2017年5月24日 (水)

リクルートジョブズの派遣スタッフ時給は下げ止まったか?

明週火曜日に失業率や有効求人倍率などの雇用統計が公表される予定となっていますが、先月も取り上げているリクルートジョブズの非正規雇用の時給調査、すなわち、アルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の4月の調査結果が明らかにされています。リンク先は以下の通りです。

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ということで、アルバイト・パート及び派遣スタッフそれぞれの募集時平均時給の推移は上のグラフの通りです。前者のアルバイト・パート順調に賃上げがなされているんですが、派遣スタッフについては3月統計ではとうとう前年同月比で▲2%を超えるマイナスを記録した後、直近の4月統計では▲0.4%減までマイナス幅を一気に縮小しています。実は、同じ業界の「エン派遣 三大都市圏の募集時平均時給レポート」でも4月の派遣スタッフ時給は昨年2016年10月から7か月連続でマイナスを記録したものの、3月の▲2.1%減から4月は▲1.7%減と、極めてわずかながらマイナス幅を縮小させており、いずれの調査でも派遣スタッフ時給は下げ止まった可能性が示唆されていると私は受け止めています。
両社でビミョーに職種の分類が異なるので何ともいえないんですが、エン・ジャパンのデータでは2015年年央くらいから2年近く医療・介護系の派遣スタッフ時給がマイナスを続けており、リクルートジョブズでも医療介護・教育系は必ずしも上昇圧力が感じられません。もっとも人手不足していそうな業界なんですが、同時に、もっとも規制の強い分野でもあり、政府の規制により賃金が上昇していない可能性も否定できません。民間企業に賃上げを促すのも重要ですが、もしも、政府の規制によって医療・介護分野で賃上げが抑制されているのであれば、民間企業に圧力をかけることとは別にやるべきことがあるような気もします。

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2017年5月23日 (火)

東京商工リサーチによる「労働基準関係法令の違反企業332社」企業実態調査の結果やいかに?

やや旧聞に属する話題ですが、5月17日に東京商工リサーチから「労働基準関係法令の違反企業332社」企業実態調査の結果が明らかにされています。昨今、就職戦線では売り手市場が続く中で、いわゆる「ブラック企業」に関する注目が高まっており、労働基準関係法令の違反企業がそのまま「ブラック企業」であると主張するつもりはありませんが、例の電通新入社員自殺事件も含めて、政府の働き方改革が進められているところ、図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。なお、基となるデータは厚生労働省から公表されている以下の文書です。pdfファイルを開けば300社余りの企業の実名がズラリと並んでいます。ページ番号は振っていないんですが、電通はp.15の東京労働局の4番目に出現します。

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ということで、上のテーブルは東京商工リサーチのサイトから 労働基準関係法令違反 一覧公表企業 産業別 を引用しています。まず、テーブルに入る前に、公表された334件のうち、違反した労働基準関係法令の内訳は、労働安全衛生法違反が211件59.1%に上っており、建設作業現場や製造現場などでの安全管理義務を怠ったことで事故が発生したケースが中心になっています。次いで、違法な長時間労働などの労働基準法違反が63件17.6%、賃金未払いや最低賃金を遵守しない最低賃金法違反が62件17.3%と続いています。上のテーブルから明らかな通り、産業別で最多は建設業で115社34.6%、次いで、製造業の76社22.8%、サービス業他68社20.4%の3産業が突出し、この3産業で全体の約8割を占めています。もっとも、全体の企業数なり何なりでスケーリングする必要があるのかもしれませんが、そのあたりは不明です。なお、建設業と製造業の合計191社では、労働安全衛生法違反が156社81.6%と8割に達しています。

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次に、上のグラフは東京商工リサーチのサイトから 労働基準法違反63社 産業別内訳 を引用しています。先ほどのテーブルが危険に関するものでしたが、上の円グラフは社会問題化している時間外労働の割増賃金未払いや36協定無視など、長時間労働に関する労働基準法違反の63社の産業別内訳です。製造業は引き続き2番目にランクインしてしまっていますが、この労働基準法違反では最多がサービス業他26社41.2%で4割を超えています。例の電通もこの中に含まれています。そして、製造業に次いで運輸業が12社19.1%と3番目に入っています。私はそれほどフォローしていませんが、ヤマト運輸の未払残業代はどうなったんでしょうか?

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最後に、上のグラフは東京商工リサーチのサイトから 労働基準関係法令違反 一覧公表企業 売上高別 を引用しています。公表332社のうち、売上高が判明した244社を売上高で見ると、1~5億円未満が77社31.5%ともっとも多く、次いで、1億円未満が58社23.7%、10~50億円未満が43社17.6%と続いています。売上高100億円以上も21社8.6%となっています。パナソニックの富山工場や日本郵便の新大阪郵便局も実名公表されています。ただ、売上高10億円未満の企業が約7割を占め、業績悪化や資金力の乏しさが労働基準関係法令の違反に直接、間接につながった可能性も示唆されていると、東京商工リサーチでは分析しています。

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2017年5月22日 (月)

輸出入ともに順調に拡大する貿易統計をどう見るか?

