2020年1月17日 (金)

イレギュラーな大型案件で増加した機械受注と消費税率引上げでプラスを続ける企業物価!

来週の1月21日からダボス会議が始まります。その主催団体である世界経済フォーラムから、「グローバル・リスク報告書 2020」The Global Risks Report 2020 が明らかにされています。今週になって、私が毎日のように世界経済フォーラムのサイトを見ていたところ、月曜日の1月13日付けで "Published" と高らかに明示されたものの、"Coming Soon!" が長らく続き、pdfの全文リポートがアップされて、私の方でダウンロード可能になったのは1月15日でした。

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ということで、まず、上の INFOGRAPHICS は、世界経済フォーラムのサイトから引用しており、見れば判りますが、TOP GLOBAL RISKS: From economic to environmental. Climate now tops the risks agenda, while the economy has disappeared from the top five とのタイトルが付されています。リポート冒頭にある Figure I: The Evolving Risks Landscape, 2007-2020 を少しデフォルメしたものだと受け止めています。タイトル通りに、経済リスクが大きく後退してトップ5には見られなくなった一方で、環境リスクがクローズアップされています。Likelihood でソートすると、トップ5すべてが環境リスクで占められており、(1) Extreme weather、(2) Climate action failure、(3) Natural disasters、(4) Biodiversity los、(5) Human-made environmental disasters、の順となります。ただし、資産バブルの発生や財政危機などが後景に退いたとはいえ、この環境リスクの裏側には経済活動である企業の生産や家計の消費などが大きな要因となっているわけですから、これらの経済活動が地球環境と調和するような方策を探る必要がある、というのが大きなメッセージとなっています。下のグラフは、リポート冒頭にある Figure II: The Global Risks Landscape 2020 を引用しています。横軸にリスクが顕在化しそうな Likelihood、縦軸にはリスクが顕在化した際のダメージである Impact を取ったカーテシアン座標にさまざまなリスク要因がプロットされています。右上にプロットされているリスクほど警戒が必要、といことなんだろうと思います。

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2020年1月16日 (木)

イレギュラーな大型案件で増加した機械受注と消費税率引上げでプラスを続ける企業物価!

本日、内閣府から昨年2019年11月の機械受注が、また、日銀から昨年2019年12月の企業物価 (PPI) が、それぞれ公表されています。機械受注のうち変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、イレギュラーな大型案件があり、季節調整済みの系列で見て前月比+18.0%増の9,427億を示しており、PPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+0.9%の上昇と、10月から消費税率が引き上げられた影響で先月からプラスが続いています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

11月の機械受注、前月比18.0%増 市場予想3.3%増内閣府が16日発表した2019年11月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比18.0%増の9427億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は3.3%増だった。
うち製造業は0.6%増、非製造業は27.8%増だった。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」受注額(原数値)は5.3%増だった。内閣府は基調判断を「足踏みがみられる」で据え置いた。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入されて設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。
12月の企業物価指数、前年比0.9%上昇 消費増税・原油高が寄与
日銀が16日発表した2019年12月の企業物価指数(2015年平均=100)は102.3と、前年同月比で0.9%上昇した。上昇は2カ月連続。消費税率の引き上げの影響に加え、原油価格の上昇で石油・石炭製品が値上がりしたことが寄与した。前月比では、0.1%上昇した。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示す。円ベースでの輸出物価は前年比で4.1%下落し、8カ月連続のマイナスだった。前月比は0.2%上昇した。輸入物価は前年同月比6.8%下落し、前月比で0.9%上昇した。
企業物価指数は消費税を含んだベースで算出している。10月の消費増税の影響を除いた企業物価指数は前年同月比で0.7%下落した。7カ月連続で前年を下回った。
2019年(暦年)の企業物価指数は101.5で前年比0.2%上昇した。消費増税の影響を除くと0.2%下落と、3年ぶりに前年実績を下回った。

