2019年1月16日 (水)

前月比横ばいで足踏み続く機械受注と上昇率が大きく縮小した企業物価(PPI)!

本日、内閣府から昨年2018年11月の機械受注が、また、日銀からこれも昨年2018年12月の企業物価 (PPI) が、それぞれ公表されています。機械受注のうち変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て、前月比▲0.0%減の8,631億円を示しています。また、PPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+1.5%と前月の+3.0%から上昇率が大きく縮小したものの、引き続き、高い上昇率を継続しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

11月の機械受注、2カ月ぶりマイナス 0.02%減
内閣府が16日発表した2018年11月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比0.02%減の8631億円だった。減少は2カ月ぶり。「水準でみると、必ずしも悪いわけではない」(内閣府)とするものの、QUICKがまとめた民間予測の中央値(3.1%増)を下回った。
内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に据え置いた。「戻りが弱かった10月と同じような動きで、表現を変えるまでには至らなかった。まさに足踏み」(内閣府)という。
11月の製造業の受注額は6.4%減の3957億円だった。減少は2カ月ぶり。17業種のうち9業種が減少した。その他製造業で合成樹脂加工機械などの受注が減ったほか、非鉄金属で原子力原動機が、造船業で内燃機関などの受注が減った。
非製造業は2カ月連続で増加し、2.5%増の4650億円だった。運輸業・郵便業や情報サービス業で電子計算機等の受注が増えた。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」の受注額(原数値)は0.8%増だった。
11月の受注総額は8.3%増の2兆8506億円。外需の受注額が18.5%増の1兆2649億円と大きく増えた。化学機械や船舶、鉄道車両などの大型案件がみられた。官公需は26.8%減(2649億円)だった。10月に防衛省向け船舶の大型案件があった反動が出たという。
12月企業物価、1.5%上昇、原油下落で伸び縮小
日銀が16日発表した2018年12月の国内企業物価指数(速報値、15年平均=100)は101.5と、前年同月比で1.5%上昇した。前年実績を24カ月連続で上回ったが、伸び率は11月確報値から0.8ポイント縮小した。原油価格の下落や米中貿易摩擦に伴う商品市況悪化で伸びが鈍っている。
企業物価指数は出荷や卸売り段階で取引される製品価格を調べて指数化したもの。品目別ではガソリンなどの石油・石炭製品が前年同月比4.7%上昇したものの、11月確報の14.2%から伸び率が大幅に縮小した。
非鉄金属は米中貿易摩擦の影響で銅やアルミニウムなどの価格が下がって4.1%下落した。下落幅は11月から0.5ポイント拡大した。18年平均の企業物価は前年比2.6%上昇と2年連続で上昇した。日銀は「今後も原油価格の動向に左右される展開が続く」(調査統計局)としている。

長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは、季節調整済のコア機械受注の前月比で見て+3.1%増でしたから、ほぼほぼ前月から横ばいという結果はこれを下回ったことになります。業種別では、製造業で減少した一方で、船舶と電力を除く非製造業で増加を示しています。コア機械受注は季節調整済みの系列の前月比で見て、9月に▲18.3%減と大きく落ち込んだ後、10月の戻りが+7.6%増とやや物足りない感があり、11月統計でもほぼ前月比横這いでしたから、まさに足踏みということなのかもしれません。ただ、上のグラフのうちの上のパネルに見られる通り、後方6か月移動平均のトレンドで見て、方向性として足踏みの右肩下がりであるのは明らかですが、受注の水準としてはまだかなり高いレベルにあることも忘れるべきではありません。平たい言葉を使えば、統計の対象となっている工場の稼働水準はまだかなり高いといえますし、受注元企業の設備投資意欲も先細りかもしれませんが、まだそれなりの水準をキープしている感触です。もっとも、先々月の9月統計公表時に明らかにされた2018年10~12月期見通しでは、四半期ベースでのコア機械受注は前期比+3.6%増の28003.5億円が見込まれていましたから、月次ベースでは9300億円を軽く上回るレベルに比較すると、11月実績の8631億円はかなり低い水準である、との見方も成り立ちます。また、先行きについては、私は先行指標としての外需を参考にしているんですが、2018年10月+15.5%増、11月+18.5%増と、上のグラフの下のパネルに見られる通りジャンプしています。米中間の貿易摩擦の動向が気にかかりますが、外需は堅調のように見える一方で、内需はオリンピック・パラリンピック需要のピークアウトと10月からの消費税率引き上げで年央からは景気動向は不透明です。

