関して感染法上の分類変更があり、その後のデータが利用可能となったリポートといえます。まず、OECDのサイトからAbstractを引用すると次の通りです。
Abstract
The 2026 edition of OECD Tourism Trends and Policies analyses tourism performance and policy developments across 53 OECD and partner countries. It explores how governments are adapting policy action to strengthen resilience and deliver more balanced economic, social, and environmental outcomes in an uncertain and changing landscape. The report emphasises the need for flexible, co-ordinated policy approaches to put tourism on a more sustainable, resilient and competitive path, and presents data and evidence on the scale, structure and significance of the tourism economy. Tourism policy priorities and reforms are analysed, and examples of country practices highlighted. Thematic chapters provide insights on enhancing the social benefits of tourism and strengthening the sector's capacity to adapt to extreme weather-related events.
政策はさておき、簡単に観光の経済へのインパクトについてグラフを引用して見ておきたいと思います。まず、誤解のないように、あくまでも観光であって、国内と国際の両方を含んでいます。ですので、インバウンド観光だけを分析しているわけではありません。念のため。
上のグラフはリポートから、Figure 1.1. Contribution of tourism to GDP in OECD countries と Figure 1.2. Contribution of tourism to employment in OECD countries の2つのグラフを結合させて1枚に取りまとめています。上のパネルはGDPに占める観光産業のシェアです。日本はOECD平均の4%を大きく下回って、わずかに2%しかありません。下のパネルは観光産業の雇用者が占めるシェアです。ここでは日本はOECD平均を上回っており、全雇用者の中で9%ほどが観光産業に携わっていることが示されています。ほかの国も、どこともに、大雑把に観光産業のGDPが高いと雇用者のシェアも高い、という順相関が見られますが、日本ほど極端にGDPに比べて雇用者のシェアが高いくのはそれほどありません。逆の例では、トルコでは観光産業のGDPシェアはOECD平均を超えて5%あまりを占めているのに対して、雇用者の方は4%に満たない結果となっています。
要するに、日本における観光産業はかなり労働集約的であり、雇用吸収力は大きとはいえ、逆から見ると生産性が低い、ということになります。私自身はエコノミストとして、観光に関してはニュートラルであり、特に、推進すべきとも抑制すべきとも考えていません。私の見方を離れても、観光に関しては地域によって観光リソースの分布が大きく偏っていることが軽く想像されます。ですので、一概には何ともいえませんが、日本の生産性の低さを考えれば、高付加価値分野へのシフトはそれなりに重要であり、インバウンドをはじめとして、どこまで観光産業の推進や育成が図られるべきか、少し立ち止まって考える必要があるような気がします。
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