長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注については、昨年2019年6月に季節調整済みの系列の前月比が+13.9%増を記録した後、7月▲6.6%減、8月▲2.4%減、9月▲2.9%減、10月▲6.0%減と4か月連続でマイナスが続いて来たんですが、本日公表の11月統計では、運輸業・郵便業で2件のイレギュラーな大型受注があり、前月から比率で+108.3%増、額で+1,026億円増、を記録したため、コア機械受注全体でも+18.0%増となりました。ただ、コア機械受注全体の増加額は+1,439億円ですから、運輸業・郵便業の増加額を差し引いても約+400億円強が増加したわけで、前月からの増加率も+5%超と考えて差し支えありません。すなわち、引用した記事にもあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、前月比で3%を少し上回る増加だったわけですから、予測レンジ上限の+6.2%増の範囲内とはいえ、やや強めの数字と考えるべきです。ただ、イレギュラーな大型案件受注による大幅増でしたので、基調判断は変更しがたく、「足踏み」で据え置かれています。先行きについては、先月の機械受注統計公表時にお示ししたように、基本的に、横ばいないしやや減少のトレンドではないかと私は見ていますが、もしも、経済協力開発機構(OECD)の先行指標 CLI=Composite Leading Index に示されている "Stable growth momentum and below-trend growth" から、世界経済が本格的に上向けば機械受注も増加に転じる可能性が高まるような気がします。

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機械受注の方は、ちょっとびっくりの結果だったんですが、企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスである+0.9%の上昇にジャストミートしました。2か月連続のプラスですが、ただし、日銀から公表されている消費税を除く上昇率は12月でもまだ▲0.7%であり、11月の▲1.5%から下落幅を縮小したとはいえ、まだ前年同月比マイナスが続いています。引用した記事のタイトルにあるように、消費税率の引上げに大きく支えられ、国際商品市況における石油価格の上昇も寄与しているようで、物価動向に対して金融政策はそれほどの重要性ないのかもしれません。あるいは、現代貨幣理論(MMT)のモデルが正しくて、物価には金融政策ではなく財政政策を割り当てるべきなのか、私は基本的にリフレ派エコノミストでしたが、やや自信がなくなって来ています。

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2020年1月15日 (水)

2020年1月の日銀「さくらリポート」で示された地域の景気動向やいかに?

日銀では支店長会議が開催され、本日午後、「さくらリポート」が公表されています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。各地域の景気の総括判断と前回との比較は下のテーブルの通りで、6ブロックで横ばい、3ブロックで下方修正という結果となっています。

 【2019年10月判断】前回との比較【2020年1月判断】
北海道緩やかに拡大している緩やかに拡大している
東北一部に弱めの動きがみられるものの、緩やかな回復を続けている弱めの動きが広がっているものの、緩やかな回復を続けている
北陸緩やかに拡大している引き続き拡大基調にあるが、その速度は一段と緩やかになっている
関東甲信越輸出・生産面に海外経済の減速の影響がみられるものの、緩やかに拡大している海外経済の減速や自然災害などの影響がみられるものの、基調としては緩やかに拡大している
東海拡大している緩やかに拡大している
近畿一部に弱めの動きがみられるものの、緩やかな拡大を続けている一部に弱めの動きがみられるものの、緩やかな拡大を続けている
中国一部に弱めの動きがみられるものの、緩やかに拡大している幾分ペースを鈍化させつつも、基調としては緩やかに拡大している
四国回復している一部に弱めの動きがみられるものの、回復している
九州・沖縄緩やかに拡大している緩やかに拡大している

繰り返しになりますが、3ブロックで前回判断から下方修正されているものの、各地域の景気の総括判断はすべての地域で「拡大」または「回復」と示されています。この背景として、日銀では、海外経済の減速や自然災害などの影響から輸出・生産や企業マインド面に弱めの動きがみられる一方で、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きな循環が引き続き働いており、設備投資や個人消費といった国内需要が増加基調を続けている点を上げています。
このように、地域ブロック別の景気判断では横ばいないし下向きの修正があるにもかかわらず、来週1月20日から2日間にわたって開催される金融政策決定会合で決定される「展望リポート」に関して、以下の日経新聞や朝日新聞では、成長率見通しを引き上げるとの見込みを報じています。やや混乱を招きかねない報道だと私は受け止めていたんですが、実は、昨年末に公表された国民経済計算の確報レベルでGDPの実額が下方修正され、その後の成長率が発射台との関係で先行き見通しがやや上方修正される、というのが真相のようです。ご参考まで。

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2020年1月14日 (火)

2か月連続で改善した景気ウォッチャーと安定した黒字が続く経常収支!

