2017年8月14日 (月)

4-6月期GDP統計1次QEは内需主導で年率+4%の高い成長率を示す!

本日、内閣府から4~6月期のGDP統計1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+1.0%、年率では+4.0%を記録しました。潜在成長率を大きく超えて、消費などの内需が牽引する高成長といえます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4~6月期GDP、年率4.0%増 個人消費など内需がけん引
内閣府が14日発表した2017年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比1.0%増、年率換算では4.0%増だった。プラスは6四半期連続。個人消費や設備投資など内需がけん引し、公共投資も大幅に伸びた。景気の原動力だった輸出はマイナスに転じたが補った。
QUICKが集計した民間予測の中央値は前期比0.6%増で、年率では2.4%増だった。生活実感に近い名目GDP成長率は前期比1.1%増、年率では4.6%増だった。名目は2四半期ぶりにプラスになった。
実質GDPの内訳は、内需が1.3%分の押し上げ効果、外需の寄与度は0.3%分のマイナスだった。項目別にみると、個人消費が0.9%増と、6四半期連続でプラスだった。
輸出は0.5%減と4四半期ぶりに減少した。輸入は1.4%増だった。国内需要が伸び、輸入量が増加した。
設備投資は2.4%増と、8四半期連続でプラスだった。生産活動が回復し、設備投資需要が高まった。住宅投資は1.5%増。公共投資は16年度第2次補正予算に盛り込んだ経済対策が寄与し、5.1%増だった。民間在庫の寄与度は0.0%のプラスだった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてマイナス0.4%だった。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.4%のプラスだった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2016/4-62016/7-92016/10-122017/1-32017/4-6
国内総生産GDP+0.3+0.3+0.4+0.4+1.0
民間消費+0.1+0.4+0.1+0.4+0.9
民間住宅+3.2+2.8+0.3+0.9+1.5
民間設備+0.7+0.0+2.2+0.9+2.4
民間在庫 *(+0.3)(▲0.4)(▲0.2)(▲0.1)(+0.0)
公的需要▲1.2+0.0▲0.5+0.1+1.3
内需寄与度 *(+0.3)(▲0.1)(+0.1)(+0.2)(+1.3)
外需寄与度 *(+0.1)(+0.4)(+0.3)(+0.1)(▲0.3)
輸出▲0.9+2.1+3.1+1.9▲0.5
輸入▲1.2▲0.2+1.4+1.3+1.4
国内総所得 (GDI)+0.4+0.1+0.2▲0.0+1.1
国民総所得 (GNI)+0.1+0.0+0.1+0.2+1.1
名目GDP+0.0+0.1+0.5▲0.0+1.1
雇用者報酬 (実質)▲0.0+0.8▲0.3+0.3+0.7
GDPデフレータ+0.4▲0.1▲0.1▲0.8▲0.4
内需デフレータ▲0.7▲0.8▲0.3+0.0+0.4

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された1~3月期の最新データでは、前期比成長率が5四半期連続でプラスを示し、特に直近の4~6月期は伸びが高く、黒い外需(純輸出)がマイナスであるものの、主要場内需項目である水色の設備投資と赤い消費がプラスの寄与を示しているのが見て取れます。

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持続可能性をどこまで考慮するかにもよりますが、エコノミストの目から見て、満点に近い結果だった気がします。6四半期連続のプラス成長もさることながら、今年2017年に入って、内需と外需の寄与度が逆転し、内需寄与度の方が大きくなりましたが、それでも、1~3月期ではまだ外需寄与度が+0.1%に対して、内需寄与度+0.2%だったのに対して、4~6月期には内需+1.3%、外需▲0.3%ですから、圧倒的に内需主導型の成長と考えるべきです。需要項目別に少し詳しく見ると、消費についてはエコカー減税や家電エコポイント制度などに加えて、消費増税前の駆け込みによる需要先食いの悪影響が緩和しつつあり、自律的な耐久消費財の買い替えサイクルと相まって、特に自動車が好調だった印象です。設備投資については世界経済の回復・拡大に支えられた輸出の増加と企業業績の改善が設備投資を後押しし、さらに、最近の人手不足も省力化や合理化投資の追い風となっています。在庫については寄与度ベースで、7~9月期▲0.4%、10~12月期▲0.2%、今年2017年1~3月期▲0.1%と3四半期連続でマイナスをつけた後、4~6月期には+0.0%ですから、ほぼ在庫調整は終了し、先行きは需要動向次第で意図的な在庫の積み増しに入る可能性もあります。ただし、消費については天候要因も無視できず、梅雨が明けてからの梅雨空の天候のように、決してサステイナブルとはいえません。設備投資についても企業サイドのマインドがどこまで維持されるかは未確定であり、そして、何よりも、年率+4%という潜在成長率をはるかに超えた高成長は持続性ないと考えるべきです。従って、そのうちに消費や設備投資の調整局面が入り踊り場を迎える可能性も否定できません。ただ、昨年年央までの外需依存の成長と違って、内需が成長を主導していますので、それなりの継続性が期待できます。為替ショックなどにも強いかもしれません。

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内需主導型成長のバックグラウンドには堅調な雇用があります。毎月勤労統計などを見ている限り、なかなか賃金が伸びないと懸念していたんですが、SNAベースの雇用者報酬はやや伸びを高めていることが確認されました。上のグラフの通りです。やや停滞を示していた雇用者報酬も4~6月期には大きく伸びを高めています。天候や野菜などの価格動向を背景に、消費者のマインドは徐々に上向いていますが、短期的には消費はマインドで支えられる面があるものの、より長い目で見て所得のサポートが必要なのはいうまでもありません。賃金が統計に表れる部分ではそれほど上昇していないにもかかわらず、雇用者報酬がそこそこの伸びを示しているのは、やはり、雇用者数の伸びが大きいからです。マクロの雇用者報酬の伸びは、雇用者数の伸びと雇用者1人当たり賃金の伸びの掛け算で決まります。人手不足の下で、女性や高齢者などの就業率が高まればマクロの所得も伸びを高めます。堅調なマインドと相まって消費を支えるひとつの大きな要因です。