本日、財務省から4月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+7.5%増の6兆3292億円、輸入額は+15.1%増の5兆8474億円、差引き貿易収支は+4817億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の貿易収支、3カ月連続黒字 4817億円 半導体関連など好調
財務省が22日発表した4月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は4817億円の黒字だった。貿易黒字は3カ月連続。QUICKがまとめた市場予想の中央値は5153億円の黒字だった。アジア向けの製造装置や部品など半導体関連を中心に輸出が引き続き伸びた。前年と比べた資源価格の回復などを背景に輸入も増加し、差し引きでの黒字額は縮小した。
輸出額は前年同月比7.5%増の6兆3292億円と5カ月連続で増加した。4月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=110.92円と前年同月に比べ小幅な円高で、輸出への悪影響があったものの、海外景気の改善を背景にした輸出数量の伸びなどが寄与した。財務省は「前年同月は熊本地震が発生したことから、反動増が出ている可能性もある」とみている。前月(12.0%)に比べると伸び率は鈍化した。
半導体などの製造装置が韓国向けIC製造用をはじめ好調だったほか、中国向けの鉄鋼の伸びも目立った。地域別では中国向け輸出が14.8%増となった。対米国も2.6%増、対欧州連合(EU)は2.2%増となりともに前年同月を上回った。
輸入額は15.1%増の5兆8474億円だった。資源価格の回復に伴い、サウジアラビアからの原油・粗油、オーストラリアからの石炭などが増加した。原粗油の輸入は数量ベースでも10.8%増と4カ月ぶりに増えた。中東情勢が不透明性を増す中でエネルギーの調達先を多様化する動きもあるといい、米国からの液化石油ガスの輸入も大幅に増加した。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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貿易指数の前年同月比で見て、輸出入ともに昨年2016年10月以降は、中華圏の春節効果でマイナスに振れた時期を除いて、ほぼ数量ベースで前年同月比を上回って推移しています。世界経済の順調な回復・拡大とともに、我が国経済も緩やかながら回復・拡大を継続していることが貿易統計から見て取ることができると私は受け止めています。この間、引用した記事にもある通り、やや為替が円高に振れたこともあって、輸出数量の伸びは前年同月比で見て、2月+8.3%増、3月+6.6%増から4月は+4.1%増とプラス幅が縮小している一方で、輸入数量はコンスタントに+4~6%増を記録しています。基本的には、世界経済は我が国を含む先進国も、新興国も、途上国も、ほぼ回復ないし拡大の局面にあり、季節調整していない原数値なんですが、輸出数量指数と輸入数量指数の両方が、米国向け、欧州(EU)向け、中国を含むアジア向けのすべてで4月統計では前年同月比でプラスを示しています。ただ、上のグラフのうち下のパネルの季節調整済みの系列の輸出額が3月4月と2か月連続で減少を示していますが、2月の中華圏の春節効果による輸出の激増がもたらしたイレギュラーな結果であり、3-4月とも昨年12月や今年の1月を上回っていますので、私はそれほど懸念していません。むしろ、国際商品市況における石油価格の上昇に伴って、季節調整していない原系列の輸入について、3-4月は価格指数が前年同月比でほぼ+10%ほど上昇し、金額指数でも両月とも約+15%の上昇を示しており、貿易収支の黒字がやや減少気味となっています。私はそれほど気にしていないんですが、石油価格の上昇とともに貿易収支が赤字に舞い戻る可能性が高まっているのも事実です。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。輸出額はハッキリと回復ないし拡大を示しており、その背景はOECD先行指数に見られる海外経済の回復による我が国輸出への需要拡大です。先進国も中国もいずれも景気は回復しており、我が国からの輸出も拡大の方向にあります。たっだ、何度も繰り返していますが、不透明な要因は米国のトランプ政権の通商政策、というか、通商政策をはじめとするそもそもの政策遂行能力です。それから、次々と出て来る北朝鮮のミサイル発射が通商にどういった影響を及ぼすのかは、エコノミストにはまったく予測不能です。

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2017年5月19日 (金)

三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる「新入社員意識調査アンケート結果」やいかに?

とても旧聞に属する話題かもしれませんが、例年通り、三菱UFJリサーチ&コンサルティングから「新入社員意識調査アンケート結果」が5月9日に明らかにされています。一定時間は仕事から離れてオフを過ごしたいという意味で、「自分ファースト」志向が高まるとともに、理想の上司は「寛容型」との結果が出ているようです。まず、リポートから【アンケート調査結果の概要】を4点だけ短く引用すると以下の通りです。

【アンケート調査結果の概要】
  • 一定時間は仕事から離れてオフを過ごしたい。「自分ファースト」志向が高まる。
  • 理想の上司は「寛容型」。
  • 今の日本は「曇り」。10年後についても悲観的な見方が広がる。
  • 女性は自身が出世する姿を具体的にイメージしにくい傾向がある。

