2018年10月19日 (金)

消費者物価(CPI)上昇率はエネルギー価格上昇により+1%に到達!

本日、総務省統計局から9月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。でみて、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は前月からやや上昇幅を拡大して+1.0%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の全国消費者物価、1.0%上昇 原油高でエネルギー価格が上昇
総務省が19日発表した9月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は生鮮食品を除く総合が101.3と前年同月比1.0%上昇した。上昇は21カ月連続。原油高の影響で、エネルギー価格が上昇した。
上昇率が1%台となるのは今年2月以来。総務省は「緩やかな上昇傾向は変わらない」とみている。
生鮮食品を除く総合では、上昇は全体の50.9%にあたる266品目だった。電気代やガソリン代が上がった。秋冬物の衣料品の価格も、前年に比べて上昇した。
下落は186品目、横ばいは71品目だった。
生鮮食品を含む総合は101.7と1.2%上昇した。8月の天候不順でトマトなど生鮮野菜が値上がりした。一部乳製品も引き続き高い。
生鮮食品とエネルギーを除く総合のCPIは101.1と前年同月比0.4%上昇した。欧州向け旅行が好調で、外国パック旅行費が上昇した。
ただ、携帯電話の通信料は下落率が拡大した。大手通信会社の割安な料金プランの導入に加え、格安スマートフォン事業者が実質的な値下げを実施した。生鮮食品とエネルギーを除く総合のCPIの上昇幅は8月(0.4%上昇)と同水準にとどまった。
生鮮食品とエネルギーを除く総合のCPIは前月比で同水準だった。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、コアCPIの前年同月比上昇率で+1.0%でしたので、ジャストミートしました。企業物価についても同様の理由、すなわち、国際商品市況における石油価格の上昇の影響などから、7月、8月、9月と3か月連続での企業物価のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率が+3%を記録する一方で、消費者物価(CPI)の上昇ペースもやや加速しています。ただ、物価上昇がマイナスを続けるデフレ脱却はまだしも、日銀のインフレ目標である+2%とはまだ差があります。加えて、物価動向について考えるべき点が2点あります。第1に、先行き物価の動向については、先々月のブログで取り上げたように、携帯電話通信料の4割引き下げ、さらに、教育の無償化により物価上昇幅が大きく下振れする可能性があります。この点は先々月8月24日付けのブログで詳しく論じています。第2に、エコノミストはついつい日銀の物価目標のターゲットである生鮮食品を除くコアCPI上昇率に目が行きがちなんですが、実は、台風などの自然災害もあって、家計が実際に直面する生鮮食品を含むヘッドラインのCPI上昇率はコアCPI上昇率よりも高い点は忘れるべきではありません。すなわち、ヘッドラインCPI上昇率は8月+1.3%、9月+1.2%となっています。別の観点から、グラフは省略しますが、9月の前年同月比で見て、ぜいたく品に近い選択的支出に相当する物価上昇が+0.3%であるのに対して、国民生活に必要度合いの高い基礎的支出に相当する物価上昇が+2.1%となっており、また、月間1回程度以上購入する財・サービスの上昇率が+3.1%と月間1回程度未満の+0.8%を上回っており、おそらく、生活実感として物価上昇が統計よりも大きく受け取られている可能性が大きいんではないか、と私は懸念しています。もしそうだと仮定すれば、生活実感の物価上昇の高さに起因して消費が伸び悩む可能性もあります。この懸念を払しょくする必要十分条件は、物価統計とは別の次元ながら、賃金の上昇であることはいうまでもありません

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2018年10月18日 (木)

22か月振りに輸出が前年比マイナスを記録した9月の貿易統計について考える!