本日、内閣府から昨年2019年12月の景気ウォッチャーが、また、財務省から昨年2019年11月の経常収支が、それぞれ公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+0.4ポイント上昇の39.8を、先行き判断DIは▲0.3ポイント低下の45.4を、それぞれ記録し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+1兆4368億円の黒字を計上しています。まず、とても長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

12月の街角景気、現状指数は2カ月連続改善
内閣府が14日発表した2019年12月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、3カ月前と比べた足元の街角の景気実感を示す現状判断指数(DI、季節調整済み)は39.8と前月から0.4ポイント上昇した。消費税引き上げに伴う駆け込み需要の反動が和らいできたことや米中貿易摩擦への懸念が薄れたことなどが寄与し、2カ月連続で改善した。
分野別にみると、企業動向を示す指数が3カ月ぶりに改善した。米中貿易摩擦や世界経済の減速などに関するコメントが前月より減少した。「半導体関連の設備に景気上向き傾向が一部にみられ、受注量も増えている」(九州の一般機械器具製造業)といった声があった。
一方、家計動向を示す指数は2カ月ぶりに低下した。消費増税の影響が和らぎつつあるとの声があった一方、暖冬の影響で冬物衣料や暖房器具などの販売が伸び悩んだとの声があった。降雪量が少なくスキー場が開けないといったコメントや忘年会やクリスマスなど年末イベントの簡素化の影響が出ているとの指摘もあった。
2~3カ月後の景気の良しあしを判断する先行き判断指数は45.4と前月から0.3ポイント低下し、3カ月ぶりに悪化した。年末年始商戦への期待感が一巡したことなどで家計動向を示す指数が低下したことが響いた。
内閣府はウオッチャーの見方について「このところ回復に弱い動きがみられる」に据え置いた。「消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動が一部にみられる」といったただし書きも変えず、先行きについても「海外情勢などに対する懸念もある一方、持ち直しへの期待がみられる」と前月と同じ表現を維持した。
経常黒字75%増の1.4兆円 19年11月、貿易赤字が縮小
財務省が14日発表した2019年11月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆4368億円の黒字だった。黒字は65カ月連続。黒字幅は18年11月に比べ75%拡大した。貿易収支の赤字幅縮小や、第1次所得収支の黒字幅拡大が寄与した。
19年11月の輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は25億円の赤字(18年11月は5396億円の赤字)だった。輸出額は10.2%減、輸入額は16.6%減だった。原油価格の下落などを背景に中東からの原粗油などの輸入が減った。輸入額の大幅減少を受け、差し引きの貿易赤字幅が縮小した。
海外企業から受け取る配当金や投資収益を示す第1次所得収支は1兆4575億円の黒字だった。黒字幅は0.1%の拡大。海外の親会社に支払う配当金が減ったため。
サービス収支は18年11月に比べ約4倍となる1630億円の黒字だった。研究開発費やコンサル費用などの赤字幅が縮小したことが大きい。

かなり長くなりました。これらの記事さえしっかり読めば、それはそれでOKそうに思えます。いずれにせよ、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期です。

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ということで、景気ウォッチャーは現状判断DIも、先行き判断DIも、いずれも小幅な動きで、ほぼ横ばい圏内の気がします。引用した記事には、家計部門と企業部門を対比させる内容となっていますが、私はやや異なる印象を持っています。というのも、12月統計の本日公表の景気ウォッチャーとは時点が違うんですが、先週公表され11月統計だった景気動向指数から、「企業も家計もともに停滞している中で、相対的に企業部門の方が大きな落ち込みを示している」との見方を示しました。景気ウォッチャーでも11月統計の現状判断DIを見ると、家計動向関連が前月差プラスで、企業動向関連はマイナスとなっていて、本日公表の12月統計ではこれが逆転して、家計動向関連がマイナス、企業動向関連がプラス、となっているわけです。このあたりはもう少し均して見る必要があるのかもしれませんが、私自身の先週の見方を否定するようで心苦しいものの、企業動向が依存する世界経済は米中間の貿易摩擦もさることながら、マクロの世界経済は明らかに改善に向かっている一方で、家計動向は少なくとも年内くらいまで10月の消費税率引上げのダメージが続く、と私は考えています。他方で、企業部門は景気動向にかなり敏感に反応してボラティリティ高い一方で、家計の消費はやや粘着性が強いとも考えられます。このパラの冒頭部分に戻りますが、基調判断が先月から変更ないのも、横ばい圏内の動きで方向感に乏しいためであろうと私は考えています。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。いずれにせよ、仕上がりの11月統計でも黒字を記録しており、季節調整していない原系列の統計では2014年7月に黒字に転換して以来、また、季節調整済みの系列ではさらに早くて2014年4月の黒字転換以来、5年を超えて経常収支は黒字を継続しています。重要なコンポーネントのひとつである貿易収支は国際商品市況の石油価格の変動に応じて赤字になったり黒字になったりしている一方で、安定的な海外からの第1次所得収支の黒字が大きな部分を占めている点については変わりありません。本日公表の11月経常収支についても同様といえます。加えて、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、+1兆4263億円の黒字の予想でしたので、サプライズもありませんでした。ただ、貿易収支については、この先、世界経済のいっそうの停滞が予想されるとともに、韓国向け輸出の動向も日韓関係の行方に左右される部分もあって不透明と考えるべきです。

