2024年7月19日 (金)

さらに加速した6月の消費者物価指数(CPI)上昇率をどう見るか?

本日、総務省統計局から6月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は、季節調整していない原系列の統計で見て前年同月比で+2.6%を記録しています。日銀の物価目標である+2%以上の上昇は23か月連続、すなわち、2年あまりの連続です。ヘッドライン上昇率は+2.8%に達しており、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率も+2.2%と高止まりしています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

消費者物価、6月2.6%上昇 電気・ガス代が押し上げ
総務省が19日発表した6月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が107.8となり、前年同月と比べて2.6%上昇した。政府が電気代やガス料金などの負担軽減策を縮小したことで、電気代やガス代が値上がりした。
エネルギーの上昇率は7.7%と前月の7.2%から拡大した。電気代が13.4%と大幅に上昇し、生鮮食品を除く指数の伸びを0.47ポイント押し上げた。都市ガス代も3.7%上昇した。
電気代は23年1月に始めた補助金の影響でマイナスの推移が続いたものの、5月に再生可能エネルギー普及にかかる賦課金が上昇し16カ月ぶりにプラスに転じていた。
政府補助は5月使用分で半減となり、6月のCPIから押し下げ効果が縮小した。電気代の上昇は2カ月連続。6月の政府補助による電気代の押し下げ効果はマイナス0.22ポイントだった。
生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は2.2%上昇した。生鮮食品を含む総合指数は2.8%上がった。
食料は3.6%の上昇だった。オレンジの原産国での天候不良が不作を招いた影響で果実ジュースが32.1%上昇した。さくらんぼも15.7%上がった。昨年夏や今季の収穫期における猛暑が影響した。食料の上昇幅は前月の4.1%からは縮小した。
猛暑による影響でルームエアコンの需要が拡大し、家庭用耐久財は3.9%上昇した。宿泊料も19.9%伸び、前月の14.7%から上昇幅が広がった。
全品目をモノとサービスに分けたうち、サービスは1.7%上昇だった。前月は1.6%で上昇幅は拡大した。外食は2.8%上昇して、前月から横ばいだった。

何といっても、現在もっとも注目されている経済指標のひとつですので、やたらと長い記事でしたが、いつものように、よく取りまとめられているという気がします。続いて、消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1ケタの指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

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まず、引用した記事にもあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは+2.7%ということでしたので、実績の+2.6%はやや下振れたとはいうものの、4月統計の+2.2%、5月統計の+2.5%から見れば少し上昇幅が拡大した印象です。品目別に消費者物価指数(CPI)を少し詳しく見ると、まず、生鮮食料を除く食料の上昇が継続しています。すなわち、先月5月統計では前年同月比+3.2%、寄与度+0.76%であったのが、今月6月統計ではそれぞれ+2.8%、+0.68%と引き続き高い伸びを示しています。次に、エネルギー価格については、4月統計の+0.1%から前年同月比で上昇に転じ、本日公表の6月統計では+7.7%まで上昇が加速しています。ヘッドライン上昇率に対する寄与度も5月統計の+0.54%から6月統計では+0.59%まで拡大しています。5月統計から6月統計への上昇幅拡大の+0.1%ポイントに寄与していることは明らかです。インフレを大きく押し上げているのは電気代であり、ヘッドライン上昇率に対する寄与で何と+0.45%に達しています。これも引用した記事で指摘されている通りであり、先月5月から再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2024年度以降の買取価格等と2024年度の賦課金単価が引き上げられ、その影響が物価に出ています。
私が注目している食料について細かい内訳をヘッドライン上昇率に対する寄与度で見ると、コアCPI上昇率の外数ながら、生鮮食品が野菜・果物・魚介を合わせて+0.38%あり、うち生鮮野菜が+0.21%、生鮮果物が+0.14%の寄与をそれぞれ示しています。繰り返しになりますが、生鮮食品を除く食料の寄与度も+0.76%あります。コアCPIのカテゴリーの中でヘッドライン上昇率に対する寄与度を見ると、せんべいなどの菓子類が+0.13%、うるち米などの穀類が+0.12%、焼肉などの外食が+0.10%、おにぎりなどの調理食品が+0.09%、果実ジュースなどの飲料が+0.06%、などなどとなっています。サービスでは、宿泊料の+0.19%を含めて教養娯楽サービスの寄与度が+0.39%、コア財では引用した記事にも見られるルームエアコンなどの家庭用耐久財が0.06%、などといった寄与を示しています。

