2018年11月20日 (火)

帝国データバンク「消費税率引き上げに対する企業の意識調査」の結果やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、11月14日付けで帝国データバンクから「消費税率引き上げに対する企業の意識調査」の結果が明らかにされています。pdfの全文リポートもアップされています。もともと、2015年10月に消費税率10%へと引き上げられる予定でしたが、2014年11月と2016年6月の2度に渡って消費税率引き上げは延期され、現在、来年2019年10月の消費税率10%への引き上げを実施する予定となっているのは広く知られている通りです。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の概要を4点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 消費税率10%への引き上げ、「予定どおり実施すべき」と考える企業が43.3%となった。「延期」「現行維持」「引き下げ」など2019年10月の引き上げに否定的な見方をする企業も計43.1%となり、二分する結果となった
  2. 企業活動への影響、「(業績に)マイナスの影響がある」(34.2%)と「(業績以外で)マイナスの影響がある」(20.9%)を合わせると企業の55.1%が懸念。特に『小売』は81.2%に達する企業がマイナス影響を見込む
  3. 軽減税率導入への対応、「軽減税率制度の内容の確認」が41.8%でトップ。以下、「影響が生じる事務の確認」(36.7%)、「会計システム等の導入・改修・入れ替え」(23.5%)が続く
  4. 政府に優先的に取り組んでほしい政策は、「景気対策」が67.8%で突出。以下、「少子化対策」(37.3%)、「中小企業支援の充実・拡大」(33.2%)、「財政再建」(33.1%)、「税制改革」(32.7%)が3割台で続く

かなり詳細な調査結果の要約ですので、これ以上の情報は必要なさそうな気もしますが、リポートからいくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、リポートから 消費税率の引き上げに対する企業の見解 に関するグラフを引用すると上の通りです。「予定どおり(2019年10月に)実施すべき」が43.3%となった一方で、「実施するべきでない(現行の8%を維持)」の24.5%が続いたほか、「時期を延期して実施するべき」(12.0%)や「消費税率を引き下げるべき」(6.6%)を含めて、予定通りの消費税率引き上げに否定的な企業の割合が計43.1%となり、予定どおり実施すべきと考える企業と二分する結果が示されています。ただ、グラフの引用はしませんが、企業規模別の結果では、規模が大きいほど「予定どおり(2019年10月に)実施すべき」の割合が高く、逆に、規模が小さいほど「実施するべきでない(現行の8%を維持)」の割合が高くなっています。

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次に、リポートから 消費税率引き上げにより「マイナスの影響がある」割合を業界別に取りまとめたグラフを引用すると上の通りです。全体では、「(業績に)マイナスの影響がある」が34.2%、また、「(業績以外で)マイナスの影響がある」(20.9%)を合わせて、企業の半数超となる55.1%が消費税率引き上げにより企業活動にマイナスの影響がある見通しを持っており、企業活動に「影響はない」(27.6%)を大きく上回っています。上の業界別のグラフから、「小売」で特にマイナスの影響を見込む割合が高くなっていることが読み取れます。このマイナスの影響に対して、グラフは引用しませんが、政府に優先的に取り組んでほしい政策を複数回答で質問したところ、「景気対策」が67.8%となり、突出してトップとなっています。次いで、「少子化対策」(37.3%)、「中小企業支援の充実・拡大」(33.2%)、「財政再建」(33.1%)、「税制改革」(32.7%)が30%超で続いています。

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2018年11月19日 (月)

貿易赤字を記録した10月の貿易統計をどう見るか?

本日、財務省から10月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+8.2%増の7兆2434億円、輸入額は+19.9%増の7兆6927億円、差引き貿易収支は▲4493億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10月の貿易収支、4493億円の赤字 原油高で輸入増える
財務省が19日発表した10月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は4493億円の赤字だった。赤字は2カ月ぶり。輸出入ともに増加したが、中東からの原油輸入の増加を背景に輸入額の増加が上回った。QUICKがまとめた民間予測の中央値は488億円の赤字だった。
輸出額は前年同月比8.2%増の7兆2434億円だった。増加は2カ月ぶり。米国向け自動車や船舶エンジンがけん引した。
輸入額は19.9%増の7兆6927億円。7カ月連続で増加した。原油高を背景にサウジアラビアから原粗油の輸入が増えた。アジアからの輸入額は17.2%増の3兆7577億円となり、過去最大だった。
10月の対米国の貿易収支は5734億円の黒字で、黒字額は11.0%減少した。減少は4カ月連続。輸出は11.6%増、輸入は34.3%伸びた。
10月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=112円90銭。前年同月に比べて0.4%円安・ドル高に振れた。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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繰り返すになりますが、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいていますので、2か月振りの貿易赤字ということなんですが、季節調整済みの系列で見ると4か月連続の赤字ですし、2018年に入ってから1月から10月までの10か月間で6か月が貿易赤字を出していることになります。輸出入額ともに増加を示していますが、特に、輸入額が増加しているのは国際商品市況における石油価格の値上がりに起因しています。ですから、産油国からの輸入額をいくつか見ると、いずれも季節調整していない原系列の統計で見て、中東からの鉱物性燃料の輸入額は+33.1%増、ロシアも同様に+31.0%増を記録しています。ただし、輸出額については9月の自然災害に伴う供給制約や物流の停滞を10月は克服して、反動増も含めて増加を示しています。季節調整済みの系列をプロットした上のグラフのうちの下のパネルで見ても、青いラインの輸出額がやや横ばいになって停滞を示しつつあります。輸出額の停滞については次のグラフの後に引き続き取り上げます。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。季節調整済みの系列の統計で見て、輸出がかなり横ばいになって来ているのは、上のグラフの真ん中のパネルに見るように、先進国経済の拡大テンポの低下が大きくなっており、我が国輸出への影響に関しては、一番下のパネルに見るような中国経済の拡大が先進国の減速に追いつかなくなっている、ということなんだろうと私は受け止めています。どうでもいいことながら、先進国経済で景気拡大局面の成熟化が進んでいる、ということで、我が国の景気局面もご同様といえます。また、世間の注目を引いている米中間の貿易摩擦ですが、少なくとも、10月統計でその影響が現れているとは私はまだ考えていません。