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2020年1月11日 (土)

雇用者+145千人増の12月米国雇用統計をどう見るか?

日本時間の昨夜、米国労働省から昨年2019年12月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+145千人増とまずまずの堅調振りで、失業率は先月と同じ3.5%という半世紀ぶりの低い水準を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、コンパクトにUSA Today のサイトから記事を最初の4パラを引用すると以下の通りです。

Economy added disappointing 145,000 jobs in December and the unemployment rate was unchanged at 3.5%
U.S. hiring slowed sharply in December as employers added 145,000 jobs, raising concerns that trade worries and a persistent downturn in manufacturing may be taking a bigger toll on the broader economy.
The unemployment rate was unchanged at a 50-year low of 3.5%, the Labor Department said Friday.
Also mildly disappointing: Job gains for October and November were revised down by a total 14,000. October's tally was nudged from 156,000 to 152,000 and November's, from 266,000 to 256,000.
On the one hand, a slowdown from November's booming additions was not surprising. And the economy added an average 176,000 jobs a month in 2019. That's below the 223,000 average the previous year -- a figure that's expected to be revised down -- but more than many experts anticipated in light of slowing growth and a dwindling supply of available workers.

いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルでは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門を、さらに、下は失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。

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米国雇用統計の何をどう見るかで見方も違ってくるわけですが、先月11月統計の雇用者増+256千人増とか、市場の事前コンセンサスの+180千人増などと比べれば、引用した記事のように、disappointing 物足りない、という評価になるかもしれませんが、米国連邦準備制度理事会(FED)のように、インフレを加速しない巡航速度の雇用者増を+100千人増と考えていたり、あるいは、半世紀振りの低水準である3.5%の失業率を見たりすれば、雇用は堅調という見方も出来ます。私はどちらかといえば後者の、米国雇用はまずまず堅調、という見方です。加えて、今年は米国大統領選挙の年であり、トランプ政権サイドから見ても、両方向の見方ができるかもしれません。すなわち、「よくやった」説を取る場合、北朝鮮に対する態度と同じで、十分な成果が上がったとやや無理やりにでもこじつける見方もできますし、「まだまだ」説を取って、中国やイランに対する態度と同じで、さらなる譲歩≒緩和を求める方向を取ることも出来るでしょう。タイミングも関係するかもしれませんし、年が明けて各政党内の予備選はともかく、本格的な選挙戦に突入すれば、対抗陣営は現政権の政策や成果を否定する一方で、トランプ大統領が共和党の予備選を勝ち抜けば、「まだまだ」説から徐々に「よくやった」説に変化して行くんではないかという気がします。

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ただ、景気動向とともに物価の番人としてデュアル・マンデートを背負ったFEDでは物価上昇圧力の背景となっている時間当たり賃金の動向も注視せねばならず、その前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。米国雇用の堅調振りに歩調を合わせて、賃金上昇率も3%前後の水準が続いており、12月も前年同月比で+2.9%の上昇とインフレ目標を上回る高い伸びを示しています。ただ、上のグラフに見られるように、賃金の伸びが鈍化しているのは、米中間の貿易摩擦の影響もあって、雇用増が製造業ではなく賃金水準の低いサービス業、例えば、Leisure and hospitality や Health care and social assistance などで発生している点もひとつの要因です。日本や欧州と違って、米国では物価も賃金上昇もインフレ目標を上回る経済状態が続いている一方で、政権からの圧力もあってFEDでは利下げが模索されていましたが、「まだまだ」説から「よくやった」説に変化するタイミングを待ちつつ、しばらく小休止なのかもしれません。ただ、左派エコノミストとして、私はトランプ政権の圧力は別と考えても、一般論ながら、金融緩和策や財政的な拡張政策は貧困対策を含めて国民の生活水準向上に役立つものと考えています。

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2020年1月10日 (金)

4か月連続で「悪化」を示す11月統計の景気動向指数は景気後退を示唆するのか?