ということで、例年の定点観測で、東京、名古屋、大阪において新入社員を対象としたセミナーを開催し、受講者に対してアンケートを実施した結果を取りまとめています。リポートからいくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、リポート p.4 から 今の会社を選んだ基準 の問いに対する回答を引用すると上のグラフの通りです。雰囲気、やりがい、安定がトップスリーです。男女の性差でビミョーに違いがあり、男性はやりがいや安定を、女性は距離感を重視している傾向が少しだけ見受けられます。なお、グラフは引用しませんが、就活でブラック企業かどうかを意識した比率は昨年よりもジワリと高まっているようです。

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次に、リポート p.7 から 会社に望むこと のうちのいくつかのポイントについて、2004年以降の時系列をプロットした折れ線グラフを一挙に3枚引用すると上の通りです。見れば明らかなんですが、能力の発揮・向上はまだまだ高い水準ながら傾向的に低下を示しており、給料アップがほぼ安定しているのに対して、労働時間や私生活への不干渉などがまだ比率は低いものの一貫して増加の傾向にあります。理由や動機はすっかり忘れましたが、私はバブル末期にメガバンクの運動会で週末を潰された記憶があり、確かに時代背景もあって豪華絢爛な運動会だったんですが、ああいった社を上げてのイベントはもう流行らないんだろうという気がします。

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次に、リポート p.12 から 就労意識 、すなわち、転職したいか、定年まで働きたいか、ついて、2004年以降の時系列をプロットしたグラフを引用すると上の通りです。米国のサブプライム・バブル崩壊後は安定志向が強まって定年まで働きたいとの就労意識がと読まったように見えますが、2012年末の安倍内閣の成立とアベノミクスによる現在の景気拡大局面の継続で、再び転職志向が強まっているような印象です。

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最後に、リポート p.17 から 残業に対する考え方 、すなわち、残業かお給料かの二者択一について、これも2004年以降の時系列をプロットしたグラフを引用すると上の通りです。コチラは米国のサブプライム・バブル崩壊とは関係なく、傾向的にお給料アップよりも残業をなくす方向が選好されて来たんですが、今年の新入社員は反転の兆しを見せています。今年の新入社員だけの特徴なのか、今後のトレンドを示唆しているのか、現時点では何ともいえませんが、定点観測として少し注目しています。また、最初に引用した【アンケート調査結果の概要】の3点目で、10年後の日本経済に関する悲観的な見方が広がっている、とありますが、私のような経験豊かなエコノミストでも10年後の経済なんて判りはしませんから、新入社員の意識で論じても仕方ないような気がします。いかがでしょうか?

最後の最後に、生産性本部でも毎年新入社員の意識調査を実施しており、今年の新入社員のタイプは「キャラクター捕獲ゲーム型」だそうです。Pokémon GO を強く意識したネーミングとなっています。昨年はドローンだった記憶があり、世間動向を意識しているだけなのか、それとも、新入社員がホントにそのタイプなのかどうかは疑問が残り、私のこのブログでは適当に既読スルーしているのが実情です。

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2017年5月18日 (木)

1~3月期のGDP統計速報1次QEは潜在成長率を超えて年率+2.2%の高成長を記録!

本日、内閣府から1~3月期のGDP統計1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.5%、年率では+2.2%を記録しました。潜在成長率をかなり超えて、なかなかの高成長といえます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1~3月期GDP、年率2.2%増 個人消費がけん引
内閣府が18日発表した2017年1~3月期の国内総生産(GDO)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.5%増、年率換算では2.2%増だった。プラスは5四半期連続。個人消費が持ち直し、輸出も伸びた。
QUICKがまとめた民間予測の中央値は前期比0.4%増で年率では1.8%増だった。
生活実感に近い名目GDP成長率は前期比0.0%減、年率では0.1%減だった。名目は5四半期ぶりにマイナスだった。
実質GDPの内訳は、内需が0.4%分の押し上げ効果、外需の寄与度は0.1%分のプラスだった。項目別にみると、個人消費が0.4%増と、5四半期連続でプラスだった。生鮮野菜の価格高騰が一服し、消費者心理が改善した。
輸出は2.1%増、輸入は1.4%増だった。アジア向けを中心に需要が堅調で輸出が拡大した。国内需要が伸び、輸入量が増加した。
設備投資は0.2%増と、2四半期連続でプラスだった。生産活動が回復し、設備投資需要が高まった。住宅投資は0.7%増。公共投資は0.1%減。民間在庫の寄与度は0.1%のプラスだった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてマイナス0.8%だった。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.1%のプラスだった。
同時に発表した16年度のGDPは実質で前年度比1.3%増と、2年連続のプラス成長となった。生活実感に近い名目では同1.2%増となり、5年連続のプラス成長となった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2016/1~32016/4~62016/7~92016/10~122017/1~3
国内総生産GDP+0.6+0.4+0.2+0.3+0.5
民間消費+0.3+0.2+0.4+0.0+0.4
民間住宅+1.1+3.1+2.7+0.4+0.7
民間設備+0.1+1.3▲0.2+1.9+0.2
民間在庫 *(▲0.3)(+0.3)(▲0.4)(▲0.2)(+0.1)
公的需要+1.1▲0.8▲0.1▲0.5+0.1
内需寄与度 *(+0.2)(+0.5)(▲0.1)(▲0.0)(+0.4)
外需寄与度 *(+0.4)(▲0.1)(+0.4)(+0.4)(+0.1)
輸出+0.5▲1.4+1.9+3.4+2.1
輸入▲2.0▲1.1▲0.2+1.3+1.4
国内総所得 (GDI)+1.3+0.6+0.1+0.0▲0.0
国民総所得 (GNI)+0.9+0.3▲0.0▲0.1+0.2
名目GDP+0.9+0.2+0.1+0.4▲0.0
雇用者報酬 (実質)+1.6+0.1+0.7▲0.3▲0.1
GDPデフレータ+0.9+0.4▲0.1▲0.0▲0.8
内需デフレータ▲0.3▲0.7▲0.8▲0.3+0.1