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最後に上のグラフは、消費者物価指数(CPI)のヘッドラインと帰属家賃を除く総合のそれぞれの前年同月比上昇率をプロットしています。私は昨年まで大学院の院生に対して日本の物価について教えていた時、以下の引用情報にある渡辺教授の論文を読ませて、日本では家賃が動かないので物価上昇の認識が遅れる、と教えていました。バブル経済期の分析ではありますが、現時点でも、東京のマンション価格などが大きく高騰する中で、大きな動きを示さない帰属家賃を除く総合はヘッドライン上昇率よりも上昇率が高くなっています。上のグラフの通りです。本日公表された6月統計ではヘッドライン+2.8%、コア+2.6%に対して、帰属家賃を除く総合は+3.3%に達しています。もちろん、渡辺教授が分析した家賃とグラウにインプリシットに現れている帰属家賃は異なるのですが、参考まで、帰属家賃を除けばインフレ率は+3%を超えているという事実は頭の片隅に置いておきたいと思います。

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2024年7月18日 (木)

小幅な黒字を計上した6月の貿易統計をどう見るか?

本日、財務省から6月の貿易統計が公表されています。統計のヘッドラインを季節調整していない原系列で見ると、輸出額が前年同月比+5.4%増の9兆2086億円に対して、輸入額は+3.2%増の8兆9846億円、差引き貿易収支は+365億円の黒字を記録しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

貿易収支、6月は2240億円の黒字 3カ月ぶり
財務省が18日発表した6月の貿易統計速報によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2240億円の黒字だった。黒字は3カ月ぶり。円安を背景に半導体関連の輸出などが伸び、黒字幅は前年同月比で6.1倍になった。
2024年上半期(1~6月)の貿易収支は3兆2345億円の赤字だった。赤字額は前年同期比で53.7%減少した。半期ベースの赤字は6期連続。エネルギー価格の高まりによる輸入額の伸びが大きく、赤字基調が続いている。石炭や液化天然ガス(LNG)の輸入価格の高騰は一服しており、米国向けのハイブリッド車の輸出などが増えて赤字額は縮小した。
6月単月の輸出額は9兆2086億円と5.4%増え、7カ月連続の増加となった。6月としては比較可能な1979年以降で最も大きかった。輸入額は8兆9846億円で3.2%増えた。増加は3カ月連続だった。
輸出を品目別に見ると、半導体関連の製造装置の数量が増え、金額が37.9%増の3971億円と好調だった。輸出額全体に占める割合の高い自動車は数量ベースでは12.5%減の48万4529台と、品質不正による生産停止からの回復が鈍い。金額は1兆6039億円と2.3%増だった。
地域別に見ると、米国が1兆9266億円と11%増、アジアが4兆8508億円で7.7%増だった。
輸入にも円安の影響が出ている。輸入を品目別に見ると、パソコンなど周辺機器を含む電算機類の輸入が数量ベースで9%減った一方、金額は48.5%増加して3301億円となった。
原油などの輸入額も膨らんだ。鉱物性燃料全体で見ると、輸入額は1兆8270億円と2.3%減少した。原油は数量ベースで14%減だったが、7877億円と3.3%の増加となった。
原油はドル建て価格が1バレルあたり87.8ドルと前年同月から6.7%上がった。円建て価格は1キロリットルあたり8万6543円と20.1%の上昇だった。
地域別の輸入では米国が1兆565億円と14.8%増えた。アジアは4兆2824億円で1.4%の増加だった。
財務省によると6月の貿易収支は例年、黒字になりやすい傾向がある。6月単月の貿易収支を季節調整値で見ると8168億円の赤字だった。赤字幅は前月比で26.8%拡大した。輸入は1.6%増の9兆7775億円、輸出は0.2%減の8兆9606億円だった。