本日、内閣府から昨年2019年11月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月から▲0.7ポイント下降して90.9を、CI一致指数も▲0.2 ポイント下降して95.1を、それぞれ記録し、統計作成官庁である内閣府による基調判断は、4か月連続で「悪化」で据え置かれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

景気、くすぶる後退観測 11月の動向指数も「悪化」
内閣府が10日発表した2019年11月の景気動向指数(CI、2015年=100)は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.2ポイント低下の95.1だった。10月の消費税率引き上げ後、2カ月続けて前月を下回り、13年2月以来の低水準に落ち込んだ。指数の推移から機械的に決まる基調判断は4カ月連続で「悪化」となり、景気後退の懸念がくすぶり続けている。
指数による基調判断の「悪化」は定義上、景気後退の可能性が高いことを示す。「悪化」が4カ月続くのは12年10月~13年1月以来だ。当時は事後的な認定で景気後退局面とされた期間に重なっており、12年11月が景気の谷だった。
足元の一致指数は増税と大型の台風が重なった10月に急落し、11月もさらに下がった。指数を構成する9統計は7項目が判明ずみで、このうち4項目が指数を押し下げる方向に働いた。
マイナスの度合いが最も大きかった投資財出荷指数は、台風で部品調達が滞った建設機械の出荷減が響いた。世界経済の減速で低迷が続く鉱工業生産指数も、台風による物流の停滞などで一段と落ち込んだ。
政府が月例経済報告で示す公式の景気認識は18年1月から「緩やかに回復」との表現を続けている。直近の19年12月も製造業の弱さに言及しつつ、堅調な雇用などを背景に回復との認識は変えなかった。このため統計指標から機械的にはじく景気動向指数の判断とはズレが生じている。
世界銀行が8日改定した経済見通しによると19年の世界の成長率は推定で2.4%と、金融危機の影響から脱し始めた10年以降で最低になった。市場では日本経済が景気後退局面に入っているとの声がくすぶる。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎氏は「景気は既に山を越えた」とみている。米中貿易戦争が激しくなった18年秋以降は下り坂で、19年10月の増税も重荷になっている。
もっとも過去の景気後退局面と比べると、経済指標の落ち込みは小さいとの指摘もある。日本総合研究所の松村秀樹氏は「下押し圧力を超えて回復が持続する」と予想する。内需は堅調で、増税後の個人消費も底割れしないとの見方だ。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、景気動向指数のグラフは下の通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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いつも論じているように、景気動向指数は鉱工業生産指数(IIP)との連動性が高いんですが、11月統計の一致指数のマイナス寄与が大きい順に採用系列を並べると、投資財出荷指数(除輸送機械)、生産指数(鉱工業)、鉱工業用生産財出荷指数、有効求人倍率(除学卒)と、最初の3項目にはIIP関連の指標が登場します。 逆に、プラス寄与の大きい順だと、商業販売額(小売業)(前年同月比)や耐久消費財出荷指数が上位に並んで、企業部門の低迷と家計部門の堅調という、消費税率引上げ直後としては考えられない部門間の動きを示しています。というのは、私の考えでは、企業も家計もともに停滞している中で、相対的に企業部門の方が大きな落ち込みを示している、ということなのだろうと考えられます。企業部門の落ち込みを家計部門が下支えしている構図なわけですが、そのひとつの要因として、人手不足による雇用の堅調な動向が上げられます。ただ、私が何度もこのブログで明らかにしているように、景気後退局面に入って雇用が落ち始めると、それこそ、底なし沼のように景気と雇用があいまって大きく落ちる可能性も否定できません。日経新聞の記事で最後の方に紹介されているシンクタンクのエコノミスト2氏の見方は、あるいは、どちらも正しくて、おそらく景気はピークを超えたのでしょうが、まだ、大きな落ち方を示す局面には到達していない、ということなのかもしれません。私も判断に迷うところですから、景気局面の判断はそれなりに時間が経過した後でないと出来ない、というのも理解できるところです。

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2020年1月 9日 (木)

債務が財政危機をもたらすのだろうか?