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された1~3月期の最新データでは、前期比成長率が5四半期連続でプラスを示し、特に大きいものではありませんが、赤の消費と黒の外需がプラス寄与しているのが見て取れます。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前期比+0.4%増の年率+1.8%増でしたから、ほぼジャストミートしたことになります。しかも、5四半期連続のプラス成長ですから、2015年中が少し低空飛行したのと比べれば、順調な回復・拡大との印象を受けます。1~3月期については、消費と輸出が成長を牽引しています。消費については天候不順による『生鮮野菜の価格高騰などの生活に密着した商品の物価高をようやく脱し、マインドが改善しているのが要因と受け止めています。ただ、下のグラフに雇用者所得のグラフを掲げましたが、1~3月期はデフレを脱却してプラスの物価上昇率を記録し始めていますので、実質所得が伸び悩み始めています。ですから、4~6月期においてはベアを伴う賃上げや、さらに、恒常所得ではないと見なされる場合が多いものの、夏季ボーナスなどの所得増が実現できるかどうか、が重要になるような気がします。マインドだけで消費を支えるのはサステイナブルではありません。もうひとつの牽引役である輸出については、経済要因としては大きな懸念はありません。日銀の異次元緩和の下で為替が円高に振れることはありませんし、海外経済が先進国と中国をはじめとする新興国の足並みそろって回復ないし拡大に向かっていますので、我が国からの輸出も順調に伸びると見込まれます。ただ、エコノミストには理解できないような経済外要因は不安が残ります。ひとつは北朝鮮の動向であり、エコノミストの予想を軽く超える可能性が高いと考えられます。もうひとつはトランプ政権下での米国の通商政策の動向が不透明です。ロシアゲートをチラチラと見ている限り、まともな政策運営が期待できかねる可能性すらあり、現在の米国政権の通商政策がどちらに向かうかはまったく不透明で、直接に、あるいは、為替相場における円高を通じて間接に、我が国の輸出に何らかの影響を及ぼす可能性もなしとしません。

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最後に、上のグラフは実質の雇用者所得を年率換算でプロットしています。このブログでも何度か主張した通り、消費は所得とマインドなんですが、最近時点ではマインドを反映する貯蓄率は順調に低下している一方で、実質雇用者所得が上のグラフの通りやや伸び悩んでいます。特に、1~3月期については消費者物価(CPI)が上昇に転じましたので、この先、名目ではなく実質で所得がさらに伸び悩む可能性が懸念されます。家電エコポイントや消費増税などの政策効果で耐久消費財の買い替えサイクルが大きく歪められたんですが、ようやく今年あたりから白物家電の買い替えサイクルが到来したとの見方が出始めています。短期的にはマインドで消費が拡大することは十分あり、それが景気の起爆剤になるケースも少なくありませんが、消費がさらに拡大を継続するためには所得の裏付けが必要です。

最後の最後に、GDPデフレータが前年同期比▲0.8%とマイナス幅を拡大し、1~3月期から消費者物価(CPI)が上昇に転じたのと逆の動きを示しています。基本的には、国際商品市況における石油価格の上昇などで控除項目の輸入デフレータが上昇しているためであると私は認識しています。国内需要デフレータはCPI上昇率に歩調を合わせて1~3月期からプラスに転じており、デフレ脱却の方向はCPIとGDPデフレータで整合的と考えるべきです。

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2017年5月17日 (水)

力強さに欠ける機械受注をどう見るか?