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2018年11月13日 (火)

2018年冬のボーナスは増えるのか?

先週までに、例年のシンクタンク4社から年末ボーナスの予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると以下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、公務員のボーナスは制度的な要因ですので、景気に敏感な民間ボーナスに関するものが中心です。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、あるいは、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブでリポートが読めるかもしれません。なお、「公務員」区分について、みずほ総研の公務員ボーナスだけは地方と国家の両方の公務員の、しかも、全職員ベースなのに対して、日本総研と三菱リサーチ&コンサルティングでは国家公務員の組合員ベースの予想と聞いたことがあり、ベースが少し違っている可能性があります。注意が必要です。

機関名民間企業
(伸び率)
公務員
(伸び率)
ヘッドライン
日本総研39.3万円
(+3.3%)
72.2万円
(+5.9%)
今冬の賞与を展望すると、民間企業の一人当たり支給額は前年比+3.3%と、年末賞与としては2年連続のプラスとなる見込み。
背景には、2018年度上期の好調な企業収益。個人消費、設備投資など内需の持ち直しのほか、販売価格の引き上げにより売上が増加。一方で、変動費の抑制など収益体質の強化も進んだため、売上の増加が利益の拡大に結びつきやすい構造に。
大企業の雇用が大きく増加したことも、一人当たり賞与の押し上げに作用する見込み。製造業、情報通信業など、もともと支給水準の高い業種の正規雇用者が増加し、全体をけん引。
第一生命経済研(+4.2%)n.a.民間企業の2018年冬のボーナス支給額を前年比+4.2%と予想する。夏(前年比+4.7%)に続いて高い伸びになるだろう。ただし、毎月勤労統計では、サンプルの入れ替えやサンプルを加重平均する際のウエイト更新の影響に伴って2018年1月以降に断層が生じており、実態よりも伸び率が大幅に上振れていることに注意が必要である。実態としては、18年夏が前年比+2.1%程度だったとみられ、冬については+1.9%になると予測している。
(途中略)
7-9月期の個人消費は、台風、地震といった自然災害が相次ぎ、外出機会が抑制されたことが下押し要因になったことに加え、野菜価格やエネルギー価格の上昇も痛手となり、低調な推移となった。10-12月期については、こうした下押しからの反動に加え、冬のボーナス増も後押しとなることから、個人消費は再び増加に転じると予想される。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング39.2万円
(+3.0%)
72.4万円
(+6.3%)
2018年冬の民間企業(調査産業計・事業所規模5人以上) のボーナスは、企業業績の拡大が続き、労働需給が極めてタイトな状況下で、前年比+3.0%と堅調に増加すると予測する。
雇用者数の増加が続いており、ボーナスが支給される事業所で働く労働者の数も増加が見込まれる。冬のボーナスの支給労働者数は4,,217万人(前年比+1.3%)に増加し、支給労働者割合も83.5%(前年差+0.2%ポイント)に上昇しよう。また、ボーナスの支給総額は16.5兆円(前年比+4.4%)に増加する見通しである。夏に続き、冬も支給総額が高い伸びとなることは、今後の個人消費にとってプラス材料である。
みずほ総研38.8万円
(+2.0%)
76.6万円
(▲0.7%)
民間企業・公務員を合わせた冬季ボーナスの支給総額は、前年比+2.4%(前年: 同;3.1%)と増加基調を維持するだろう。上記の通り公務員の支給総額は減少が見込まれるものの、民間企業の堅調な伸びがけん引する公算である。ボーナス支給総額の拡大による家計の所得環境の改善は、個人消費に対する当面の下支え要因となろう。
ただし、消費者マインドの動向を表す消費者態度指数が引き続き弱含んでいることを踏まえると、今冬はボーナス支給総額の増加ほど消費が拡大しない可能性がある。消費者マインドが弱含む一因と考えられるのが、物価上昇である。物価面では、今後、ガソリン価格の上昇ペースが徐々に鈍化していくとみられる一方、電気代の伸びが拡大するとみられ、物価の基調を示すコア消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は前年比+1%前後の上昇傾向を続けると見られる。こうした物価上昇による実質所得の目減りが、家計の積極的な消費拡大を抑制する要因となろう。