本日、財務省から9月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比▲1.2%減の6兆7266億円、輸入額は+17.0%増の6兆5871億円、差引き貿易収支は+1396億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の輸出、22カ月ぶり減 自動車や通信機など振るわず 貿易統計
財務省が18日発表した9月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1396億円の黒字だった。QUICKがまとめた民間予測(中央値は528億円の赤字)に対して3カ月ぶりの黒字となったが、前年同月と比べた黒字額は78.7%減少した。自動車や通信機などが振るわず、輸出が22カ月ぶりに減少した。原油高を背景にした輸入額の増加も続いた。
輸出額は前年同月比1.2%減の6兆7266億円だった。オーストラリア向け自動車や中国向け通信機などのマイナス寄与度が大きかった。米国向けの鉄鋼も大幅に減少した。
輸入額は同7.0%増の6兆5871億円。6カ月連続で増加した。サウジアラビアからの原粗油やオーストラリアからの液化天然ガス(LNG)が伸びた。原粗油の円建て輸入単価は49.7%上昇した。
財務省の担当者は「台風21号による関西国際空港(関空)の閉鎖で貨物輸送に影響が出た」と説明した。同省によると、関空の同月の輸出額は58.0%減の2336億円、輸入額は70.8%減の1061億円だった。
9月の対米国の貿易収支は5903億円の黒字で、黒字額は4.0%減少した。減少は3カ月連続。輸出は建設用・鉱山用機械などが振るわず0.2%減、輸入は原粗油やLNGなどが伸びて3.1%増となった。
対中国の貿易収支は3702億円の赤字だった。輸出は1.7%減と7カ月ぶりに減少した。
9月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=111円13銭。前年同月に比べて1.5%円安・ドル高に振れた。
同時に発表した2018年度4~9月の貿易収支は2220億円の黒字だった。ただ、黒字額は前年同期に比べ88.1%減少した。輸出は半導体等製造装置などの伸びで5.2%増、輸入は原油高などを背景に10.0%増となった。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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引用した記事にもある通り、季節調整していない原系列の前年同月比で見て、輸出額がマイナスで輸入額はプラスながら、差し引きの貿易収支は3か月振りの黒字を記録しています。ただ、上のグラフの下のパネルの季節調整済みの系列で見れば、輸出入ともに前月から減少しているのが見て取れます。もちろん、米中間の貿易摩擦に伴う世界貿易の縮小が早くも我が国の貿易に現れた、というわけでもないんでしょうが、世界的に先進国経済が景気拡大局面の成熟化が進み拡大テンポがかなり低下している、ハッキリいえば、景気後退が近づいている可能性がある、というのは事実なんだろうと受け止めています。そして、その唯一の原因ではないでしょうが、少なくとも、世界的な貿易摩擦が世界景気の下振れリスクをより大きくしているのも事実であろうと考えるべきです。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。引用した記事にもある通り、季節調整していない原系列の統計で見て、輸出がほぼ2年振り、すなわち、22か月振りに前年比マイナスを記録しています。先月の貿易統計を取り上げたブログでは「21ヶ月連続で前年比で伸びています」と書いた記憶がありますが、とうとうその連続の伸びも終わったわけです。上のグラフの真ん中のパネルに見るように、先進国経済の拡大テンポの低下が大きくなっており、我が国輸出への影響に関しては、一番下のパネルに見るような中国経済の拡大が先進国の減速に追いつかなくなっている、ということなんだろうと私は受け止めています。

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最後に、貿易統計ともやや関係して、一昨日10月16日に世界経済フォーラムから 2018 Global Competitiveness Index 4.0 が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされていますが、上の画像はトップ10を世界経済フォーラムのインフォグラフィックスから引用しています。米国、シンガポール、ドイツ、スイスに次いで、我が国は世界競争力ランキングの5位に入っています。

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2018年10月17日 (水)

ピュー・リサーチによる米国中間選挙前の世論調査結果やいかに?

来月の米国中間選挙 Midterm を前に、米国の世論調査機関であるピュー・リサーチ・センターから一昨日10月15日付けで、Little Partisan Agreement on the Pressing Problems Facing the U.S. と題する調査結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。タイトル通りに、トランプ米国大統領の与党共和党と野党民主党の間で、米国の直面する課題に対する合意は余りないようです。以下、ピュー・リサーチのサイトから両党の候補者を明記して比較したグラフをいくつか引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから With few exceptions, wide partisan differences over the seriousness of problems facing the United States を引用しています。すなわち、米国の直面する課題のうちで重要と考えるものを上げてあります。上から4項目、すなわち、マイノリティの扱い、気候変動、銃犯罪、貧富の格差、さらに、一番下の違法移民の計5項目で両党の候補者の間で 'very big' problem と考える差が50%超と大きくなっています。もちろん、上の4項目は民主党候補が重要と考える一方で、一番下の違法移民だけは共和党候補の方が重要と捉えています。また、差は大きくないんですが、薬物中毒、連邦政府赤字、テロなどでは共和党候補が民主党候補を上回って重要視しているのが見て取れます。

