2022年7月 1日 (金)

大企業製造業の景況感が2期連続で悪化下6月調査の日銀短観をどう見るか?

本日、日銀から6月調査の短観が公表されています。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは3月調査から▲3ポイント悪化し+14となりました。悪化は2020年6月調査以来、実に7四半期ぶりです。また、本年度2022年度の設備投資計画は全規模全産業で前年度比+0.8%の増加が見込まれています。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

大企業製造業の景況感、2期連続悪化 6月日銀短観
日銀が1日発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は前回の3月調査から5ポイント悪化し、プラス9となった。2四半期連続で悪化した。原材料コストの高止まりと中国のロックダウン(都市封鎖)による供給制約の強まりが景況感を押し下げた。大企業非製造業は新型コロナウイルスの感染状況の落ち着きを背景に、2期ぶりに改善しプラス13となった。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」の割合を引いた値だ。6月調査の回答期間は5月30日~6月30日。回答基準日の6月13日までに企業の7割台半ばが答えた。
大企業製造業の業況判断DIはプラス9と、QUICKが集計した市場予想の中央値(プラス12)を下回った。ロシアのウクライナ侵攻後初の短観だった前回3月調査で7期ぶりの悪化に転じたが、今回も低下し2期連続の悪化となった。
エネルギーを中心とした資源高と円安の進行による原材料コストの増加が、企業の収益を下押しする要因になっている。ただ、価格転嫁の動きも広がってきており、大企業製造業の販売価格判断DIはプラス34と、1980年5月以来およそ42年ぶりの高水準だ。企業の消費者物価見通しも上振れてきており、大企業製造業の1年後の見通し平均は前年比2.0%上昇、全規模全産業は2.4%上昇となっている。どちらも調査を始めた2014年以降で過去最高だ。
6月調査では中国のロックダウンで生産や物流が停滞した影響もあり、自動車や生産用機械などの景況感の悪化が目立った。自動車はマイナス19と3月調査から4ポイント悪化、生産用機械はプラス34と9ポイント悪化した。供給制約の影響については一時的との見方が多く、大企業製造業の先行きの業況判断DIはプラス10と、足元から小幅に改善すると想定している。
大企業非製造業の業況判断DIはプラス13と市場予想(プラス13)と同じ水準だった。3月下旬にまん延防止等重点措置が全面解除されたことで、対個人サービスや宿泊・飲食サービスが改善した。先行きはプラス13と足元から横ばいが続く見通しだ。
企業の事業計画の前提となる2022年度の想定為替レートは全規模全産業で1㌦=118円96銭と、3月調査(111円93銭)から円安方向に修正された。ただ、足元の円相場は1㌦=135円台で推移しており、修正された想定レートよりも大幅な円安水準にある。
22年度の経常利益の計画は全規模全産業で前年度比3.6%減になる見通しだ。設備投資計画は14.1%増と3月調査(0.8%増)から上方修正した。

とても長いんですが、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

photo

まず今週月曜日の6月27日付けのこのブログでも、また、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでも、ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは悪化するとはいえ、逆に、大企業非製造業は改善する、という方向感覚でしたので、何らサプライズはありません。ただ、大企業製造業の悪化幅がやや大きいかな、という気はします。ということで、一般に報じられている通り、製造業についてはウクライナ危機に伴うエネルギーや原材料価格の高騰と円安が相まって価格的なコストアップに加えて、上海のロックダウンなどに起因して需要低迷と供給制約の深刻化が同時に、さらに、物流制約も加わって発生するという数量的な面からも企業マインドが悪化していることが伺えます。他方、非製造業については新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染防止のための行動制限が撤廃され、実際に、新規感染者数も低位にあることから人出が回復してマインドは改善を示しています。企業マインドの背景にある資源高や円安によるコストアップと外需低迷と供給制約、そして、COVID-19の感染状況が、バラバラの方向から製造業と非製造業に影響を及ぼしている印象です。ただ、先行きに関しては、企業規模別に特徴が出ていて、大企業は製造業・非製造業ともにほぼ横ばいないし改善の方向にあるのに対して、中堅企業と中小企業は製造業・非製造業ともに悪化の方向感が示されています。また、業種別には、製造業では供給制約の厳しい自動車が先行きの改善に対する期待感が大きいく、非製造業でも宿泊・飲食サービスで同じように先行きの改善期待が高まっているように見受けられます。逆から見て、これらの業種では現状が想定外に厳しい、ということなのだろうと受け止めています。また、引用した記事にもある通り、為替レートの水準が現状の円安にまったく追いついていません。これは、企業がこの先円高を予想しているのか、それとも、単に日本企業らしく決断や方向修正が遅いだけなのか、私には謎です。

photo

続いて、設備と雇用のそれぞれの過剰・不足の判断DIのグラフは上の通りです。経済学的な生産関数のインプットとなる資本と労働の代理変数である設備と雇用人員については、方向としてはいずれも不足感が広がる傾向にあります。DIの水準として、設備については、昨年2021年年央の+10前後の過剰感はほぼほぼ解消され、不足感が広がる段階には達したといえます。他方、雇用人員についてはプラスに転ずることなく反転し、足元から目先では不足感が強まっている、ということになります。ただし、何度もこのブログで指摘しているように、賃金が上昇するという段階までの雇用人員の不足は生じていない、という点には注意が必要です。我が国人口がすでに減少過程にあるという事実が、かなり印象として強めに企業マインドに反映されている可能性があると私は考えています。ですから、マインドだけに不足感があって、経済実態としてどこまでホントに人手が不足しているのかは、私には謎です。賃金がサッパリ上がらないからそう思えて仕方がありません。加えて、コロナの感染拡大に起因する不透明感は設備と雇用についても同様です。