本日、内閣府から3月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て、前月比+1.4%増の8623億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

3月の機械受注1.4%増 4~4月見通しは5.9%減 製造業さえない
内閣府が17日発表した3月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶、電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比1.4%増の8623億円だった。増加は2カ月連続。製造業でコンピューターなど電子機器の受注が増えた。ただ、QUICKが事前にまとめた金融機関など民間の調査機関の予測中央値である2.5%増には届かなかった。内閣府は機械受注の基調判断について「持ち直しの動きに足踏みがみられる」で据え置いた。
1~3月期では前期比1.4%減少した。同時に発表した4~6月期の見通しは5.9%減で、2四半期連続での減少を見込む。非製造業の9.6%減が響く。小売りや金融での需要が落ち込む見通し。製造業も1.1%減の予想。市場では「米国の通商政策に不透明感が残る間は、企業は設備投資に慎重にならざるを得ない」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)との見方があった。
3月の受注額は、製造業が0.6%増の3529億円だった。増加は2カ月連続だが、伸び率は前月の6.0%から減速した。非製造業の受注額は3.9%減の4964億円と4カ月ぶりの減少。廃棄物処理関連の原子力原動機の受注が減ったことが影響した。前年同月比での「船舶、電力を除く民需」受注額(原数値)は0.7%減だった。
2016年度の受注額は前年度比0.5%増の10兆2314億円で、2007年度以来9年ぶりの水準を回復した。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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上のグラフを見ても、2013年のアベノミクス以降はジワジワとコア機械受注は増加の傾向にあることは確かですが、ジグザグと増減を繰り返しており、これだけの人手不足の要素市場にあって、省力化などの必要性が考えられるにもかかわらず、設備投資が盛り上がらないのも不思議な気がします。今年に入って、月次のコア機械受注は1月に前月比で▲3.2%の減少から始まり。2月+1.5%増、今日公表の3月も+1.4%増と小幅の増加が続いたものの、1~3月期でならしてみれば▲1.4%減を記録し、4~6月期の見通しも▲5.9%減と2四半期連続での減少が見込まれています。3か月前の調査では、1~3月期は前期比で+1.5%増が見込まれていましたが、結局、下振れて終わりましたし、4~6月期についてはそもそも見通しがかなり大きな減少となっています。
機械受注やその川下の設備投資については、現在の生産・出荷や輸出などの指標を見る限り、また、労働市場の人手不足とも考え合せて、緩やかな増加が見込まれると私は考えて来ましたが、北朝鮮をはじめとする北東アジアの地政学的なリスク、さらに、TPPからの離脱をはじめとする各種の大統領令を連発する米国トランプ政権の通商政策、というか、もっといえば、現在の「ロシアゲート」と呼ばれるような大統領としての政策遂行能力への疑問、などなど、経済外的な要因により下押し圧力がかかっている可能性は否定できません。なお、米国通商政策がクローズアップされることが多いんですが、例えば、今年2017年1~3月期に限ってみれば、コア機械受注のうち、製造業▲4.2%減、非製造業+0.0%の横ばいでしたので、そう見えなくもないんですが、4~6月期の見通しに目を転ずると、製造業▲1.1%減、非製造業▲9.6%減ですから、それだけでもない気がします。人手不足で賃金が上昇しない点とともに、私の目から見てややパズルです。

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2017年5月16日 (火)

明後日公表予定の1-3月期GDP統計1次QEは高成長か?

4月中にほぼ必要な統計が出そろい、明後日の5月18日に1~3月期GDP速報1次QEが内閣府より公表される予定ですが、すでに、シンクタンクや金融機関などから1次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の4~6月期以降を重視して拾おうとしています。明示的に取り上げているシンクタンクは、下のテーブルの上から5機関、すなわち、日本総研、大和総研、みずほ総研、ニッセイ基礎研、第一生命経済研となっています。その下の4機関には先行きはありません。いずれにせよ、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+0.4%
(+1.8%)
4~6月期を展望すると、トランプ米大統領の政策運営や北朝鮮情勢など海外の政治・経済動向は不透明感が強く、マーケットの変動などが景気を下押しするリスクはあるものの、①輸出の増加や在庫調整の進展を受けた製造業の生産活動の持ち直しや、②2016年度第2次補正予算の執行に伴う公共投資の増加、などが引き続き景気を下支えすることで、景気回復基調が続く見込み。
大和総研+0.4%
(+1.7%)
先行きの日本経済は、基調として足下の緩やかな拡大が継続するとみている。個人消費を中心とした内需は一進一退ながら堅調な推移が続くと同時に、世界経済の回復を背景とした外需の拡大が日本経済の成長を支えるだろう。ただし、米国の通商政策や地政学的リスクの高まりなど、外需の下振れリスクには警戒が必要である。
みずほ総研+0.4%
(+1.5%)
2017年度の日本経済について展望すると、海外経済の回復が、引き続き輸出や設備投資の回復につながるだろう。五輪関連や都市再開発関連の案件が進捗すること、人手不足の深刻化を背景に省力化・効率化投資の積み増しが見込まれることも、設備投資の押し上げ要因になるとみられる。他方、個人消費については、耐久消費財が持ち直していること、株高などを背景に消費者マインドが改善していることがプラスに働くものの、年度半ばにかけて見込まれるエネルギー価格の上昇が下押し要因となるだろう。
ニッセイ基礎研+0.4%
(+1.4%)
日本経済は1年以上にわたって潜在成長率を上回る成長を続けている。内容的にも2016年後半は外需中心の成長だったが、2017年1-3月期は民間消費が高めの伸びとなったことから内需の伸びが高まり、内外需のバランスが取れた成長となった。先行きについても、海外経済の回復を背景に輸出の増加が続くことに加え、企業収益の改善に伴う設備投資の持ち直しが見込めることなどから、景気は堅調な推移が続くことが予想される。ただし、名目賃金が伸び悩んでいるため、物価上昇に伴う実質所得の低下が消費を下押しするリスクには注意が必要だろう。
第一生命経済研+0.4%
(+1.8%)
先行きについても、輸出の増加が続く可能性が高いことに加え、景気対策効果の顕在化によって公共投資も増加が予想される。1-3月期に足踏みとなった設備投資についても、企業収益の持ち直しや景況感の回復を受けて増加が期待できる。今後も着実な景気回復が続く可能性が高いだろう。
伊藤忠経済研+0.4%
(+1.6%)
10~12月期(前期比+0.3%、年率+1.2%)から成長ペースはやや加速したことになるが、国内民間需要は個人消費が横這い、設備投資は小幅増加にとどまる中で住宅投資の落ち込みにより前期比+0.1%の微増、純輸出(輸出-輸入)が成長率を+0.2%Pt押し上げており、輸出頼みの緩やかな成長という姿は変わらないことになる。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所+0.5%
(+2.1%)
1-3月期の実質GDP成長率を前期比年率2.1%と予想する。昨年4-6月期(同2.2%)以来3四半期ぶりに、年率で2%台の成長率に復帰する見通しである。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.5%
(+2.1%)
2017年1~3月期の実質GDP成長率は、前期比+0.5%(年率換算+2.1%)と5四半期連続でプラスとなったと見込まれる。景気が持ち直していることを確認する結果となるだろう。
三菱総研+0.4%
(+1.6%)
2017年1-3月期の実質GDPは、季節調整済前期比+0.4%(年率+1.6%)と5四半期連続のプラス成長を予測する。好調な輸出に加え、消費も底堅く推移しており、内外需バランスのとれた成長となろう。