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次に、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Partisan differences in self-described identities and affiliations を引用しています。すなわち、候補者自分自身のアイデンティティや所属です。やはり目立つのが、一番上のライフル協会への指示で、共和党候補者が民主党候補者を大きく上回っており、逆に、一番下のフェミニストという点では民主党候補者が共和党候補者を大きく上回っています。米国の伝統的な価値の保有とか典型的米国人と自分自身を位置付けている候補者は、やや共和党が民主党を上回っているものの、いずれも50%を超えていて多数派といえます。他方、既婚者が私の感覚では少ないような気がしますし、典型的米国人はもっと毎週教会に通っているのかと思っていました。

今回の調査結果では、候補者だけでなく両党の支持者の属性などについても分析していて、"Wide education divide among Democratic voters in shares saying it really matters who wins in 2018" すなわち、民主党支持者の間では高学歴になるほど今回の米国中間選挙の重要性が高いと考えている、などの結果が明らかにされています。いつもの通り、経済評論のブログに分類しておきます。

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2018年10月16日 (火)

ニッセイ基礎研「中期経済見通し (2018-2028年度)」を読む!

先週金曜日の10月12日にニッセイ基礎研から「中期経済見通し (2018~2028 年度)」と題するリポートが明らかにされています。文字通りの約10年間の中期予想なんですが、政府の名目GDP600兆円はやや後ズレしつつも2023年度に達成される一方で、日銀の物価目標である+2%には期間中に到達しない、と示唆しています。まず、やや長くなりますが、リポートから分析結果の要旨を4点引用すると以下の通りです。

要旨
  1. 2008年秋のリーマン・ショックをきっかけとした世界金融危機が発生してから10年が経過した。先進国のGDPギャップは2018年には10年ぶりにプラスに転じる見込みだが、潜在成長率はリーマン前の水準を回復しておらず、世界経済が完全に復調したとはいえない。
  2. 今後10年間の世界経済は3%台半ばから後半の成長が続くと予想するが、米中貿易戦争が激化し、世界的に保護主義的な政策が広がった場合には、世界経済が大きく落ち込むリスクがある。
  3. 日本はすでに人口減少局面に入っているが、女性、高齢者の労働力率の上昇、外国人労働力の拡大から労働力人口は増加が続いている。今後10年程度は人口減少による経済成長への影響を過度に悲観する必要はない。2028年度までの実質GDP成長率は平均1.0%となり、過去10年平均と同程度の伸びになると予想する。名目GDPの伸びは平均2.0%となり、2023年度に政府目標の名目GDP600兆円が達成されるだろう。
  4. 消費者物価上昇率は10年間の平均で1.3%(消費税の影響を除く)と予想する。デフレに戻る可能性は低いが、日本銀行が「物価安定の目標」としている2%を安定的に続けることは難しいだろう。

ということで、リポートの全容はほぼ上の要旨に尽くされているんですが、私自身の興味の範囲で、いくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、リポートから、ヘッドラインとなる実質GDP成長率の推移のグラフを引用すると上の通りです。なお、消費税率については2019年10月に10%に、2025年4月に12%に、それぞれ引き上げられることを想定しています。2012年度と2025年度に小さな成長率の低迷があるのは、前者は2020年の東京オリンピック・パラリンピックの後の反動であり、2025年度は消費税率引き上げの影響です。リポートにも、予測期間である10年間の実質GDPの平均成長率は+1.0%と明記しています。ですから、おおむね潜在成長率に近い水準での実績成長率と私は受け止めています。グラフは引用しないものの、潜在成長率についてもリポートに示されており、足元から予測期間中ほぼほぼ+1%近傍であると見込んでいます。