photo

日銀短観の最後に、設備投資計画のグラフは上の通りです。日銀短観の設備投資計画のクセとして、3月調査時点ではまだ年度計画を決めている企業が少ないためか、3月にはマイナスか小さい伸び率で始まった後、6月調査で大きく上方修正され、景気がよければ、9月調査ではさらに上方修正され、さらに12月調査でも上方修正された後、その後は実績にかけて下方修正される、というのがあります。その意味で、本日公表の6月調査では2022年度の設備投資計画は+14.1%増と、大きく上方修正されました。ただし、昨年度の2021年度設備投資計画が大きく下方改定されていて、そのリバウンドという面も考慮する必要があります。いずれにせよ、全体としての印象では、人手不足もあって、設備投資は基本的に底堅いと考えていますが、最後の着地点がどうなるか、これまた、COVID-19とウクライナ危機の動向に照らして不透明です。

photo

最後に、本日、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が公表されています。いずれも5月の統計です。失業率は前月か+0.1%ポイント上昇して2.6%を記録し、有効求人倍率は前月を+0.01ポイント上回って1.24倍に達しています。失業率こそ上昇しましたが、基本的に、緩やかながら雇用の改善が続いています。グラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影を付けた部分は景気後退期を示しています。

| | コメント (0)

2022年6月30日 (木)

大きな低下を示した5月の鉱工業生産指数(IIP)をどう見るか?

本日、経済産業省から5月の鉱工業生産指数(IIP)が公表されています。ヘッドラインとなる生産指数は季節調整済みの系列で前月から▲7.2%の減産でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

5月の鉱工業生産7.2%マイナス 自動車など低下
経済産業省が30日に発表した5月の鉱工業生産指数(2015年=100、季節調整済み)速報値は88.3となり、前月比7.2%下がった。マイナスは2カ月連続。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた中国の上海市などの都市封鎖で生産や物流が停滞した影響が続いた。自動車工業、電気・情報通信機械工業などが低下し、経産省は生産の基調判断を「足踏みをしている」から「弱含み」に引き下げた。
指数そのものは2020年8月以来、前月比の下落幅は20年5月以来の水準だった。新型コロナが世界的に拡大し、生産が停滞したとき以来の大幅な落ち込みになる。
全15業種のうち13業種が低下、上昇は2業種だった。自動車工業は8.0%のマイナスで、下落の寄与度が最も大きかった。普通トラックや普通乗用車の低下が目立った。電気・情報通信機械工業は11.3%のマイナスだった。車載用のリチウムイオン蓄電池などの生産が鈍った。生産用機械工業は5.1%低下した。
上昇した2業種では、無機・有機化学工業は3.9%、石油・石炭製品工業は8.9%の伸びだった。
主要企業の生産計画から算出する生産予測指数は6月が前月比12%、7月は2.5%の上昇を見込む。6月1日から中国・上海市のロックダウンが解除され調達の制約が一定程度緩和される見通しだ。ただ供給制約の緩和は段階的で、先行きには不透明感がある。

よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは下の通りです。上のパネルは2015年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた部分は景気後退期を示しています。

photo

まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、前月と比べて▲0.2%のわずかな減産という予想でしたが、実績の▲7.2%減は予想レンジの下限である▲1.2%減を大きく超えて、ネガティブなサプライズと私は受け止めています。減産の主因はサプライサイドと物流、特に、上海のロックダウンに起因すると考えられています。また、先行きに関しては、引用した記事にもある通り、製造工業生産予測指数によれば6月の増産は+12.0%なのですが、経済産業省では上方バイアスを除去すると補正値では+4.9%の増産との試算を出しています。そんなこんなで、これも引用した記事にあるように、統計作成官庁である経済産業省では生産の基調判断をまたまた引き下げています。すなわち、前月には「持ち直しの動きがみられる」から「足踏みをしている」に引き下げ、さらに、今月「弱含み」に引き下げています。毎月のように基調が下方修正されるものいかがなものか、という気がします。加えて、5月の減産の主因がホントに上海のロックダウンに起因するのであれば、すでに6月1日からロックダウンが解除されているわけですから、6月の生産はかなり大きな増産に転じる可能性が十分あります。加えて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新規感染拡大も増加に転じたおそれがあるとしても、水準としては抑制されていますから期待は大きいものがあります。
5月統計の生産や出荷について、少し詳しく見ておくと、生産も出荷も産業別には自動車工業と電気・情報通信機械工業で低下が大きくなっています。まさに、我が国のリーディング・インダストリーだと考えるべきです。逆に、石油・石炭製品工業と無機・有機化学工業で出荷も生産も上昇しています。実に、資源価格の高騰、それに伴う国内価格の上昇が盛んに報じられている中で、製品の価格が上昇している石油・石炭製品工業の出荷や生産が増加しているわけです。通常の経済学の想定によれば、コストプッシュで価格が上昇して、供給曲線が左方シフトすれば、価格の上昇と生産・出荷の減少が見られるハズなのですが、生産・出荷は増加しているとの統計が示されています。石油・石炭製品工業の生産・出荷が伸びている品目としては、軽油、ジェット燃料油、ガソリン等が上げられています。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止のための行動制限が撤廃され、航空機の燃料需要が増加した、という面はあると考えられるものの、ガソリンも上げられており、価格引上げというよりは先高感による需要増なのかもしれません。まあ、単月の結果ですし、断定的な結論を導くことは難しいながら、無理やりにこじつければ、あくまで無理やりに解釈すれば、ということで、インフレの生産拡大効果といえるかもしれません。

5月統計における自動車工業と電気・情報通信機械工業、さらに、石油・石炭製品工業の動向に関する私の見方は、ややこじつけとしても、毎月のように鉱工業生産指数(IIP)の基調判断が変更されて、とてもconfusingなのですが、ホントに上海ロックダウンの影響が大きいのであれば、6月統計を見たいというのが多くのエコノミストのホンネではないか、という気がします。強くします。

| | コメント (0)

2022年6月29日 (水)

順調な持ち直しの動きが続く5月の商業販売統計をどう見るか?

