2020年7月 6日 (月)

ピュー・リサーチ・センターによる米国大統領選挙の支持階層分析やいかに?

6月30日付けで、米国の世論調査機関であるピュー・リサーチ・センターから Public's Mood Turns Grim; Trump Trails Biden on Most Personal Traits, Major Issues と題する調査結果が明らかにされており、Trump Trails Biden というタイトルから明らかな通り、米国大統領選挙の支持階層分析が示されています。

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上のグラフは、ピュー・リサーチのサイトから As in 2016, wide divides by gender, race and ethnicity, age and education in 2020 voter preferences と題するグラフを引用しています。米国大統領選挙の候補と考えられる民主党の売電上院議員と共和党のトランプ現米国大統領を比較して、その支持層を性別・人種別・年齢別・学歴別、などで分類しています。全体として、10%ポイント前後の支持率の差があるのは多くの世論調査結果で共通しているように私は受け止めています。その上で、性別には大きな特徴はないものの、人種別には黒人やヒスパニックでバイデン候補がリードしています。年齢では若いほど、また、学歴が高いほどバイデン候補の支持が大きい、との結果が示されています。これは4年前のBREXITの英国国民投票とかなり類似していると私は考えています。典型的には、PoliticoのGuàrdiaリポートが明らかにしています。4年前の2016年のBREXITの国民投票でも、年齢が低いほど、また、学歴が高いほど、Remainの投票割合が高い、との結果となっています。おそらく、4年前の米国大統領選挙でもご同様だったんではないかと私は想像していますが、それでもトランプ米国大統領が選挙で勝ったわけですから、示唆に富む分析結果ともいえます。

さて、今年の米国大統領選挙を制するのは誰なんでしょうか?

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2020年7月 3日 (金)

米国雇用統計のリバウンドをどう評価するか?

日本時間の昨夜、米国労働省から6月の米国雇用統計が公表されています。新型コロナウィルス(COVID-19)の影響から、非農業雇用者数は4月の大幅減の後、5~6月統計ではリバウンドして6月には+4,800千人増を記録しています。同じく、失業率も一気に悪化した4月からのリバウンドが見られ、11.1%に改善しています。でも、まだ、10%を超える水準です。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから統計を報じる記事を最初の6パラだけ引用すると以下の通りです。

4.8M jobs added and unemployment falls to 11.1% as more states reopen after COVID-19 shutdowns
The U.S. economy added a record 4.8 million jobs in June as states continued to allow businesses shuttered by the coronavirus to reopen and more Americans went back to work, even as massive layoffs have persisted.
The unemployment rate fell to 11.1% from 13.3% in May, the Labor Department said Thursday.
Economists surveyed by Bloomberg had estimated that 3.1 million jobs were added in June.
But while the rebound in employment has soundly topped estimates, a surge of new infections in many states threatens to curtail gains in coming months.
The number of Americans on temporary layoff fell by 4.8 million to 10.6 million as many laid-off workers were called back amid state reopenings. About 60% of unemployed workers were on temporary layoff, down from 73% in May. At the same time, 2.9 million people had permanently lost jobs in June, up from 2.3 million the prior month, in a sign more employers are cutting ties with workers.
The Labor Department separately reported Thursday that 1.4 million Americans filed initial jobless claims last week, down from 1.5 million the prior week, a sign that a historically high number of workers continue to be laid off. Claims have reached a staggering 48 million the past three months.

やや長くなりましたが、まずまずよく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルでは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門を、さらに、下は失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期だったんですが、米国経済が長らく景気回復・拡大を続けているために、このグラフの範囲外になってしまっているものの、現在の足元で米国経済が景気後退に入っていることは明らかです。ともかく、4月の雇用統計からやたらと大きな変動があって縦軸のスケールを変更したため、わけの判らないグラフになって、その前の動向が見えにくくなっています。

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米国に限らず、経済指標が4月や5月に大きく悪化したのは、いうまでもなく、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の拡大防止のためのロックダウンなどの措置によるものであり、その後の感染拡大と経済回復のトレードオフに直面して、いろんな方向性が示されているところですが、米国は我が国や欧州と比較して、明らかにCOVID-19の感染拡大防止よりも経済回復に力点をおいているように見受けられます。しかし、その米国においてすら、雇用の回復が緩やかであるわけですので、我が国などにおける経済政策の方向性も、十分、米国政策動向を考えて策定されるべきです。特に、従来から、米国は我が国などに比較して、雇用では賃金という価格ではなく数量ベースの調整、すなわち、雇用者の増減で労働市場の調整が行われる経済構造になっていましたので、雇用者や失業率の大きな変化が生じているわけですが、6月の雇用増+4,800千人増をもって、「単月で過去最大」とトランプ米国大統領が発言したと、日経新聞のサイトで報じられていますが、4月に20,000万人超の減少があったわけですので、まだまだ雇用回復の道のりは長いと覚悟すべきです。事実、米国議会予算局(CBO)では、7月2日に10年間の長期経済見通し An Update to the Economic Outlook: 2020 to 2030 を公表しましたが、失業率は今年2020年に10.5%、来年2021年7.6%、そして、2025-30年になっても米国失業率は4.4%に高止まりし、COVID-19パンデミック前の2019年の水準である3.5%には戻らない、と予測しています。CNNの報道などでも注目しています。

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最後に、上のグラフは時間当たり賃金の動向をプロットしています。雇用統計と同じように、4月統計で大きくジャンプし、その後、5~6月統計と落ち着きを取り戻し始めていますが、少なくとも米国連邦準備制度理事会(FED)の金融政策に対する指標としての役割を取り戻すまでは、もう少し時間がかかりそうです。

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2020年7月 2日 (木)

総務省統計局「緊急事態宣言下における国内移動者数の状況」に見る東京都からの脱出やいかに?