ということで、季節調整済み系列の前期比年率で+1%台後半から2%くらいの成長率予想が主流となっています。潜在成長率に比較してかなり高めの成長であり、中でも、政策効果で大きな歪みを生じていた耐久消費財の買い替えサイクルが始まったと見なされている消費について、ようやく回復の兆しが見えているのが明るい材料と考えています。ただ、企業部門の設備投資は、上のテーブルの中では伊藤忠商事経済研を除いて、まだほぼすべての機関でマイナス予想となっており、6月1日公表予定の法人企業統計を見たい気もしますが、我が国企業部門の力量低下が著しく表れているような気もします。外需についてもプラス寄与は続いていますが、その幅はかなり縮小して、外需主導から消費主導の成長の姿が示されるとの予想が中心です。上のテーブルのヘッドラインで取り上げようと試みた先行きについても順調な景気の回復・拡大を予想する向きが多く、特に、企業収益の面から設備投資の拡大も見込んでいる機関が少なくありません。ただ、わけの判らない地政学的リスクの発生、北朝鮮のミサイル発射とか、あるいは、経済合理的でない米国の通商政策の方向性とか、そういったリスクがどこまで顕在化するかどうか、エコノミストには理解不能な部分もあったりします。
最後に、下のグラフはニッセイ基礎研のリポートから引用しています。

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2017年5月15日 (月)

3年振りに+2%超を記録した企業物価(PPI)上昇率は日銀の物価目標と整合的か?

本日、日銀から4月の企業物価 (PPI)が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+2.1%を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の企業物価指数、前年比2.1%上昇 3年3カ月ぶりの上昇率
日銀が15日に発表した4月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は98.4で、前年同月比で2.1%上昇した。前年比での上昇は4カ月連続で、上昇率は前月(1.4%)から拡大した。上昇率は消費増税の影響を除くと2014年1月(2.5%)以来3年3カ月ぶりの大きさだ。市況上昇を背景に鉄鋼価格に値上がりが目立ったほか、原油先物相場の上昇を受けガソリンや軽油も値上がりした。ただ最近はガソリン価格などが伸び悩んでおり、前月比では0.2%の上昇にとどまった。
円ベースの輸出物価は前年比で3.0%上昇したが、前月比では1.9%下げた。輸入物価も前年比で10.9%上昇する一方、前月比では2.2%下げた。原油価格の下落や前月比での円高・ドル安進行が響いた。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの価格動向を示す。公表している746品目のうち前年比で上昇したのは315品目、下落は331品目だった。上昇と下落の品目差は16品目で、2月の確報値(106品目)から大幅に縮小した。
日銀の調査統計局は「中国の需要動向や地政学リスクの為替相場や国際市況への影響をより慎重にみていく必要がある」との見方を示した。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルから順に、国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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少し前から4月の価格改定期を着目していたんですが、予想通り、というか、何というか、割と素直に価格改定が進んだ印象があります。ヤマト運輸の価格改定にも注目ですが、運輸サービスは今日発表の企業物価(PPI)の外数です。今年に入ってPPIの前年同月比上昇率がヘッドラインの国内物価だけでなく、円建てで見た輸出物価・輸入物価ともにプラスに転じ、特に、国内物価上昇率は1月+0.5%、2月+1.1%、3月+1.4%から4月+2.1%とかなり急激な勢いで上昇率が加速して来ており、しかも、4月のPPIの前年同月比上昇率で大きな上昇を示した品目は石油・石炭製品+23.8%と鉄鋼+10.3%と非鉄金属+8.9%などなんですが、エネルギーはもちろんのこと、鉄鋼や非鉄金属などの基礎的な素材製品の値上がりが大きいわけで、これから先、いわゆる川下製品への波及が見込まれます。従って、5-6月くらいまでは少なくとも+2%超の物価上昇率水準が続くんではないかと私は考えています。ただ、一本調子で上昇率が加速するわけでもないでしょうし、少し前までの円高に振れた為替の影響も出ることも考えられ、人手不足の影響を受けやすいサービス物価(SPPI)はともかく、エネルギー価格の影響を受けやすいPPI上昇率については、年央くらいまでには上昇率の加速も止まる可能性が高い、と私は受け止めています。でも、+2%前後の上昇率はキープしそうな勢いです。消費者物価(CPI)に波及し、日銀のインフレ目標と整合的な動きに向かう可能性が十分あることを指摘しておきたいと思います。