ほぼ今冬の年末ボーナスは1人あたりでも、支給総額でも、民間企業でも、公務員でも、それなりの増加を示しそうなコンセンサスがありそうです。しかし、ボーナスが増加する一方で、上のテーブルに取り上げたシンクタンク4機関の消費に対する考えがビミョーに違っていることが読み取れます。日本総研はボーナスから消費への波及についてはコメントしていないのに対して、第一生命経済研と三菱リサーチ&コンサルティングはボーナス増は消費にプラスとの見方を示しているものの、みずほ総研は消費者マインドの動向も引きつつ、物価上昇から実質所得の目減りにより消費が抑制される可能性を示唆しています。確かに、日本では、長らく見られた雇用慣行として長期雇用と年功賃金があって、かなりの程度に恒常所得仮説が成り立っており、残業やボーナスと消費の関係はそれほど相関は大きくない、ないし、やや不安定であるというのが従来からの定説です。もちろん、こういった雇用慣行は大きく変化しており、どこまで従来の見方が成り立つのかも何ともいえないところです。ただ、一般論としてボーナスの増加が消費にマイナスの相関を持つとは考えられないわけですから、1年弱に迫った消費増税も考え合わせて、それなりの消費への効果を見込んでいるエコノミストも少なくないと私は考えています。
下のグラフは三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリポートから引用しています。

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2018年11月12日 (月)

引き続き+3%近い上昇率を続ける企業物価(PPI)!

本日、日銀から10月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+2.9%と前月から少し上昇率が縮小したものの、引き続き、高い上昇率を継続しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10月の企業物価指数、前年比2.9%上昇 石油製品の値上がりで
日銀が12日発表した10月の国内企業物価指数(速報値、2015年平均=100)は102.3となり、2014年11月(102.4)以来、約4年ぶりの高水準となった。前年同月に比べて2.9%上昇し、伸び率は9月確報からやや鈍化したが、22カ月連続で前年同月を上回った。前月比でも0.3%上昇した。
米国によるイラン制裁を背景に、供給面での減少懸念から9月の原油価格が上昇。原油相場の上昇を受けた石油関連製品の値上がりが伸びをけん引した。
品目別では、石油・石炭製品が前年同月比25.5%上昇した。鉄鋼が同4.7%、化学製品は同3.7%上昇した。一方で、非鉄金属は同3.0%下落した。米中間の貿易摩擦への懸念が下押し要因となった。
今後の企業物価動向については「足元で原油価格が大きく下落しているほか、米中貿易摩擦の影響が需要面から押し下げ方向に働く可能性も念頭に置きつつ動向をみていきたい」(日銀調査統計局)という。

いつもながら、包括的によく取りまとめられている気がします。続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは以下の通りです。一番上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、真ん中は需要段階別の上昇率を、また、一番下は企業物価指数のうちの円建て輸入物価の原油の指数そのものと前年同月比上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、上2つのパネルの影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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繰り返しになりますが、企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は7~9月の3か月連続の+3.0%から少しだけ上昇幅を縮小させて+2.9%を記録しまた。基本は、国際商品市況における石油価格の上昇や高止まりに起因する部分が大きいと私は受け止めています。中国をはじめとするエネルギー消費型の途上国や新興国経済の成長回帰に加え、米国のイラン制裁への懸念から石油価格が上昇しています。上のグラフの一番下のパネルに見られる通り、輸入物価のうちの原油については、指数のレベルでも、前年同月比上昇率でも、引き続き高い水準となっています。他方で、米中の貿易摩擦の影響もチラホラ垣間見え、国内物価のコンポーネントでは非鉄金属がマイナス幅を拡大したのに加え、金属製品も上昇幅を縮小させており、同時に、輸入物価では金属・同製品の前年同月比が9月の+0.4%上昇から10月は▲2.6%の下落に転じています。ただ、どこまでが米中貿易摩擦によるものかは、現時点では明確には判りかねます。いつも、このブログで私が主張している通り、我が国の物価は日銀金融政策動向よりも国際商品市況における一次産品価格の動向により敏感に反応するようです。

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2018年11月 9日 (金)

来週11月14日に公表予定の7-9月期GDP統計1次QE予想やいかに?