本日、経済産業省から5月の商業販売統計が公表されています。ヘッドラインとなる小売業販売額は、季節調整していない原系列の統計で前年同月比+3.6%増の12兆3880億円、季節調整済み指数でも前月から+0.6%増を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

小売販売額、5月3.6%増 行動制限なく百貨店が前年超え
経済産業省が29日発表した5月の商業動態統計速報によると、小売業販売額は前年同月比3.6%増の12兆3880億円で、3カ月連続の増加となった。3年ぶりに新型コロナウイルスによる行動制限のない大型連休となり、百貨店などで前年を大きく上回った。経産省は基調判断を「緩やかに持ち直している」に引き上げた。
百貨店は前年同月比55.3%増の4301億円となった。コンビニエンスストアは3.5%増の1兆78億円だった。経産省は「行動制限が解除され、時短営業の反動で消費が伸びた」との見方を示した。
スーパーは1.1%減の1兆2507億円、家電大型専門店は3.3%減の3704億円、ホームセンターは3.9%減の3101億円だった。小売業販売額を季節調整済みの前月比で見ると0.6%上昇した。

よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額のグラフは下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売業販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。影を付けた部分は景気後退期を示しています。

photo

まず、ロイターがまとめた市場の事前コンセンサスによれば、統計のヘッドラインである前年同月比で+3.3%増でしたので、実績の+3.6%増はホンの少しだけ上振れていますが、まあ、予想の範囲内といえます。小売販売は3月21日にまん延防止等重点措置が終了したことに伴って、直近の4~5月統計を見る限り、内需にサポートされた回復を示していると私は受け止めています。とくに、5月統計にはゴールデンウィーク期間が含まれますので、行動制限の有無はそれなりの重みを持ちます。季節調整済み指数の後方3か月移動平均で判断している経済産業省のリポートでは、5月統計では、この3か月後方移動平均が+1.1%の上昇となり、基調判断を「持ち直しの動き」から「緩やかに持ち直している」に半ノッチ上方改定しています。ただし、いつもの注意点ですが、2点指摘しておきたいと思います。すなわち、第1に、商業販売統計は物販が主であり、サービスは含まれていません。第2に、商業販売統計は名目値で計測されていますので、価格上昇があれば販売数量の増加なしでも販売額の上昇という結果になります。ですから、対人サービス業へのダメージの大きな新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響、さらに、足元での物価上昇の影響は、ともに過小評価されている可能性が十分あります。すなわち、物販よりも飲食や宿泊のような対人接触型のサービスがCOVID-19の感染拡大で受けるネガティブな影響が大きいのですが、商業販売統計には十分には現れていない、と考えるべきです。ただし、逆に、行動制限が撤廃された現段階では、リバウンドも大きい可能性は否定できません。加えて、燃料小売業の販売額は前年同月比で+15.0%増なのですが、かなりの部分は物価上昇による水増しが占めると考えられ、売上数量が伸びているというよりも、販売単価、すなわちインフレ部分が大きいのではないかと私は想像しています。これらの2点を考え合わせると、実際の日本経済の現状についてはこの統計よりもさらに現実的に見る必要が十分あります。

| | コメント (0)

2022年6月27日 (月)

金曜日公表予定の6月調査の日銀短観の予想やいかに?