包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、▲2000億円を少し超える貿易赤字が見込まれていたのですが、実績の小幅な黒字はわずか+300億円余りでもあり符号が違っているとはいえ、大きなサプライズはありませんでした。なお、予測レンジの上限は2000億円余りの黒字でした。また、引用した記事の最後のパラにあるように、季節調整済みの系列で見ると、輸出が減少して輸入が増加しているため、貿易収支赤字は前月5月統計からやや拡大しています。なお、季節調整済み系列の貿易収支では、2021年6月から直近で利用可能な2024年6月統計まで、3年余り継続して赤字を記録しています。いずれにせよ、私の主張は従来から変わりなく、輸入は国内の生産や消費などのために必要なだけ輸入すればよく、貿易収支や経常収支の赤字と黒字は何ら悲観する必要はない、と考えています。そして、これも季節調整済みの系列で見て、貿易収支赤字がもっとも大きかったのは2022年年央であり、2022年7~10月の各月は貿易赤字が月次で▲2兆円を超えていました。最近時点での貿易収支動向は、特に、何の問題もないものと考えるべきです。
6月の貿易統計について、季節調整していない原系列の前年同月比により品目別に少し詳しく見ておくと、まず、輸入については、原油及び粗油や液化天然ガス(LNG)の輸入額が再び増加となっています。すなわち、原油及び粗油は数量ベースで▲14.0%減ながら、金額ベースでは+8.8%増となっています。数量ベースの減少を超えた単価の上昇があり、輸入額が増加しているわけです。引用した記事に従えば、原油はドル建て価格で+6.7%の上昇、円建て価格では何と+20.1%の上昇だそうです。液化天然ガス(LNG)についても、数量ベースではわずかに+0.8%増ながら、金額ベースでは+8.1%増となっています。数量の伸びを超えて金額が増えていますから、円建ての単価が上がっていることがうかがわれます。これらのエネルギー価格については、地政学的なリスクもあって先行き不透明です。また、ある意味で、エネルギーよりも注目されている食料について、穀物類は数量ベースのトン数では▲1.2%減ながら、金額ベースでは+1.2%増となっていて、エネルギー価格ほどボラタイルではないとしても、穀物についても単価が少し上昇していることが見て取れます。輸出に目を転ずると、輸送用機器・一般機械・電気機器といった我が国リーディング・インダストリーが輸出を牽引しています。季節調整していない原系列の前年同月比で見て、自動車の輸出額は+17.4%増を記録しています。ただし、数量ベースの輸出台数は▲12.5%減となっています。円安による円建て価格の上昇があったものと想像しています。すなわち、外貨建て、例えば、米ドル建ての価格が大きく変更ないならば円建ての輸出単価は膨らむわけで、その分、輸出額は増加します。数字を上げておくと、自動車を含む輸送機械の輸出額が前年同月比で+23.5%増を記録した一方で、一般機械も+18.1%増、電気機器も+16.4%増と我が国リーディング・インダストリーの輸出は先進各国のソフトランディングで堅調に推移しているように見えます。ただし、繰り返しになりますが、季節調整済みの系列では輸出額が前月から減少している点は忘れるべきではありません。

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2024年7月17日 (水)

IMF「世界経済見通し改定」を読む

日本時間の昨夜7月17日に国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し改定」World Economic Outlook Update が公表されています。pdfの全文リポートもアップロードされています。

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まず、IMF Blogのサイトから成長率見通しの総括表 World Economic Outlook Growth Projection を引用すると上の通りです。成長率見通しは見ての通りで、今年2024年は4月時点の見通しと同じ+3.2%ながら、来年2025年は+0.1%ポイント引き上げて+3.3%としています。我が日本の成長率見通しは、今年2024年が4月時点の見通しから▲0.2%ポイント引き下げて+0.7%成長と予想しています。来年2025年は4月時点から変わらず+1.0%成長を見込んでいます。

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続いて、IMF Blogのサイトから Growth and Inflation のグラフを引用すると上の通りです。見ての通りで、左のパネルが主要国の需給ギャップ、右が世界のヘッドライン・インフレ率となっています。同じIMFのサイトで "Growth in major advanced economies is becoming more aligned as output gaps are closing. The United States shows increasing signs of cooling, especially in the labor market, after a strong 2023. The euro area, meanwhile, is poised to pick up after a nearly flat performance last year."「主要先進国は需給ギャップが縮小するにつれて成長の足並みがそろいつつある。米国では景気減速の兆候が強まっている。特に労働市場は堅調だった2023年から減速を示している。他一方、欧州は昨年の横ばい状態を脱して景気改善が見込まれる。」と指摘しています。グラフでは、ゼロコロナ政策などに起因する中国の負の需給ギャップがようやく縮小に向かっていることが読み取れます。しかし、このサイトでは、日本への言及はありませんでした。

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続いて、IMF Blogのサイトから Risks from fiscal and trade policy のグラフを引用すると上の通りです。見ての通りで、左のパネルでは米国の財政資金需要を示しています。赤い折れ線が2015年の満期構造であったと仮定した場合の資金需要、対して、青い折れ線が実際の資金需要ですので、2015年時点の満期構造に照らし合わせると現時点で資金需要が高まっていることが理解できます。右のパネルは輸入国別の米国の2018-19年関税率の影響を受ける製品輸入のボリュームです。特に米国において、財政と貿易政策から生じるリスクへの警戒感を示しています。

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2024年7月16日 (火)

帝国データバンクによる「新紙幣発行にともなう影響アンケート」の結果やいかに?