一昨日の6月30日付けで総務省統計局から「統計Today No.157」として、「緊急事態宣言下における国内移動者数の状況」と題するリポートが公表されています。『住民基本台帳人口移動報告』からのリポートで、実は、6月10日にも同じ『住民基本台帳人口移動報告』を基にした3月と4月の国内移動のリポートが「統計Today No.156」として公表されていますが、後者の「統計Today No.156」は通常の年度替わりの移動や引越しシーズンの特徴を取りまとめただけなのに比べ、前者の「統計Today No.157」ではタイトル通りに緊急事態宣言との関連に焦点が当てられています。実は、私はこの「統計Today」というシリーズは書いたことがないのですが、別シリーズの「統計リサーチノート」というのは、統計局に出向していた際にいくつか書いた記憶があります。それはともかく、グラフを引用しつつ簡単に見ておきたいと思います。なお、この『住民基本台帳人口移動報告』では、あくまで引越しに伴う移住のことを「移動」と定義していますので、電車に乗って買い物に行ったり、通勤とか、宿泊を伴うとしても旅行なども、この統計で定義する「移動」ではありません。この点は注意が必要です。また、統計局より1日早く、6月29日付けでみずほ総研から同じ趣旨の「コロナで東京の転入超過数が急減」と題するリポートも明らかにされています。こちらもご参照かもしれません。

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上のグラフはリポートから引用していて、最近7年間の月別の東京都の転入超過数をプロットしてあります。リポートのタイトルこそ、「国内移動」と気張ってはいますが、実は、このリポートは緊急事態宣言下での東京への人口流入に焦点を当てています。そして、上のグラフから明らかな通り、外国人を含む移動者数の集計を開始した2013年7月以降初めて、わずかに1000人余りではありますが、緊急事態宣言中の2020年5月に東京都は転出超過を記録しています。どこまで新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の拡大防止のための緊急事態宣言が影響したのかは、少なくとも現時点では不明ながら、何らかの関係を強く示唆されていると感じるのは私だけではないと思います。ここ数年で月単位で見ても、東京に移り住む人の数が一貫して東京の外に出る人数を上回っていたにもかかわらず、緊急事態宣言が出された後の今年2020年5月にはこれが逆転し、ネットで見て東京から外に移り住む人の数の方が多くなったわけです。どうでもいいことながら、我が家のカミさんと私は3月に東京から移り住んでいます。

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まず、地域的な要因を探ったのが上のグラフであり、リポートから引用していて、道府県別の東京都への転入者数の前年同月差、すなわち、2019年5月と2020年5月の差をプロットしてあります。明らかに東京近郊の首都圏から東京に移り住む人の数が減っていることが理解できます。首都圏のほかでは、大阪府、愛知県、福岡県といった人口の大きな府県が続いています。でも、大雑把にいって、埼玉県、千葉県、神奈川県からの転入が減っていることが大きな要因です。

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次に、年齢的な要因を探ったのが上のグラフであり、リポートから引用していて、5歳階級の年齢別の東京都への転入者数の前年同月差、すなわち、2019年5月と2020年5月の差をプロットしてあります。20歳代前半をピークにして、大雑把に、年齢とともに徐々に転入超過者数のマイナス幅が小さくなっており、明らかに若年層を中心にした東京転入減だということが理解できます。すなわち、これらのグラフを並べると、首都圏3県から20代を中心に、おそらく、進学や就職などの機会で東京に移り住むのをヤメにして、地元から通学・通勤する方を選択した人が昨年より多くなった、という結果なのであろうと想像されます。そして、時期的に2020年5月が緊急事態宣言下であったということは、要因のひとつがCOVID-19であろうという点も示唆されている気がします。ただし、東京一極集中はともかく、首都圏への集中が緩和された、ということにはならないんではないか、と私は受け止めています。

最近、東京でのCOVID-19感染者数がジワジワと増加の兆しを見せていて、1日あたりで今日は100人超との速報を見ました。クラスターの発生した周辺を重点的に検査しているから、との発表もあるようですが、この東京からの純転出という統計は、現在、東京都知事選挙の終盤戦で、小池都政への批判もひょっとしたら含まれているのかもしれません。たぶん、違うとは思いますが。

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2020年7月 1日 (水)

急激に悪化した企業マインドを反映する6月調査の日銀短観をどう見るか?