今週金曜日7月1日の公表を控えて、シンクタンクから6月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業/非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下のテーブルの通りです。設備投資計画は来年度2022年度です。ただ、全規模全産業の設備投資計画の予想を出していないシンクタンクについては、適宜代替の予想を取っています。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、可能な範囲で、先行き経済動向に注目しました。短観では先行きの業況判断なども調査していますが、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミックやウクライナ危機といった経済外要因の動向次第という面がある一方で、それなりに時間を経過してシンクタンクの見方も一定方向に収斂しつつあるような気がします。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
3月調査 (最近)+14
+9
<+0.8>
n.a.
日本総研+12
+15
<+5.0%>
先行き(9月調査)は、全規模・全産業で6月調査対比+2%ポイントの上昇を予想。活動制限の解除によるサービス消費を中心とした個人消費の持ち直しが進むほか、供給制約の緩和期待で景況感は下支えされる見通し。もっとも、一段の資源高や中国景気の停滞など、先行き不透明感が根強い点には注意が必要。
大和総研+11
+12
<+5.8%>
大企業製造業では、供給制約の緩和による生産の拡大を見込む「自動車」の業況判断DI(先行き)が上昇するとみている。さらに、北京での感染拡大という懸念はあるものの、上海におけるロックダウンが解除されたことで、中国向け輸出の持ち直しが見込まれることが、「電気機械」の業況判断DI(先行き)を押し上げると見込む。ただし「食料品」では、原材料価格の高騰による収益の悪化が業況判断DI(先行き)を低下させると予想する。大企業非製造業については、新たなGo To トラベル事業の実施やインバウンドの受け入れ再開など、経済活動の正常化の進展と政策的な後押しへの期待感から、「対個人サービス」、「宿泊・飲食サービス」といった業種で業況判断DI(先行き)が上昇すると予想する。
みずほリサーチ&テクノロジーズ+13
+12
<+6.5%>
製造業・業況判断DIの先行きは1ポイントの改善を予測する。上海のロックダウンなどによる減産の影響がはく落し、自動車を中心に業況は改善するだろう。ただし、ウクライナ情勢を巡る先行き不透明感や、資源高による採算悪化への懸念などから、大幅な改善には至らないと予想している。
非製造業・業況判断DIの先行きは4ポイントの改善を見込む。対人接触型サービス消費持ち直しへの期待から、宿泊・飲食サービスや対個人サービス中心に改善するだろう。感染者数・重症者数の減少を受けて感染への不安が後退する中、政府が旅行振興策を再開することへの期待が高まっている。日系大手航空会社は、今年7,8月の国内線便数をコロナ禍前比9割超まで増やす計画を発表した。また、政府が観光客受け入れ再開を決めたことで、インバウンドに復調の兆しが見られる点も業況の押し上げ要因になるだろう。
ただし、財消費については伸び悩みが予想される。昨年から続く資源高と足元の円安が相まって、様々な商品の価格が上昇する一方、相対的に賃金の伸びは鈍い。今後も企業による値上げが進み、消費者の節約志向が一層強まることで、卸・小売業などの業況は押し下げられるとみている。
ニッセイ基礎研+12
+14
<+6.3%>
先行きの景況感は総じて小幅な改善を予想。製造業では供給制約の緩和と中国の経済活動再開への期待、非製造業では旅行喚起策や水際対策緩和などに伴う人流のさらなる回復への期待がそれぞれ景況感の追い風になる。ただし、ウクライナ情勢や世界的なインフレ、中国の都市封鎖再導入の可能性など海外経済を巡る不透明感は強いほか、原材料価格の上昇・高止まりに対する懸念も根強いとみられることから、大幅な改善は見込みづらい。
第一生命経済研+14
+13
<大企業製造業+15.2%>
次回6月の短観は、世界経済の減速に対して、円安がマインド押し上げに効くかどうかが注目される。業況DIは、製造業が横ばい、非製造業は改善とみる。物価上昇圧力が、販売価格・仕入価格DIにどう表れるかも注目される。
三菱総研+13
+13
<+7.6%>
先行きの業況判断DI(大企業)は、製造業が6月時点から横ばいの+13%ポイント、非製造業は+2%ポイント上昇の+15%ポイントと予測する。製造業は、資源価格の高止まりや夏場の電力不足が懸念されるが、供給制約が徐々に解消に向かうとみることから、横ばいを予想する。非製造業は、経済活動の再開が本格化すること、インバウンドの受け入れ再開などから改善を見込む。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+10
+13
<大企業全産業+9.4%>
(大企業製造業)先行きは、コスト高が続くことへの懸念は残る一方、半導体など部品不足による供給制約の緩和が期待され、自動車など加工業種を中心に14と、4ポイントの改善が見込まれる。
(大企業非製造業)先行きは、新型コロナ・オミクロン株の新規感染者数の減少を背景に、経済社会活動の活発化が期待され、6ポイント改善の19と改善が見込まれる。
農林中金総研+12
+13
<+2.0%>
先行きに関しては、引き続き、一次産品価格の高騰による収益圧迫への警戒が強いほか、欧米諸国での利上げ加速による景気鈍化懸念や夏場の電力不足も不安材料ともみられるが、5%台半ばの成長を目標とする中国の景気テコ入れ策、サービス消費やインバウンド需要の回復への期待も強いと思われる。以上から大企業・製造業は11、中小企業・製造業は▲7と、今回予測からともに▲1ポイントの悪化予想と見込む。一方、大企業・非製造業は16と今回予測から+3ポイント、中小企業・非製造業は▲2で今回予測から+1ポイントと、いずれも改善方向と予想する。

見れば明らかなのですが、ほぼ、日銀短観の業況判断DIのヘッドラインとなる大企業製造業ではやや悪化、逆に、大企業非製造業ではやや改善、というのが大雑把なコンセンサスかという気がします。その改善と悪化の程度により、大企業製造業の業況判断DIの方が大企業非製造業より水準が高かったり、あるいは、逆だったり、はたまた、同水準だったりするわけなのでしょう。でも、DIですので変化の方向とその大きさが重要であり、DIの水準は2の次になります。まあ、メディアではこれを理解しないニュースが出るかもしれませんが、そのあたりはしっかりと理解しておきたいものです。そして、ヘッドラインで私が着目した先行きについては、どのシンクタンクでも緩やかな改善を見込んでいます。すなわち、製造業については6月調査では、ウクライナ危機などによるコストアップや中国上海のロックダウンの影響を受けての半導体部品の不足などから、一時的に業況判断DIは悪化に振れましたが、先行きは緩やかながら改善、との見立てです。他方、非製造業も同じように緩やかな改善なのですが、これは新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大次第、というように私は受け止めています。現在の足元の6gタウ下旬の時点で、すでにCOVID-19の新規感染者数は新規変異株のために増加に転じたとの見方も出ているようですし、もちろん、感染拡大だけではなく変異株の重篤度にもよりますので、専門家ならざる私にはなんとも見通せませんが、場合によっては、夏休みの行楽シーズンに向けて何らかの行動制限を伴う措置が取られる可能性のゼロではありません。また、設備投資計画は3月調査が例年になくプラスで始まりましたが、6月調査では例年通りに順調に上積みされる計画が示されています。さらに、先行きの注目点として、いくつか上げておきたいと思います。まず、今回の6月調査の日銀短観については、私は「事業計画の前提となっている想定為替レート」にも注目しています。3月調査の時点では対米ドルで111.93円となっていましたが、現在の足元の実績データではすでに2割くらいの円安方向で動いています。これを企業としていかに見込んでいるかは注目に値します。そして、日銀短観を離れてさらに2点指摘すると、今夏の猛暑の可能性です。ラ。ニーニャだか、エル・ニーニョだかの影響があるらしく、今冬は厳寒でしたし、今夏は猛暑ともいわれています。通常、夏が暑くて冬が寒いのは経済にとって好条件と考えられるのですが、今夏の東電管内においては電力需要の逼迫から生産への影響が出るかどうか、気にかかっています。そして、米国のリセッションの可能性です。米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FED)はインフレ封じ込めのために猛烈な金融引締めを進める可能性が高く、米国がリセッションに陥る可能性も小さくありません。貿易面では日本はすでに米国よりも中国の影響のほうが大きいのでしょうが、さはさりながら、米国景気の動向はとっても気にかかるところです。
最後に、下のグラフは日本総研のリポートから引用しています。

photo

| | コメント (0)

2022年6月24日 (金)

消費者物価指数(CPI)と企業向けサービス価格指数(SPPI)の動向を考える!!!