最後に、私は内閣支持率と景気はかなりの程度に連動すると考えているエコノミストの1人なんですが、この4~6月期は近年になくとても景気がよかったにもかかわらず、内閣支持率が急落したり、東京都議選で与党が大きく議席を減らしたりと、景気と内閣支持率が逆方向に動いた気がします。

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2017年8月10日 (木)

3か月連続マイナスを記録した機械受注と上昇幅の拡大した企業物価(PPI)!

本日、内閣府から6月の機械受注が、また、日銀から7月の企業物価 (PPI)が公表されています。機械受注では変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て前月比▲1.9%減の7900億円だった一方で、PPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は前月統計から上昇幅を拡大して+2.6%を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の機械受注1.9%減、電子部品向けなど鈍化
内閣府が10日発表した6月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は、前月と比べ1.9%減の7900億円だった。受注額は2016年5月以来、1年1カ月ぶりの小ささ。情報通信機械を中心に製造業が振るわなかった。前月割れは3カ月連続で、QUICKがまとめた市場予想(4.3%増)を大きく下回った。内閣府は基調判断を「足踏みがみられる」に据え置いた。
製造業が5.4%減と5カ月ぶりの大幅減となった。スマートフォン向けを含む電子部品用機械などの受注が鈍化し、情報通信機械が26.8%減となった。ただ自動車関連は12.7%増と、5月の7.4%減から持ち直している。内閣府は製造業の動向について「弱いとはいえないが目立った大型案件がなく、目先は実質的に横ばいとなりそうだ」(内閣府経済社会総合研究所)とみていた。
非製造業は0.8%増と4カ月ぶりに増加に転じた。通信業が28.8%増、運輸・郵便業が14.1%となったことが寄与した。いずれも前月に20%台の大幅なマイナスとなった反動増の面が大きい。非製造業は受注額でみると4508億円と、約2年ぶりの小ささとなった前月(4473億円)とほぼ同水準にとどまっている。
4~6月期の「船舶、電力を除く民需」の受注額は前期比4.7%減と1~3月期に続きマイナスだった。環境規制にからんだ駆け込み需要が剥落し建設機械が振るわず、非製造業の前月割れが続いたことが響いた。内閣府は7~9月期は非製造業が持ち直すとして7.0%の伸びを見込んでいる。
7月の企業物価指数、2.6%上昇 7カ月連続で前年上回る7月の企業物価指数、2.6%上昇 7カ月連続で前年上回る
日銀が10日に発表した7月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は98.8で、前年同月比で2.6%上昇した。7カ月連続で前年を上回り、消費増税の影響を除くと2013年11月(2.6%上昇)以来3年8カ月ぶりの伸びだった。電力料金の上昇に加え、銅市況の改善で銅地金などの価格も上がった。中国の通販市場拡大に伴い、段ボールに使う古紙の価格も上昇が目立ったという。前月比では0.3%上昇した。
円ベースの輸出物価は前年比で7.7%上昇し、14年1月(8.1%上昇)以来3年6カ月ぶりの伸びとなった。一方で前月比では1.3%上昇だった。輸入物価は前年比で11.9%上昇したが、前月比では横ばいだった。前月比での円高・ドル安の進行などが響いた。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの価格動向を示す。公表している744品目のうち、前年比で上昇したのは356品目、下落したのは277品目だった。上昇と下落の品目差は79品目と、6月の確報値(66品目)から増加した。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。ただし、統計2本の記事を並べましたので、やたらと長くなってしまいました。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は、次の景気ウォッチャーとも共通して、景気後退期を示しています。

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日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の前月比伸び率は+4.5%と予想されていたんですが、実際には▲1.9%のマイナスで、しかも3か月連続の前月比マイナスですし、引用した記事にもある通り、季節調整済みの前期比で見ても、1~3月期の▲1.4%減に続いて、4~6月期も▲4.7%減と、2四半期連続の前期比マイナスを記録しています。ただし、3月時点での見通しでは、4~6月期も▲5.9%減が見込まれていましたから、それは上回って推移しています。加えて、先行き四半期である7~9月期の受注見通しについては、コア機械受注ベースで前期比+7.0%増の2兆6,011億円を見込んでいます。先行き7~9月期には製造業がマイナスと予想される一方で、非製造業はプラスと見込まれています。ということで、設備投資の先行指標であるコア機械受注は横ばい、というか、一進一退が続いているんですが、それほど悪い数字ではないものの、何とも先行きは見通しがたくなっています。標準的なシナリオでは、昨年末あたりからの製造業における稼働率の上昇や人手不足などに加えて、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、緩やかながら設備投資は増加の方向を示すんではないか、と多くのエコノミストは考えています。私もそうです。今でもそうです。ただし、足元の企業マインドなどを考え合わせると、維持・更新投資は当然増加するとしても、国内での能力増強投資につては海外投資との見合いで慎重姿勢を示す企業も少なくないことから、どこまで設備投資がマクロでして伸びるかは必ずしも明らかではありません。1点だけ私から強調しておきたいのは、6月統計では引用した記事にもある通りに我が国のリーディング・インダストリーである自動車関連で持ち直しの動きがみられる点です。ただ、設備投資の先行きについては、そろそろ、緩やかな増加から横ばいの範囲に下方修正するエコノミストもいそうな気はします。

