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2026年7月 7日 (火)

景気拡大を示す景気動向指数と底堅い家計調査と賃金上昇がインフレを上回る毎月勤労統計

本日、内閣府から景気動向指数が、また、総務省統計局から家計調査が、さらに、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。いずれも5月の統計です。景気動向指数のヘッドラインとなるCI先行指数は前月から+0.7ポイント上昇の116.8、CI一致指数も3か月連続の上昇で+0.4ポイント上昇の118.5を記録しています。家計調査の方は、2人以上世帯の消費支出の前年同月比は、実質▲0.4%の減少、名目は+1.3%の増加となりました。毎月勤労統計のうち、賃金指数について季節調整していない原系列で見て、名目の現金給与総額は311,165円と前年同月比+3.2%増となり、消費者物価上昇率を上回ったため実質賃金は前年同月比で+1.4%増と、5か月連続のプラスを記録しています。まず、各統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトから引用すると以下の通りです。

景気動向一致指数5月は0.4ポイント上昇、食品値上げなど寄与 判断据え置き
内閣府が7日公表した5月の景気動向指数(速報、2020年=100)によると、足元の景気を示す一致指数は前月比0.4ポイント上昇の118.5と3カ月連続のプラスだった。自動車出荷や食品値上げなどが押し上げた。基調判断は「改善を示している」で据え置いた。4月の基調判断は速報段階の「上方への局面変化」を改定値で「改善」に引き上げていた。
<ナフサ上昇、先行指数押し上げ>
一致指数を主に押し上げたのは、耐久消費財出荷指数や小売販売額、鉱工業用生産財出荷指数など。自動車の国内外出荷が伸びたほか、飲食料品の値上げやエアコン販売などが寄与した。自動車部品の出荷も伸びた。
先行指数は前月比0.7ポイント上昇の116.8と12カ月連続のプラスだった。押し上げに寄与したのは消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数など。ナフサなど化学製品の価格上昇や日経平均株価の最高値更新などが押し上げた。
5月実質消費支出は前年比0.4%減、6カ月連続マイナス=総務省
総務省が発表した5月の家計調査によると、2人以上の世帯の実質消費支出は前年比0.4%減となり、6カ月連続のマイナスとなった。電気・ガス代が減少したほか、自動車購入や通信費が伸び悩んだ。
ロイターの事前予測調査では同2.5%減が予想されていた。実質消費支出はそこまでの落ち込みはなく、総務省では消費は底堅い動きとみている。対前月の季節調整値は3.7%増となり、消費支出は101.7と100を超えている。
「足元としては消費支出は一定の増加の動きがみられる。ただ一部弱い動きもみられる」と総務省の担当者は述べた。
4月までは、消費支出のキーワードは、メリハリだった。5月は昨年よりも休日が2日多く、消費活動にはプラスだった。外食・調理食品など食料が4カ月ぶりに増加、エアコン等家庭用耐久財や家具・家事用品も7カ月連続で増加した。そのほか、被服・履物、教育がそれぞれ3カ月、2カ月ぶりに増加した。
また、為替市場で円安が進行する中で国内・国外のパック旅行は鈍化した。
5月実質賃金は前年比1.4%増、5カ月連続プラス=毎勤統計
厚生労働省が7日公表した5月の毎月勤労統計によると、名目賃金から物価変動の影響を除いた実質賃金は前年比1.4%増と、5カ月連続でプラスとなった。ただ、伸び率は前月の2.0%(改訂値)から鈍化した。ガソリンやプロパンガスなどの値上げで物価の伸びがやや加速したことが影響した。
名目賃金に当たる現金給与総額は1人当たり平均で31万1165円と、3.2%増えた。53カ月連続のプラス。前月の3.6%増から鈍化したが、34年2カ月ぶりに4カ月連続で3%以上の伸びを維持した。
このうち、基本給と残業代などを合わせた「決まって支給する給与」は3.0%増えた。基本給に当たる「所定内給与」も3.0%増だった。33年7カ月ぶりに5カ月連続で3%以上の伸びを記録した。
賞与などの特別に支払われた給与は5.2%増と前月の10.3%から伸びが鈍化した。
消費者物価(持ち家の帰属家賃を除く総合)の上昇率は前年比1.7%と前月の1.5%からやや加速したが、1%台にとどまった。
厚労相の担当者は給与の伸びは「力強いといえる」と指摘。消費者物価が落ち着いていることも実質所得にとってプラス要因とした。

いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。ただし、統計公表直後の記事を引用していますので、その後、追加記事や差替え記事が出ている可能性があります。続いて、景気動向指数のグラフは次の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、CI一致指数が前月から+0.4ポイントの上昇、先行指数も同じく+0.7ポイントの上昇と予想されていました。実績の一致指数+0.4ポイント、先行指数+0.7ポイントのそれぞれ上昇はコンセンサスにジャストミートしました。繰返しになりますが、5月統計のCI一致指数は、3か月連続の上昇となります。さらに、内閣府のプレスリリースによれば、CI一致指数は、3か月後方移動平均は前月から+0.67ポイントの上昇、3か月連続の上昇となり、加えて、7か月後方移動平均は前月から+0.40ポイント上昇し、これは5か月連続の上昇です。統計作成官庁である内閣府による基調判断は、先月4月統計の速報段階では「上方への局面変化」に据え置かれていましたが、4月統計の確報段階で「改善を示している」に上方修正されていて、本日公表の5月統計の速報段階でも「改善」で据え置かれています。先行きに関しては、私はいろいろと紆余曲折を経つつも、米国経済がソフトランディングに成功するとすれば、そう簡単には日本経済が景気後退局面に入ることはない、と考えています。ただし、そもそも、米国経済でも日本経済でもまだまだインフレが高止まりしており、特に、日本ではすでに景気回復・拡大局面の後半に入っている点は忘れるべきではありません。ただ、米国とイスラエルによるイラン攻撃から始まった中東の武力紛争は、一応の停戦合意を見ましたので、日米ともソフトランディングの確率が高まったと考えるべきです。石油価格は指標となるWTI先物がバレル当たり70ドル前後で推移しています。東証の日経平均株価は高値圏で推移していますが、長期金利が2.8%超となっている中で、多くのエコノミストが円高を展望して待ち望んでいる金融引締めは景気を下押しすることが明らかです。日米同時リセッションの可能性がまったく否定されるわけではありません。
一応、本日公表の統計のうち、CI一致指数の前月差+0.4ポイント上昇への寄与度を見ておくと、引用した記事にもあるように、 耐久消費財出荷指数が+0.43ポイントがもっとも大きな寄与を示したほか、、商業販売額(小売業)(前年同月比)が+0.34ポイント、 鉱工業用生産財出荷指数が+0.19ポイントのそれぞれプラスの寄与度となっています。CI先行指数については、消費者態度指数や新設住宅着工床面積、日経商品指数(42種総合)まどのプラス寄与が大きくなっています。

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続いて、家計調査のグラフは上の通りです。上のパネルは、名目及び実質の消費支出の前年同月比の推移であり、下は季節調整済みの名目指数及び実質指数です。いずれも影をつけた期間は景気後退期です。引用した記事の2パラ目にある通り、ロイターによる市場の事前コンセンサスは前年同月比で▲2.5%減でしたし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、同じく、実質消費支出の前年同月比が▲2.4%減と予想されていました。実績の▲0.4%はかなり上振れしており、消費は底堅い印象です。家計調査はもともとが振れの大きな統計ですが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスのレンジ上限が▲0.9%減でしたので、ややサプライズであったと私は受け止めています。ただし、上振れながらマイナスということは変わりありません。引用した記事の4パラ目にあるように、今年2026年の5月は昨年よりも休日が2日多かったのも上振れのひとつの要因です。品目別に見て、外食、調理食品などの食料については前年同月比で実質+2.4%増、寄与度も+0.71%となっており、少なくとも外食については休日が多かったことが寄与していると考えるべきです。エアコンをはじめとする家庭用耐久財や家事用消耗品などの家具・家事用品も実質で+23.0%増加し、+0.96%の寄与度となっています。ただ、私立大学の授業料等をはじめとする教育が実質+21.7%増、寄与度+0.80%に上っています。授業料が値上げされた結果であり、支出が増加して消費が増えたという好ましい結果であるよりは、家計への負担が高まったわけであり、望ましい支出増かどうかは疑わしいところです。最後に、勤労者世帯の実収入は4月+2.3%増に続いて、5月も+0.7%とプラスが続いています。

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毎月勤労統計を見ると、まず、賃金については、5か月連続で前年同月比で実質賃金がプラス、5月統計では+1.4%増というのは、そもそも、現金給与総額が前年同月比で+3.2%増となった上に、帰属家賃を除く消費者物価上昇率が+1.7%にとどまったことに起因します。4月統計の確報では、現金給与総額が+3.6%増、実質賃金が+1.5%増でした。さらに、よりくわしく、賞与と3か月を超える通勤手当といった変動の大きな部分を除いた「きまって支給する給与」と「所定内給与」を見ると、名目の現金給与指数で見て、「きまって支給する給与」が4月+3.4%増から、5月も+3.0%増であり、4か月連続で+3%以上の伸びを示しています。「所定内給与」も4月の3.3%増から5月も+3.0%増と、こちらは5か月連続で+3%以上の伸びとなっています。加えて、賞与と3か月を超える通勤手当の合計である「特別に支払われた給与」も5月は+5.2%増と増加しています。最近時点での消費者物価指数(CPI)の前年同月比で見たインフレ率が+2%を下回っていますので、賃金上昇がようやくインフレを上回る状態になった、あるいは、逆から見て、政策的に賃金上昇率を下回るインフレに抑制されているということが出来ます。要するに、業績見合いのボーナスなど「特別に支払われた給与」もさることながら、経済学でいう恒常所得に近い概念の「きまって支給する給与」や「所定内給与」がようやくプラスになった、ということが出来ますので、この恒常所得の伸びは消費の増加につながることが期待されます。

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