本日、総務省統計局から消費者物価指数 (CPI) が、また、日銀から企業向けサービス価格指数 (PPI)が、それぞれ公表されています。いずれも5月の統計です。まず、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は、季節調整していない原系列の統計で見て前年同月比で+2.1%を記録しています。物価上昇は9か月連続です。7年ぶりの+2%超の物価上昇が先月から続いています。ただし、エネルギー価格の高騰に伴うプラスですので、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率は+0.8%にとどまっています。また、企業物価指数のヘッドラインとなる国内物価は前年同月比で+9.0%の上昇を示しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

5月の全国消費者物価、2.1%上昇 食料や家電の値上がりで
総務省が24日発表した5月の全国消費者物価指数(CPI、2020年=100)は、生鮮食品を除く総合指数が101.6と前年同月比2.1%上昇した。上昇は9カ月連続で、2%台を付けたのは前月に続いて2カ月連続となる。エネルギー価格が引き続き上昇しているほか、原材料価格の高騰を受けた生鮮食品を除く食料の上昇、部品供給不足を受けた家電製品の値上がりなどがCPIを押し上げた。
QUICKがまとめた市場予想の中央値(2.1%上昇)と一致した。伸び率は4月(2.1%上昇)と同水準だった。
エネルギーは前年同月比17.1%上昇と高騰が続いているが、前月(19.1%上昇)からは伸び率が縮小した。このうち、原油相場の影響がガソリンより遅行する「電気代」は18.6%上昇、「都市ガス代」は22.3%上昇と大幅な伸びとなった。「ガソリン」も前年同月比では13.1%上昇となったが、政府の補助金による抑制効果などで前月に比べて伸び率は鈍化した。
生鮮食品を除く食料は前年同月比2.7%上昇と、15年3月(3.8%上昇)以来7年2カ月ぶりの伸び率となった。値上げによって調理カレーや唐揚げなどの上昇が目立ったほか、同様に値上げが相次ぐハンバーガーや寿司など外食も押し上げに寄与した。「家庭用耐久財」は7.4%上昇した。中国のロックダウン(都市封鎖)や半導体不足を背景にしたルームエアコンの上昇がけん引した。
一方、携帯電話の通信料は前年同月比22.5%下落した。
生鮮食品を除く総合指数は前月比で0.1%上昇した。生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は前年同月比0.8%上昇した。生鮮食品を含む総合は前年同月比2.5%上昇し、9カ月連続でプラスとなった。
5月の企業向けサービス価格、1.8%上昇 上昇幅が拡大
日銀が24日発表した5月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は106.7と、前年同月比で1.8%上昇した。15カ月連続のプラスで、上昇幅は4月(1.7%)から拡大。エネルギー価格の高騰などから運輸・郵便が上昇した。指数そのものは前月から横ばいだった。
運輸・郵便のうち、国際運輸関連が大きく上昇した。外航貨物輸送では燃料価格の上昇に加え、中国のロックダウン(都市封鎖)解除を見越した運賃価格の上昇も押し上げ要因になった。
不動産は店舗の賃料が主因となって上昇した。新型コロナウイルス感染対策のまん延防止等重点措置(まん防)の解除で外出する人が増え、店舗の売り上げと連動して賃料が上昇した影響とみられる。
調査の対象となる146品目のうち価格が前年同月比で上昇したのは95品目、下落は21品目だった。

長くなりましたが、いつものように、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1ケタの指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

photo

まず、引用した記事にもあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは+2.1%の予想でしたので、ジャストミートしました。基本的に、ロシアによるウクライナ侵攻などによる資源とエネルギー価格の上昇による供給面からの物価上昇と考えるべきです。もちろん、円安による輸入物価の上昇も一因です。すなわち、コストプッシュによるインフレであり、日銀金融政策による需要面からの物価上昇ではありません。CPIに占めるエネルギーのウェイトは1万分の712なのですが、5月統計における上昇率は+17.1%に達していて、ヘッドラインCPI上昇率に対する寄与度は+1.26%あります。この寄与度のうち、電気代がちょうど半分の+0.63%ともっとも大きく、次いで、ガソリン代の+0.27%、都市ガス代の+0.21%などとなっています。ただし、エネルギー価格の上昇率は3月には20.8%であったものが、4月統計では+19.1%、5月統計では+17.1%と、ホンのちょっぴりながら上昇率は下げ止まりつつあるようにも見えます。ただ、かなり高い上昇率で高止まっていることは確かです。加えて、生鮮食品を除く食料も4月統計の+2.6%上昇に続いて、5月統計でも+2.7%の上昇を示しており、+0.60%の寄与となっています。

photo

続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは上の通りです。上のパネルはヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、下のパネルは日銀の公表資料の1枚目のグラフをマネして、国内価格のとサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。企業向けサービス物価指数(SPPI)が着実に上昇トレンドにあるのが見て取れます。影を付けた部分は、日銀公表資料にはありませんが、景気後退期を示しています。企業向けサービス価格指数(SPPI)上昇の要因も、基本的に、消費者物価指数(CPI)と同じで、供給面からのインフレといえます。大類別でヘッドライン上昇率に対してもっとも寄与度が大きかったのは運輸・郵便であり、+4.8%の上昇、0.77%の寄与となっています。寄与度で見てその次に大きい大類別は土木建築サービスをはじめとする諸サービスであり、上昇率こそ+1.5%と大きくないのですが、寄与度は+0.53%あります。また、景気に敏感な広告も上昇率+4.4%、寄与度+0.21%を示しています。運輸・郵便は石油価格上昇などによるコストプッシュの要因が強いと考えるべきですが、諸サービスや広告についてはコストプッシュばかりとはいえません。まあ、SPPIには直接にエネルギーや資源価格を反映する大類別がありませんので、円安とともに資源価格上昇が波及しているという見方は成り立つとはいえ、人手不足の影響はそれなりにあるのだろうと私は受け止めています。