広く報じられているように、先々週半ばから新紙幣の発行が始まっています。これに関して、先週金曜日の7月12日に帝国データバンクから「新紙幣発行にともなう影響アンケート」の結果が明らかにされています。「プラスの影響がある」(プラスの影響の方が大きい)が35.1%、「マイナスの影響がある」は14.3%、「影響なし」は32.5%との結果が示されています。「プラスの影響がある」は規模が大きいほど回答率が高くなっています。リポートからグラフを引用すると以下の通りです。

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2024年7月15日 (月)

介護職員はどれくらい不足するのか?

広く報じられているように、先週金曜日の7月12日に厚生労働省から、「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」が発表されています。第9期計画の最終年度である2026年度に約25万人、また、2024年度には約57万人が不足すると見込まれています。厚生労働省の資料から引用した概念図は以下の通りです。

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2024年7月12日 (金)

対外債務により政府が財政破綻すると何が起こるのか?

日本政府が世界の先進国の中で飛び抜けているのは累積債務の大きさであることは広く認識されています。先進国が加盟してい経済協力開発機構(OECD)の中でもGDP比で200%を超える政府債務を抱えているのは日本だけだと思います。最近の学術論文で "The Social Costs of Sovereign Default" と題して、対外債務により政府が財政破綻すると何が起こるのかを歴史的に分析したペーパーが出ています。もちろん、pdfによる全文ファイルもアップロードされています。引用情報は以下の通りです。なお、3人目の著者は、ロゴフ教授との共著による『国家は破綻する』などの著作でも有名なラインハート教授です。

まず、しっかりと確認しておきたいのは、この論文は、私も冒頭でいささか刺激的でミスリード気味の書き方をしましたが、日本が累積させているような内国通貨建ての国内債務の破綻ではありません。あくまで外貨建ての対外債務不履行による財政破綻です。たぶん、このあたりを意図的にでも混乱させようとする論評が出る可能性が十分ありますから注意が必要です。その上で、論文のABSTRACTを引用すると以下の通りです。

ABSTRACT
This paper investigates the economic and social consequences of sovereign default on external debt. We focus on the crises’ impact on real per capita GDP, infant mortality, life expectancy, poverty headcounts, and calorie supply per capita. After methodological exclusions, the sample covers 221 default episodes over 1815-2020. The analysis adopts an eclectic empirical strategy that relies on an augmented synthetic control method and local projections. Our findings suggest that sovereign defaults lead to significant adverse economic outcomes, with defaulting economies falling behind their counterparts by a cumulative 8.5 percent of GDP per capita within three years of default. Moreover, output per capita remains nearly 20 percent below that of non-defaulting peers after a decade. Based on the trajectory of the health, nutrition, and poverty indicators we study, we assess that the social costs of sovereign default are significant, broad-based, and long-lived.

要するに、1815年から2020年までの100年余りの期間の221のデフォルト例を分析して、経済的にはGDPで計測して3年以内に1人当たりGDPで累計▲8.5%の遅れを生じ、10年後には▲20%余り下回る、ということです。そして、タイトルにあるように、健康、栄養、貧困などの指標から社会コストは重大である、と結論しています。全文ファイルから、いくつかグラフを引用したいと思います。

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上のグラフは、Figure 1.1. Sovereign default and real per capita GDP: Aggregated SCM results を引用しています。よく理解できていないのですが、1815-2020年の221ケースの債務不履行のデータベースを構築したといいながら、1828-2020年の135のケースを用いた結果です。ただ、債務不履行=デフォルトする2年ほど前から1人当たりGDPがトレンドから離れているのは確認できます。デフォルトする少し前から経済状態が思わしくない状態が始まっていたのだろうと思いますが、ひょっとしたら、経済状態が停滞して1人当たりGDPが伸びなくなったからデフォルトしたのかもしれません。デフォルト下少し後からトレンドに近い成長曲線に戻っているように見えるのも、やや皮肉が効いているように私は受け止めました。