年末年始の学術論文紹介シリーズ第3回にして早くも最終回です。国際通貨基金(IMF)のワーキング・ペーパー2020年第1号にして "Debt Is Not Free" と題する債務と財政危機の関係に対する論考です。いつもの論文アップロード先は以下の通りです。

ここで、タイトルがあくまで "Debt" となっているところがミソで、引用文献には決して現れないながら、いかにも、ケルトン教授やレイ教授の現代貨幣理論=MMTを十分に意識した内容となっていますが、決して、政府の国内債務に限定することなく議論を展開しています。まず、やや長くなりますが、IMFのwebサイトから英文のままSummaryを引用すると以下の通りです。

Summary
With public debt soaring across the world, a growing concern is whether current debt levels are a harbinger of fiscal crises, thereby restricting the policy space in a downturn. The empirical evidence to date is however inconclusive, and the true cost of debt may be overstated if interest rates remain low. To shed light into this debate, this paper re-examines the importance of public debt as a leading indicator of fiscal crises using machine learning techniques to account for complex interactions previously ignored in the literature. We find that public debt is the most important predictor of crises, showing strong non-linearities. Moreover, beyond certain debt levels, the likelihood of crises increases sharply regardless of the interest-growth differential. Our analysis also reveals that the interactions of public debt with inflation and external imbalances can be as important as debt levels. These results, while not necessarily implying causality, show governments should be wary of high public debt even when borrowing costs seem low.

批判的に検討を加えているのは、MMTではなく、むしろ、IMFのチーフエコノミストも務めて、身内ともいえるブランシャール教授が American Economic Review で明らかにした論文、というか、講演録 "Public Debt and Low Interest Rates" あたりが念頭にあるのかもしれません。この論文では、現在の低金利の米国では安全資産の金利が成長率を下回っており、政府債務は資本蓄積を妨げ経済的な厚生コストを発生させるとしても、"Put bluntly, public debt may have no fiscal cost." とブランシャール教授は主張しています。長崎大学の紀要論文「財政の持続可能性に関する考察 - 成長率・利子率論争と時系列データによる検定のサーベイ -」で私が主張したように、国債金利が成長率を下回る動学的不均衡の状態にあるならば、政府債務は破綻せずサステイナブルである、というのがブランシャール教授の論点です。

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本論文 "Debt Is Not Free" では、別のアプローチを取っています。すなわち、上のグラフは本論文 p.40 から Figure 13. Overall Interaction Strength を引用しているんですが、政府債務そのものではなく、国内貯蓄で賄い切れなくなった結果として、公的対外債務が累積すると過去の財政危機の履歴と相まって財政危機を引き起こす可能性が高くなる、という点が強調されているような気がします。英文で70ページ近い論文なものですから、ひょっとしたら、私の方で十分把握できていない恐れもあったりするんですが、財政危機と対外収支危機も峻別されていないような印象すらあります。ともかく、MMTはもとより、ブランシャール教授の動学的不均衡下での政府債務の持続可能性についても、反論できていないように感じるのは私だけでしょうか?

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2020年1月 8日 (水)

ユーラシア・グループによる Top Risks 2020 の1番目は米国大統領選挙!

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地政学的なリスクなどの情報提供・分析を行う米国企業であり、イアン・ブレマー率いるユーラシア・グループが今年も昨日1月6日付けで、Top Risks 2020 を明らかにしています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。上の画像はリポートの表紙であり、トップ10の今年2020年のリスクが明記されています。以下の通りです。

  1. Rigged!: Who governs the US?
  2. The Great Decoupling
  3. US/China
  4. MNCs not to the rescue
  5. India gets Modi-fied
  6. Geopolitical Europe
  7. Politics vs. economics of climate change
  8. Shia crescendo
  9. Discontent in Latin America
  10. Turkey

トップリスクは米国の大統領選挙です。ユーラシア・グループでは今まで米国国内政治をトップリスクに上げることはなかったとしながらも、米国の政治、特に、大統領選挙の結果生じうる不確実性の増大や国際政治から米国の影響力が後退する空白に伴って生じる不安定性などを上げています。リポートでは、"American Brexit" なんて表現が p.4 に出てきたりします。それにしても、エコノミストにはまったく理解できないところで、米軍によるイランのイスラム革命防衛隊の「コッズ部隊」ソレイマニ司令官らの殺害なんぞは、在イラクの複数の米軍基地に弾道ミサイルによる攻撃があったようですが、今後、どういう展開を見せるんでしょうか。2番めと3番めはともに米中関係に起因しており、私なんぞはエコノミストですから3番めの米中間の貿易摩擦のエスカレーションが今年最大の懸念材料と考えていますが、このリポートでは中国が技術的な面における米国依存から脱するデカップリングの方を先に位置付けています。後は、多国籍企業、インド、欧州、地球環境、シーア派、中南米、トルコと並んでいて、経済パワーに従って世界的な影響力も大きく後退した我が日本はアジェンダには上がっていません。それから、世界経済フォーラムの主催するダボス会議が1月21~24日に開催され、その前に World Risks Report が明らかにされると思いますので、また、その際は取り上げたいと予定しています。