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次に、リポートから、名目GDPと実質GDPの予測のグラフを引用すると上の通りです。名目GDPに着目すると、足元の2018年度から3年間の名目成長率は平均1.8%と見込まれており、10年間の予測期間では名目GDP成長率は平均+2.0%と予想し、名目GDP600兆円の達成は2020年ころという政府目標から2023年度までずれ込むものの、名目GDP600兆円には到達するものと見通しています。まあ、当然です。

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他方、日銀物価目標のコアCPI上昇率+2.0%は予測期間内には達成できず、10年間のコア消費者物価上昇率は平均+1.3%を見込んでいます。リポートから、消費者物価(生鮮食品を除く総合)の予測のグラフを引用すると上の通りです。東京オリンピック・パラリンピック開催の2020年度にはGDPギャップは+1%程度にまで達するものの、その翌年2021年度の反動によるマイナス成長で需給バランスが悪化するという予想となっています。

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最後に、リポートから、経常収支の推移のグラフを引用すると上の通りです。これは私の信念みたいなものですが、私は高齢化の進展とともに経常収支は必ず赤字化すると考えています。この私の見方が裏付けられており、来年度の2019年度から貿易収支が赤字化し始め、予測期間終盤2027年度から小幅ながら経常収支は赤字化すると予想しています。

最後に、いつもニッセイ基礎研のリポートと私が意見が合うのは消費低迷の原因であり、今回のリポートでも p.12 の日本経済の見通しの冒頭ページ第3パラで「消費低迷長期化の理由として、家計の節約志向や将来不安に伴う過剰貯蓄が挙げられることも多いが、これは消費停滞の主因ではない。直近(2016年度)の家計の可処分所得は現行のGDP統計で遡ることができる1994年度よりも2.3兆円少ない。一方、2017年度の家計消費支出の水準は1994年度よりも10%以上高く、このことは家計が貯蓄を減らして消費にまわしていることを意味する。消費低迷の主因は可処分所得の伸び悩みにあると考えられる。」と指摘しています。私もまったくその通りだと考えています。

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2018年10月12日 (金)

帝国データバンクによる「人手不足倒産」の動向調査の結果やいかに?

今週火曜日10月9日に帝国データバンクから「人手不足倒産」の動向調査の結果が明らかにされています。年度上半期の9月までの件数や負債総額などが入手可能となっています。負債総額は減少しているものの、倒産件数は前年同期比+40.7%の大幅増を示し、2年連続で前年同期を上回っており、2013年度の調査開始以降で半期ベースの最多を更新し、年度通期で初めて100件を超えた昨年2017年度(114件)を上回るペースで倒産が発生しています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果を5点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 2018年度上半期(2018年4~9月)の「人手不足倒産」は76件発生し、負債総額は110億4200万円にのぼった。件数は前年同期比40.7%の大幅増となり、2年連続で前年同期を上回った。調査開始以降、半期ベースの最多を更新し、年度通期で初めて100件を超えた2017年度(114件)を上回るペースで発生
  2. 負債規模別件数を見ると、「1億円未満」が45件と過半を占め、前年同期(22件)の2倍に
  3. 業種別件数を見ると、「サービス業」が前年同期比73.3%の増加で、最多の26件を占めた
  4. 業種細分類別の5年半累計件数では、「道路貨物運送」が38件(2018年度上半期12件、前年同期4件)で最多。以下、「老人福祉事業」は27件、「木造建築工事」は26件、「労働者派遣」は21件と続いた
  5. 都道府県別の5年半累計では、「東京都」が62件(2018年度上半期13件、前年同期5件)で突出している

pdfの全文リポートもアップされており、図表をいくつか引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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上のグラフは、リポートから人手不足倒産の件数を引用しています。見れば明らかなんですが、2018年度上半期の人手不足倒産は76件発生しており、負債総額は110億42百万円に上っています。この期間で、負債総額は前年同期から▲42.3%の減少を示しているものの、倒産件数は+40.7%の大幅増を記録しています。帝国データバンクでは、2013年度から人手不足倒産の記録を取り始めているんらしいんですが、2018年度上半期までの5年半の期間で、人手不足倒産は累計447件、負債総額は946億95百万円に上っています。