本日、日銀から6月調査の短観が公表されています。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは3月調査から▲26ポイント低下して▲34を示した一方で、本年度2020年度の設備投資計画は全規模全産業で前年度比▲0.8%の減少と3月調査の結果から下方修正されてます。日銀短観の設備投資計画は統計のクセとして、6月調査は3月調査よりもハネ上がるのが通例なんですが、極めて異例の結果となっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業製造業の景況感、11年ぶり低水準 日銀6月短観
日銀が1日発表した全国企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はマイナス34になった。リーマン危機後の2009年6月以来11年ぶりの低水準だ。3月の調査から26ポイントの落ち込みで、悪化幅は過去2番目の大きさ。新型コロナウイルスの感染拡大で世界的に経済活動が停滞している影響がくっきり表れた。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた値。大企業製造業のマイナスは2四半期連続。QUICKが事前に集計した民間予測の中心値(マイナス31)を下回った。悪化は6四半期連続になる。かねて米中貿易摩擦で業況が悪化していたところに新型コロナの世界的な流行が追い打ちをかけた。
非製造業はマイナス17で25ポイント悪化した。過去最大の悪化幅だ。中小企業の景況感も悪化した。製造業はマイナス45で30ポイント下がった。
大企業の景況感は小売業だけが改善し、他の業種は軒並み悪化した。DIが最も低かったのはコロナ禍が直撃する宿泊・飲食サービスでマイナス91だった。入国制限や外出自粛で観光客が「蒸発した」(日銀)。レジャー施設などを含む対個人サービスは64ポイント下がり、マイナス70となった。感染防止のため長期間の営業自粛を余儀なくされたためだ。
製造業で最もDIが悪かったのは基幹産業である自動車だ。マイナス72で55ポイント下がった。09年6月(マイナス79)以来の低い水準だ。自動車販売の急減で生産調整を余儀なくされている。
小売業はプラス2で9ポイント上昇した。食品スーパーやホームセンターで「巣ごもり需要が好調だった」(日銀)という。
先行きは大企業(全産業)がマイナス21と5ポイントの改善を見込む。ただ、新型コロナの感染者はブラジルやインドなど新興国で増加に歯止めがかからず、経済活動を再開した米国でも再び増えている。先行きの不透明感は強い。

やや長いんですが、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2018年10月、あるいは、四半期ベースでは2018年10~12月期を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

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まず、先週6月26日付けのこのブログでも日銀短観予想を取り上げ、大雑把に、ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIが▲30前後という結果をお示ししていましたし、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、同じく大企業製造業の業況判断DIが▲31と報じられていますので、実績が▲34ですから、やや下振れした印象はあるものの、現在までの新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響を考慮すれば、ほぼ「こんなもん」と受け止められているような気がします。私が見た範囲で特徴的だったのは、もちろん、細かい産業別規模別に見ればバラツキは大きいものの、規模別で大企業・中堅企業・中小企業の分類、また、産業も大きく製造業と非製造業であれば、2×3の6カテゴリーで見て、3月調査から6月調査への変化幅は▲25から▲30の範囲にあります。より細かく見ると、非製造業のうちでも小売業は3月調査から6月調査への変化幅で見て、大企業こそ記事にもあるように+2と企業マインドが改善している一方で、同じ小売業でも中堅企業は▲16と3月調査から悪化していますし、中小企業では▲18と悪化幅が大きくなっています。そして、小売業に限らず、先行きについては大企業と中堅・中小企業とで明暗が別れています。すなわち、大企業では製造業・非製造業ともに先行き業況判断DIは改善すると見込んでいるのに対して、中堅・中小企業では足元から先行きにかけてもさらに悪化すると考えています。上のグラフに見られる通りです。ただし、改善の方向を示すとはいえ、大企業でもまだDIの水準は大きなマイナスのままです。ということで、変化方向ではなく6月調査の業況判断DIの水準に着目すると、特に低水準となっているのは製造業では自動車、非製造業では宿泊・飲食サービスとなっています。ですから、COVID-19の感染拡大防止のための世界的なロックダウンや外出自粛の影響が大きいのはいうまでもありません。繰り返しになりますが、先行きもヘッドラインとなる大企業製造業こそ3か月先には▲27と改善する見込みを示しているものの、まだまだDIの水準としては低いと考えるべきですし、製造業でも非製造業でも、中堅企業と中小企業は先行きさらなる悪化が見通されています。何度も繰り返しましたが、日本を含む先進国経済については4~6月期で底を打つ可能性が高いものの、その後の回復はかなり緩やかになるものとの予想が強まっています。

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続いて、設備と雇用のそれぞれの過剰・不足の判断DIのグラフは上の通りです。経済学的な生産関数のインプットとなる資本と労働の代理変数である設備と雇用人員については、方向としてはいずれも過剰感が高まる方向なんですが、DIの水準として、設備についてはすでにプラスに転じて過剰感が発生している一方で、雇用人員については大きく不足感が緩和されたとはいえ、まだ過剰感が発生するには至っておらず、絶対的な人数としては不足感が残っている、ということになります。ただし、何度もこのブログで指摘しているように、賃金が上昇するという段階までの雇用人員の不足は生じていない、という点には注意が必要です。ただ、我が国人口がすでに減少過程にあるということが企業マインドによく反映されていることは事実です。安倍内閣はかつて賃上げを経済界や経営者団体に要請したこともあったんですが、それでも賃金が上がらなかったのですから、マインドだけに不足感があり、経済実態としてどこまで不足しているのかが、私には謎です。グローバル化が進む中で生産関数が同じ産業では賃金が途上国や新興国の水準に影響を受けるというのが国際貿易論の結論ですが、そうなのかもしれませんし、違うかもしれません。他方で、ITC化などのスキル偏重型の技術進歩のため格差が拡大している、というのが主流派経済学の主張です。これもそうなのかもしれませんし、違うかもしれません。

