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2026年7月22日 (水)

原油輸入額が大きく増加した6月の貿易統計

本日、財務省から6月の貿易統計が公表されています。統計のヘッドラインについて、季節調整していない原系列で見て、輸出額が前年同月比+19.3%増の10兆9290億円に対して、輸入額は+25.4%増の11兆3359億円、差引き貿易収支は▲4069億円の赤字を計上しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

6月の貿易収支、2カ月連続赤字 原油輸入費が高止まり
財務省が22日発表した6月の貿易統計によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は4069億円の赤字だった。赤字は2カ月連続。中東情勢の悪化に伴う原油輸入コストの高止まりが続いている。
輸出額は10兆9290億円で前年同月比19.3%増加した。増加は10カ月連続。中国向けのICチップなどの電子部品、インド向けの精製銅などの非鉄金属、米国への自動車の輸出が伸びた。
輸入額は11兆3359億円で25.4%増えた。増加は5カ月連続。台湾向けの半導体等電子部品、韓国から銀などの非鉄金属の輸入が増えた。
石油輸送の要衝であるホルムズ海峡が事実上の封鎖状態が続き、原油の輸入量は881万キロリットルと13.7%減少した。輸入額は1兆375億円と59.3%増えた。輸入単価は円建てで1キロリットルあたり11万7684円と84.7%上昇した。
原油輸入を地域別で見ると、中東からの輸入量は40.6%減って569万キロリットルだった。代替調達が進み、米国からの輸入量は272万キロリットルと459.5%増加した。米国産の原油は輸入量、輸入額ともにデータの遡れる1979年1月以降で最大となった。
2026年の上半期にあたる1~6月の貿易収支は1兆143億円の赤字だった。赤字は10期連続で、赤字額は前年同期から57.0%減った。輸出額は13.7%増の60兆6605億円、輸入額は10.7%増の61兆6749億円だった。

包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、貿易統計のグラフは下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、引用した記事にはありませんが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、▲1000億円を少し超えるくらい貿易赤字が見込まれていましたし、予測レンジ下限でも▲3451億円でしたので、実績の▲4069億円の赤字は大きく下振れした印象です。注目の原油及び粗油の6月統計での輸入は、引用した記事の4-5パラ目にあるように、キロリットル単位の数量ベースで前年同月比▲13.7%減の減少を示していますが、金額ベースでは+59.3%増となっています。それだけ単価が上昇しているということです。先月公表された5月の貿易統計速報の時点では、原油及び粗油の輸入は数量ベースで▲57.3%減でしたので、5月から6月にかけて大きく供給制約は緩和された、という評価はできるかもしれません。ただ、ほぼほぼ政府広報紙と化した日経新聞では、引用した記事の5パラ目にあるように、「代替調達が進み、米国からの輸入量」が増加している点を強調したいのだろうと思います。いずれにせよ、私の主張は従来から変わりなく、輸入は国内の生産や消費などのために必要なだけ輸入すればよく、貿易収支や経常収支の赤字と黒字は何ら悲観も楽観もする必要はない、と考えています。固定為替相場制度を取っていた1950-60年代の高度成長期のように、「国際収支の天井」を意識した政策運営は、現在の変動為替制度の下ではまったく必要なく、比較優位に基づいた貿易が実行されればいいのですが、地政学リスクにより比較優位に基づく貿易が、現時点では、阻害されている可能性が否定できない、と考えています。すなわち、中東での武力紛争により石油輸入の量と価格の動向が大きな問題と考えるべきです。
本日公表された6月の貿易統計について、季節調整していない原系列の前年同月比により主要品目別に少し詳しく見ておくと、まず、輸入については、繰返しになりますが、もっとも注目されている原油及び粗油がキロリットルの数量ベースで▲13.7%減ながら、金額ベースでは+59.3%増となっています。特に、中東からの原油及び粗油の輸入は、数量ベースで前年同月から▲40.6%減となっています。さらに、エネルギーに次いで注目されている食料品は金額ベースで+9.3%増となっています。原料品のうちの非鉄金属鉱は重量ベースで▲29.6%減ながら、商品市況の高騰により金額ベースでは+3.3%増を記録しています。輸出に目を転ずると、輸送用機器のうちの自動車が台数ベースで+6.0%増、金額ベースでも+23.0%増となっています。米国向けの自動車輸出についても、数量ベースで+5.7%増、金額ベースで+34.5%増となっており、トランプ関税の価格転嫁が進んでいる可能性があります。米国だけではなく世界向けに戻って、自動車を含む輸送用機器は金額ベースで14.4%増、電気機器も+29.4%増、一般機械も+10.9%増となっています。比較優位にしたがって貿易すると、このあたりの輸送用機器、電気機器、一般機械などに日本はアドバンテージがあるんだろうと思います。

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