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2013年度からの5年半の期間の人手不足倒産を産業別に見ると、累計の最多は建設業で148件、33.1%となっていて、サービス業が132件、29.5%でこれに続き、この2業種で全体の62.6%を占めています。上のグラフは、リポートから5年半の期間でのもう少し細かい業種細分類別上位10業種を取り上げています。何となく判る気がするんですが、道路貨物運送が累計で38件で最多となっています。通販市場の拡大などで配送需要が高まる中、ドライバー不足による新規受注難から資金繰りの悪化に陥り、倒産に至ったケースが目立つようです。続いて、老人福祉事業は、介護福祉士やケアマネジャーなどの有資格者の確保が追い付かず、十分なサービスを提供できないなどの理由から5年半で27件発生しています。

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最後に、上のグラフは、リポートから5年半の累計で見た都道府県別の人手不足倒産の件数を示しています。こういった経済事案では規模に連動する場合が多く、東京都がトップなのは当然という気もします。少子高齢化の進行により、人手不足はこの先も一定の期間に渡って継続する可能性が高く、それなりの経営努力が求められるとはいえ、ますます希少性を増す労働力を効率的に用いることが出来ず、人手不足に対応しきれない場合は市場から退出することとなります。すべてではないにしても、その一端がこの調査結果に現れているように私は感じています。

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2018年10月11日 (木)

高止まりする石油価格の影響で企業物価の国内物価上昇率は+3%が続く!

本日、日銀から9月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+3.0%と前月と同じかつ3か月連続で同じ上昇率を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の企業物価指数、前年比3.0%上昇 原油相場が上昇
日銀が11日発表した9月の国内企業物価指数(速報値、2015年平均=100)は102.0となり、前年同月と比べて3.0%上昇した。伸び率は8月確報から横ばいで、21カ月連続で前年同月を上回った。前月比でも0.3%上昇した。
米国によるイラン制裁を背景に、供給面での減少懸念から原油価格が上昇。原油相場の上昇を受けた石油関連製品の値上がりが伸びをけん引した。
品目別では、石油・石炭製品が前年同月比26.4%上昇した。鉄鋼が同3.9%、金属製品は同3.1%上昇した。
一方、非鉄金属は同1.7%下落した。米中間の貿易摩擦の激化に伴い、需要が押し下げられるとの懸念が背景にある。
今後の企業物価動向については「米中間の貿易摩擦に収束の兆しが見えず、需要面から押し下げ方向に働く可能性も念頭に置きつつ動向をみていきたい」(日銀調査統計局)という。

続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは以下の通りです。一番上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、真ん中は需要段階別の上昇率を、また、一番下は企業物価指数のうちの円建て輸入物価の原油の指数そのものと前年同月比上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、上2つのパネルの影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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繰り返しになりますが、企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は9月統計でも7~8月と同じ+3.0%でした。基本は、国際商品市況における石油価格の上昇や高止まりに起因する部分が大きいと私は受け止めています。例えば、上のグラフのうち一番下のパネルではPPIのコンポーネントである輸入物価の原油価格の指数と前年同月比上昇率をプロットしていて、指数も上昇率も直近では7月がピークだったんですが、まだ9月統計で指数と上昇率ともに高止まりしているのが現状です。ごく一般的にいってながら、PPIは消費者物価(CPI)よりも国際的な動向の影響を強く受けますので、国際商品市況を別にしても、引用した記事にもある通り、米中間の貿易摩擦をはじめとする貿易動向の影響が価格面でどのように現れるのか、やや気がかりです。貿易摩擦の影響については、関税を引き上げた当該国ではその輸入品が当然に国内で価格が上昇する一方で、当該国以外では需給が緩んで価格下落につながる可能性が高いと私は考えていますが、加えて、先日取り上げた国際通貨基金(IMF)が「世界経済見通し」で指摘しているように、貿易摩擦の激化は世界全体の成長率を下振れさせる可能性が高く、その面から需給関係を緩和させてさらに価格下落の方向に圧力がかかる可能性がありますし、もちろん、個別の国によっては、貿易構造や産業構造などに起因して、いろいろと複雑な要素があります。

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2018年10月10日 (水)

2か月連続で増加した機械受注は基調判断を上方改定!