先週公表の鉱工業生産指数(IIP)をはじめとして、ほぼ必要な統計が出そろい、来週水曜日の11月14日に今年2018年7~9月期GDP速報1次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる1次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の10~12月期以降の景気動向を重視して拾おうとしています。ほとんどのシンクタンクで、7~9月期が自然災害などに起因する供給や物流の制約からマイナスないし大きく減速と予想している一方で、10~12月期以降は緩やかな成長軌道に戻ると見込んでいます。しかしながら、下2つの三菱系シンクタンクは明示的に先行き経済を取り上げていませんでした。大和総研とみずほ総研は超長めに、ほかのシンクタンクもそれなりに、それぞれ引用してあります。なお、大和総研は引用した後に、さらに公共投資と輸出の需要項目が続くんですが、省略してしまいました。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研▲0.5%
(▲2.1%)
当面を展望すると、自然災害による悪影響は徐々に解消に向かっていることから、高めのプラス成長に復する見通し。10月の鉱工業生産予測調査では増産が計画されているほか、機械受注も回復基調が持続しており、10~12月期の設備投資の増加を示唆。個人消費についても、賃金上昇ペースの加速を背景に、持ち直す見込み。もっとも、世界的な貿易摩擦の深刻化や中国経済の減速懸念が強まっているため、輸出の鈍化や企業マインドの悪化には留意が必要。
大和総研▲0.4%
(▲1.6%)
日本経済は、踊り場局面から徐々に回復し、緩やかな成長が続くとみている。
まず、個人消費は一進一退が続くと見込む。労働需給の一段のタイト化に伴う雇用者報酬の増加が個人消費の下支え要因となろう。ただし、人手不足に伴う賃金上昇を、賃金カーブのフラット化や残業削減によって企業が相殺することにより、雇用者報酬の増加ペースが鈍る可能性には注意を払っておく必要がある。
住宅投資は、2019年10 月の消費増税を見据えた駆け込み需要が徐々に顕在化することにより、一旦持ち直すとみている。もっともこれは単純な需要の先食いであり、消費増税実施後の反動減を拡大させる効果も同時に予想される。ただし、住宅エコポイントの導入や住宅ローン減税・すまい給付金の拡充が行われることになれば、住宅投資の駆け込み・反動減もいくらか緩和されるだろう。
設備投資は緩やかな増加を予想する。円高懸念は一旦後退し、企業の潤沢なフリーキャッシュフローが下支えの要因となろう。また、人手不足に対応した合理化・省人化投資や、研究開発投資は拡大基調を維持するだろう。ただし、資本ストック循環の成熟化や一部のサプライヤーの供給制約などにより、増加ペースは緩やかなものに留まるだろう。
みずほ総研▲0.3%
(▲1.3%)
10~12月期以降の景気は再び回復基調に復する見通しだ。7~9月期の景気下押し要因となった自然災害からの復旧は順調に進んでおり、今後は消費・輸出への下押し圧力は解消するとみている。
個人消費については、労働需給のひっ迫とそれに伴う賃上げ率の高まりが実質所得の押し上げ要因となる見通しだ。ただし、エネルギー価格の上昇が実質所得の下押し要因となり、回復ペースは緩やかにとどまるとみている。設備投資は良好な投資マインドを背景に、堅調な推移が続くだろう。輸出は、中国経済にやや減速感はみられるものの、米国を中心に世界経済全体では回復基調が続くとみられ、今後は持ち直す見通しだ。ただしこれまで輸出のけん引役となっていたIT需要はすでにピークアウト感が出てきており、輸出の伸びは緩やかにとどまるだろう。
リスク要因としては、当面、貿易摩擦の激化に注意が必要だ。現時点では、日本経済への影響は限定的なものにとどまっているが、米中間の貿易摩擦が更に高まった場合、日本に間接的ながら景気下押し圧力として働く可能性がある。また、米国が自動車への追加関税を強行した場合、自動車の輸出低下に留まらず、関連産業への波及、雇用を通じた消費への影響がでる恐れも十分にある。そのほか、不確実性の高まりが企業の投資マインドの下押し材料になる懸念もあり、その点でも留意が必要だろう。
ニッセイ基礎研▲0.2%
(▲0.8%)
2018年7-9月期のマイナス成長は、4-6月期の高成長の反動や自然災害に伴う供給制約によるところも大きいが、輸出は基調として2018年に入り減速している。現時点では、10-12月期は供給制約の緩和に伴い民間消費、設備投資、輸出がいずれも増加に転じることから、年率1%程度とされる潜在成長率を上回る成長になると予想しているが、米中貿易戦争が一段と激化するようなことがあれば、輸出の失速を起点として景気が後退局面入りするリスクが高まるだろう。
第一生命経済研 ▲0.2%
(▲0.7%)
7-9月期のマイナス成長は、基本的には前期からの反動や自然災害といった一時的要因によるところが大きいとみられる。10-12月期には自然災害の悪影響が徐々に解消され、挽回生産の動きも生じることから反動増が予想され、潜在成長率をはっきり上回る成長となる可能性が高いとみられる。均してみれば、企業部門を牽引役とした景気の回復傾向に変化はないとみて良いだろう。ただ、ひとつ気がかりなのは輸出の動向である。7-9月期の輸出は自然災害による供給制約やインバウンド需要の減少により下押しされたが、それ以外に、海外経済の景気拡大ペースが鈍化していることも影響していると思われる。米国経済を牽引役に世界経済は回復を続けているという評価は変わらないが、他地域では減速が目立つ状況になっており、回復のモメンタムは鈍化している。世界経済の動向次第では、10-12月期の反発力が思いのほか鈍くなるリスクがあることに注意が必要だろう。
伊藤忠経済研+0.0%
(+0.1%)
輸出落ち込みの主因である関西空港の台風被害は概ね復旧しており、米中貿易摩擦による影響も当面は限定的なため、輸出は今後、持ち直すとみられる。設備投資も、企業の積極的な計画や増勢を強める先行指標から判断する限り、少なくとも当面は高水準を維持しよう。個人消費も、賃金の上昇を背景に底堅く推移するとみられ、10~12月期以降はデフレ脱却に向けて緩やかな回復を取り戻すと見込まれる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲0.3%
(▲1.0%)
2018年7~9月期の実質GDP成長率は、前期比-0.3%(年率換算-1.0%)と2四半期ぶりにマイナスに転じたと予想される。マイナス成長の主な要因は天候不順と災害の発生による一時的な下押し圧力の強まりによるものであり、景気回復の動きが途絶えているわけではないが、これら一時的な下振れ要因を除いても回復の勢いは鈍化している可能性がある。
三菱総研▲0.2%
(▲0.7%)
2018年7-9月期の実質GDPは、季節調整済前期比▲0.2%(年率▲0.7%)と、2四半期ぶりのマイナス成長を予測する。背景には、4-6月期の高い伸びの反動に加え、相次いだ自然災害の悪影響がある。