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続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルから順に、最初のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、真ん中の2番目は需要段階別の上昇率、そして、最後の3番目は原油価格の指数そのものを、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、上2枚のパネルの影をつけた部分は、機械受注と同じく、景気後退期を示しています。ということで、企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価は前年同月比で見て、7月は+2.6%の上昇と前月からさらに上昇幅を拡大しています。ただ、上昇幅拡大の主因は電気やガスなどのエネルギー関連の価格上昇であり、原油価格がラグを伴って波及しているだけという気もします。上のグラフの中の一番下のパネルでは原油価格の指数をそのままプロットしていますが、前年同月比上昇率のベースでは、今年2017年1~3月期の各月に+90%超の大幅な上昇を記録した後、すでに上昇率ではピークアウトし、直近7月統計では+6.0%まで落ち着きを取り戻しています。国際商品市況で決まる価格ですので先行きは見通しがたいんですが、大幅な価格上昇の時期は過ぎた気もします。ですから、PPI上昇率の先行きについては、このまま上昇幅がさらに拡大することは考えにくいと私は受け止めています。

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2017年8月 9日 (水)

来週月曜日に公表予定の4-6月期GDP速報1次QEの予想やいかに?

先週月曜日の7月月末までに必要な統計がほぼ明らかになり、来週月曜日の8月14日に4~6月期GDP速報1次QEが内閣府より公表される予定です。すでに、シンクタンクや金融機関などから1次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニュースレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の4~6月期以降の先行きの景気動向を重視して拾おうとしています。明示的に取り上げているシンクタンクは、下のテーブルでは上から6機関、すなわち、日本総研、大和総研、みずほ総研、ニッセイ基礎研、第一生命経済研、伊藤忠経済研となっています。いずれにせよ、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+0.6%
(+2.2%)
7~9月期を展望すると、国内需要は、企業の良好な収益環境や人手不足を背景とした雇用所得環境の改善を下支えに、持ち直しの動きが続くとみられるほか、輸出も、世界的な設備投資意欲の改善などを背景に、再び増加基調に復帰する見込み。4~6月期の成長率を押し上げた公共投資や在庫投資のプラス寄与は縮小するものの、0%台後半とみられる潜在成長率を上回る成長ペースが続く見込み。
大和総研+0.7%
(+2.8%)
先行きの日本経済は、基調として足下の緩やかな拡大が継続するとみている。個人消費を中心とした内需は一進一退ながら堅調な推移が続くと同時に、世界経済の回復を背景とした外需の拡大が日本経済の成長を支えるだろう。ただし、Fedの利上げや共産党大会後の中国経済の減速懸念など、外需の下振れリスクには警戒が必要である。
先行きの個人消費は、一進一退ながら堅調な推移が続くと見込む。労働需給がタイトな状況の中、非製造業を中心とした労働需要の高まりから雇用者数が増加基調であることに加えて、賃上げ率は4年連続で2%を上回っている。これらがマクロの賃金(=一人当たり賃金×雇用者数)を押し上げると考えられ、個人消費のけん引材料となるだろう。一方、良好な消費者マインドの改善が一服することで消費性向の上昇が停滞することとなれば、個人消費は徐々に減速していく可能性がある。
みずほ総研+0.6%
(+2.5%)
7~9月期以降の日本経済について展望すると、海外経済の回復が、引き続き輸出や設備投資の回復につながるだろう。4~6月期の輸出はITセクターの減速などから減少したものの、7~9月期になると輸出は再び回復軌道に復するとみている。データセンターや車載向けの需要の堅調さに加えて、秋に控えるiPhone8の発売がIT関連輸出の押し上げ要因となるだろう。設備投資については、非製造業が各業種の個別要因から減速する可能性がある。もっとも、全体としては、五輪関連や都市再開発関連の案件が進捗すること、人手不足の深刻化を背景に省力化・効率化投資の積み増しが見込まれることから、設備投資は堅調さを維持するだろう。
個人消費については、耐久消費財が持ち直していること、株高などを背景に消費者マインドが改善していることがプラスに働くと見られる。天候要因による振れを伴いつつも、個人消費は緩やかな回復傾向が続くとみられる。
ニッセイ基礎研+0.9%
(+3.6%)
日本経済は2016年1-3月期以降、ゼロ%台後半とされる潜在成長率を上回る成長を続けているが、2017年4-6月期はその中でも最も高い伸びとなった模様だ。内容的にも2016年後半は外需中心の成長だったが、2017年入り後は民間消費、設備投資が明確に増加し、内需主導の自律的回復局面に移行しつつある。
7-9月期は4-6月期の高成長の反動もあり成長率は鈍化する公算が大きいが、4-6月期と同様に民間消費、設備投資などの国内民間需要中心の成長が続くことが予想される。ただし、名目賃金の伸び悩みが続いているため、今後物価上昇ペースが加速した場合には、実質所得の低下を通じて消費が下振れるリスクが高まるだろう。
第一生命経済研+0.8%
(+3.2%)
先行きも、景気は好調な推移が続く可能性が高い。米国を中心として海外経済が回復傾向を続けるとみられるなか、輸出は再び増加基調に戻る可能性が高いことに加え、設備投資も、企業収益の増加や高水準の企業マインドを受けて増加傾向が続くだろう。個人消費については4-6月期は出来過ぎの感が否めず、強気にはなれないが、少なくとも足を引っ張ることはなさそうだ。今後も着実な景気回復を見込んで良いだろう。
伊藤忠経済研+0.2%
(+0.9%)
今後の景気を展望すると、7~9月期には公共投資の落ち込みは避けられないものの、海外景気の拡大を背景に輸出が増勢を取り戻すほか、賃金上昇を受けて個人消費は持ち直しの動きを維持、設備投資も企業が比較的強気の今年度計画を実行に移し再び増加に転じるなど、国内民間需要が増勢を強めるとみられる。そのため、今後も潜在成長率を上回る景気拡大は十分に期待できそうであり、それが実現すれば年度末に向けて消費者物価上昇率は徐々に高まろう。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所+0.6%
(+2.5%)
17年4-6月期は、国内需要が成長率を大きく押し上げた模様である。雇用・所得環境の改善を背景に、個人消費が引き続き堅調に推移したとみられるほか(前期比0.3%増)、設備投資の増加基調も一段と強まった可能性が高い(同2.0%増)。総額28兆円超の大型経済対策の執行本格化を受けて、公共投資も急速に拡大したとみられる(前期比4.1%増)。半面、輸出については、アジア向けの低迷を反映して、前期比0.1%増に鈍化したとみられるほか、住宅投資についても、相続対策とみられる貸家建設の需要一巡などから、同0.3%減が見込まれる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.5%
(+2.2%)
8月14日に内閣府から公表される2017年4~6月期の実質GDP成長率は、前期比+0.5%(年率換算+2.2%)と6四半期連続でプラスとなったと見込まれ、景気が持ち直していることを確認する結果となろう。
個人消費は、雇用・所得情勢の改善などを背景に堅調に推移したと見込まれる。設備投資も、企業の新規投資に慎重な姿勢は続いているが、人手不足への対応もあって緩やかな増加傾向が維持されていると考えられる。また、公共投資は2016年度の補正予算の執行の影響によって高めの伸びとなった可能性がある。一方、外需については、輸出が前期比でマイナスとなった一方で、輸入の増加が続いており、寄与度は4四半期ぶりにマイナスに転じたと予想される。
三菱総研+0.5%
(+1.8%)
2017年4-6月期の実質GDPは、季節調整済前期比+0.5%(年率+1.8%)と6四半期連続のプラス成長を予測する。輸出の増勢は一服も、消費や設備投資など内需を中心とする成長持続を予想する。
消費は、良好な所得環境や消費者マインドの改善を背景に、自動車をはじめ耐久消費財に持ち直しの動きがみられるほか、気温が平年より高めに推移したことなどから電気代も増加しており、同+0.3%と6四半期連続の増加を予測する。設備投資は、設備稼働率の上昇や人手不足による自動化・省力化ニーズの強まりなどを背景に、同+0.6%と3四半期連続の増加を見込む。民間在庫は、需要回復を背景に前向きな在庫積み増し局面に入っているとみられ、同+0.2%pのプラス寄与を予想する。公的固定資本形成は、2016年度の大型経済対策(第2次補正予算)の本格執行化などから同+7.5%と高い伸びを見込む。

