2018年7月20日 (金)

18か月連続のプラスを記録した消費者物価(CPI)上昇率の先行きやいかに?

本日、総務省統計局から6月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。前年同月比上昇率でみて、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は前月からやや上昇幅を拡大し+0.8%を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の全国消費者物価、0.8%上昇 エネルギー高が影響
総務省が20日発表した6月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は生鮮食品を除く総合が101.0と前年同月比0.8%上昇した。上昇は18カ月連続。原油高によるエネルギー価格の上昇が影響した。ただ、エネルギー以外の品目は上昇幅が限られ、物価上昇の勢いは鈍化している。
生鮮食品を除く総合では、全体の52.2%にあたる273品目が上昇した。ガソリン価格や都市ガス代が上昇した。ただ5月に比べると上昇品目数は減少した。
下落は183品目だった。安売り規制による価格上昇の効果が一巡し、ビールなど酒類が下落した。横ばいは67品目だった。
生鮮食品を含む総合は100.9と0.7%上昇した。まぐろなど生鮮魚介類が値上がりした。
生鮮食品とエネルギーを除く総合のCPIは100.9と前年同月比0.2%の上昇にとどまった。診療代や外国パック旅行費は上昇したものの、通信料が下落した。NTTドコモが5月に新たな携帯電話料金プランを導入したため。
生鮮食品とエネルギーを除く総合のCPIが前月比で0.1%低下した。物価上昇の勢いは一段と鈍化している。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。

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ということで、国際商品市況における石油価格の上昇を受けたCPIの上昇幅拡大であり、引用した記事にもある通り、エネルギーを除けば物価上昇は限定的と私も考えています。上のグラフに反映されている私の独自計算による寄与度では、6月のコアCPI上昇率+0.8%のうちエネルギー寄与度が+0.56%と7割を占めます。生鮮食品を除く食料が+0.18%ですので、この食料とエネルギーの除く総合で定義されるコアコアCPIの上昇率は、上のグラフでは赤い折れ線グラフでプロットしてあるところ、ほぼほぼゼロにまで低下しています。ただ、このブログでは旧来の食料とエネルギーを除く総合でコアコアCPIを定義していますが、最近の統計局の定義では、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」となっているようですので、来月あたりからは、このブログでも変更いたしたいと予定しています。脱線してしまいましたが、物価上昇率に話を戻すと、日銀の企業向けサービス物価(SPPI)を見ている限りでは、年度替わりの4月に価格改定がスムーズに進んだような印象だったんですが、この46月期の消費者物価(CPI)を見ると、そうでもない気がします。B to B では価格転嫁がそれなりに理解されるものの、B to C ではまだ消費者の財布のひもは堅い、といったところなのかもしれません。
繰り返しになるものの、石油をはじめとするエネルギー価格に牽引された物価上昇であり、CPIのフレーム外ながら、日銀の企業物価(PPI)や企業向けサービス物価(SPPI)の輸入物価や素原材料からジワジワと中間財や最終財に、そして、消費者物価に波及が見られるものの、コストプッシュの物価上昇で実体経済への影響が懸念される上に、政府のデフレ脱却はともかく、日銀の2%の物価目標からはほど遠く、ホントに石油価格からの波及によるコストプッシュだけで物価が上昇するのがデフレ脱却といえるのかどうか、やや疑問に感じないでもありませんが、いまさら「いいインフレ」と「悪いインフレ」を区別するのも気が引けています。

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2018年7月19日 (木)

2か月振りに黒字を記録した貿易統計の評価やいかに?

本日、財務省から6月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+6.7%増の7兆524億円、輸入額も+2.5%増の6兆3310億円、差引き貿易収支は+7214億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