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続いて、上のグラフは、社会的コストの代表格ということで、幼児死亡率と平均寿命のグラフ、すなわち、Figure 4.1. Sovereign default and infant mortality: Aggregated SCM results と Figure 5.1. Sovereign default and life expectancy: Aggregated SCM results を引用しています。私の方で無理やりに画像を結合していたりします。これまら、債務不履行=デフォルトの少し前から幼児死亡率の上昇や平均寿命の低下が始まっています。221ケースのデータセットのうち、Figure 4.1. の幼児死亡率は104ケース、Figure 5.1. の平均寿命は127ケースが用いられています。

当然ながら、対外債務に対する政府財政の破綻は経済的にも社会的にも大きなコストをもたらします。国民生活の改善はトレンドから乖離してしまいますし、幼児死亡率や平均寿命も従来トレンドからの改善が遅れ始めます。ただ、一部に繰り返しになりますが、注意すべき点が3点あります。第1に、現在の日本が抱えているのは国内通貨建ての政府債務であり、この論文で分析されている外貨建ての対外債務ではありません。ですから、この分析をそのまま日本の政府債務に当てはめることは出来ません。第2に、因果関係は不明であり、私の直感では、政府財政の破綻以外の何らかの経済の不調が、政府財政の破綻と1人当たりGDPの伸びの鈍化と幼児死亡率低下の遅れと平均寿命の伸びの鈍化をもたらしているような気もします。それがどういった要因は各国の事情により異なる可能性が高いと考えるべきです。第3に、この論文で分析されている外貨建て対外債務による政府財政の破綻と内国通貨建て債務の破綻が同じものであるかどうか、私には不明です。私自身は、現代貨幣理論(MMT)で高らかに宣言されていて、決して証明はされていない「発券機能を有した中央銀行があり、変動為替相場制を採用していれば、内国通貨建ての債務で政府は破綻しない」というのは、それほど信用していませんが、それでも、外貨建ての対外債務で破綻するのと内国通貨建ての政府債務で財政破綻するのは、だいぶんと違うのではないか、という気はします。強くします。

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2024年7月11日 (木)

5月統計の機械受注は足踏みがみられ設備投資は停滞するのか?

本日、内閣府から5月の機械受注統計の結果が公表されています。民間設備投資の先行指標であり、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月から▲3.2%減少し8578億円となっています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事を日経新聞のサイトから引用すると以下の通りです。

5月の機械受注3.2%減 基調判断を下方修正
内閣府が11日発表した5月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標とされる民需(船舶・電力を除く、季節調整済み)は前月比3.2%減少し8578億円だった。2カ月連続で低下した。通信業で携帯電話の基地局関連の受注が落ち込むなど非製造業が弱かった。
基調判断は「持ち直しの動きに足踏みがみられる」とし、4月までの「持ち直しの動きがみられる」から下方修正した。QUICKが事前にまとめた市場予測の中央値は0.9%増だった。
非製造業が7.5%減と2カ月ぶりに減少した。通信業が27.6%減と3カ月連続のマイナスだった。基地局向けとみられる通信機の受注が弱かった。
金融業・保険業は前月にシステム投資に伴う電子計算機の大きい受注があった反動で7.8%減と低調だった。不動産業も前月に大きく増えた反動で72.4%減だった。
製造業は1.0%増だった。電気機械や情報通信機械の受注が堅調だった。自動車・同付属品は7.4%減と4カ月ぶりに減った。
内閣府はトヨタ自動車などの認証不正について「それによって受注が落ちているとの情報は寄せられていない」と説明した。
基調判断を下方修正したのは1月以来で、このときは「足踏みがみられる」から「足元は弱含んでいる」に引き下げた。3月に「持ち直しの動きがみられる」に上方修正し、今回再び「足踏みがみられる」に下方修正となった。
内閣府は基調判断の変更理由について、船舶・電力を除く民需で月ごとのぶれをならした3カ月移動平均が減少したことなどを挙げた。
農林中金総合研究所の南武志氏は「全体的な設備投資意欲は底堅いが、足元はやや慎重になっている可能性もある」と指摘した。