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2017年5月12日 (金)

マクロミル・ホノテによる今夏のボーナス調査の結果やいかに?

今週月曜日5月9日にマクロミル・ホノテから「2017年夏のボーナス調査」の結果が明らかにされています。
とても少ないサンプルながら、ボーナス受給予定者の平均見込み額は507,265円などと、かなり有効数字の桁数に疑問のある結果も出ていたりします。まず、マクロミル・ホノテのサイトから調査結果のTOPICSを3点だけ引用すると以下の通りです。

TOPICS
  • 2017年夏のボーナス、"受給予定"は83%、2割弱は"受給なし"
  • ボーナスの見込み額は、平均507,265円、"金融・保険業"が最高の693,939円
  • "受給なし"の理由は、「支給制度がない」54%が最多

繰り返しになるものの、どこまでの信頼性が確保されているかは疑問なしとしませんが、いくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、調査対象は民間企業に勤務する正社員となっています。この調査対象者に、この夏のボーナスの支給についてたずねると、支給される予定は83%、支給されない予定は17%という実態が示されています。ただし、非正規も含めると支給割合は下がるんではなかろうかと私は想像しています。さらに、マクロミル・ホノテのサイトからグラフを引用すると、上のグラフは 2017年夏のボーナス 会社員の受給予想 <従業員規模別> となっていて、大雑把に、会社の従業員規模が大きくなるにつれ、受給予想が高まる傾向が読み取れます。また、下のグラフは 会社員のボーナス受給額予想 平均見込み額 であり、回答者はボーナスを受給予定の人だけです。支給見込みの平均額は507,265円であり、業種別に見てもっとも高いのは金融・保険業で693,939円、一方もっとも低いのはサービス業で351,258円となっています。こういったボーナス支給で消費がもう少し喚起されるといいんですが、果たしてどうなりますことやら。

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2017年5月11日 (木)

上向いた景気ウォッチャーとリーマン・ショック以前の水準に回帰した経常収支!