上のテーブルを見れば一目瞭然なんですが、7~9月期はマイナス成長を予想するシンクタンクが多くなっています。私の実感としては年率で▲1%に達しないくらいのマイナス成長で、第一生命経済研やニッセイ基礎研などが仕上がりの数字としては、いいセン行っているような気がします。そして、各シンクタンクとも一様に主張している通り、7~9月期のマイナス成長は台風や地震といった自然災害に起因する供給面や物流の制約が大きな要因であり、そういったマイナス要因の想定されない10~12月期以降については、緩やかな成長パスに戻る、と見込まれています。そして、先行きの下振れリスクとしては、海外要因が上げられており、盛んに報道されている米中間の貿易摩擦・貿易戦争が我が国の場合、輸出の減速を招く可能性が指摘されています。
最後に、下のグラフはニッセイ基礎研のサイトから引用しています。

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2018年11月 8日 (木)

自然災害により大きく減少した9月の機械受注と回復に転じた10月の景気ウォッチャーと貿易収支が赤字になった経常収支!

本日、内閣府から機械受注景気ウォッチャーが、また、財務省から経常収支が、それぞれ公表されています。機械受注と経常収支は9月の統計であり、景気ウォッチャーだけ10月の統計です。機械受注のうち変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て、前月比▲18.3%減の8022億円を示しています。景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+0.9ポイント上昇して49.5を記録した一方で、先行き判断DIは全角黒三角 ▲0.7ポイント下降して50.6となり、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+1兆8216億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の機械受注、前月比18.3%減 市場予想10.1%減
内閣府が8日発表した9月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比18.3%減の8022億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は10.1%減だった。
うち製造業は17.3%減、非製造業は17.1%減だった。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」受注額(原数値)は7.0%減だった。
内閣府は基調判断を「持ち直しの動きがみられるものの、9月の実績は大きく減少した」とした。
7~9月期の四半期ベースは前期比0.9%増だった。10~12月期は3.6%増の見通し。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入され、設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。
10月の街角景気、現状判断指数は2カ月ぶり改善
内閣府が8日発表した10月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は49.5で、前の月に比べて0.9ポイント上昇(改善)した。改善は2カ月ぶり。家計動向が改善した。
2~3カ月後を占う先行き判断指数は50.6で0.7ポイント低下した。低下は2カ月連続。企業動向、雇用が悪化した。
内閣府は基調判断を「緩やかな回復基調が続いている」に据え置いた。
9月の経常収支、1兆8216億円の黒字 51カ月連続黒字
財務省が8日発表した9月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆8216億円の黒字だった。黒字は51カ月連続。QUICKがまとめた民間予測の中央値は1兆7860億円の黒字だった。
貿易収支は3233億円の黒字、第1次所得収支は1兆6945億円の黒字だった。