包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、機械受注のグラフは上の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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まず、引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注で見て前月比+1.2%増でした。記事にある+0.9%増というには見当たりませんでした。いずれにせよ、市場の事前予想は+1%程度ということでしたので、実績の▲3.2%減は予想レンジの下限▲0.1%減を大きく下回りました。4月の前月比▲2.9%減に続いて、5月も▲3.2%減だったわけで、したがって、というか、何というか、引用した記事にもあるように、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に半ノッチ下方修正しています。今年に入ってからの基調判断は目まぐるしく変更されており、引用した記事の7パラ目にある通り、1月には「持ち直しの動きに足踏みがみられる」から「足元は弱含んでいる」に引き下げられ、2か月後の3月には「持ち直しの動きがみられる」に上方修正し、今回5月統計を受けて再び「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に下方修正されています。これも、引用した記事の最後のパラにあるように、設備投資については企業マインドとしての意欲は底堅い一方で、設備投資が実行されているかどうかは、GDP統計や本日公表された機械受注などには一向に現れていません。すなわち、投資マインドと実績の乖離が激しくなっています。その理由について、私は十分には理解できていません。これだけ人手不足が続いている中で、設備投資の伸びもなく、したがって、DXやGXが進まないとすれば、日本企業は大丈夫なのでしょうか?

最近読んだ伊丹先生の『漂流する日本企業』でも指摘されていますし、長らく日本企業の投資不足が指摘されていますが、設備投資が進まず、労働者の資本装備率も低迷するため生産性が伸びない中で、人口減少が加速するとすれば、投資不足と人手不足が負のスパイラルを生じるような気がしてなりません。

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2024年7月10日 (水)

上昇幅がまたまた拡大した6月の企業物価指数(PPI)をどう見るか?

本日、日銀から6月の企業物価 (PPI) が公表されています。PPIのヘッドラインとなる国内物価は前年同月比で+2.9%の上昇となり、先月5月統計からさらに上昇幅が拡大しました。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

企業物価指数、6月2.9%上昇 5カ月連続で伸び率拡大
日銀が10日発表した6月の企業物価指数(速報値、2020年平均=100)は122.7と、前年同月比で2.9%上昇した。5月(2.6%上昇)から伸び率が0.3ポイント拡大した。5カ月連続で伸び率が拡大し、23年8月以来の高い伸びとなった。電気・ガスの補助金が6月検針分から半減した影響が大きかった。
企業物価指数は企業間で取引するモノの価格動向を示す。サービス価格の動向を示す企業向けサービス価格指数とともに今後の消費者物価指数(CPI)に影響を与える。6月の上昇率は事前の民間予測の中央値(2.9%上昇)と同じだった。
内訳をみると、電力・都市ガス・水道が政府の補助金減少により前年同月比で0.1%上昇し、5月(7.2%下落)から大きく伸びた。石油・石炭製品もガソリン補助金の減少を背景に4.5%上昇した。木材・木製品は人手不足を背景に建築着工が弱含み、国内需要が減少した影響で2.1%下落した。
円安を背景に円ベースの輸入物価指数は前年同月比9.5%上昇し、23年2月(15%上昇)以来の伸びとなった。契約通貨ベースでは前年同月比0.3%上昇と23年3月以来初めてプラスに転じた。
半減した電気・ガスの補助金は8~10月に再開される。今後の企業物価指数の押し下げ要因になる。

いつもながら、的確に取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業物価指数(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率をプロットしています。また、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

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まず、引用した記事にはありませんが、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、企業物価指数(PPI)のヘッドラインとなる国内企業物価の前年同月比上昇率は+2.9%と見込まれていましたのでジャストミートし、サプライズはありませんでした。国内物価の上昇幅が拡大した要因は、引用した記事にもある通り、政府による電気・ガスの補助金の影響です。6月検針分から補助金が半減し、8~10月には復活の予定です。また、輸入物価が2月から再び上昇に転じ、本日公表の6月統計では+9.5%の上昇と2ケタ近くに達しています。引用した記事にもあるように、契約通貨ベースでの上昇を超えて円建て価格が上昇しています。ただし、原油価格の上昇も考慮すべきです。すなわち、企業物価指数のうちの輸入物価の原油価格の前年同月比を見ると、直近の6月統計では契約通貨建てで+9.1%、円建てで+22.0%の上昇と大きく値上がりしています。我が国では、金融政策を通じた需給関係などよりも、原油価格のパススルーが極端に大きいので、国内物価にも無視し得ない影響を及ぼしている可能性があります。
企業物価指数のヘッドラインとなる国内物価を品目別の前年同月比上昇率・下落率で少し詳しく見ると、電力・都市ガス・水道が6月には+0.1%と5月の▲7.2%の下落から上昇に転じています。食料品の原料として重要な農林水産物も5月の+0.2%から6月は+1.2%と上昇幅を拡大しています。したがって、飲食料品は+2.8%と高い伸びを続け、ほかに、非鉄金属+19.4%、石油・石炭製品と窯業・土石製品がともに+4.5%、などといった費目で高い上昇率を示しています。そして、価格上昇がかなり幅広い費目に及んでおり、生産用機器+3.9%、電気機器+3.0%、情報通信機器+3.1%、はん用機器+3.0%、などの我が国リーディングインダストリーで+3%以上の上昇率となっています。ある意味で、企業間で順調な価格転嫁が進んでいると見ることも出来ます。

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2024年7月 9日 (火)

日銀「さくらリポート」に見る地域経済やいかに?