本日、内閣府から4月の景気ウォッチャーが、また、財務省から3月の経常収支が、それぞれ公表されています。、景気ウォッチャーは季節調整済みの系列で見て、現状判断DIは前月比+0.7ポイント上昇の48.1を、また、先行き判断DIも前月比+0.7ポイント上昇の48.8を、それぞれ記録し、経常収支は季節調整していない原系列の統計で2兆9077億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の街角景気、現状判断指数は5カ月ぶり改善 家計悪化に歯止め
内閣府が11日発表した4月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は前の月に比べ0.7ポイント上昇の48.1だった。改善は5カ月ぶり。雇用動向の改善や、客足が復調した飲食関連が寄与し、家計動向の悪化に歯止めがかかった。ただ、人手不足で機会損失などへの懸念は続き、サービス関連はほぼ横ばい。企業動向も伸び悩んだ。
部門別にみると、雇用動向は1.4ポイント上昇の54.8と、4カ月ぶりに改善した。家計動向のうち飲食関連では人手不足を受けて賃金などコスト増が続いたが、客足の回復で懸念が和らいだ。ただ、家計動向は0.7ポイント、企業動向は0.3ポイントといずれも小幅な改善にとどまった。
街角では雇用動向について「製造業を中心に、求人数は増加傾向にある」(北関東の職業安定所)との声がある。家計動向のうち飲食関連では「4月の来店客数が前年比103%を超えている」(近畿のレストラン)、一方で「今年は極端に歓送迎会が少なく非常に危惧する事態となっている」(中国のスナック)と強弱が入り交じった。企業動向でも「積極的な設備投資、新製品開発、既存品のバージョンアップが顕著」(東北の電気機械機具製造業)との見方と「受注が落ち着いてきている。年度初めで顧客も動きにくそうだ」(近畿の建設業)との慎重な見方が混在した。
2~ 3カ月後を占う先行き判断指数は、前の月から0.7ポイント上昇し48.8となった。上昇は2カ月ぶり。雇用関連が2.2ポイント改善した。「人手不足で前年度に新卒者を採用できなかった企業が多く、採用意欲がさらに上向く」(北海道の大学)という。半面、家計動向の改善幅は0.3ポイント増にとどまった。一部百貨店で客数回復や夏場の観光需要に対する期待が聞かれたが「乗務員不足による稼働率低下の影響がますます大きくなっている」(北海道のタクシー運転手)との声も根強い。
内閣府は現状の基調判断は「持ち直しが続いているものの、引き続き一服感がみられる」との表現を維持した。先行きは前月に続いて「人手不足やコストの上昇に対する懸念もある一方、引き続き受注や設備投資等への期待がみられる」とした。
2016年度の経常収支、20兆1990億円の黒字 旅行収支は過去最大
財務省が11日発表した2016年度の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は20兆1990億円の黒字だった。経常収支の黒字額はリーマン・ショック前の07年度(24兆3376億円)以来9年ぶりの高水準となった。原油安で貿易収支の黒字幅が大幅拡大したことが寄与した。旅行収支は比較可能な1996年度以降で過去最大の黒字額となった。
貿易収支は5兆7654億円の黒字と前年度(3296億円の黒字)から大幅に拡大した。黒字額は10年度(8兆332億円)以来の高水準だった。液化天然ガス(LNG)や原粗油などの減少で輸入が10.9%減少。自動車や鉄鋼などの低迷で輸出も3.4%減少したが、輸入の落ち込みが上回った。
サービス収支は1兆5058億円の赤字と前年度から1531億円赤字幅を拡大した。知的財産権などの使用料の受け取りが減り、「その他サービス収支」の赤字額が増えた。一方、旅行収支は訪日客の増加を背景に1兆2789億円の黒字と過去最高を記録した。
第1次所得収支は18兆356億円の黒字(前年度は20兆8964億円の黒字)だった。円高などを背景に、証券投資で受け取る配当金などが減少した。
同時に発表した3月の経常収支は2兆9077億円の黒字だった。黒字は33カ月連続となったが、黒字幅は前年同月から645億円縮小した。貿易収支は8655億円の黒字(前年同月は8711億円の黒字)だった。輸出入ともに増えたが、輸入の増加が上回った。サービス収支は1804億円の黒字(前年同月は2630億円の黒字)、第1次所得収支は2兆1951億円の黒字(前年同月は2兆1591億円の黒字)だった。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、2つの統計を並べるとどうしても長くなってしまいがちです。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りです。また、影をつけた部分はいずれも景気後退期です。

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景気ウォッチャーの現状判断DIも先行き判断DIも、すべてのコンポーネント、すなわち、家計動向関連、企業動向関連、雇用関連の3項目とも上昇を示しています。引用した記事にあるように、いよいよ季節もよくなって家計のマインドも底入れしつつある、との楽観論がある一方で、まだまだ小動きの範囲内であって、悪化に舞い戻る可能性も小さくない、という悲観論も残っていて、私も判断がつきかねています。先日発表のあった消費者態度指数は需要サイドのマインドで少し悪化したのに対して、今日の景気ウォッチャーは供給サイドのマインドであり改善を示しています。この不整合の要因として、供給サイドと需要サイドとで、ビミョーに価格上昇の受け止め方が違う可能性があると私は考えています。すなわち、4月の消費者態度指数は価格上昇に対する消費者サイドの嫌気が現れているのに対して、景気ウォッチャーは価格上昇に対する販売者サイドの好感を表している可能性があります。いずれにせよ、現状判断DIも先行き判断DIも、いずれも、3つのコンポーネントのうち雇用関連の上昇幅が最も大きくなっており、人手不足の現状が反映されていると受け止めています。現状判断の理由集を見ていると、数量も単価もまずまずよくなっている印象なんですが、逆に、悪くなっている理由には北朝鮮情勢が上げられている例が散見されます。ホントなんでしょうか。単に、成績の悪い理由を北朝鮮に押し付けているだけという気もしなくもありませんが、北朝鮮のミサイル発射で人出が悪影響を受けるようなことになれば、そうなのかもしれないと思ったりもします。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。引用した記事にもある通り、経常収支は2011年3月の震災や2009年のリーマン・ショック前の水準に戻ったと受け止めています。今年1-3月期のGDP統計が来週18日に内閣府から公表されますが、経常収支のGDP比も4%くらいに拡大しているんではないかという気がします。経常黒字をもおたらしたのが国際商品市況における石油価格の下落ですから、トランプ米国政権の通商政策に何らかの影響を及ぼす可能性は低いと考えるべきですが、黒字の水準としてはかなり高いと見る向きもありそうです。トランプ政権の政策動向と我が国の経常収支の関係についてはやや複雑で、通商政策により米国内への投資の回帰がホントに進むのであれば、我が国の経常黒字の縮小要因となりますが、インフラ整備などの財政政策は黒字拡大要因となります。もちろん、為替への影響も見逃せません。

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