なるべく短めの記事を選んだつもりなんですが、それでも3つの統計を並べるとやたらと長くなりました。いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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ということで、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは電力と船舶を除く民需で定義されるコア機械受注で見て前月比▲10%ほどの減、レンジでも▲15.0~▲6.4%でしたので下限を突き抜けて、これも引用した記事にあるように、統計作成官庁である内閣府による基調判断を「持ち直しの動きがみられるものの、9月の実績は大きく減少した」と、単月ながらただし書きをつける必要が感じられるほどの落ち込みでした。業種別でも、製造業・非製造業ともに2ケタ減を記録しています。ただ、四半期でならして見ると、7~9月期の前期比+0.9%増とやや減速した後、10~12月期は+3.6%増と増加率を拡大する見込みとなっています。2017年7~9月期から、見通しの2017年10~12月期まで無理やりにカウントすれば、四半期ベースでは6四半期連続で前期比プラスということになりそうです。9月統計の大きな前期比マイナスについては、このところ、判で押したように自然災害の影響といえます。供給面の制約に加えて、関空などの流通面からも生産が停滞したと考えるべきです。ですから、10月以降の統計を見れば、需要が想定される通りに緩やかに増加している限り、この機械受注をはじめとして各種の経済指標はそれなりの回復を示すと私は期待しています。機械受注のような生産サイドの統計は、さらに、いわゆる「挽回生産」によって短期的には上振れすることもめずらしくありません。ですから、大型案件の受注に伴って、機械受注はもともと単月での振れの激しい指標ですし、少なくとも、9月統計だけでは趨勢的な判断は難しい気がします。他方で、これだけ落ち込みが大きく、市場のコンセンサスを大きく超えれば、基調判断にも何らかの反映が必要、ということなのかもしれません。私も統計局出向の経験がありますので、こういった役所の対応はそれなりに理解は出来ます。

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続いて、景気ウォッチャーのグラフは上の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期です。同じ内閣府の統計ながら、消費者態度指数が需要サイドの消費者マインドを代表しているのに対して、この景気ウォッチャーは供給サイドの消費者マインドを色濃く反映しています。ですから、季節調整済みの系列の現状判断DIの前月差で見て、9月は自然災害の影響などで、わずかながら▲0.1ポイントの下降を示したものの、直近の10月には+0.9ポイントの上昇を記録しました。特に家計動向関連、さらのその中の住宅関連と飲食関連などが大きな前月差プラスとなっています。ですから、9月の自然災害に起因するマインド低下は10月には回復している可能性が高いと私は受け止めています。もっとも、これも季節調整済みの先行き判断DIについては、9月10月と2か月連続で下降を示しました。特に、9月は家計動向関連がほぼほぼ横ばいだったのに対して、企業動向関連が製造業関連・非製造業関連ともに大きな前月差マイナスを記録しています。やや複雑な動きながら、統計作成官庁の内閣府では基調判断を「緩やかな回復基調が続いている」に据え置いています。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。まず、9月の貿易収支は赤字を計上しています。すなわち、節調整済みの統計で見て、震災後の貿易赤字から黒字に転換したのが2013年10月であり、その後、一貫して貿易黒字を計上していたところ、今年2018年2月は、おそらく、中華圏の春節効果で久し振りに赤字となりましたが、2018年9月統計ではそれ以来の貿易赤字となっています。季節調整していない原系列の統計ではまだ貿易収支は黒字ですので、メディアなどではそれほど注目されていないものの、自然災害に伴う供給制約の国内要因に加えて、先進国経済の減速という海外要因に伴う我が国からの輸出の停滞が大きかったと私は考えていますが、さらに、国際商品市況における石油価格の上昇による輸入額の増加もあり、この先も、貿易収支は赤字を計上する月が増えそうな気がします。もちろん、上のグラフでは赤い積み上げ棒グラフで示されている1次所得収支の黒字が大きいことから、刑事う収支が赤字になることは、少なくとも現時点では考えにくいものの、米中間の貿易摩擦も含めて貿易動向は注意が必要かもしれません。

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2018年11月 7日 (水)

基調判断が「足踏み」に下方修正された景気動向指数と賃金上昇続く毎月勤労統計!