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目を国内の経済指標に転じると、本日、内閣府から昨年2019年12月の消費者態度指数も公表されています。2人以上世帯の季節調整済みの系列で見て、前月から+0.4ポイント上昇して39.1となり、3か月連続で前月を上回りました。いつもの消費者態度指数のグラフは上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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2020年1月 7日 (火)

貧困と剥奪スコアの関係やいかに?

昨夜に続いて、年末年始休み読んだ学術論文のうち、今夜は社会保障・人口問題研究所の『社会保障研究』から「剥奪指標による貧困の測定」です。論文アップロード先は以下の通りです。

先日の読書感想文『本当の貧困の話をしよう』にもかきましたが、貧困指標にはいくつかあって、英語ながら私は長崎大学の紀要論文 "A Survey on Poverty Indicators: Features and Axioms"で簡単に取りまとめていたりするんですが、私の紀要論文でもすべてが金銭的指標であり、途上国で貧困を定義する場合、1人当たりの所得額、いわゆるヘッドカウントで見て、先進国では相対的貧困率、すなわち、等価可処分所得の中央値の50%を貧困ラインと定義して、その貧困ラインを下回る所得の人数の比率を算出するものが主流となっています。ただ、こういった金銭的な貧困指標だけでなく、本論文のタイトルにもなっている剥奪率という非金銭的な指標の開発が進められてきている点が注目されます。ここで、「剥奪」とは英語の deprivation であり、より広い概念としては「社会的剥奪」social exclusion といったものもあります。社会における標準的な生活様式を享受するための資源が欠如している状態を指していて、典型的に想像されるのは、水道がないために、歩いて1時間ほどもかかる井戸まで子供が水汲みに行かねばならない、といった途上国の剥奪の状況を耳にした人も多いんではないでしょうか。現在の日本で上水道へのアクセスがないというのはやや極端と感じられる人もいる可能性がありますが、本ペーパーの著者が剥奪項目として上げたのはペーパー p.280 表4 項目別の剥奪者率・普及率 から、以下の通りです。

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これらの剥奪項目から、金銭的な理由により所有やアクセスのない人数の比率で剥奪率を産出しています。テーブルの真ん中ちょっと上に「自動車」というのがあって、定年までキャリアの国家公務員を務め上げた私が主たる所得稼得者であった我が家には自動車がありませんでしたが、ひょっとしたら、これは金銭的な理由ではない、と判断されるかもしれません。なお、単純な剥奪項目数についてもカウントしています。