ということで、ある程度のばらつきはあるものの、かなり多くの機関で高成長を見込んでいるように私は受け止めています。+2%台後半から+3%を超える成長率を予測する向きもあります。もっとも、伊藤忠経済研のように年率+1%弱のほぼ潜在成長率に近いラインを予想する向きもあります。おおむね、潜在成長率を上回る成長を達成したのではないか、というのが少なくともエコノミストの間の緩やかなコンセンサスであり、私のような楽観派のエコノミストはかなりの高成長を実現したと感じています。加えて、米国の通商政策をはじめとする海外の政策要因も含めて、消費動向などのリスクがないわけではないものの、先行きについても海外経済の順調な回復・拡大による輸出の伸びなど、年内ないし年度内いっぱいは日本経済も順調な回復・拡大を続けるとの見方が多いようです。ただし、消費については少し見方が分かれており、すなわち、耐久消費財の最近時点での伸びを基に、サイクル的にも順調な回復を予測する楽観派のエコノミストと、4~6月期の消費の堅調さは天候というサステイナブルでない要因に支えられたものであり、このまま賃上げが進まないと物価上昇から実質所得の低下を招いて消費の伸びが鈍化する可能性がある、と見る慎重派のエコノミストです。私はいろんな局面では大雑把に楽観派に属する場合が多いんですが、この歴雪の消費動向に関してだけは慎重な見方をすべきと考えています。
最後に、下のグラフはいつもお世話になっているニッセイ基礎研のリポートから引用しています。上のテーブルで取り上げた中ではもっとも高い成長率予想を弾き出していますが、先行きの消費については慎重な見方も併せて示しています。

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2017年8月 8日 (火)

やや低下を示した景気ウォッチャーと金融危機前の水準に復した経常収支!