貿易収支2カ月ぶり黒字 6月7214億円、中国輸出好調
1-6月は5期連続黒字

財務省が19日発表した6月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は7214億円の黒字だった。黒字は2カ月ぶりで黒字額は66.5%増加した。QUICKがまとめた市場予想の中央値(5342億円の黒字)を上回った。輸出入ともに増加したが、中国向けの好調を背景に輸出の伸びが上回った。
輸出額は前年同月比6.7%増の7兆524億円だった。19カ月連続で増加した。中国向けの原動機や半導体等電子部品が伸びた。
輸入額は2.5%増の6兆3310億円。原油高を背景に中東から原粗油が増加した。原油の円建て輸入単価は45.0%上昇した。南アフリカから非鉄金属の輸入が伸びたことも寄与した。
6月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=109.86円。前年同月に比べて0.9%円高・ドル安に振れた。
対米国の貿易収支は5903億円の黒字で、黒字額は0.5%増加した。増加は2カ月ぶり。輸出入ともに減少したが、輸入減の影響が上回った。対米輸出の減少は17カ月ぶりとなる。
同時に発表した2018年1~6月の貿易収支は6067億円の黒字だった。黒字は半期ベースで5期連続だが、エネルギー関連の輸入増が響き、黒字額は前年同期比39.9%減少した。
輸出額は6.2%増の40兆1305億円で、上半期としては08年以来の高水準となった。自動車や半導体等製造装置が伸びた。輸入額は7.5%増の39兆5238億円。原粗油や液化天然ガス(LNG)が増加した。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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上のグラフを見ても、例えば、下のパネルの季節調整済み系列で見ても、最近時点ではかなりグラフがギザギザになっており、細かな変動があることが読み取れます。特に、輸入額については国際商品市況の変動に連動している可能性が高いと私は受け止めています。ただ、大雑把に見て、輸入額は国際商品市況の上昇とともに緩やかに増加を示している一方で、輸出はかなり横ばいに近くなっています。その輸入の増加傾向についても、もっとも直近で利用可能な6月統計で、原油及び粗油の輸入額は季節調整していない原系列の前年同月比で+20.2%の増加を見せているものの、数量ベースでは逆に▲17.1%の減少を示しており、輸入については、製品輸入は別かもしれませんが、特にエネルギーや非鉄金属などの素原材料の動向については、国際商品市況における価格動向に伴う名目値の変動であり、数量ベースでは大きな変動ではない、というか、むしろ原油及び粗油については価格と数量が逆に動く場合すらある、ということが出来ます。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。OECD先行指数に基づく海外の需要動向を見ると、中国では上り坂、先進国の集まりであるOECD加盟国では下り坂となっています。2017年のデータに基づいて極めて大雑把にいって、アジアへの輸出が年間43兆円、そのうち中国向けが15兆円、先進国が北米の16兆円と西欧の9兆円を合わせて25兆円ですから、最近時点での貿易収支を見る限り、上向きの中国需要動向と伸び悩む先進国需要がその時々によって我が国輸出に影響を及ぼしている、ということになります。もちろん、中長期的には米国を起点とする貿易制限的な通商政策、いよいよ始まりそうな貿易戦争のゆくえも気にかかるところです。

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2018年7月18日 (水)

OECD "The Long View: Scenarios for the World Economy to 2060" に見る超長期世界経済シナリオやいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、7月12日に経済協力開発機構(OECD)から "The Long View: Scenarios for the World Economy to 2060" (OECD Economic Policy Papers No.22) と題する超長期世界経済シナリオが公表されています。キチンとした参照文献としての表示は以下の通りです。もちろん、pdfの全文リポートもアップロードされています。

現時点での3%台半ばの成長率は徐々に低下して、特に、中国の世界経済の成長への寄与が縮小し、2060年には2%強に達する見込みですが、先進国とインド+中国といった新興国の成長への寄与のバランスが、ある意味で、よくなる、というか、イーブンに近づいたりもします。図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはリポート p.8 から Figure 1. The baseline scenario in a snapshot のうちの地域別と生産要素別のそれぞれの寄与度をプロットしています。すべてベースライン・シナリオなんですが、上のパネルから明らかな通り、世界経済の成長率は現在の+3%台半ばから2060年ころには+2%強にゆっくりと低下して行きますが、先進国の集まりであるOECD加盟国やインドの寄与度は、それほど大きく低下しない一方で、中国の寄与度が大きく低下するのが読み取れます。加えて、下のパネルからは、労働者1人当たりの資本装備率や労働の効率性については大きな変化ないものの、インプット側の労働投入の寄与が2040年ころからマイナスに転じるのが見て取れます。