最後に、参議院議員選挙が本格的に開始され、現在の物価についての議論も盛んです。ただ、私が考えるに、現在のインフレ目標+2%に近い実績物価上昇率をもって日銀を批判するのは疑問です。というのも、個々人の受け止めはさまざまとしても、メディアの論調ではつい半年ほど前までは物価目標+2%が達成されない、という事実をもって日銀を批判していたように私は見ていたのですが、それが今では+2%の物価上昇を批判しているように見受けられます。+2%の物価目標が達成されないといっては批判され、物価上昇が+2%だといっては批判されるのでは、日銀も立場がありません。他方で、物価に対する批判が大きいのは、バックグラウンドで生活が苦しくなっているからではないかと私は想像しています。しかし、物価上昇だけを「悪者」にしていたのでは、そのほかに生活を苦しくさせている要因を見逃すことにもなりかねません。物価上昇も含めて生活が苦しくなっているのであれば、ケインズ的には収入が増える必要があります。反ケインズ的には生活を切り詰める必要があるかもしれません。私はエコノミストとして、生活を切り詰めるよりは収入を増加させる方法を探りたいと思います。

| | コメント (0)

2022年6月22日 (水)

リクルートによる5月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給やいかに?

来週金曜日7月1日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートによる4月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の調査結果を取り上げておきたいと思います。参照しているリポートは以下の通りです。計数は正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、以下の出典に直接当たって引用するようお願いします。

photo

まず、いつものグラフは上の通りです。アルバイト・パートの時給の方は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響ありながら底堅い印象で、前年同月比で見て、1月+1.1%増、2月+1.5%増、3月+1.6%増、4月+1.5%増の後、5月も+2.8%増となっています。ただし、2020年1~4月のコロナ直前ないし初期には+3%を超える伸びを示したこともありましたので、やや物足りない気もしますが、時給を見れば、昨年2021年年央から1,100円を上回る水準が続いており、かなり堅調な動きを示しています。他方、派遣スタッフの方は今年2022年1月+1.1%増、2月+1.4%増の後、3月▲0.1%減、4月+1.3%増の後、5月は前年から横ばいとなっています。
まず、アルバイト・パートの平均時給の前年同月比上昇率は、繰り返しになりますが、5月には+2.8%、+31円増加の1,123円を記録しています。職種別では、「専門職系」(+65円、+5.1%)、「フード系」(+46円、+4.6%)、「事務系」(+54円、+4.5%)、「営業系」(+53円、+4.3%)、「販売・サービス系」(+31円、+2.9%)、「製造・物流・清掃系」(+25円、+2.3%)、とすべての職種で増加を示しています。地域別でも関東・東海・関西のすべての地域でプラスとなっています。なお、「製造・物流・清掃系」を除いて、すべての職種で、前年同月から+2.8%以上の伸びを示しているにもかかわらず、平均で+2.8%増というのは、いわゆるシンプソン効果で、平均時給が低い「フード系」や「販売・サービス系」といった職種の雇用が増加しているのだと推測しています。あるいは、何らかのバグがプログラムに入っている可能性も否定できません。
続いて、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、5月は前年から横ばいにとどまりました。職種別では、「製造・物流・清掃系」(+41円、+3.2%)、「営業・販売・サービス系」(+33円、+2.3%)、「医療介護・教育系」(+30円、+2.1%)、「オフィスワーク系」(+27円、+1.8%)、「クリエイティブ系」(+16円、+0.9%)、はプラスとなっている一方で、「IT・技術系」(▲47円、▲2.2%)だけがマイナスを記録しています。派遣スタッフの6つのカテゴリを詳しく見ると、「IT・技術系」の時給だけが2,000円を超えていて、段違いに高くなっていて、全体の平均を押し下げています。なお、地域別には、関西だけが前年から横ばいで、関東と東海はマイナスを記録しています。

基本的に、アルバイト・パートも派遣スタッフもお給料は堅調であり、まん延防止等重点措置の解除後の順調な景気回復に伴う人手不足の広がりを感じさせる内容となっています。

| | コメント (0)

2022年6月21日 (火)

本年度の国家公務員採用総合職試験の結果やいかに?

昨日6月20日、人事院から国家公務員採用総合職試験の合格者発表がプレスリリースされています。院卒・大卒を合わせて、申込者≈受験者15,330人、合格者1,873人、倍率8.2倍となっています。なお、女性の合格者数は、院卒・大卒合わせて573人で過去最多、女性比率は30.6%となっています。
私が興味あったのは出身大学別の合格者数なのですが、pdfの資料3にあり、以下の通りです。

大学名合格者数
東京大217
京都大130
北海道大111
早稲田大84
東北大75
慶應義塾大71
立命館大63
岡山大61
中央大49
千葉大47

人事院資料には、合格者数10人以上の大学が取り上げられているのですが、このブログでは上位トップテンまでとしました。上位の東京大217人、京都大130人というのは例年通りという気もします。なお、この後には、大阪大46人、名古屋大45人と続きます。時事通信の記事によれば、「出身大学別の合格者は東京大の217人が最も多いが、前年度から39人減少し、総合職試験が始まった12年度以降で最少となった。」ということのようです。一応、我が母校と勤務校がともにランクインしています。

まったく違う話題ながら、スターバックスの原宿店が閉店したと聞き及びました。青山に住んでいる時に何度か入ったことがあります。まあ、もっと近いスタバがいっぱいありましたから、それほど馴染みはありませんでしたし、どうして閉店したのかは知りませんが、それでも、ちょっとだけ東京を懐かしんでおります。

| | コメント (0)

2022年6月20日 (月)

帝国データバンクによる「企業の今後1年の値上げに関する動向アンケート (2022年6月)」の結果やいかに?