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日銀短観の最後に、設備投資計画のグラフは上の通りです。最初に書いた通り、日銀短観の設備投資計画のクセとして、3月調査時点ではまだ決まっている部分が少ないためか、3月には小さく出た後、6月調査で大きく上方修正される、というのがあったんですが、今年度2020年度だけは違っています。3月調査の設備投資計画から6月調査では全規模全産業で下方修正されています。これは、リーマン・ブラザーズ破綻直後の2009年度に3月調査で▲14.3%減から6月調査の▲17.1%減に下方修正されて以来の異例のパターンです。加えて、2019年度の設備投資計画も最後の6月調査による実績では前年度比マイナスとなりました。ただ、上のグラフは全規模全産業をプロットしてありますが、大企業全産業では+3.2%増と底堅い設備投資計画が示されています。ただし、グラフは示していませんが、設備投資の決定要因としては将来に向けた期待成長率などとともに、足元での利益水準と資金アベイラビリティがあります。6月調査の日銀短観でも全規模全産業の経常利益の2020年度計画は前年比で▲20%近いマイナスですし、資金繰り判断DIは中小企業でとうとうマイナスに悪化しています。この資金繰りについては、日本政策金融公庫が実施している「中小企業景況調査」でも5月からマイナスに転じており、日銀としても何らかの中小企業向け資金繰り支援策を考慮する必要があるんではないか、と私は考えています。

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最後の最後に、日銀短観を離れて、本日、内閣府から6月の消費者態度指数も公表されています。6月の消費者態度指数は5月から+4.4ポイント上昇して28.4となり、2か月連続で前月を上回りました。統計作成官庁である内閣府では、基調判断を「依然として厳しいものの、このところ持ち直しの動きがみられる。」と上方修正しています。グラフだけ上の通りお示ししておきます。

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2020年6月30日 (火)

いずれも市場の事前コンセンサスから下振れした鉱工業生産指数(IIP)と雇用統計をどう見るか?

本日は月末最終の閣議日ということで、重要な政府統計がいくつか公表されています。すなわち、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも5月の統計です。まず、鉱工業生産指数(IIP)は季節調整済みの系列で見て、前月から▲8.4%の減産を示し、失業率は前月から+0.3%ポイント上昇して2.9%、有効求人倍率は前月から▲0.12ポイント低下して1.20倍と、雇用も悪化しています。いずれも新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響によるものと考えるべきです。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

5月鉱工業生産、8.4%低下 6月予測は5.7%上昇
経済産業省が30日発表した5月の鉱工業生産指数(2015年=100、季節調整済み)速報値は、前月比8.4%低下の79.1だった。低下は4カ月連続。生産の基調判断は「急速に低下している」に据え置いた。QUICKがまとめた民間予測の中央値は前月比5.8%低下だった。
出荷指数は8.4%低下の77.2で、在庫指数は2.5%低下の103.4。在庫率指数は6.9%上昇の148.1だった。
同時に発表した製造工業生産予測調査では、6月が5.7%上昇、7月は9.2%上昇を見込んでいる。
5月の完全失業率2.9% 前月比0.3ポイント上昇
総務省が30日発表した5月の労働力調査によると、完全失業率(季節調整値)は2.9%で前月比0.3ポイント上昇した。QUICKがまとめた市場予想の中央値は2.8%だった。
完全失業者数(同)は197万人で、19万人増加した。うち勤務先の都合や定年退職など「非自発的な離職」は7万人増、「自発的な離職」は4万人増だった。就業者数(同)は6629万人で4万人増加した。
5月の有効求人倍率、1.20倍 下げ幅は46年ぶりの大きさ
厚生労働省が30日発表した5月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.12ポイント低下の1.20倍だった。下げ幅は第1次石油危機後にあたる1974年1月(0.20ポイント低下)以来、46年ぶりの大きさだった。倍率は2015年7月以来4年10カ月ぶりの低水準で、QUICKがまとめた市場予想の平均の中心値である1.22倍を下回った。新型コロナウイルス感染症の影響で飲食業や宿泊業のほか、娯楽業や製造業など幅広い業種で求人数が減少した。
雇用の先行指標とされる新規求人倍率は1.88倍と、前月比で0.03ポイント上昇した。正社員の有効求人倍率は前月比0.08ポイント低下の0.90倍だった。厚労省の担当者は今後の求人動向について「5月後半の経済活動再開にあわせて一部業種で求人を再開する動きがあり、持ち直しの兆しもみられている」と説明している。