本日、内閣府から8月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列の前月比で見て、7月+11.0%の大幅増に続いて、8月も+6.8%増を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注、8月6.8%増 基調判断「持ち直しの動き」
市場予想上回る

内閣府が10日発表した8月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比6.8%増の9815億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は4.2%減だった。
うち製造業は6.6%増、非製造業は6.0%増だった。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」受注額(原数値)は12.6%増だった。
内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」から「持ち直しの動きがみられる」に変更した。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入され、設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは7月の2ケタ増の反動減を織り込んで、8月は▲4.2%減と見込んでいたんですが、実績では逆に+6.8%増とかなりの伸びを示しており、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直しの動きに足踏み」から「足踏み」を削除して「持ち直しの動き」に半ノッチ上方改定しています。基調判断のかいていは4か月振りだそうです。産業別に見て詳細はともかく、大くくりで、7月のコア機械受注2ケタ増のうち、製造業・非製造業とも2ケタ増を示し、加えて、8月の+6.8%増も製造業・非製造業とも+6%増ですから、決して、特殊要因による一時的な増加などの偏った受注増との印象はありません。また、7~9月期の見通しは前期比▲0.3%の見込みとなっているんですが、一定の反動減が予想される9月統計が前月比▲20%を超えるくらいの減少であってもこの見込みを超える計算になり、達成はほぼ確実な状況となっています。基本的に、日銀短観の設備投資計画に見られるように、人手不足などを背景に企業の設備投資の意欲は旺盛であり、機械受注統計のクセとして単月で振れの激しい点を差し引けば、引き続き、機械受注は緩やかながら増加のトレンドにあるものと私は考えています。

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2018年10月 9日 (火)

国際通貨基金(IMF)による「世界経済見通し」は貿易摩擦により成長率を下方修

今週末からインドネシアのバリ島で開催されるIMF世銀総会を前に、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し」World Economic Outlook, October 2018 が公表されています。pdfの全文リポートもアップされています。今年2018年の世界経済の成長率は、7月の「世界経済見通し改定」から▲0.2%ポイント下方修正して+3.7%と見込んでいます。

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まず、IMFのブログサイトから成長率見通しの総括表を引用すると上の通りです。なお、上の画像をクリックすると、別タブでリポート pp.14-15 の Table 1.1. Overview of the World Economic Outlook Projections だけを抜き出したファイルが開きます。ということで、Exective Summary の書き出しは、"The steady expansion under way since mid-2016 continues, with global growth for 2018-19 projected to remain at its 2017 level. At the same time, however, the expansion has become less balanced and may have peaked in some major economies." となっていて、景気局面が成熟化からピークアウトに達しつつある可能性を示唆しています。成長率見通しについては、繰り返しになりますが、世界経済の成長率については、4月の「世界経済見通し」、7月の「世界経済見通し改定」でも、2018年、2019年ともに+3.9%から、今回の最新見通しでは▲0.2%ポイント下方修正されて、+3.7%と見込まれています。米中間の貿易摩擦の影響により成長率が下振れすると見込まれています。他方、我が国成長率については、今年2018年は4月時点の+1.2%が、7月には+1.0%に下方修正された後、今回の10月見通しでは+1.1%に上方修正されています。ついでながら、2来年2019年の我が国の成長率見通しは一貫して+0.9%と見込まれています。今年よりも低下するのは、2019年10月からの消費増税を織り込んでいるからです。

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さて、世界経済の成長率が下方修正された主因は、米中間の貿易摩擦の激化なんですが、貿易摩擦を5つのシナリオ別に実質GDPの乖離により計測した結果が上のグラフの通りです。リポート p.35 Scenario Figure 1. Real GDP in Trade Tensions Scenario を引用しています。黄色い自動車などの関税引き上げあたりからは、ほぼ、どの国も得をしない、ということになりそうなのですが、さすがに、米中両国では中国のダメージの方が大きく、また、米国よりもNAFTAメンバーのダメージの方が大きくなりそうな試算です。我が国と欧州は世界全体と大きな差はなさそうにも見えます。