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次に、上のグラフはリポート p.14 から Figure 3. Trend real GDP per capita growth, per cent のうちのOECDとBRICSのそれぞれの寄与度をプロットしています。縦軸のスケールが異なるので注意が必要で、すべてベースライン・シナリオなんですが、基本は世界経済の成長率と同じで、インプット側の労働の寄与が小さくなってマイナス化する一方で、資本装備率と労働の効率性による成長が続くんですが、後者の寄与の方が大きくなっています。テーブルの引用はしませんが、国別で潜在的な1人当たりGDPの伸び率は p.15 Table 1. The sources of potential real GDP per capita growth in the baseline scenario で示されています。2018~30年と2030~60年の2期間という極めて大雑把な括りながら、日本に着目すると、両方の期間で日本の潜在的な1人当たりGDPの伸び率はそれぞれ+1.4%と+1.8%であり、そのうちの労働の効率性の寄与が+1.1%と+1.4%、資本装備率の寄与は+0.2%と+0.7%、労働の効率性と資本装備率を足すと1人当たりGDPの伸び率を超えますので、人口減少、というか、労働投入の減少がマイナス寄与しているわけです。

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第1章の導入部と第2章でのベースライン・シナリオの提示を受けて、第3章から第6章の4章をかけて代替シナリオが分析されていて、第6章では自由貿易の重要性を論じているんですが、 上のグラフはリポート p.45 Figure 26. Impact of rising trade protectionism on world trend real GDP per capita を引用しています。いずれもベースライン・シナリオと比較していて、上のパネルが成長率の差、下がGDP水準の差です。貿易自由化が逆戻りして1990年の平均的な輸入関税に戻ると、世界全体の平均で長期的な1人当たりGDPが▲14%押し下げられ、もっとも大きな影響を受ける国々では▲15~20%下がる、と試算されています。また、第6章以外については、第3章では新興国の組織改革をはじめとする構造改革、第4章では先進国の生活水準と構造改革、第5章ではOECD加盟国における財政のサステイナビリティ、がそれぞれ取り上げられています。グラフは引用しませんが、第3章 p.23 Figure 6. Impact of governance reform, convergence in educational attainment and import tariff reductions on real GDP per capita in the BRIICS - decomposition by component では、こういったグラフのタイトルに当たる改革がなされれば、2060年時点でBRICS各国の1人当たりGDPがベースライン・シナリオに比べて+30~50%の上振れとなる、なんて結果が示されていたりします。

2060年をひとつのターゲットにした超長期シナリオの分析ということで、2060年といえば、もしも私が生きていると仮定すれば100歳を超えており、個人としてはこれらの結果を目にすることはかなり困難なところなんですが、それでも、エコノミストとしては興味あるところです。

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2018年7月17日 (火)

国際通貨基金「世界経済見通し改訂見通し」 IMF World Economic Outlook Update やいかに?

日本時間の昨夜、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し改訂見通し」IMF World Economic Outlook Update, 2018 July が公表されています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。リポートの副題は Less Even Expansion, Rising Trade Tensions となっていて、貿易戦争が前面に押し出されていたりします。それほど注目されていなくても、国際機関のリポートを取り上げるのはこのブログの特徴のひとつですので、簡単に見ておきたいと思います。

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IMF のブログサイトから引用した成長率の総括表は上の通りです。世界経済の成長率は2018~19年ともに+3.9%が予想されており、4月時点から変更ありません。ただ、我が国については、発射台の1~3月期の成長率が低かったものですから、2018年の成長率については▲0.2%の下方修正で+1.0%を見込み、2019年は消費増税もあって+0.9%とさらに低い成長を予想しています。
加えて、同じブログサイトから、いくつか印象的な点を引用すると、まず、先行きリスクとしては、世界経済の成長にとって短期的に最も大きな脅威となるのは、現在の貿易摩擦が激化するリスクであり、貿易摩擦が激化すると、センチメントや資産価格、投資に負の影響が生じる、"the risk that current trade tensions escalate further - with adverse effects on confidence, asset prices, and investment - is the greatest near-term threat to global growth." と指摘しています。そして、モデルから、現在脅しに使われている貿易政策が実際に実行され、その結果企業のセンチメントが悪化した場合、世界のGDPは2020年までに現在の予測値を0.5%下回る可能性が示唆されている、"Our modeling suggests that if current trade policy threats are realized and business confidence falls as a result, global output could be about 0.5 percent below current projections by 2020." との試算結果も示しています。

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2018年7月16日 (月)

帝国データバンク「保護貿易に対する企業の意識調査」の結果やいかに?