昨日7月8日から開催されている日銀支店長会議において、「地域経済報告」、いわゆる「さくらリポート」を明らかにしています。まず、日銀のサイトから各地域の景気の総括判断を引用すると以下の通りです。

各地域の景気の総括判断
北陸を除く8地域では、景気は、一部に弱めの動きもみられるが、「緩やかに回復」、「持ち直し」、「緩やかに持ち直し」としている。北陸では、地震の影響による下押しが一部にみられるものの、「回復に向けた動きがみられている」としている。

続いて、各地域の景気の総括判断と前回との比較のテーブルは以下の通りです。

 【2024年4月判断】前回との比較【2024年7月判断】
北海道持ち直している一部に弱めの動きがみられるが、持ち直している
東北緩やかに持ち直している緩やかに持ち直している
北陸能登半島地震の影響により個人消費や生産の一部に下押しがみられており復旧の途上にあるものの、復旧復興需要や生産正常化が進むもとで、持ち直しの動きがみられている能登半島地震の影響により一部に下押しがみられており復旧の途上にあるものの、復旧復興需要や生産正常化が進むもとで、回復に向けた動きがみられている
関東甲信越一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している
東海一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している
近畿一部に弱めの動きがみられるものの、基調としては緩やかに持ち直している一部に弱めの動きがみられるものの、緩やかに回復している
中国緩やかな回復基調にある緩やかな回復基調にある
四国持ち直している持ち直しのペースが鈍化している
九州・沖縄一部に弱めの動きがみられるが、緩やかに回復している一部に弱めの動きがみられるが、緩やかに回復している

pdfの全文リポートには、「企業等の主な声」として、① 個人消費、② 生産・輸出・設備投資、③ 雇用・賃金設定、④ 価格設定、の4項目があるのですが、③ 雇用・賃金設定のトピックでは大幅賃上げのご意見が際立っており、中には「原資の確保に先行して平均8%の賃上げを実施」といったものも含まれています。また、こういった動きを受けて、ロイターの報道では、「さくらリポート」の別冊の位置づけで「日銀が、中小企業にも広く賃上げが波及しているとの調査結果をまとめたリポートを月内にも公表する見通し」ということのようです。今月7月末30-31日に予定されている金融政策決定会合で利上げする材料にするのではないか、という気がします。

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2024年7月 8日 (月)

緩やかな回復続く景気ウォッチャーと赤字の貿易収支を上回る第1次所得収支で黒字となった経常収支

本日、内閣府から6月の景気ウォッチャーが、また、財務省から5月の経常収支が、それぞれ、公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは、季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から+1.3ポイント低下の47.0となった一方で、先行き判断DIも+1.6ポイント上昇の47.9を記録しています。また、経常収支は、季節調整していない原系列の統計で+2兆8499億円の黒字を計上しています。まず、統計のヘッドラインを報じる記事をロイターのサイトなどから記事を引用すると以下の通りです。