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内閣府から9月の景気ウォッチャーが、また、財務省から8月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲0.1ポイント低下して48.6を、先行き判断DIも▲0.1ポイント低下して51.3を、それぞれ記録し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+1兆8384億円の黒字を計上しています。いつものグラフは上の通りです。

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2018年10月 6日 (土)

米国雇用統計で雇用者増は鈍るも失業率は半世紀ぶりの低水準を記録!

日本時間の昨夜、米国労働省から9月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+134千人増と、市場の事前コンセンサスだった+180千人の増加という予想を大きく下回って伸びが鈍化した一方で、失業率は前月とからさらに低下して3.7%となり、1969年12月の3.5%以来、約半世紀ぶりの低い水準を記録しました。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を10パラ引用すると以下の通りです。

Economy added 134,000 jobs in September, unemployment falls to nearly 50-year low
Unemployment fell to a nearly 50-year low in September even as employers added a disappointing 134,000 jobs amid increasing worker shortages and possible effects from Hurricane Florence.
The unemployment rate fell from 3.9 percent to 3.7 percent, lowest since December 1969, the Labor Department said Friday. The rate is calculated from a separate survey of households than the job growth figure.
Economists had estimated 185,000 new jobs were created last month, according to a Bloomberg survey.
Goldman Sachs expected the hurricane to reduce employment by 33,000 in the Carolinas. But Morgan Stanley said the storm likely affected too limited of an area and struck too late during the week of Labor's survey to have a meaningful impact. Workers are counted as employed as long as they show up for any part of their pay period.
Yet employment in leisure and hospitality, which includes hotels and restaurants, fell 17,000 last month, suggesting the storm was a factor.
"The headline payroll number is a weather story," Ian Shepherdson, chief economist of Pantheon Macroeconomics, wrote in a note to clients.
The number of workers across the country who stayed home because of weather increased by 276,000 last month on a non-seasonally adjusted basis, compared to a median 7,000 rise over the past 10 September jobs report, says Jim O'Sullivan, chief US economist of High Frequency Economics.
Still another wrinkle is that Labor tends to undercount September employment in its initial estimate and revise it up later, O'Sullivan says.
On the positive side, payroll increases for July and August were revised by a total 87,000. July's gain was raised from 147,000 to 165,000 and August's from 201,000 to 270,000. That largely offsets the weak September showing.
Meanwhile, the labor market faces other challenges. Businesses are having a harder time finding qualified job candidates. Many analysts expect the crunch to slow hiring in the months ahead despite strong economic growth.

長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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繰り返しになりますが、9月の米国非農業部門雇用者増は8月の+270千人増から大きく鈍化して+134千人増にとどまった一方で、失業率は8月の3.9%からさらに低下して3.7%と約半世紀振りの低い水準を記録しています。雇用者増の鈍化と失業率の低下は一見して非整合的な動きなんですが、ほぼ完全雇用の状態にある米国労働市場では、雇用者募集をかけてもスラックがほぼ尽きた状態になっているとすれば、新たな雇用増は生み出されないわけで、労働市場が完全雇用水準に達したということであれば、雇用増の鈍化と失業率の低下は整合的といえます。そして、この労働市場における人手不足はトランプ政権の減税政策がもたらしたと考えられます。まだ、中国製品締め出しの貿易戦争の影響は出ていないとみられるからです。加えて、労働市場が完全雇用であるならば、トランプ政権の圧力がどうあれ、独立した中央銀行である米国連邦準備制度理事会(FED)の利上げ継続路線はサポートされるということになると考えるべきです。もちろん、個人消費支出(PCE)デフレータは8月に前年同月比+2.2%まで上昇幅を拡大しており、物価上昇圧力も増しています。

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最後に、その物価上昇圧力の背景となっている時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、じわじわと上昇率を高め、9月は前年同月比で+2.8%の上昇と、このところ、+3%近い上昇率が続いています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、日本や欧州と違って米国では物価も賃金上昇も+2%の物価目標を上回る経済状態が続いているわけですから、利上げを継続して対応すべきという意見が出るのは当然かもしれません。

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2018年10月 5日 (金)

改善が続く景気動向指数と13か月連続の賃金上昇が続く毎月勤労統計!