7月12日付けで、帝国データバンクから「保護貿易に対する企業の意識調査」の結果が明らかにされています。pdfの全文リポートもアップされています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の概要を5点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 企業の56.9%が日本全体にとって「自由貿易」が望ましいとする一方、国内産業保護を含む「保護貿易」が望ましいとする企業は9.9%にとどまる。他方、自社の属する業界にとっては「自由貿易」が望ましいが43.0%に低下、「保護貿易」は13.1%に上昇
  2. 保護貿易主義による政策が世界的な広がりをみせた場合、自社の業績に「マイナスの影響」があるは28.7%、「プラスの影響」は2.5%にとどまる。また、「どちらともいえない」は38.5%、「影響はない」は12.7%だった
  3. 現在までに、保護貿易主義の高まりについて対応策を実施している企業は0.5%。「対応を検討中」(4.4%)と合わせても、何らかの対応を実施・検討している企業は4.9%にとどまる
  4. 実施・検討している対応策では、「情報収集・分析の強化」が57.0%でトップ。次いで、「仕入先企業の見直し」(32.0%)、「販売計画の見直し」(28.8%)、「自社の商品やサービスの種類・内容の見直し」(26.9%)、「生産計画の見直し」(20.8%)が続く
  5. 「生産計画の見直し」を行っている企業が主に実施・検討している内容は「国内生産の拡大」が30.6%。「販売計画の見直し」では「国内向け販売の拡大」が46.3%。生産・販売計画の見直しは「国内」の拡大を図る傾向

ま、常識的な結果ではないでしょうか。日本経済全体について考えると自由貿易が望ましい一方で、自社業界については保護貿易が望ましい割合がチョッピリ上がり、保護所議が広がるとマイナスの影響がプラスを大きく上回る、従って、国内生産や国内販売の拡大を目指す、ということなんだろうと思います。最後に、リポートから 自社業績への影響 のグラフを以下に引用しておきます。

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米国でのトランプ大統領の当選や欧州各国でのポピュリズムの台頭など、内向きで通商制限的な政策が志向されてきており、実際に米国では関税率が引き上げられ、さらに、その対象国における報復措置の発動が懸念されるなど、保護主義的で通商制限的な政策が着々と実施され、貿易戦争につながる恐れが高まっています。我が国産業界でも何らかの対応が進むのかもしれません。

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2018年7月15日 (日)

東京商工リサーチによる「役員報酬1億円以上開示企業」調査の結果やいかに?

一昨日の7月13日に東京商工リサーチから2018年3月期決算における「役員報酬1億円以上開示企業」調査の結果が明らかにされています。人様の懐具合なのかもしれませんが、とても興味深くて、図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、東京商工リサーチのサイトから役員報酬1億円以上開示企業のグラフを引用すると上の通りです。役員報酬額1億円以上の個別開示は2010年3月期から開始されていますが、2018年3月期では企業数は240社、人数は538人に上り、社数は前年を17社、人数は前年を72人それぞれ上回り、役員報酬1億円以上の社数・人数とも過去最高を更新しています。

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まず、東京商工リサーチのサイトから2018年3月期役員報酬額ランキングのテーブルを引用すると上の通りです。役員報酬の最高額はソニーの平井一夫前社長(現会長)の27億1,300万円で、前年より17億9,900万円増加、歴代5位の報酬額でした。報酬内訳は、基本報酬2億4,400万円、業績連動報酬6億4,700万円、ストックオプション4億900万円(付与数20万株)のほか、2018年4月の社長退任に伴う株式退職金11億8,200万円があります。私のようなサラリーマンには驚くばかりの金額です。続いて、2位はソフトバンクグループのロナルド・フィッシャー副会長で20億1,500万円(前年24億2,700万円)、3位は同社マルセロ・クラウレCOOで13億8,200万円(前年開示なし)、4位は同社ラジーブ・ミスラ副社長で12億3,400万円(前年開示なし)と、ソフトバンクグループの3人が名を連ね、5位は武田薬品工業のクリストフウェバー社長の12億1,700万円(前年10億4,800万円)でした。ソニーの平井会長を除いて、上位5人のうち4人は外国人役員が占めています。私には関係のない世界なんだろうという気がします。

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2018年7月13日 (金)

帝国データバンクによる「人手不足倒産」の動向調査の結果やいかに?