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続いて、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。一番上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、真ん中は需要段階別の上昇率を、また、一番下は企業物価指数のうちの円建て輸入物価の原油の指数そのものと前年同月比上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、上2つのパネルの影をつけた部分は景気後退期を示しています。企業物価指数(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率で見て、7~10月は+3.0%を続けていましたが、先月統計の11月が+2.3%と上昇幅を縮小し、直近の12月統計ではとうとう+1.5%まで上昇幅が半減してしまいました。季節調整していない前月比で国内物価は11月から12月にかけて前月比で▲0.6%の下落を示しましたが、品目別の寄与度で見てガソリンや軽油などの石油・石炭製品が▲0.5%と大きな部分を占めますし、PPIのうちの輸入物価は同じ前月比で▲3.4%下落し、同じく寄与度で石油・石炭・天然ガスが▲3.11%に上ります。上のグラフのうちの一番下のパネルに円建て輸入物価のうちの原油を取り上げていますが、まだ前年同月比ではプラスですが、前年同月比上昇率では昨年年央2018年7月にピークアウトし、指数の水準でも昨年2018年11月にピークアウトしたんではないかと私は見ています。私だけでなく、日銀当局も物価は石油価格の動向に左右されることは認めているようです。

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2019年1月15日 (火)

先週と今週の経済指標に関する雑感

私はいくつかのシンクタンクのエコノミスト、特にマクロを担当するエコノミストと交流があった時期もあり、シンクタンクのサイトは定期的に拝見しているんですが、いくつか興味深いリポートがありましたので、簡単に取り上げておきたいと思います。

まず、第一生命経済研のサイトに先週の景気動向指数を取り上げたリポートがあり、私の見方と同じで、3か月後方移動平均の動向から最短で12月統計で基調判断が上方修正されて「改善」に戻る可能性を指摘しつつ、最後の結論として「基調判断が上方修正されるかどうかは五分五分」と指摘しています。私の見方にほぼほぼ一致しているような気がしました。

次に、大和総研が昨年2018年12月26日付けで「AIを活用した経済指標予測の公表について」と題したお知らせをアップしていて、人工知能(AI)を活用した経済指標予測モデルを開発したので、エコノミストによる予測業務をこれに置き換えると表明しています。実際に予測を出す指標は、機械受注(船舶・電力を除く民需、いわゆるコア機械受注)、失業率、有効求人倍率(一般職業紹介状況)、国内企業物価指数(企業物価指数)、第三次産業活動指数の5指標とされています。早速、先週1月11日に明日公表予定の機械受注など、AI経済指標予想として以下の通り明らかにされています。

AI経済指標予想
  • 【コア機械受注】(11月)前月比0.5%、前月実績同7.6%、発表日1月16日
  • 【国内企業物価指数】(12月)前月比-0.5%、前月実績同-0.3%、発表日1月16日
  • 【第3次産業活動指数】(11月)前月比-0.8%、前月実績同1.9%、発表日1月16日

第3次産業活動指数は遅行指標なので、私はあまり興味ないんですが、明日の機械受注と企業物価の公表がとても楽しみです。

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2019年1月14日 (月)

ニッセイ基礎研リポート「GW10連休は景気にプラスか? マイナスか?」を読む

今日は本年最初の3連休最終日なんですが、先週金曜日の1月11日にニッセイ基礎研から「GW10連休は景気にプラスか? マイナスか?」と題するリポートが明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。まず、ニッセイ基礎研のサイトからリポートの要旨のうち3点目だけを引用すると以下の通りです。

要旨
GWが10連休となったことにより、祝日数は4月が1日、5月が2日増えることになった。4/30~5/1が平日だった場合と比べると、鉱工業生産指数が▲0.95%、第3次産業活動指数が▲0.34%、全産業活動指数が▲0.41%押し下げられる。2019年4、5月の全産業活動指数の落ち込みをGDPに換算すると、2019年4-6月期の実質GDPは▲5,267億円(▲0.4%)減少する。