本日、内閣府から7月の景気ウォッチャーが、また、財務省から6月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調史絵済みの系列の現状判断DIが前月から▲0.3ポイント低下して49.7を、先行き判断DIも▲0.2ポイント低下して50.3を、それぞれ記録し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+9346億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の街角景気、現状判断指数4カ月ぶり悪化 企業動向が鈍化
内閣府が8日発表した7月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は前の月に比べ0.3ポイント低下し49.7となった。悪化は4カ月ぶり。企業動向の鈍化と、人手不足への懸念を背景とする雇用の悪化が響いた。
部門別にみると、企業動向は1.4ポイント低下の51.1だった。節目の50は超えているものの、受注や販売の鈍化が指摘された。雇用は0.4ポイント低下の56.8だった。人手不足が労働力などの供給制約になるとする捉え方が広がったもようだ。家計動向は48.1と横ばいだが、6月から7月にかけての豪雨災害を受け、九州の百貨店などでは客足が鈍化したとの指摘が目立った。
街角では企業動向について「ここ3カ月の受注量が極端に減ってきている」(近畿の出版・印刷・同関連産業)との指摘や、鋼材値上げに関連し「仕事量が思うようには増えず、(鋼材価格の)販売価格への転嫁は5割程度である」(東海地方)との声があった。雇用動向については「派遣求人は多数あるものの、求職者が減少しており、目標の人数に届いていない」(北関東の人材派遣会社)との見方があった。
23カ月後を~占う先行き判断指数は、前の月から0.2ポイント低下の50.3と4カ月ぶりに悪化した。家計動向が0.4ポイント低下し49.2となったほか、企業動向が1.2ポイント低下の50.9となった。半面、雇用は3.2ポイント改善し56.2となった。
内閣府は現状の基調判断を「持ち直しが続いている」に3カ月連続で据え置いた。先行きについては「人手不足に対する懸念もある一方、引き続き設備投資等への期待がみられる」とした。
1~6月経常黒字、10兆5101億円 リーマン前水準に
財務省が8日発表した1~6月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は10兆5101億円の黒字(前年同期は10兆4802億円の黒字)だった。上半期(1~6月)としては2年連続で10兆円の大台を上回り、リーマン・ショック前の07年(12兆6993億円の黒字)以来10年ぶりの高水準だった。
貿易収支は2兆531億円の黒字となり、前年同期(2兆3244億円の黒字)に比べて黒字額が縮小した。原粗油などの輸入が増加し、輸入全体で11.8%増加した。半導体製造装置や自動車部品の好調を映し、輸出も全体で10.1%増加したが、輸入の影響が上回った。
サービス収支は2974億円の赤字と前年同期(2489億円の赤字)に比べて赤字幅が拡大した。知的財産権使用料の支払いが増え、「その他サービス収支」の赤字額が拡大したことが響いた。一方、旅行収支は7903億円の黒字と訪日外国人の増加を背景に1~6月期としての過去最高の黒字額を記録した。
第1次所得収支は9兆7622億円の黒字と前年同期(9兆5527億円の黒字)に比べて黒字額が拡大した。海外子会社から受け取る配当金などが増えた。
併せて発表した6月の経常収支は9346億円の黒字だった。経常黒字は36カ月連続だが、黒字額は前年同月(9765億円の黒字)に比べて減少した。石炭や液化天然ガス(LNG)の輸入増加で、貿易収支の黒字額が前年同月に比べて2441億円縮小したことが響いた。
サービス収支は499億円の赤字と比較可能な1985年以降で最小の赤字額だった。旅行収支の黒字が追い風となった。第1次所得収支は5072億円の黒字と前年同月(4127億円の黒字)に比べて黒字額が拡大した。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。ただし、経常収支の記事は1~6月の年上半期計数に重点を置き過ぎているきらいがあり、また、統計2つの記事を並べましたので少し長くなってしまいました。次に、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りです。また、影をつけた部分はいずれも景気後退期です。

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景気ウォッチャーの現状判断DIと先行き判断DIとも、わずかに低下を示しましたが、ほぼ前月から横ばいと私は受け止めています。先週水曜日8月2日に取り上げた消費者態度指数が需要サイドの消費者マインドを示していて、7月の指数は前月からわずかに上昇を示したのに対し、今日発表の景気ウォッチャーは需要サイドのマインドの代表であり、前月からわずかに低下を見せています。需要サイドと供給サイドで方向性は逆なんですが、ほぼ前月から横ばいという点では違いはありません。景気ウォッチャーをもう少し細かく、3つのコンポーネントである家計関連、企業関連、雇用関連、特に前2者の企業関連と雇用関連について詳しく見ると、現状判断DIについては家計関連が前月から横ばいであるのに対して、企業関連では前月からマイナスとなっており、また、先行き判断DIについては、家計関連・企業関連ともに前月差でマイナスですが、マイナス幅は企業関連の方が大きくなっています。この差について考えると、引用した記事にもある通り、人手不足の影響が上げられるかもしれません。すなわち、現状では人手不足の要因から量的に雇用者が増加したり、失業率が低下しつつも、賃上げはまだ緩やかな段階であり、家計にとってはマイナスではないかもしれませんが、大きなメリットも感じられない一方で、企業サイドではかなりの程度にデメリットを感じ始めている可能性が高いと私は考えています。人手不足に応じた賃上げがなされれば、家計にはプラスであることはいうまでもなく、人手不足に対応した賃上げが可能な企業にとっても売り上げ増のチャンスなんですが、他方で、賃上げを出来ない企業には大きな痛手となります。場合によっては、市場から退出することにもつながりかねません。もちろん、低賃金の未熟練労働に頼ったデフレ型企業が退出し、高賃金が可能な脱デフレ型企業が生き残るのは望ましい、という見方もあり得ますが、同時に、何らかの経済社会的な摩擦を生じる可能性も秘めています。人手不足を通じて、デフレに適応してしまった企業行動から、脱デフレへの対応を進める企業活動が求められていると考えるべきです。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。引用した記事のタイトル通り、国際商品市況における石油価格の動向による振れはあるものの、我が国の経常収支はほぼほぼ2009年のリーマン・ショック前の水準に戻っています。ただ、経常黒字の構成はかなり違いがあり、2009年リーマンマン・ショック前は、極めて大雑把に、貿易黒字も第1次所得収支=投資収益収支もともに1兆円前後でしたが、最近時点では、第1次所得収支が1.5兆円を超える月もめずらしくない一方で、貿易黒字は大きく縮小しています。もっとも、輸出は世界経済の順調な回復・拡大に従って緩やかながら増加を続けており、この先も、経常収支や貿易収支がかつてのように赤字に突入する可能性は低いんではないかと私は受け止めています。

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2017年8月 7日 (月)

先行指数・一致指数とも上昇を示した景気動向指数の先行きやいかに?

