IPSOS「人類と気候変動リポート2025」People and Climate Change に見る日本の意識の低さ
世界でも有数の大規模な世論調査機関であるIPSOSから「人類と気候変動リポート2025」People and Climate Change が明らかにされています。もちろん、pfdの全文リポートもアップロードされています。なお、私は英語の1次資料に当たっていますが、IPSOSの日本オフィスから日本語によるプレスリリース「気候変動対策への日本人の意識低下が明らかに、32か国中最下位」というショッキングなタイトルで出されています。リポートからいくつかグラフを引用して、日本語プレスリリースのタイトルを後付けておきたいと思います。
まず、"If individuals like me do not act now to combat climate change, we will be failing future generations" 「私のような個人が、今すぐ気候変動に対処する行動を取らなければ、次世代の期待を裏切ることになる」という問いに対する調査対象32か国別の回答結果のグラフを引用すると上の通りです。32か国平均が64%であるところ、日本は最低の40%となっています。
続いて、"If businesses in [COUNTRY] do not act now to combat climate change, they will be failing their employees and customers" 「(自国の)企業が、今すぐ気候変動対策に取り組まなければ、従業員や顧客の期待を裏切ることになる」という問いに対する調査対象32か国別の回答結果のグラフを引用すると上の通りです。32か国平均が60%であるところ、日本は最低の37%となっています。
続いて、"If [COUNTRY]'s government does not act now to combat climate change, it will be failing the people of [COUNTRY]" 「(自国の)政府が、今すぐ気候変動対策に取り組まなければ、(自国)国民の期待を裏切ることになる」という問いに対する調査対象32か国別の回答結果のグラフを引用すると上の通りです。32か国平均が63%であるところ、日本は最低の42%となっています。
要するに、調査対象の32か国の中で、日本は、気候変動に対する取組みは、個人でもなく、企業でもなく、政府でもなく、すべての主体において他国と比較して責任が弱い、という意識が示されています。ひょっとしたら、日本では余りに「地球温暖化」という用語が広まりすぎて、「気候変動」という用語について理解が進んでいないのか、と考えなくもなかったのですが、それにしても少し驚くような結果といえます。まさに、プレスリリース通り、「気候変動対策への日本人の意識低下が明らかに、32か国中最下位」というしかありません。
私は従来から、日本人はPISAなどで示されている認知能力が高く、加えて、勤勉で時間に正確などという非認知能力も決して世界の中で低くはない、と認識してきましたが、日本人の意識、あるいは、ひょっとしたら、能力やリテラシーやスキルなどについても、私の認識を変える必要があるのかもしれません。
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