やや旧聞に属する話題ながら、先週6月15日に帝国データバンクにから「企業の今後1年の値上げに関する動向アンケート (2022年6月)」の結果が明らかにされています。今年2022年7~9月期に値上げを予定している企業は4月調査の時点から+10%ポイントも増加しています。食品が多いとの結果です。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果のサマリーを引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 自社の主な商品・サービスについて、2022年4月以降に値上げした/する企業は68.5%と7割近くに達した。2022年6月以降に「値上げした/もしくはする予定」の企業は合計で37.0%となった。また、4月に実施した同様の調査と比べて、「2022年7~9月ごろに値上げ予定」の企業(8.6%→19.9%)は10ポイント超上昇
  2. 業界別でみると、『卸売』や『製造』で値上げが進む一方、『サービス』や『運輸・倉庫』で全体よりも値上げを実施した企業の割合が低かった

ということで、これでほぼほぼすべてが尽くされているような気がしますが、リポートからグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

photo

まず、リポートから 企業の値上げ動向 に関するグラフを引用すると上の通りです。値上げを実施済・予定の企業は68.5%と⅔超に達しています。しかも、今年2022年7~9月期に値上げ予定の企業は、4月調査時点では8.6%でしたが、今回6月調査では19.9%と+10%ポイント超の値上げ見込みとなっています。

photo

続いて、リポートから 2022年4月以降に値上げ実施済・予定企業のうちの主な業種 に関するテーブルを引用すると上の通りです。まあ、軽く想像される範囲かもしれません。また、今回は取り上げませんが、リポートでは、「値上げ実施済み・予定」と回答した企業の声、あるいは、「値上げしたいが、できない」と回答した企業の声などにも注目しています。後者の値上げできない企業の声としては、「値上げはしたいが需要がない」とする貸切バス業者の回答が私の目につきました。

このブログで何度も繰り返しているように、原材料費の値上がりや円安による輸入品価格の上昇は価格転嫁できるような経済状況、すなわち、家計や中小企業などの所得をサポートしつつ、大企業の価格影響力を弱める政策が必要です。特に、下請け企業や納入元の中小企業の値上げを受け入れないような大企業の価格影響力がデフレを長期化させています。かつての消費税率引上げの際に取られたような価格転嫁をスムーズに実施するための監視制度の充実も一案かもしれません。また、大企業に値上げを受け入れてもらえないような中小企業への支援も必要です。

| | コメント (0)

2022年6月17日 (金)

リクルートの考える週休3日制の4つのタイプやいかに?

2か月前の4月4日付けの記事で、リクルートのワークス研のコラムを引用して、週休3日制について取り上げましたが、その続きで、6月15日付けのワークス研のコラム「イントロダクション 週休3日制は、4つのタイプへと進化」を考えたいと思います。

photo

リクルートワークス研のサイトから引用したテーブルは上の通りです。すなわち、以前には、週の労働時間や業務量の総量は変えず、1日の労働時間を長くする A「圧縮労働型」、労働日数や週の労働時間、業務量を削減し、それに給与などを対応させる B「労働日数(時間)・報酬削減型」、労働日数や週の労働時間を削減するが、労働生産性を上げて、アウトプットやクオリティ、業績を維持することで、報酬を維持する C「労働日数(時間)削減・報酬維持型」、の3累計であったのですが、新たに、月または年単位の上限労働時間内で、業務の繁閑に合わせて自律的に稼働を調整する D「フレキシブル労働型」が加わっています。すなわち、雇用者自身が業務の繁閑によって週休何日とするかをフレキシブルに決めるものです。導入企業の行を見て明らかなように、どうもご本体のリクルートがこのDカテゴリーに当てはまるようです。
ということで、ワークス研のサイトにあるテーブル、すなわち、3月28日付けのリポートと今回の6月15日付けのコラムを比較すると、D「フレキシブル労働型」の列が加わっていますが、逆に、給与額の行が削除されています。以前は、A「圧縮労働型」では変わらない、B「労働日数(時間)・報酬削減型」ではその名の通り労働時間に合わせて減少、C「労働日数(時間)削減・報酬維持型」でもその名の通り変わらないが、業績により変動の可能性あり、ということになっていましたが、新たに加えられたDの給与額については特に言及がありません。まあ、労働サービスの提供がフレキシブルであるからには、給与もフレキシブルなのだろうと私は理解しています。そして、どうして、Dを加えたのかといえば、日本企業の事例を見ると、A「圧縮労働型」、B「労働日数(時間)・報酬削減型」、D「フレキシブル労働型」の3つが主流らしい、と言う理由が上げられています。まあ、何と申しましょうかで、マイクロソフトよりも、ご本体のリクルートや日立の方がメジャーと考えるべきなのかもしれません。

いずれにせよ、ゆっくりとした変化なのかもしれませんが、雇用が変化すれば、その上部構造である国民生活や文化や何やも確実に変化します。ひとつは、メンバーシップ型からジョブ型への、おそらく、主として入り口の変化であり、もうひとつはこういったフレキシビリティを高めて、休暇が増える方向です。私が現役でいる間にそういった大きな変化に決着がつくとは思えませんが、先が楽しみです。

| | コメント (0)

2022年6月16日 (木)

10か月連続の赤字を記録した5月の貿易統計をどう見るか?