本日、内閣府から6月の景気動向指数が公表されています。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月比+1.6ポイント昇の106.3を、CI一致指数も+1.4ポイント上昇の117.2を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の景気一致指数、117.2に上昇自動車関連指数が持ち直し
内閣府が7日発表した6月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.4ポイント高い117.2と2カ月ぶりに上昇した。4月改定値の117.1を上回り、2014年3月以来の高さとなった。5月の大型連休に絡む生産調整でいったん落ち込んでいた自動車関連の指標が持ち直した。一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断は、最上位の「改善を示している」を9カ月連続で据え置いた。
6月は鉱工業用生産財出荷指数がけん引役となった。前月比3.2ポイント上昇し、全体での寄与度が最も大きかった。鉄鋼関連で、自動車向けエンジンや車体部品用の鋼材が伸びた。スマートフォン向け部品用も増えた。最終製品となる自動車の出荷も持ち直し、耐久消費財出荷指数も伸びた。
数カ月先の景気を示す先行指数は1.6ポイント上昇の106.3だった。上昇は2カ月連続。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、日並びよく休みが取りやすかった5月のゴールデンウィークのライン停止後に6月の生産、特に、自動車の生産が大きく上向いたことから、CI一致指数もプラスを示しました。ただ、それだけではなく、2014年の消費増税からやや鈍化していた消費も含めて、景気が全般的に上向いていることも確かです。例えば、一致指数でプラス寄与の系列は、寄与の大きい順に、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、生産指数(鉱工業)、有効求人倍率(除学卒)などとなっており、CI先行指数では、鉱工業用生産財在庫率指数、新規求人数(除学卒)、中小企業売上げ見通しDI、最終需要財在庫率指数などとなっています。消費、投資、在庫調整、雇用などの指標が、かなり幅広く一致指数や先行指数の上昇に寄与しているのがうかがわれます。
ついでながら、ちょうど1週間後の来週月曜日の8月14日に4~6月期のGDP速報、いわゆる1次QEが公表される予定となっており、そろそろ各シンクタンクなどの公表リポートを取りまとめに入っているんですが、かなりの高成長の予測が少なくありません。消費については天候要因もありますが、世界経済の回復・拡大に支えられていた輸出よりも、むしろ国内需要が伸びているとの予想が中心です。これだけ景気がいいのに内閣支持率を下げたのはやや不思議、というか、別の要因なんでしょうが、0%台後半といわれる潜在成長率水準を考慮すれば、現状はかなり景気がよくて、景気拡大局面もこのまま今しばらく続きそうな予感です。

なお、8月14日公表予定の4~6月期GDP統計1次QE予想は日を改めて取り上げたいと思います。

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2017年8月 5日 (土)

7月の米国雇用統計は金融の正常化をサポートするか?

日本時間の昨夜、米国労働省から7月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数の増加幅は6月の+231千人には及ばないものの、+180千人程度との市場の事前コンセンサスを上回り、+209千人増となり、失業率もさらに前月から0.1%ポイント下がって4.3%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、Los Angeles Times のサイトから最初の3パラだけ記事を引用すると以下の通りです。

U.S. unemployment rate drops to 4.3% as employers add 209,000 jobs in July
U.S. job growth remained steady in July, though workers are still largely seeing slower wage gains, according to data released Friday by the U.S. Labor Department.
Some of the highlights of July's jobs report:
  • U.S. employers added 209,000 net new jobs, slightly above analysts' expectations.
  • The unemployment rate ticked down slightly to 4.3% from June's 4.4% and matched May's 16-year-low.
  • Average hourly earnings increased by 9 cents, or less than 1%, to $26.36 in July.

この後、エコノミストへのインタビューなどが続きますが、長くなりますので割愛しました。包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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相変わらず、米国の雇用は堅調です。6月7月の2か月連続で雇用者数の前月差増加幅は+200千人を超え、とくに、直近7月は非農業部門計の+209千人増のうち、+205千人が民間部門です。産業別では、Leisure and hospitality が前月から+62千人増を記録し、Professional and business services が+49千人増、Health care and social assistance も+45千人増となっており、トランプ米国大統領が重視している製造業 Manufacturing も+16千人増となっています。米国連邦準備制度理事会の連邦公開市場委員会(FOMC)カレンダーによれば、次回のFOMCは9月19-20日に開催される予定となっており、量的緩和(QE)で大量に買い入れた米国債の圧縮などに踏み切る可能性が高まってきている気がします。市場の観測では、まず、資産圧縮を優先し、次回の利上げは少しお休み、という見方が有力となっています。それが、金融政策の正常化、なのかもしれません。

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ということで、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、底ばい状態を脱して少し上向きに転じた印象ながら、もう一段の加速が見られません。ただ、一時の日本や欧州のように底割れしてデフレに陥ることはほぼなくなりましたが、日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったのかもしれません。

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2017年8月 4日 (金)

毎月勤労統計に見るなかなか上がらない賃金をどう考えるか?