本日、内閣府から景気動向指数が、また、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。いずれも9月の統計です。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月差▲0.6ポイント下降して103.9を、CI一致指数も▲2.1ポイント下降して114.6を、それぞれ記録しています。また、毎月勤労統計のうち、名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で+1.1%増の27万256円に上昇しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の景気一致指数が低下 基調判断を下方修正、災害の影響などで
内閣府が7日発表した9月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比2.1ポイント低下の114.6だった。低下は2カ月ぶり。内閣府は「台風や北海道地震などの影響が大きく出た」としている。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「足踏みを示している」に下方修正した。基調判断の下方修正は3年4カ月ぶりで、「足踏みを示している」との表現を用いるのは2年ぶり。
一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象になる7系列全てが指数のマイナスに寄与した。
鉄鋼や輸送機械が振るわなかった鉱工業用生産財出荷指数のマイナスが大きく影響した。災害による工場の稼働停止などで乗用車・二輪車がマイナスとなった耐久消費財出荷指数の低下も指数を押し下げた。物流網に混乱が生じたことで商業販売額(卸売業)も低下した。
数カ月後の景気を示す先行指数は0.6ポイント低下の103.9と2カ月ぶりに下落した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は1.4ポイント上昇の119.8だった。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。
9月の名目賃金、前年比1.1%増 増加は14カ月連続、毎月勤労統計
厚生労働省が7日発表した9月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、9月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比1.1%増の27万256円だった。増加は14カ月連続。基本給の増加が続いた。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が0.8%増の24万4054円だった。残業代など所定外給与は0.4%増。ボーナスなど特別に支払われた給与は13.3%増だった。物価変動の影響を除いた実質賃金は0.4%減だった。名目賃金は増加したが、消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が上昇し、実質賃金を押し下げた。
パートタイム労働者の時間あたり給与は2.1%増の1136円。パートタイム労働者比率は0.15ポイント低下の30.63%だった。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、2つの統計を並べると長くなってしまいました。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は、毎月勤労統計のグラフとも共通して、景気後退期を示しています。

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まず、景気動向指数は、CI先行指数もCI一致指数もともに前月差で下降し、基調判断が「改善」から「足踏み」に1ノッチ下方修正されました。内閣府の発表資料によれば、基調判断の基準として、足踏みに下方修正するばあいは、当月の前月差がマイナスであり、3か月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、1か月、2か月または3か月の累積マイナス幅が1標準偏差分以上の場合に適用されることとされています。そして、「改善」と「足踏み」の先は、「局面変化」ということになりますから、事後的に判断される景気の山がその前の数か月にあった可能性が高い、とされています。来週には7~9月期GDP統計速報、いわゆる1次QEが公表される予定となっており、出来れば今週中にもシンクタンクの予想を取りまとめるつもりですが、7~9月期成長率はマイナスとの予想が強くなっています。ただ、そのマイナス成長の要因は自然災害による供給制約や物流面での問題であり、その後の10~12月期には緩やかな景気回復軌道に復する可能性も見込まれています。ですので、景気動向指数の9月統計だけからすでに景気の転換点を過ぎている可能性を高いと判断するのは少し早計かもしれません。なお、9月統計ではCI一致指数の構成系列は押しなべてマイナス寄与を示していますが、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、商業販売額(卸売業)(前年同月比)などが絶対値で大きく寄与しています。

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続いて、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。ということで、景気に敏感な製造業の所定外時間指数は低下を示していますが、賃金はそれなりに上向きと私は見ています。2番目のパネルの季節調整していない原系列の賃金指数の前年同月比のプラス幅も、3番目の季節調整済みの系列の賃金指数も、ともに上向きに見えます。さすがに、人手不足がここまで進んでいますので、正規雇用の増加とともに、賃金上昇の圧力はそれなりに大きいと私は受け止めています。

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2018年11月 6日 (火)

マクロミルと三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる「2018年スポーツマーケティング基礎調査」やいかに?

10月29日に、マクロミル三菱UFJリサーチ&コンサルティングの共同企画として「2018年スポーツマーケティング基礎調査」の結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートがアップされており、調査結果概要を7点引用すると以下の通りです。


  • スポーツ参加市場規模は約2.5兆円。
  • スタジアム観戦の支出額は年間38,423円で昨年より12.8%増。
  • スポーツ人気で野球とサッカーとの差が縮まる。自分で行うスポーツはウォーキング、ジョギング、水泳など年配層でも続けられる手軽なスポーツが人気。
  • プロ野球ファン人口は2,775万人で昨年比微減。ワールドカップでベスト16となったサッカー日本代表のファンは3,324万人で昨年比401万人増の一方、Jリーグファン人口は1,154万人で微増にとどまる。
    B.LEAGUEファン人口は603万人、Vリーグファン人口は416万人。
  • スポーツブランドではナイキ、アディダスが根強い人気。若年層ではアンダーアーマーの人気上昇。
  • 好きなスポーツ選手は米大リーグで活躍した大谷選手が1位、フィギュアスケート羽生選手が2位。
    全米オープンテニスで優勝した大坂選手が大躍進。
  • eスポーツの認知は全体の1/4。オリンピック種目への導入に対しては、反対が25.9%と賛成の15.1%を10ポイント以上上回った。

いずれもごもっともで納得できる結果かという気がします。私は週末に水泳をしていますが、還暦を迎えて、まさに、「年配層でも続けられる手軽なスポーツ」ということが出来ます。また、スポーツブランドとしてはアディダズが好きです。昨年2017年のリポートでは、野球人気が盛り返し始めているという結果が示されていましたが、今年のプロ野球ファン人口は微減に終わったようです。プロ野球ファン人口のテーブルをひとつだけ引用すると以下の通りです。

