やや旧聞に属するトピックかもしれませんが、先週2月6日に総務省統計局から家計調査の2025年データが公表されています。いつも、ラーメン消費額やギョーザ消費額の都市別のランキングばかりが注目されますが、今回についてはエンゲル係数の上昇も注目されました。私は、3年近くに渡って総務省統計局に出向し消費統計担当課長を務めた経験もありますので、家計調査(2人以上世帯)をひも解いて、少し詳しめに見ておきたいと思います。
まず、その注目のエンゲル係数の推移です。エンゲル係数とは消費支出に占める食料費の割合ですから、一般に、国民が豊かになるほど低下すると考えられています。日本でも実際に高度成長末期の1960年代から低下を続けてきましたが、21世紀に入って00年代半ばを境に反転しているのが見て取れます。時期だけを考えると、小泉内閣が2001年4月から2006年9月まででしたから、1990年代初頭のバブル経済の崩壊後、21世紀に入ってから新自由主義的な経済政策が強化されるとともに国民の貧困化が進んだ可能性が否定できません。
次に、2025年の家計調査結果から所得分位別のエンゲル係数と食料費の代わりに光熱・水道費をとった割合をそれぞれプロットしています。なお、年間収入の境界は以下の通りです。すなわち、第Ⅰ分位と第Ⅱ分位の境界は280万円、第Ⅱ分位と第Ⅲ分位の境界は343万円、第Ⅲ分位と第Ⅳ分位の境界は408万円、第Ⅳ分位と第Ⅴ分位の境界は493万円、第Ⅴ分位と第Ⅵ分位の境界は580万円、第Ⅵ分位と第Ⅶ分位の境界は681万円、第Ⅶ分位と第Ⅷ分位の境界は789万円、第Ⅷ分位と第Ⅸ分位の境界は923万円、第Ⅸ分位と第Ⅹ分位の境界は1,152万円です。私が家計調査に基づいて計算したところ、もっとも年間所得の少ない第Ⅰ分位のエンゲル係数は34.4%に上るのに対して、第Ⅹ分位は24.1%に過ぎません。上のグラフを見ても明らかなように、第Ⅶ分位の下位30%までのエンゲル係数は平均を上回っています。下のパネルはエンゲル係数の分子の食料費に代わって光熱・水道比を取った係数です。コチラはもっと所得格差が大きくて、第Ⅰ分位は11.0%に達するのに対して、第Ⅹ分位は半分以下の5.3%にとどまります。2人以上世帯の家計で年間300万円万円足らずの支出のうち、食料費と光熱・水道費に合わせて45%を割かねばならないとすれば、残りは150万円ほどになります。かなり苦しい生活といわざるを得ません。
最後に、こういった結果が生じる最大の要因のひとるは所得とともに物価上昇率に差があることです。上のグラフは2020年=100とする消費者物価指数のうち。ヘッドラインの総合指数に加えて、食料と光熱・水道もプロットしています。物価の場合、上昇率が注目されますが、2020年から5年間の累積支出額はこの折れ線グラフを積分したものとなります。食料とともに、光熱・水道も決して無視できない家計負担となっている点を見逃すべきではありません。
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