本日、厚生労働省から5月の毎月勤労統計が公表されています。景気動向に敏感な製造業の所定外労働時間指数は季節調整済みの系列で前月から▲1.1%減を、また、現金給与指数のうちのきまって支給する給与は季節調整していない原系列の前年同月比で+0.4%増を、それぞれ記録しています。ただし、消費者物価が上昇を示していますので、現金給与総額を消費者物価でデフレートした実質賃金は前年同月から▲0.8%の大きなマイナスとなっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の名目賃金0.4%減 1年1カ月ぶりマイナス
厚生労働省が4日発表した6月の毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上)によると、名目賃金にあたる現金給与総額は42万9686円と前年同月比0.4%減となった。減少に転じるのは1年1カ月ぶり。夏のボーナスが減ったことが要因だ。
名目の給与総額のうち、基本給にあたる所定内給与は前年同月比0.4%増の24万2582円と3カ月連続で増加。一方、ボーナスや通勤費にあたる「特別に支払われた給与」は1.5%減の16万8103円だった。
背景には夏のボーナスが幅広い産業で前年より減少したことがある。産業別では「鉱業、採石業等」(17.7%減)、「飲食サービス業等」(14.7%減)、「不動産・物品賃貸業」(12.3%減)が目立った。
物価変動の影響を除く実質賃金は0.8%減少した。減少は3カ月ぶり。消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が0.5%上昇したことで、実質賃金を押し下げた。
厚労省は「基本給は上昇傾向が続いており、給与総額の減少は一時的ではないか」との見方を示した。

今週の報道については、いつもの包括的なニュースではなくて、ほぼほぼお給料に終始している印象です。続いて、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。

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まず、グラフを上から順に、製造業の所定外労働時間は、なぜか、季節調整済みの前月比でマイナスを記録しています。今週月曜日に取り上げた鉱工業生産指数(IIP)がかなりのプラスでしたので、とても意外です。労働は生産の派生需要ですから、基本的には同じ方向に動くハズなんですが、私にはよく判りません。次に、2番目と3番目のパネルの賃金ですが、引用した報道では6月賃金がボーナスの影響で落ち込んだ点が強調されていましたが、少なくとも、消費に影響を及ぼす度合いの強い恒常所得と見なされている部分については、名目でプラスを続けています。ただし、デフレからの脱却はしていないものの、消費者物価がそれなりの上昇を示していますので、実質賃金はまだマイナスです。それから、6月の賃金総額が前年同月比でマイナスなのは、何といってもボーナスなんですが、夏季ボーナスについては額とともに、支払時期も注視すべきです。すなわち、年末ボーナスの支給が12月期決まりきっているのに対して、夏季ボーナスは6月支給と7月支給の両パターンあります。夏季ボーナスの総額ないし1人当たりとして前年よりも減少したのか、それとも、6月支給が減って7月支給に繰り延べられたのか、については気にかかるところですので、来月の統計もその点を忘れずチェックしたいと思います。最後に、4番目のグラフで、雇用の増加はパートタイムから徐々にフルタイムの一般労働者にシフトしているのが見て取れると思います。従って、賃金の上昇がはかばかしくなくても、パートタイムではなくフルタイムの正規雇用が増加することにより、マクロの賃金支給総額が増加する効果は望めるんではないかと私は期待しています。

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2017年8月 2日 (水)

一進一退の続く消費者態度指数をどう見るか?

本日、内閣府から7月の消費者態度指数が公表されています。前月から+0.5ポイント上昇し43.8を記録しています。統計作成官庁の内閣府では基調判断を「持ち直し」で据え置いています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の消費者態度指数、前月比0.5ポイント上昇の43.8 基調判断据え置き
内閣府が2日発表した7月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比0.5ポイント上昇の43.8だった。上昇は2カ月ぶり。株価上昇で資産効果が働き、消費者の暮らしへの見方が好転した。ビールが値上がりする一方で野菜価格が安定し、物価の見方が落ち着いたことも支えとなった。前月は0.3ポイント低下の43.3だった。内閣府は消費者心理の基調判断を「持ち直している」で据え置いた。
指数を構成する意識指標では、「暮らし向き」「収入の増え方」「耐久消費財の買い時判断」が前月を上回った。「雇用環境」は横ばいだった。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)について「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月より3.4ポイント低い75.8%と2カ月ぶりに減少した。一方で「低下する」との見通しは微増。「変わらない」は4カ月ぶりに増えた。調査基準日は7月15日。調査は全国8400世帯が対象で、有効回答数は5748世帯(回答率68.4%)だった。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者態度指数のグラフは上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、消費者態度指数を構成する4つのコンポーネントのうち、暮らし向き、耐久消費財の買い時判断、収入の増え方が上昇した一方で、雇用環境は前月と変わらず横ばいでした。上のグラフを見ても、2014年4月の消費増税の際に直近の底を打ってから、大雑把に改善傾向にあると考えていますが、まだ、サブプライム・バブル崩壊前の2005-06年における40代後半の指数の水準には達していません。7月統計の指数水準で見て、完全雇用に近い労働市場を反映して、雇用環境は48.1に達しているものの、収入の増え方が41.7、また、暮らし向きが42.3にとどまっています。雇用の改善で量的には雇用が増加し、家族の中でも働くメンバーが増加しているのかもしれませんが、お給料はさほどではなく暮らし向きも雇用の改善ほどにはよくなっていない、という実感なのでしょう。私は根本の雇用に関するマインドがいいので、収入や暮らし向きにも雇用の改善が当然に波及するものと単純に予想していましたが、まだ、ラグの範囲内なのか、あるいは、私の想定する単純な波及経路から構造変化が生じているのか、やや謎です。いずれにせよ、所得に先立ってマインドが向上を見せて来ましたが、ソフトなマインドだけでなく、そろそろハードの所得の上昇も消費の拡大には必要な段階に達しつつあるような気がします。

別の話題ですが、本日、国立社会保障・人口問題研究所から2015年度の「社会保障費用統計」が公表されています。相変わらず、高齢者にだけ優しい社会保障給付の実態が明らかにされています。可能であれば、日を改めて取り上げたい気もしますが、今週は米国雇用統計も公表される予定ですし、パスするかもしれません。

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2017年8月 1日 (火)