プロ野球球団ファン人口
2017年2018年
阪神タイガース438万人641万人
読売ジャイアンツ577万人504万人
広島東洋カープ415万人244万人

これを見て、やや調査結果の信頼性が低下したような気がします。昨年から今年にかけて、我がタイガーズはファン人口を減らして、ジャイアンツは横ばいか微増、広島カープは増やした、というのが私の実感です。監督交代にも現れています。10月15日付けのブログでプロ野球機構(NPB)から明らかにされた観客動員数などの統計を取り上げたブログでも、そうなっています。
今夜は遅くなりましたので、これだけにとどめます。

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2018年11月 5日 (月)

@nifty何でも調査団による「自転車についてのアンケート・ランキング 第2弾」やいかに?

私は週末に自転車に乗って周辺自治体の図書館を回って、読書のための本を借りたり返却したりしているんですが、おそらく、体力的にはややキツい可能性はあるものの、時間的・金銭的には効率よく回れていると自負しています。そんな折に、や野球分に属する話題ながら、10月26日に、@nifty何でも調査団から「自転車についてのアンケート・ランキング 第2弾」の結果が明らかにされています。興味ある2つのテーマに関するグラフを引用して簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフは@nifty何でも調査団のサイトから自転車を使用する頻度に関する質問への回答結果です。【週に1回以上】は男性34.1%、女性31.1%で男性の方が多くなっています。でも、【毎日】の割合は、男性9.3%に対し、女性は13.4%と、こちらは女性の割合のほうが高くなっています。まあ、私は週に1~2回ですかね。ほぼほぼ⅓が週1回以上自転車に乗っているようです。

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次に、上のグラフは@nifty何でも調査団のサイトから自転車のタイプに関する質問への回答結果です。ギアのあるなしを通じて、ママチャリなどのシティサイクルが半分近くを占めます。最近、よく見かけるんですが、電動アシスト付き自転車6%ほどに過ぎません。私はマウンテンバイクに乗っているんですが、マウンテンバイク・クロスバイク・ロードバイクのスポーツサイクルは合わせて10%強といったところでしょうか。

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2018年11月 2日 (金)

中間選挙直前の10月米国雇用統計は好調な労働市場を反映し利上げをサポート!

本日、米国労働省から10月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+250千人増と、市場の事前コンセンサスだった+190~+200千人の増加という予想を大きく上回って伸びが加速し、失業率も前月と同じ3.7%を示し、約半世紀ぶりの低い水準を続けています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を4パラ引用すると以下の通りです。

Economy adds robust 250,000 jobs in October in last employment report before election
The economy added a healthy 250,000 jobs in October, the Labor Department said Friday in the last employment report before midterm elections that President Trump has cast as a critical referendum on his stewardship of the economy.
The unemployment rate was unchanged at a near 50-year low of 3.7 percent. Annual wage growth topped 3 percent for the first time in nine years.
Economists had estimated 200,000 jobs were added last month, according to a Bloomberg survey.
Trump has boasted that low unemployment is a result of the cuts to taxes and regulations championed by his administration, and warned ominously that electing Democrats would reverse the gains.

長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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ということで、中間選挙を間近に控えた10月米国雇用統計は、トランプ政権与党共和党に追い風をもたらすくらい出来過ぎの内容で、雇用者は増加し失業率も半世紀振りの低い水準を保っています。このブログでは、先月の米国雇用統計公表の際に、「ほぼ完全雇用の状態にある米国労働市場では、雇用者募集をかけてもスラックがほぼ尽きた状態になっているとすれば、新たな雇用増は生み出されないわけで、労働市場が完全雇用水準に達したということであれば、雇用増の鈍化と失業率の低下は整合的、」と書きましたが、+250千人の雇用増ということはまだ労働力のスラックはあった、ということなのかもしれません。それはともかく、この労働市場における人手不足はトランプ政権の減税政策がもたらしたと考えられます。まだ、中国製品締め出しの貿易戦争の影響は出ていないとみられるからです。加えて、労働市場が完全雇用であるならば、トランプ政権の圧力がどうあれ、独立した中央銀行である米国連邦準備制度理事会(FED)の利上げ継続路線はサポートされるということになると考えるべきです。FEDは年内にもう一度の利上げを見込んでいますので、12月18~19日に開催予定のの米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが決定されるのはほぼほぼ確実と私は考えています。

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最後に、その物価上昇圧力の背景となっている時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、じわじわと上昇率を高め、9月は前年同月比で+2.8%の上昇と、このところ、+3%近い上昇率が続いています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、日本や欧州と違って米国では物価も賃金上昇も+2%の物価目標を上回る経済状態が続いていて、10年振りに近い+3%超の賃金上昇ですから、12月FOMCでの追加利上げは賃金上昇からも十分に正当化されると私は考えています。

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