いくつかの統計を取り上げていますのでとても長くなってしまいましたが、いつものように、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは下の通りです。上のパネルは2015年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、生産は▲5.8%の低下との見込みながら、レンジでは▲7.5%~▲3.8%でしたので、下限を下回る大きな減産となっています。昨日の商業販売統計では「下げ止まり」に小売業販売額の基調判断を上方修正した経済産業省ですが、さすがに、今日の鉱工業生産指数(IIP)は「急速に低下」で据え置いています。季節調整済の系列の前月比で見て、▲8.4%減のうち、我が国のリーディング・インダストリーである自動車工業が寄与度で▲2.52%、生産用機械工業が▲0.95%など、我が国を代表する産業が大きな減産を記録しています。なお、引用した鉱工業生産指数の記事の最後のパラにもあるように、製造工業生産予測調査では今月6月が+5.7%、7月も+9.2%といずれも増産が見込まれています。しかし、この指標は過大推計のバイアスがあり、6月の補正値試算の結果は+0.2%の増産と示されています。レンジでも、▲0.8%~+1.2%と試算されていますので、増産の可能性がやや大きいくらいで、減産の可能性も十分あります。加えて、先月の統計公表の際、5月の補正値は▲5.7%と示されていましたが、実績は▲8.4%だったわけですから、わざわざ、日経新聞が記事のタイトルに加えるほどの信頼性があるのかどうか疑問です。ただ、さらにその先の7月については、下振れバイアスがあるとはいえ、前月比で+9.2%の増産と見込まれていますので、さすがに、このころになれば増産に転じているような気もします。いずれにせよ、上のグラフのうちの上のパネルを見ても明らかな通り、生産が新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響で大きな減産が続いており、下のパネルを見ても判るように、その減産の要因は、いくぶんなりとも輸出の寄与がある企業部門ではなく消費者向けの耐久財などで生じています。しかも、この先、回復はかなり緩やかと考えられます。企業向けに雇用維持を目的とする施策ももちろん必要ですが、家計や消費者に対する支援策をもっと手厚くする必要があります。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。景気局面との関係においては、失業率は遅行指標、有効求人倍率は一致指標、新規求人数は先行指標と、エコノミストの間では考えられています。また、影を付けた部分は景気後退期であり、ほかと同じように、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。いずれも記事にある通りですが、失業率に関して日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは4月の2.6%から5月は2.8%に上昇するという見込みだったところ、実績はコンセンサスを上回る2.9%でしたし、有効求人倍率も日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは4月の1.32倍から5月には1.22倍に低下する予想が示されていたものの、実績はコンセンサスを下回る1.20倍でした。すなわち、マーケットの予想を上回るペースで雇用の悪化が進んでいる、と考えるべきです。正社員向けの有効求人倍率についても長らく1倍を上回っていましたが、先月の4月統計から1倍を下回るようになり、本日発表の5月統計でもさらに下げています。ただ、引用した記事の最後のパラにあるように、雇用の先行指標と見なされている新規求人については、求人数も求人倍率もいずれも5月統計では反転して改善を見せています。これは、記事にあるように、5月後半からの経済活動再開に合わせた求人増なのかもしれません。また、先月の雇用統計公表時に注目した休業者についても、総務省統計局による「就業者及び休業者の内訳」によれば、激増した4月の597万人から5月は423万人と減少しました。もちろん、1~2月の200万人弱の水準から見ればまだ多くなっています。ただ、我が国も含めて先進国経済の底は4~6月期であったことは緩やかなコンセンサスがありますから、COVID-19の第2波や第3波のパンデミックの有無や規模次第ではありますが、こういった我が国の雇用指標を見るにつけても、最悪期を脱した可能性も十分あります。しかし、日本経済も世界経済も回復過程はかなり緩やかなものとなり、COVID-19パンデミック前の水準に戻るまで長い期間がかかることは覚悟せねばなりません。

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2020年6月29日 (月)

2ケタ減が続く商業販売統計はホントに下げ止まりつつあるのか?

本日、経済産業省から5月の商業販売統計が公表されています。統計のヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比▲13.7%減の10兆9290億円、季節調整済み指数でも前月から▲9.6%減を記録しています。大きな落ち込みは新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響によるものと考えるべきです。まず、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

 

5月の小売販売額は12.3%減 基調判断は「下げ止まり」に上方修正
経済産業省が29日発表した5月の商業動態統計(速報)によると、小売販売額は前年同月比12.3%減の11兆650億円となった。減少は3カ月連続で、5月としては比較可能な1980年以降で最大の減少率だった。新型コロナウイルスの感染防止を目的とした外出や営業の自粛が続き、自動車や衣料品などの販売が振るわなかった。ただ、経産省は単月でみると4月が底だったとして、小売業の基調判断を「下げ止まりがみられる」に上方修正した。
小売販売額を業種別で見ると、9業種のうち7業種がマイナスだった。外出自粛により客数が伸びず、普通自動車や軽乗用車が不振だった自動車は35.2%減だった。百貨店やスーパーなどの各種商品は34.9%減、織物・衣服・身の回り品は34.3%減だった。一方、野菜の相場高などを背景に飲食料品は2.2%増と2カ月連続で増加した。
大型小売店の販売額では、百貨店とスーパーの合計が13.4%減の1兆4555億円だった。百貨店は臨時休業や営業時間の短縮、インバウンド需要の落ち込みなどが響き、64.1%減の1744億円となった。減少率は過去最大だった前月に次ぐ大きさだった。一方、スーパーは内食需要などを背景に主力の飲食料品が好調で、6.9%増の1兆2811億円となった。
コンビニエンスストアの販売額は9.6%減の9271億円だった。おにぎりや調理パン、カウンターコーヒーのほか、たばこや日用品なども不調だった。オフィス街や繁華街を中心に客数が減ったことが響いた。

 

続いて、商業販売統計のグラフは下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期であり、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

 

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消費の代理変数となる小売販売額を見ると、繰り返しになりますが、季節調整していない原系列の前年同月比は4月▲13.9%に対して、5月は▲12.3%であり、確かにマイナス幅は縮小していますし、同じ小売販売額の季節調整済の系列の前月比を見ても、4月▲9.9%から、5月は+2.1%に小幅なリバウンドを見せていますが、少なくとも、卸売販売額は前年比でマイナス幅を拡大しており、季節調整済みの前月比でもまだマイナスを続けています。もちろん、外出自粛が続く中で、ほとんど唯一といってもいいくらいの外出と支出の機会が、スーパーでの食料品や日用品をはじめとする買い物だったのは事実で、小売販売額の中でも飲食料品小売業では4月の前年同月比+0.3%増から、5月は+2.2%増に上向いていることは確かです。しかし、自動車小売業や燃料小売業などはマイナス幅を拡大していますし、業種別のバラツキが大きいことも忘れるわけにはいきません。加えて、いわゆるその昔のエンゲル係数の議論ではないのですが、先進国である日本では食料品の売上が消費を牽引するというのも考えにくいところです。いずれにせよ、日本に限らず、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)で大きなダメージを受けた世界経済の底は4~6月期である可能性が高いとはいえ、第2波や第3波の可能性も排除できませんし、何よりも、回復ペースは決してV字ではなく、かなりなスローペースを覚悟する必要がある、というのは多くのエコノミストの緩やかなコンセンサスではないかと私は受け止めています。