本日、内閣府から景気動向指数が、また、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。いずれも8月の統計です。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月差+0.5ポイント上昇して104.4を、CI一致指数も+1.4ポイント上昇して117.5を、それぞれ記録しています。また、毎月勤労統計のうち、名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で+0.9%増の27万6366円に上昇しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

8月の景気一致指数、4カ月ぶり上昇 自動車出荷など改善
内閣府が5日発表した8月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.4ポイント上昇の117.5だった。上昇は4カ月ぶり。自動車や半導体製造装置の出荷が改善した。
一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象になる7系列のうち5系列が指数を押し上げた。耐久財消費財出荷指数が乗用車と二輪車の改善で上昇した。投資財出荷指数も半導体製造装置の好調を背景にプラスに寄与した。小売業の商業販売額も猛暑の影響でコンビニエンスストアの飲食料品を中心に増加した。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善を示している」に据え置いた。同表現は23カ月連続。
数カ月後の景気を示す先行指数は0.5ポイント上昇の104.4と3カ月ぶりに上昇した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は0.2ポイント上昇の117.7だった。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。
8月の名目賃金、前年比0.9%増 増加は13カ月連続、毎月勤労統計
厚生労働省が5日発表した8月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、8月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比0.9%増の27万6366円だった。増加は13カ月連続。基本給の伸びが続いた。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が1.4%増の24万3809円だった。残業代など所定外給与は1.0%増。一方、ボーナスなど特別に支払われた給与は7.4%減だった。物価変動の影響を除いた実質賃金は0.6%減だった。名目賃金は増加したものの、消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が上昇し、実質賃金を押し下げた。
パートタイム労働者の時間あたり給与は2.8%増の1137円。パートタイム労働者比率は横ばいの30.70%だった。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、2つの統計を並べると長くなってしまいました。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は、毎月勤労統計のグラフとも共通して、景気後退期を示しています

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CI先行指数は3か月振りの上昇、CI一致指数も4か月振りの上昇を示し、CI一致指数は3か月後方移動平均、7か月後方移動平均とも前月のマイナスから上昇に転じています。従って、基調判断が「改善」から「足踏み」に1ノッチ下方修正される条件は、かなり機械的ながら、3か月後方移動平均の符号がマイナスかつマイナス幅が1か月、2か月、3か月の累積で1標準偏差以上ということですので、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「改善」で据え置いており、23か月連続の「改善」となっています。なお、CI一致指数のうち、プラス寄与は大きい順に、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数(除輸送機械)、商業販売額(小売業)(前年同月比)、鉱工業用生産財出荷指数、生産指数(鉱工業)となっており、逆に、マイナス寄与の絶対値が大きい順に並べると、有効求人倍率(除学卒)、商業販売額(卸売業)(前年同月比)が上げられています。また、CI先行指数でプラし寄与が大きいのは最終需要財在庫率指数と鉱工業用生産財在庫率指数です。景気動向指数はかなりの程度に鉱工業生産指数(IIP)と相関が高いと私は考えているんですが、いずれにせよ、景気拡大は5年半を超えて6年に近づきつつあり、当然ながら、景気局面としては成熟化の段階に達している気がします。

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続いて、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。ということで、景気に敏感な製造業の所定外時間指数は低下を示していますが、賃金はそれなりに上向きと私は見ています。2番目のパネルの季節調整していない原系列の賃金指数の前年同月比のプラス幅も、3番目の季節調整済みの系列の賃金指数も、ともに上向きに見えます。さすがに、人手不足がここまで進んでいますので、正規雇用の増加とともに、賃金上昇の圧力はそれなりに大きいと私は受け止めています。

最後に、9月の米国雇用統計が公表されていますが、今夜のうちに取りまとめて日を改めてアップしたいと思います。

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