今週月曜日の7月9日に、帝国データバンクから今年上半期の「人手不足倒産」の動向調査の結果が明らかにされています。pdfの全文リポートもアップされており、失業率が大きく低下するとともに、有効求人倍率が上昇し、正社員の有効求人倍率も1倍を超えて推移するなど、労働市場の需給は逼迫し人で不足が深刻になる中、極めて興味深い結果が示されています。まず、リポートから調査結果(要旨)を5点引用すると以下の通りです。

調査結果(要旨)
  1. 2018年上半期(1~6月)の「人手不足倒産」は70件発生し、負債総額は106億7700万円となった。件数は3年連続で前年同期を上回り、調査開始(2013年1月)以降、半期ベースで最多となり、年間合計で初めて100件を超えた2017年(106件)を上回る勢いとなった
  2. 負債規模別件数を見ると、「1億円未満」が38件と過半を占め、前年同期(19件)の2倍に
  3. 業種別件数を見ると、「サービス業」が前年同期比26.7%の増加で、最多の19件を占めた
  4. 業種細分類別の5年半累計件数では、「道路貨物運送」が29件(2018年上半期は7件、前年同期4件)で最多。以下、「老人福祉事業」は26件、「木造建築工事」は23件、「受託開発ソフトウエア」は19件と続いた
  5. 都道府県別の5年間累計では、「東京都」が55件(うち2018年上半期は9件、前年同期5件)と突出している

以下のように、私の興味の範囲ながら、グラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフは人手不足倒産の件数の推移を示しています。2013~15年の3年間は、大雑把に、上半期30件台で年間を通じて70件程度だったんですが、107件を記録した2017年から増加を示して、今年2018年上半期は半期の1~6月で70件に達しています。これらの負債総額は106億7700万円に上り、件数としては半期ごとに前年同期を上回るような勢いです。

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次に、上のグラフは2013年から直近2018年上半期までの5年半累計での倒産件数の上位業種です。細分類になっているようです。通常の産業別では、5年半累計の最多は建設業の139件(構成比33.3%)であり、これに続くのがサービス業123件(29.5%)となり、この2業種で全体の62.8%を占めています。より細かくは上のグラフの通りであり、道路貨物運送29件、老人福祉事業26件、木造建築工事23件、などとなっています。世間一般でいわれている実感通りの結果ではないかと私は受け止めています。

私はエコノミストですので、必ずしも技術には詳しくなく、世間でいわれているようなAIやロボットの活用がどこまで人で不足の労働力を代替できるのか、よく判っていませんが、経済的に冷たく考えれば、人口減少社会の我が国において、ますます希少性を増す労働力を効率的に用いることが出来ず、従って、労働力に対してそれなりの待遇を持って雇用することが出来なければ、そういった企業は、カギカッコ付きながら「非効率」とみなされて市場から退出することとなります。そのすべてではないにしても、その一端がこの調査結果に現れているように私は感じています。

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2018年7月12日 (木)

JTBによる「2018年夏休みの旅行動向」やいかに?

ちょうど1週間前の先週木曜日7月5日にJTBから「2018年夏休みの旅行動向」が明らかにされています。海の日の前日7月15日から8月31日が対象期間です。海外旅行人数は前年比+4.1%増の283万人と過去最高が見込まれる一方で、国内旅行人数は前年並みと予想され、ボーナスは増加も旅行への支出は控えめで、国内は家族で帰省、海外はハワイ・近場アジアが人気、との結果です。
JTBのリポートから2018年夏休みの旅行人数、旅行平均費用、旅行消費額の推計を取りまとめた(表1)を引用すると以下の通りです。

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この夏休みの旅行動向に関する調査は、1969年に調査を開始して以来、50回目だそうです。ご参考まで。

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2018年7月11日 (水)

前月統計からの反動減が思ったほどでもない機械受注と石油価格に連れて上昇する企業物価(PPI)!