 

特に、ここ何日かの東京都におけるCOVID-19新規感染者数の推移を見ていると、第2波の可能性は私には不明ながら、繰り返しになりますが、経済の回復は長期戦になりそうだという予感があります。また、私が東京都民でなくなってから3か月あまりが経過して、すでに都知事選挙の投票権は持っていないものの、ダイヤモンド誌の記事にあるような都立病院の独法化を進めようとする小池都政に待ったをかける必要も感じます。強く感じます。

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2020年6月28日 (日)

リクルートジョブズによる5月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給やいかに?

明後日6月30日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる5月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の調査結果を取り上げておきたいと思います。

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アルバイト・パートの時給の方は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響などにより、ジワジワと停滞感を増していますが、他方、派遣スタッフの方は5月のデータが跳ねています。上のグラフの通りです。現時点で判断するのはややムリなのですが、何かがあったのかもしれません。
アルバイト・パートの平均時給の前年同月比上昇率は+3%近い伸びからジワジワと低下して、三大都市圏の5月度平均時給は前年同月より+2.3%、+24円増加の1,075円を記録しています。職種別では「営業系」(+72円、+5.7%)、「事務系」(+34円、+3.1%)、「専門職系」(+20円、+1.7%)、「製造・物流・清掃系」(+17円、+1.6%)の4職種で前年同月比プラスとなった一方で、マイナスは「販売・サービス系」(▲14円、▲1.3%)、「フード系」(▲9円、▲0.9%)の2職種でした。地域別でも、首都圏・東海・関西のすべてのエリアで前年同月比プラスを記録しています。他方で、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、昨年2019年7月統計から先月2020年4月統計まで10か月連続でマイナスを続けた後、5月度平均時給は前年同月より+3.6%、59円増加の1,695円に跳ね上がりました。職種別では、「営業・販売・サービス系」(+81円、+5.7%)、「医療介護・教育系」(+42円、+2.9%)、「IT・技術系」(+31円、+1.5%)、「クリエイティブ系」(+23円、+1.3%)の4職種が前年同月比プラスとなり、マイナスは「オフィスワーク系」(▲20円、▲1.3%)だけにとどまっています。また、地域別でも、首都圏・東海・関西のすべてのエリアでプラスを記録しています。1年近く前年同月比マイナスを続けてきた派遣スタッフの時給がジャンプしたのですが、アルバイト・パートの時給上昇率はジワジワと停滞し始めていますし、2008~09年のリーマン・ショック後の雇用動向を見た経験からも、COVID-19の経済的な影響は底を打った用に見えるものの、雇用については遅行するケースが少なくないことから、先行き、非正規雇用の労働市場は悪化が進む可能性がまだ残されていると覚悟すべきです。ただ、意外と底堅いという印象もあります。

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2020年6月26日 (金)

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響で日銀短観に見る企業マインドは大きく下げる予想!!!