東京商工リサーチによる2017年3月期決算「上場企業2,172社の平均年間給与」調査の結果やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、ちょうど1週間前の先週7月25日に東京商工リサーチから2017年3月期決算「上場企業2,172社の平均年間給与」調査の結果が明らかにされています。消費を支える所得の2016年度までの一隻について興味あるデータが提供されています。過去の数字ながら、図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフは東京商工リサーチのサイトから、上場企業2,172社平均年間給与の推移のグラフを引用しています。2017年3月期決算の上場企業2,172社の平均年間給与は6,281千円、中央値6,100千円で、前年より41千円+0.6%の増加となっています。2011年3月期以来7年連続の増加で7年間で491千円の上昇を示しています。ただ、直近の伸び率は2016年3月期の+1.2%増を▲0.6%ポイント下回り、2013年3月期の+0.2%増以来の+1%割れとなっています

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次に、上のグラフは東京商工リサーチのサイトから、業種別の平均年間給与のテーブルを引用しています。業種別のトップは、建設業の7,118千円となっており、このテーブルの分類による全業種で唯一7,000千円越えとなっています。活発な建設投資を背景に、好決算が続出した上場ゼネコンが引き上げた、との分析です。次いで、水産・農林・鉱業の6,946千円、金融・保険業の6,940千円、不動産業の6,902千円、電気・ガス業の6,901千円の順となっています。逆に、最低は7年連続で小売業の5,153千円となっており、次いで、サービス業の5,390千円と、これら下位2業種だけは5,000千円台でした。ただし、小売業とサービス業では7年連続の増加を示しており、深刻化する人手不足に対応した待遇改善に動いている姿が透けて見える、と分析しています。

東証1部2部に加えて、地方上場、NASDAQにマザーズと上場企業対象の調査ですので、大企業に偏っていることは明らかですから、世間一般の感触よりも高めのお給料が弾き出されているように感じますが、人手不足に対応して消費を支える所得も徐々に増加を示しているようです。

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2017年7月31日 (月)

6月統計の鉱工業生産指数(IIP)は順調な回復を確認!

本日、経済産業省から6月の鉱工業生産指数(IIP)が公表されています。季節調整済みの系列で前月比+1.6%の増産となっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の鉱工業生産、1.6%上昇 自動車けん引
経済産業省が31日発表した6月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み、速報値)は101.7となり、前月から1.6%上がった。2カ月ぶりに前月を上回った。大型連休で生産を減らした自動車など輸送機械工業が6月に入って生産水準を戻し、全体のけん引役となった。基調判断は「生産は持ち直しの動き」として据え置いた。
全15業種のうち12業種で前月比プラスだった。輸送機械工業は前月比で4.2%上がった。前年同月と比べても4.5%伸びた。昨年4月に発生した熊本地震のほか、三菱自動車の燃費不正問題の影響による軽自動車の生産の落ち込みが回復したとみられる。
化学工業は前月比3.4%のプラスだった。フェノールなど化学物質や乳液など化粧品の生産が増加した。経産省は「7月に生産設備の定期修理を控えて、在庫を積み増すために生産を増やしている」とみている。
一方、ICや太陽電池など電子部品・デバイス工業は2.6%下がった。2カ月連続の低下となった。メモリー用のICが減産となった。ただスマートフォン向けなど中小型の液晶素子は10.9%上昇し好調を維持した。
メーカーの先行き予測をまとめた製造工業生産予測調査によると、7月が0.8%、8月が3.6%それぞれ上昇となった。7月は半導体など電子部品・デバイス工業のほか、夏の気温上昇で販売が伸びるエアコンなど電子機械工業も増産を見込む。
SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは「今年前半に限らず、今年後半から来年前半も世界経済の持ち直し基調が続き、日本の生産も拡大を続ける」と指摘し、生産の復調傾向が長期に及ぶと予測する。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのもの、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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季節調整済みの前月比で+1.6%の増産ですから、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサス+1.7%にほぼほぼジャストミートしたと私は受け止めています。季節調整しているとはいえ、5月のゴールデンウィークで減産し、6月はそこから増産に転じる、という判りやすいパターンのような気もしますが、単にカレンダー要因だけでなく、世界経済の回復・拡大に伴う輸出の増加や我が国国内需要の拡大にも支えられていることは忘れるべきではありません。生産と出荷がともに増加した一方で、在庫は低下し、好ましい形での増産ですし、特に、我が国のリーディング・インダストリーともいうべき自動車産業がけん引している形ですから、この先、徐々に力強さを増すものと期待してよさそうです。6月統計ですので財別の四半期ベースで見ると、輸送機械を除く資本財出荷は今年2017年1-3月期は前期比▲2.4%減でしたが、4-6月期は+4.8%増に回復を示していますし、耐久消費財も1-3月期▲2.8%減から、4-6月期は+4.6%と持ち直しています。先行きについても、製造工業生産予測調査で見て、前回調査結果は7月▲0.1%の減産となっていましたが、今回調査は7月も+0.8%増と上向いています。ただ、製造工業生産予測調査は結果的に下振れるクセがあり、経済産業省では7月は▲0.3%減と試算を示しています。でも、8月は同じ製造工業生産予測調査ながら、+3.6%の大幅増を予測しています。引き続き、生産は先行きも堅調に推移しそうです。

世界経済の今後の動向については、基本的に、順調に回復・拡大を続けるものと期待していますが、米国の連邦準備制度理事会(FED)の金融引き締め、すなわち、利上げと資産圧縮の影響、もちろん、」為替への影響も含めて、及び、今年秋に予想される中国共産党大会の後の経済政策運営に私はリスクを感じています。中国の場合は党大会までは問題ないと思えるものの、党大会後の経済動向には注意が必要かもしれません。

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