本日、財務省から5月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列で見て、輸出額が+15.8%増の7兆2521億円、輸入額は何と+48.9%増の9兆6367億円、差引き貿易収支は▲2兆3847億円の赤字となり、10か月連続で貿易赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

貿易赤字2兆3847億円 5月、資源高で過去2番目
財務省が16日発表した5月の貿易統計速報によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2兆3846億円の赤字だった。赤字額は比較可能な1979年以降で2番目に大きく、5月としては最大だった。エネルギー価格の高騰や円安の影響で輸入額は前年同月比48.9%増の9兆6367億円と、3カ月連続で過去最高を更新した。
赤字は10カ月連続。輸入はアラブ首長国連邦(UAE)やオーストラリアからを中心に、原油を含む原粗油と液化天然ガス(LNG)がそれぞれ2.5倍に増えた。石炭は3.7倍となった。原粗油の輸入額は14カ月連続で増加し、数量ベースでも7カ月連続で増えている。
貿易赤字が過去最大となったのは2014年1月の2兆7951億円で、11年の東日本大震災後の原子力発電所停止によりLNGなどの燃料輸入額が膨らんだ。14年4月の消費税率引き上げ前の駆け込み需要をにらんだ輸入も増えていた。
22年5月の輸出額は15.8%増の7兆2520億円だった。鉄鋼が60.2%増、灯油など鉱物性燃料が5倍に増えた。
地域別にみると、対米国の貿易黒字は8.6%減の3278億円で3カ月ぶりに減少した。輸入が24.2%増の9268億円となり、液化石油ガスが79.3%増、航空機向けを含む原動機が58.5%増えた。自動車の輸出は15.6%減と落ち込んだ。新型コロナウイルスや世界的な半導体不足が響いている。
中国向けの自動車輸出も36.3%減った。中国との貿易収支は6077億円の赤字で、14カ月連続の赤字となった。スマートフォンを含む通信機の輸入が25.7%増、集積回路などの半導体等電子部品の輸入が54.9%増となり、赤字を拡大させる要因となった。
対ロシアの貿易収支は1469億円の赤字で、赤字額は2.7倍に膨らんだ。ウクライナ侵攻による物流網の混乱や日本政府の輸出禁止措置を背景に、輸出は57.1%減の263億円だった。一方、輸入はエネルギー価格の高騰で49.8%増の1732億円だった。原粗油と石炭はそれぞれ数量ベースで34.9%減、43.2%減となったが、価格高騰により輸入額としては31%増、2.2倍への増加となった。

やや長くなりましたが、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

photo

まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、▲兆円を超える貿易赤字が見込まれていて、予想レンジで貿易赤字が最も大きいケースで▲2.5兆円でしたので、実績の▲2兆3847億円の貿易赤字はやや下振れた印象ながら、まあ、こんなもんという受止めかもしれません。季節調整していない原系列の統計で見て、貿易赤字は昨年2021年8月から今年2022年5月までの10か月連続なんですが、上のグラフに見られるように、季節調整済みの系列の貿易赤字は昨年2021年4月から始まっていて、従って、1年を超えて14か月連続となります。しかも、貿易赤字学がだんだんと拡大しているのが見て取れます。輸出額もそこそこ伸びているのですが、輸入が輸出を上回って拡大しているのが貿易赤字の原因です。もっとも、私の主張は従来から変わりなく、エネルギーや資源価格の上昇に伴う輸入額の増加に起因する貿易赤字なのですが、輸入は国内生産や消費などのために必要なだけ輸入すればよく、貿易赤字や経常赤字は悲観する必要はない、と考えています。
5月の貿易統計を品目別に少し詳しく見ると、すべて季節調整していない原系列の統計の前年同月比で、輸出では自動車の輸出が金額ベースで▲7.9%減、台数ベースでも▲16.6%の大きな減少を示しています。その昔の1970年代の石油危機で石油価格が大きく上昇した際には、燃費のいい日本車が販売を大きく伸ばしており、足元でも同じように石油価格が上昇しているのですが、物流と部品供給の制約のために自動車輸出は明らかに停滞しています。ほかに金額ベースと数量ベースが比較できるもののうち、我が国の主力輸出品となっているものを見ると、半導体等電子部品のうちのICは金額ベースでは+25.8%増と大きく伸びましたが、数量ベースでは▲5.5%減となっていますし、電算機類(含周辺機器)も金額ベースで+1.0%増ながら、数量ベースでは▲32.7%減を記録しています。ほかにも、金額ベースでは伸びている一方で、数量ベースでは減少している輸出品が少なくありません。もちろん、金額ベースで増加しているのは為替の円安などの価格要因と考えるべきです。輸入では、まず、国際商品市況での石油価格の上昇から原油及び粗油の輸入額が大きく増加しています。これも前年同月比で見て数量ベースで+26.7%増が金額ベースで+147.2%増と大きく水増しされます。昨年5月から金額ベースで2.5倍の増加となっているわけです。液化天然ガス(LNG)も数量ベースでは+16.3%増であるにもかかわらず、金額ベースでは+154.7%増と、原油及び粗油と同様です。加えて、ワクチンを含む医薬品も増加しています。すなわち、前年同月比で見て数量ベースで+15.4%増を記録しています。でも、当然ながら、貿易赤字を抑制するために、ワクチン輸入を制限しようという意見は極めて少数派ではないかと考えられます。

足元の円安について、その昔のJカーブ効果を持ち出せば、タイムラグ少なく輸入価格を上昇させ輸入額を押し上げる一方で、輸出の価格競争力を高めて輸出増をもたらすのにはタイムラグがある程度あります。ただ、このタイムラグの差は最近では大きくない可能性も考慮しておかねばなりません。また別の面で、エネルギー価格高騰を受けて、日経新聞が「石油元売り、資源高で純利益最高に 22年3月」、あるいは、「7商社、資源高で最終最高益 三菱商事が22年3月期首位に」などと報じているように、石油元売り各社や総合商社などのエネルギー関連企業が大きな利益を上げている点は見逃すべきではありません。

| | コメント (0)

より以前の記事一覧