来週7月1日の公表を控えて、シンクタンクから6月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下のテーブルの通りです。設備投資計画はもちろん今年度2020年度です。ただ、全規模全産業の設備投資計画の予想を出していないシンクタンクについては、適宜代替の予想を取っています。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、いつもの通り、足元から先行きの景況感に着目しています。ただし、先行きについては新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の終息次第という面があり、一部にとても長くなってしまいました。それでも、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
3月調査 (最近)▲8
+8
<▲0.4%>
n.a.
日本総研▲23
▲17
<▲3.8%>
先行き(9月調査)は、全規模・全産業で6月調査対比+2%ポイントの上昇を予想。足許で経済活動が再開しつつあるため、最悪期は脱するものの、消費活動が限られている面もあることなどから、DIの持ち直しは総じて緩やかにとどまる見込み。回復に時間を要するとみられるインバウンドや輸出の影響を受けやすい産業では低迷が続く見通し。
大和総研▲28
▲11
<▲2.6%>
足元では国内外ともに経済活動が再開され、緩やかな回復基調に転じたことが、製造業・非製造業ともに先行きの業況判断を改善させよう。ただし、一定の感染拡大防止策が引き続き実施されていることや、新型コロナウイルス感染第2波への懸念も強いことから上昇幅は小幅に留まるとみている。
みずほ総研▲24
▲7
<▲6.4%>
製造業・業況判断DIの先行きは5ポイント改善を予測する。国内では、緊急事態宣言の解除後に生産活動が持ち直すとみられるほか、欧米諸国でもロックダウンの解除後、徐々に経済活動が再開していることを受けて、生産や輸出が緩やかに回復していくとみられ、業況は改善に向かうであろう。また、テレワークの拡大に伴い、サーバーやPCなどの需要増が見込まれることから、情報関連業種の業況が改善するだろう。ただし、感染防止策が当面続くことから、本格的な経済活動の再開には時間を要するほか、感染再拡大への警戒感も残存しているため、業況の大幅な改善は見込みづらい。
非製造業・業況判断DIの先行きは8ポイント改善を見込む。休業要請の緩和を受けて多くの企業が営業を再開した、小売業や飲食業等で業況の回復が見込まれる。また、テレワークの浸透に伴い、ソフトウェア投資の増加が見込まれることから、情報通信サービスも改善するだろう。一方で、感染再拡大への懸念により不要不急の外出は引き続き控えられることや感染予防策の継続が予想されるほか、インバウンド需要の回復が見込みがたいことが、運輸・郵便や宿泊業、対個人サービスを中心に業況改善の重石になりそうだ。
ニッセイ基礎研▲32
▲17
<▲3.0%>
先行きの景況感については、大企業では持ち直しが示されると予想。コロナ感染拡大の鈍化を受けて、既に国内外で経済活動が段階的に再開されており、今後の景気回復が見込まれるためだ。ただし、景気回復は緩やかなペースに留まるとの見方が一般的であるほか、感染第2波への警戒もあり、先行きの景況感改善は小幅に留まるだろう。また、中小企業はもともと先行きを慎重に見る傾向が強いだけに、今回も先行きにかけて景況感のさらなる悪化が示されると予想している。
第一生命経済研▲34
▲30
<大企業製造業+7.2%>
大企業・製造業の業況判断DIは、前回比▲26ポイントと大幅に悪化する見通しである。マクロ景気は、この 4~6 月が大底となり、企業の景況感も大幅に悪化するだろう。注目点は、雇用判断DIがどこまで悪くなるか、企業収益の見方がどこまで厳しくなるかである。資金繰りや金融機関の貸出態度の変化にも警戒しておきたい。
三菱総研▲37
▲42
<▲1.9%>
先行きの業況判断DI(大企業)は、製造業は▲40%ポイント、非製造業は▲45%ポイントと、いずれも悪化を予測する。新型コロナウイルスの感染終息や経済活動正常化の時期が見通せず、さらなる拡大や長期化も予想される。また、世界的な雇用・所得環境の悪化が内外需の重しとなる見込みだ。先行きの業況に対する不安は、製造業・非製造業を問わず強いとみられる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲31
▲9
<大企業全産業+3.0%>
日銀短観(2020年6月調査)の業況判断DI(最近)は、大企業製造業では、前回調査(2020年3月調査)から23ポイント悪化の-31と、新型コロナウイルスの感染拡大が大きく影響し、6四半期連続で悪化すると予測する。先行きについては、感染抑制と経済活動の均衡を探るフェーズに移行したことで、足元が景気の底だとの認識が支配的となりつつあり、7ポイント改善の-24となろう。

いまさら感すらありますが、企業マインドは大きな冷え込みを見せており、日銀短観のヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは前回3月調査の▲8から大きくマイナス幅を拡大するものと見込まれています。いずれのシンクタンクでも大きなマインド悪化は共通していて、ただ、大企業製造業で見て▲15ポイントから▲30ポイント近くまで、悪化幅にはやや開きが見られます。このあたりは私にも判断がつきかねますが、少なくとも、過去の統計を調べると、リーマン・ブラザーズの破綻後の2009年3月に大企業製造業で▲30ポイントを超える悪化がありましたから、それに近い悪化、しかし、リーマン・ショックまでの悪化には至らない、と見ることも出来ます。ともかく、私は予測モノについては、重要性は認識していながらも、なかなか手が伸びず、特に現在のようなCOVID-19の影響はまだまだ抜け切らないうちは、何とも考えが及びません。しかし、COVID-19はごく一部の例外を除いて多くの企業のマインドを低下させるのであろう点だけは確かです。
下のグラフは日本総研のサイトから引用しています。落ち方の傾きとしてはリーマン・ショック時と同様にかなりスティープですが、少なくとも6月調査の時点の水準は、まだリーマン・ショック時ほど深くはない、といえます。

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2020年6月25日 (木)

国際通貨基金(IMF)「世界経済見通し改定」では新型コロナウィルス感染症の影響により成長率が下方修正される!

日本時間の昨日、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し改定」World Economic Outlook Update, June 2020 が公表されています。ヘッドラインとなる世界経済の成長率は、2020年については4月の見通しから▲1.9%ポイント下方修正されて▲4.9%と、さらに大きなマイナス成長となると見込まれている一方で、2021年についても▲0.4%ポイントの下方修正で+5.4%と、リバウンドもやや小さめに修正されています。特に目新しさは感じないものの、国際機関のリポートを取り上げるのは、この私のブログの大きな特徴のひとつですし、pdfの全文リポートIMFのブログサイトから図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のテーブルは、IMFのブログサイトから Latest World Economic Outlook Growth Projections と題する成長率見通しの総括表を引用しています。ホントに簡略化された総括表だけですので、リポート p.7 Table 1. Overview of the World Economic Outlook Projections のページだけを抜き出したpdfファイルにリンクを張ってありますから、クリックすると別タブで開くと思います。繰り返しになりますが、ヘッドラインとなる世界経済の成長率は、2020年については4月の見通しから▲1.9%ポイント下方修正されて▲4.9%と、さらに大きなマイナス成長となると見込まれている一方で、2021年についても▲0.4%ポイントの下方修正で+5.4%と、リバウンドもやや小さめに修正されています。先進国の中でも我が日本は、2020年▲5.8%と4月見通しから▲0.6%ポイント下方修正されており、2021年も+2.4%と同じく▲0.6%ポイント下方修正されています。大雑把に、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)については、先進国ではほぼ終息に向かい、中国を別にすれば、途上国や新興国での感染拡大が焦点となっているように感じていましたし、今回のIMF見通しでも、2021年については先進国全体としては上方修正、新興国・途上国では下方修正、という結論です。ですから、別タブで開くリポート p.7 Table 1. Overview of the World Economic Outlook Projections に示された先進国の中で2021年成長率が下方修正されているのは米国と日本だけだったりします。