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所得と剥奪の状態をプロットしたのが、上の 図1 等価所得階級別の剥奪項目数・剥奪率 です。ペーパー p.282 から引用しています。所得に従って剥奪が減少しているのは明確なんですが、等価可処分所得600万円を超えるあたりから横ばいとも見えます。もちろん、単純な平均値的な集計結果だけでなく、各種のモデルに基づく推計も実施されており、線形回帰モデルとトービット・モデルの結果がペーパー p.283 表8 回帰分析の推定結果 に示されています。コチラのテーブルは情報量が多い分、やや見づらい気もするので引用はしませんが、簡単に解説しておくと、第1に、個人の基本的な属性に関しては、年齢と等価可処分所得は明らかに収奪スコアと統計的に有意な負の相関関係にあります。所得が高いほど収奪スコアは低いわけで、年功序列賃金がかなり残っているとすれば当然です。ただ、性別について女性ダミーは収奪スコアと負の符号を取るものの、統計的に有意ではありません。第2に、家族構成としては、所得をコントロールしてもなお、単身世帯や夫婦のみ世帯は収奪スコアと負の相関関係で、統計的にも有意な結果が示されており、逆に、基準となっている夫婦と未婚の子のみの世帯、すなわち、子供を持つことは収奪スコアと正の相関関係にあるようです。もっとも、子供を持つ前に若い年齢層の夫婦のみ世帯と、我が家のように子供が独立してしまった後の高齢の夫婦のみ世帯では、少し事情が違うような気がしないでもありません。それから、ひとり親と未婚の子どもの世帯も収奪スコアと統計的に有意な正の相関関係となっています。母子家庭などの収奪の現状を考えるとそうかもしれません。三世代家族は収奪スコアと正で統計的に有意な相関関係なんですが、おそらく、私の直感では、因果関係は逆であり、三世代同居により収奪スコアが大きくなるわけではなく、収奪スコアの大きな家族は三世代同居をするんだろうという気がします。ただ、同じ『社会保障研究』第4巻第3号には「三世代同居と相対的剥奪」と題する論文も収録されており、そこでは、生活が苦しいので同居せざるを得ない、という私のような見方とともに、家屋が古いとか、老親介護のための同居の可能性、などが指摘されています。いずれにせよ、三世代同居してなお収奪スコアが高いのですから、三世代同居は収奪スコアを高める原因となるリスクを持つ可能性も考えるべきかもしれません。最後に第3に、その他の3つの指標については、主観的健康ダミーと持ち家ダミーは収奪スコアと統計的に有意に負の相関関係があり、健康と感じれば、あるいは、持ち家を持っていれば、収奪スコアが低いことを意味します。そして、最後の最後に興味深いのは、就業ダミーが統計的に有意に正の相関を収奪スコアと有しています。もちろん、因果関係は逆であって、収奪が高いので就労せざるを得ない、という意味なのかもしれませんが、解釈の難しいところです。

エコノミストとしては、ついつい主流派の議論で、あくまで所得の増加が貧困や収奪の軽減に有効であることはいうまでもないところながら、家族構成などは個人や世帯の価値観に基づく判断で決定される、とはいうものの、決して自己責任ばかりではないわけですから、貧困や収奪との関係でさまざまな議論を展開すべき時期に来ているのかもしれません。また、私個人としても、途上国での井戸への水汲みの例も出しましたが、日本国内における議論とともに、途上国の現状についても把握に努めたいと考えます。

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2020年1月 6日 (月)

企業規模と賃金、労働生産性の関係やいかに?

昨年末に明らかにされ、年末年始休みにパラパラと読んだ学術論文からいくつかピックアップしたいと思います。まず、財務省財務政策総研のディスカッション・ペーパー「企業規模と賃金、労働生産性の関係に関する分析」です。論文アップロード先は以下の通りです。

大学生諸君の終活などでは、その昔は「寄らば大樹の陰」などといわれて、規模の大きな企業への就職がひとつの目標だった時期もありますが、単に、倒産しない、つぶれない、というだけでなく、日本のみならず、米国などにおいても規模の大きな企業ほどお給料や厚生などの待遇がいいことは広く知られている通りです。本論文では財務省の法人企業統計の個票を用いて、従業員数で代理された企業規模と賃金や生産性などとの関係につき、製造業とサービス業の産業別で回帰分析しています。ただ、極端な外れ値を処理するため、分布の両端0.05%を棄却しています。従業員規模は、①1~4人、②5~9人、③10~19人、④20~49人、⑤50~99人、⑥100~249人、⑦250~499人、⑧500人以上、の8階級に分割し、生産性は付加価値額を従業員数で除しています。回帰分析は、「企業規模-賃金」、「企業規模-労働生産性」及び「労働生産性-賃金」の間で左側の変数を従属変数、右側を独立変数としているんですが、少なくとも3番目の回帰分析はそれほど大きな意味あるとは私には思えません。従って、最初の2つのモデルのうち、企業規模と賃金のあ医大で典型的に中央値比較をしたグラフ、図3 企業規模と賃金 をペーパー p.9 から引用すると以下の通りです。

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ペーパー p.10 には、図5 企業規模と労働生産性 として同じような企業規模と労働生産性のグラフがあります。製造業では企業規模とともに賃金や労働生産性が単調増加するのに対して、サービス業の賃金や生産性が従業員数250人を超える規模のあたりで横ばいないし低下に転ずるのは、ペーパーでも指摘しているように、生産性の低い小売業のシェアが高まるのもさることながら、同時に、非正規雇用の比率に大きく影響されているのではないか、と私は考えています。その点の分析をしていないんですから、やや物足りない仕上がりと感じてしまいます。賃金や労働生産性を高めるためには正規雇用の増加が重要です。

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