本日、内閣府から5月の機械受注が、また、日銀から6月の企業物価 (PPI) が、それぞれ公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て前月比▲3.7%減の9,079億円を記録しており、他方、企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+2.8%と前月から上昇幅を拡大しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の機械受注3.7%減 2カ月ぶり減少
内閣府が11日発表した5月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶、電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比3.7%減の9079億円だった。減少は2カ月ぶり。4月にあった造船業からの内燃機関の大型案件の受注がなくなった反動が出た。
内閣府は基調判断を「持ち直している」で据え置いた。
5月の受注額は製造業が1.3%増の4538億円だった。水準としては2008年6月以来の高水準だった。
17業種のうち、5業種が増加した。「化学工業」からの化学機械や風水力機械の受注が増え、受注額は14年7月以来の高水準だった。「電気機械」から、電子計算機などの受注も多かった。
非製造業は0.2%増の4787億円だった。増加は5カ月連続。「建設業」から建設機械の注文が増加した。「運輸業・郵便業」から鉄道車両や道路車両の受注も増えた。
前年同月比での「船舶、電力を除く民需」の受注額(原数値)は16.5%増だった。
「統計上、季節調整は需要者別で行っているため、全体の季節調整値とは一致しない」(内閣府)という。
4~6月期の「船舶、電力を除く民需」の季節調整値の見通しは前期比7.1%増となっている。
6月の企業物価指数、前年比2.8%上昇 原油価格の上昇で
日銀が11日発表した6月の国内企業物価指数(2015年=100)は101.3で前年同月比2.8%上昇した。前年実績を上回るのは18カ月連続。上昇率は5月の確報値(2.7%上昇)から拡大した。原油価格の上昇を背景に石油・石炭製品が値上がりし、全体を押し上げた。前月比では0.2%上昇した。
米国が5月に発表したイランへの経済制裁の再開を背景に原油高が進み、ガソリンや軽油の価格が上昇した。中国の環境規制を受け、化学製品の価格も上昇した。
円ベースの輸出物価は前年同月比で3.5%上昇した。前月比では0.1%上昇した。輸入物価は前年同月比で10.5%上昇した。前月比では1.8%上昇した。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示す。公表している744品目のうち前年比で上昇したのは403品目、下落したのは260品目だった。上昇品目と下落品目の差は143と5月(確報値)の131品目から増えた。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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まず、船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注について、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスが前月比▲5.7%減でしたので、実績が▲3.7%減とはいえ、決して悲観する見方が広がったわけではありません。加えて、記事にもあるように、もともと4~6月期の見通しは前期比+7.1%増と集計されていて、実は、私はかなり高い伸びなもので実現できるかどうか疑問だったんですが、ひょっとしたら達成できそうな雰囲気もあります。先行指標となる外需も、上のグラフに見られる通り、堅調に推移しています。地合いは強く機械受注は堅調と見ているエコノミストも多そうです。先行きについては、東京オリンピック・パラリンピックの2020年に向けて設備投資の緩やかな増加が見込まれますが、加えて、人手不足に対応した合理化・省力化投資の増加が想定される一方で、中長期的には、供給制約がどこまで深刻化するか、また、米国に端を発する貿易戦争の様相を呈してきた貿易制限的な通商制約の世界的な高まりが我が国の輸出を通じて、ご個まで機械受注に影響を及ぼすか、おそらく、それなりのネガティブなインパクトあるものと思われますが、にわかには測り難いものがあります。

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続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。ということで、PPIのうち国内物価の前月比上昇率+0.2%に対する寄与として、石油・石炭製品が+0.15%と圧倒的な大きさを占め、続いて、電力・都市ガス・水道の+0.03%、非鉄金属と化学製品も同じく+0.03%を示すなど、典型的に、エネルギー価格や国際商品市況の上昇に起因した物価上昇と私は受け止めています。ただ、先月の統計公表時には、石油価格は5月の中下旬がピークの可能性があると指摘したんですが、私の見方が間違っていたようで、まだもう少し石油価格は上昇しそうです。私は中国の景気回復の足取りがそこまで、というか、国際商品市況における石油価格をここまで押し上げるだけの伸びを見せるとは思わなかったんですが、中国をはじめとする新興国の景気回復以外の要因で石油価格が上昇しているように思えてなりません。そして、我が国の物価動向は金融政策動向よりもエネルギー価格に敏感に反応しているようです。

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2018年7月10日 (火)

東洋経済オンラインによる「環境・社会・ガバナンス」重視企業ランキングやいかに?

先週の木曜日7月5日付けで東洋経済オンラインから「環境・社会・ガバナンス」重視企業ランキングの結果が明らかにされています。その頭文字を取ってESGとも略称される分野を重視している企業のランキングで、先行き伸びしろが大きいかもしれない、とマーケットなどで見なされているところです。ということで、以下のテーブルは東洋経済オンラインのサイトから引用しています。

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