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次に、上のグラフは、IMFのブログサイトから A deeper recession と Output losses の2つのグラフを引用しています。上の棒グラフでは、2000年成長率見通しの修正が見て取れます。COVID-19感染拡大前の1月見通しでは+3.3%成長と見込まれていた世界経済なんですが、感染拡大に対応するロックダウン真っ最中の4月には▲3.0%のマイナス成長と大きく下方修正された後、かなりの程度に先進国でのロックダウンが解除された6月時点でもまだ下方修正されている、ということになっています。

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最後に、IMFではベースラインのほかに、上下のリスクを考慮して、Scenario 1: A Second Global COVID-19 Outbreak in Early 2021 および Scenario 2: A Faster Recovery をシナリオ分析しています。上のグラフは、リポートから Scenario Figure 1. June WEO 2020 Alternative Scenarios (Deviation from baseline) のうちの1から4までを引用しています。というのも、さらに下に5以下のグラフが続いて、政府支出は政府債務残高などのグラフもあるんですが、諸般の事情によりカットしました。当然ながら、2021年初頭に第2波の感染拡大を迎えるとするシナリオ1の赤いラインはベースラインを大きく下回りますし、早期終息のシナリオ2の青いラインはベースラインを上回ることになります。

最後の3枚目のグラフからはカットしてしまいましたが、IMFではCOVID-19感染拡大防止や経済活動の下押しによる税収への効果などから、政府債務がまたまた気にかかり始めているような印象もあります。私のように政府部門の経験が長いながら、政府財政に関してはMMT学派並みに楽観的なエコノミストは少数なのかもしれません。

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2020年6月24日 (水)

企業向けサービス価格指数(SPPI)上昇率はかろうじてプラスが続く!!!

本日、日銀から5月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は+0.8%と、2月統計の+2.1%、3月統計の+1.6%から4月統計は+0.8%と大きく縮小し、5月統計でも同じ+0.8%の上昇となっています。国際運輸を除く総合で定義されるコアSPPIの前年同月比上昇率も同じように縮小し、+0.8%を記録しています。いずれも、消費税率引上げの影響を含んでいます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の企業向けサービス価格、増税除き1.0%下落 前月並み下落率
日銀が24日発表した5月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は103.6と、前年同月比で0.8%上昇した。19年10月の消費税率引き上げの影響を除くと前年同月比で1.0%下落した。下落率は4月と同じだった。政府の緊急事態宣言による経済活動の停滞で、広告や宿泊サービスで価格が大きく下落した。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、サービス価格には下押し圧力がかかっている。テレビや新聞の広告では、幅広い業種で企業が広告の出稿を手控える動きが広がった。宿泊サービスでもインバウンド(訪日外国人)需要の蒸発や国内での外出自粛の影響が引き続き大きく、価格の下落が続いた。
一方で国内の航空輸送では価格が持ち直している。航空需要は弱い状態が続くが、航空会社が5月以降に大幅な減便をしたことで需給が引き締まった。特に国内航空貨物輸送では価格上昇圧力が大きいという。
国内では緊急事態宣言の解除とともに経済活動が再開し始めたとはいえ、経済の先行きには不確実性が高い。日銀は「6月以降、サービス価格の下落圧力が弱まるかどうかは新型コロナの感染状況に依存する」(調査統計局)としており、今後の影響を注視する姿勢だ。
企業向けサービス価格指数は、輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルはヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、下のパネルは日銀の公表資料の1枚目のグラフをマネして、国内価格のとサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。いずれも、影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

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繰り返しになりますが、消費税を含んだベースの企業向けサービス価格指数(SPPI)の前年同月比上昇率は、昨年2019年10月の消費税率引上げに伴って+2%に達した後、今年2020年に入って2月+2.0%まで+2%台を続けた後、先々月3月+1.6%、先月4月+0.8%と上昇幅を縮小し、さらに、今月の4月統計では先月と同じ+0.8%を記録しています。先々月の3月統計では消費税の影響を除くベースの前年同月比上昇率が▲0.1%とマイナスに転じた後、4月統計では▲1.0%と下落幅を拡大し、今月統計でも同じ▲1.0%が続いています。いうまでもなく、SPPIの上昇率縮小は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)による影響と考えるべきです。サービス価格について、SPPIはもちろん、CPIのコンポーネントでも、人手不足に起因して堅調と考えられていましたが、雇用がかなり怪しくなり始めた印象もありますし、宿泊サービスのように需要が「蒸発」すれば、需給ギャップに従って価格が弱含むのは当然です。もちろん、宿泊サービスだけでなくCOVID-19の影響により、さまざまな分野のサービスへの需要が低迷しており、本日公表の5月統計のSPPIのコンポーネントである大類別について、消費税の影響を除くベースの前年同月比▲1.0%に対する寄与度を見ると、景気に敏感な広告が▲0.64%、さらに、不動産が▲0.15%、情報通信が▲0.09%となっています。

結局、日銀の異次元緩和は現時点では物価目標を達成できておらず、先週の6月15日に明らかにされた第一生命経済研のリポートの中にデフレの蟻地獄から抜け出せない日本経済」と題するものを見かけましたが、よく雰囲気が出ていますし、まさに、そんな感じなのかもしれないとミョーに納得したりしています。

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