初等中等教育で自宅で勉強しない子が増えている
一昨日の6月30日、ベネッセ教育総研から「子どもの生活と学びに関する親子調査2025」の結果が明らかにされています。東京大学社会科学研究所との共同研究プロジェクトだそうです。まず、【調査結果サマリー】をリポートから手短かに5点引用すると次の通りです。
【調査結果サマリー】
- 学校外の学習時間の変化 - この11年で1日あたりの学校外の学習時間は約2割減少
- 学習意識の変化 - この11年で「勉強が好き」が減少し、「何のために勉強しているのかわからない」が増加
- 成績上位層は下位層に比べて宿題以外の家庭学習時間が長く、経年では上位層と中・下位層との差が拡大
- 社会経済的地位(SES)により宿題以外の家庭学習時間に大きな差があり、経年ではSESによる差が拡大
- この11年で宿題以外の家庭学習をしない子ども(家庭学習0分層)が10ポイント前後増加し4~5割に
私は大学という高等教育機関の教員であり、本調査が対象としている初等中等教育でなないのですが、その中等教育である高校を卒業した学生が入学してくるわけですので、それなりに気がかりではあります。特に、【調査結果サマリー】の3.4.5.のあたりです。グラフを引用しつつ簡単に見ておきたいと思います。
まず、リポートから 図3-1 学校外の学習時間 (学校段階別/成績別、2025年データ) を引用すると上の通りです。あまりにも当然なのですが、成績上位層は下位層に比べて学校外の学習時間が長く、宿題以外の家庭学習時間の差が大きい、という結果が示されています。基本的には、学習時間が長いことが原因であって、その結果として成績が上位である、と考えるべきでしょうが、因果関係は逆かもしれません。興味深いのは、学年別の上位層と下位層の差ではなかろうか、と私は考えています。すなわち、低学年の小1~3生ではそれほど大きな差がない一方で、高学年の小4~6生では差が拡大しています。おそらく、中学受験する子がいるのがひとつの要因ではないか、と私は推測しています。ですので、中学校ではこの差が縮小します。ほぼほぼすべての中学生が高校受験をするからだと思います。そして、高校生になると再び差が拡大します。大学受験を目指す生徒と就職する生徒の差ではなかろうか、と私は受け止めています。
続いて、リポートから 図4-1 学校外の学習時間 (学校段階別/SES別、2025年データ) を引用すると上の通りです。なお、SESとはSocio-Economic Status の略となっています。所得だけでなく、保護者の学歴・職業・世帯年収をもとに各層が25%ずつになるように、L層(Lowest層)、LM層(Lower Middle層)、UM層(Upper Middle層)、H層(Highest層)に分類しているようです。上のグラフではLM層、UM層を省略し、4分位のうちの最下層と最上層だけをプロットしています。見れば明らかな通り、宿題以外の家庭学習の時間に大きな差があります。これも、高校受験はほぼほぼすべての中学生が目指している一方で、中学受験する小学生や大学受験を希望する高校生は、決して全員ではない、という理由により小4~6生と高校生で差が大きくなっているような気がします。
最後に、リポートから 図5-1 宿題以外の学習をしない子ども(家庭学習0分層)の出現割合の変化 (学校段階別) を引用すると上の通りです。これはショックな結果であり、何と、高校生が小学生や中学生よりも宿題以外の学習をせず、家庭学習0分の子の割合が高くなっています。繰返しになりますが、ひとつの要因としては、高校が最後の学校になって就職する子がいる点があります。ですので、大学に進学を希望する高校生の半分強が宿題以外の家庭学習をしないとは考えられませんが、まあ、ショックな内容でした。
| 固定リンク



コメント