街角景気6月は1.3ポイント上昇、4カ月ぶりプラス 判断は維持
内閣府が8日発表した6月の景気ウオッチャー調査は現状判断DIが47.0となり、前月から1.3ポイント上昇した。4カ月ぶりのプラス。景気判断は「緩やかな回復基調が続いているものの、このところ弱さがみられる」で維持した。
指数を構成する3部門では、家計動向関連DIが前月から2.1ポイント上昇し47.0、雇用関連が0.2ポイント上昇し46.2となった。企業動向関連は47.3と0.6ポイント低下した。
内閣府の担当者によると、インバウンド需要や人流の回復が景況感を押し上げている一方、物価高が押し下げ要因となっている大きな構図は変わらない。
2-3カ月先の景気の先行きに対する判断DIは前月から1.6ポイント上昇の47.9と、4カ月ぶりに上昇した。内閣府は先行きについて「価格上昇の影響などを懸念しつつも、緩やかな回復が続くとみている」とした。
調査期間は6月25日から30日。6月は所得税・住民税の定額減税が実施された。電気・ガス料金は政府補助の終了で、7月請求分(6月使用分)から値上がりが予定されている。
経常黒字41.8%増、5月は2兆8499億円 配当金が増加
財務省が8日発表した5月の国際収支統計(速報)によると、海外とのモノやサービスなどの取引状況を示す経常収支は2兆8499億円の黒字だった。前年同月から41.8%増加した。海外からの債券利子や配当金の受け取りが増え、第1次所得収支の黒字幅が拡大した。
経常収支は輸出から輸入を差し引いた貿易収支や、旅行収支を含むサービス収支、外国との投資のやり取りを示す第1次所得収支などで構成する。
経常収支の黒字額は、比較可能な1985年以降の5月としては過去最大となった。
第1次所得収支の黒字幅が前年同月比で13%増の4兆2111億円と、比較可能な1985年以降で過去最大となった。海外の金利上昇や円安を背景に受取額が増えた。
貿易収支は1兆1089億円の赤字と、前年同月から赤字幅は7.6%縮小した。資源高や円安により原油などの輸入額が膨らんだ。輸出は自動車のほか半導体関連の製造装置や電子部品が好調で、赤字幅縮小の要因となった。
サービス収支は23億円と、前年同月の1803億円の赤字から黒字に転じた。黒字は2カ月ぶり。訪日外国人の消費額から日本人が海外で使った金額を引いた旅行収支の黒字が55.7%増の4417億円と、黒字幅を拡大した。

長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしており、色分けは凡例の通りです。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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景気ウォッチャーの現状判断DIは、昨年2023年年末11~12月から今年2024年2月まで50を超える水準が続いていましたが、5月統計で45.7をつけた後、本日公表の6月統計では47.0に上昇しています。長期的に平均すれば50を上回ることが少ない指標ですので、現在の水準は決して低くない点には注意が必要です。6月統計では家計動向関連・企業動向関連ともに上昇しています。家計動向関連では住宅関連を別にすれば、小売関連・飲食関連・サービス関連とも+2前月からポイントを上回る上昇でした。企業動向関連では、製造業が前月から+1.5ポイント上昇したものの、非製造業が▲2.5ポイント低下し、企業動向関連として▲0.6ポイント低下を示しています。やはり、内需に依存する部分が大きい非製造業における物価上昇の影響が出ている印象です。統計作成官庁である内閣府では基調判断を「緩やかな回復基調が続いているものの、このところ弱さがみられる」で据え置いています。先行きについては、猛暑効果や定額減税への期待が見られると考えるべきです。
また、内閣府のリポート「景気の現状に対する判断理由等」の中には、例えば飲食関連で、インバウンドの好影響につき「コーヒー豆製造卸の売上が2倍になっている。新規取引依頼が多く、良くなっている兆しがある。インバウンドが多く客単価が高いことも、良くなるとみている要因の1つである(東京都)」といった見方がある一方で、価格上昇に起因する売上減、すなわち、インフレの影響と見られるものがいくつかありました。例えば、南関東の一般小売店で「じりじりと円安が続いているため、輸入商材の価格が上昇し、販売量に影響している(東京都)」とかです。近畿のスーパーでも、「値上げの動きが始まった年明けから春頃は、そこまで販売量の落ち込みはみられなかった。その後の円安などもあり、値上げ価格が定着してくるにつれて、買い控えによる販売量の減少が進んでいる。」といった意見が見られます。もうひとつ目についたのは賃上げへの言及です。例えば、その他レジャーのうちの映画で「物価の上昇は止まらないが、それに伴う賃上げがない(東京都)。」などです。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは経常黒字は+2兆4577億円でした。レンジの上限は+3兆円を超えていましたので、実績の+2兆8499億円は大きなサプライズはありませんでした。円安が進みましたので経常黒字が大きく膨らんでいます。しかし、貿易収支は相変わらず赤字を計上しており、円安にも関わらず赤字が縮小したのとどまっています。もちろん、経常収支にせよ、貿易収支にせよ、たとえ赤字であっても何ら悲観する必要はなく、資源に乏しい日本では消費や生産のために必要な輸入をためらうことなく、経常赤字や貿易赤字は何の問題もない、と私は考えていますので、付け加えておきます。加えて、先週7月2日に「国際収支から見た日本経済の課題と処方箋」報告書が公表されていますが、国際収支や経常収支に関して、それほど騒ぎ立てる必要もないと私は受け止めています。

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