ということで、以下のグラフが示されています。

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このリポートの要旨の1点目でも「祝日が増えることによって、旅行業界を中心に景気の押し上げ効果が期待されているが、製造業では工場の稼働日数が減ることで生産量が抑制されることも懸念される。」と指摘しているように、ごく単純にいって、お休みが増えれば需要が増加する一方で供給は減少する、ということになります。短期的には、作り置きして在庫が可能な財貨は、ひょっとしたら、需要に応じて消費が増加する可能性がある一方で、在庫のできないサービスについては需要に応じた生産ができない可能性もあります。もちろん、長期休暇後には反動が生じる可能性も否定できません。供給面からはお休みが増えれば供給は単純に減ります。
しかし、長期的に歴史をさらに長い目で見ると、おそらく、日米をはじめとする先進国においては、我が国の高度成長期が典型ですが、終戦直後から1970年代前半くらいまでは需要が旺盛で、作れば売れる、すなわち、供給がGDPを決めていた面が強い一方で、1980年代くらいから現時点までは、生産力が大いに増強されて消費がかなりの程度に飽和しつつあり、需要が生産をけん引してGDPを決める、という側面が強くなったように私は考えています。短期的なGW10連休ならニッセイ基礎研のリポートが正しくてGDPにはマイナスのインパクトを生じる可能性が高いと私自身も考えますが、より長い目で見ると、働き方改革によるワークライフ・バランスの改善とか、より需要を喚起する休日の増加の視点も忘れるべきではありません。

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2019年1月11日 (金)

大きく悪化した景気ウォッチャーと黒字が続く経常収支!

本日、内閣府から昨年2018年12月の景気ウォッチャーが、また、財務省から同じく昨年2018年11月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から前月差▲3.0ポイント低下の48.0を記録した一方で、先行き判断DIは▲3.7ポイント低下の48.5となり、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+7572億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

12月の街角景気、先行き指数2カ月ぶり悪化 基調判断を下方修正
内閣府が11日発表した2018年12月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は48.0と、前の月から3.0ポイント低下(悪化)した。悪化は3カ月ぶり。2~3カ月後を占う先行き判断指数は48.5と、前の月から3.7ポイント低下した。昨年末の株価下落や世界経済の先行き不透明感が景気実感に反映された。
内閣府は基調判断を「緩やかな回復基調が続いているものの、一服感がみられる」に下方修正した。基調判断の下方修正は2018年5月以来7カ月ぶり。
現状判断指数を部門別にみると家計動向が3.0ポイント低下、企業動向が2.7ポイント低下、雇用が3.5ポイント低下といずれも悪化した。家計動向では「忘年会シーズンにもかかわらず夜は週末以外はどちらかといえば振るわない。週末も例年より悪い」(北陸のタクシー運転手)といった声が聞かれた。企業動向でも12月中に住宅ローン減税の拡充などが発表されたことで住宅関連に様子見の動きが見られるといった声があった。
先行き判断指数の部門別も、家計動向、企業動向、雇用とも低下した。株価下落で「国内富裕層の動きが鈍くなる」(南関東の百貨店)などの声があった。住宅関連でも株価下落により資産効果が失われることを懸念する声があった。企業動向では世界情勢の不透明感や人手不足などを懸念する声が多い。
内閣府は基調判断を「緩やかな回復基調が続いているものの、一服感がみられる」とし、先行きについて「海外情勢や金融資本市場の動向等に対する懸念がみられる」とした。
経常黒字、11月43.5%減 貿易収支が赤字に転じる
財務省が11日発表した2018年11月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は7572億円の黒字だった。黒字は53カ月連続だが、黒字額は前年同月に比べて43.5%縮小した。黒字額が前年同月比で減少するのは5カ月連続。原油高による輸入増を背景に貿易収支が赤字に転じたことが響いた。
海外企業から受け取る配当金や投資収益を示す第1次所得収支は1兆4388億円の黒字だった。海外子会社から受け取る配当金など直接投資収益が伸び、黒字額は8.2%増加した。
輸送や旅行といった取引の収支を示すサービス収支は121億円の黒字だった。輸送収支の赤字額拡大が響き、黒字額は前年同月の189億円に比べて縮小した。一方、旅行収支は訪日外国人の増加を背景に1723億円の黒字と11月としての過去最高を記録した。
輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は5591億円の赤字(前年同月は1991億円の黒字)だった。原油価格の上昇で原粗油や液化天然ガス(LNG)の輸入が増加し、輸入額が全体で13.5%増加した。船舶や有機化合物など輸出も全体で1.9%伸びたが、輸入の増加が上回った。

なるべく短めの記事を選んだつもりなんですが、それでも2つの統計を並べるとやたらと長くなりました。いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、景気ウォッチャーのグラフは以下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期です。

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景気ウォッチャーについては、現状判断DIが3か月ぶりに悪化し、統計作成官庁である内閣府では「緩やかな回復基調が続いているものの、一服感がみられる。先行きについては、(以下略)」と下線部の一服感を加えて、景気判断は半ノッチの下方修正と私は受け止めています。「景気判断理由集」をパラパラと読むと、消費の弱さが目につきますし、衣料のように暖冬を理由に上げている場合もある一方で、株価下落や景気全般の悪化などのマクロ経済動向も上げられています。先行きでは、米中貿易摩擦とともに10月の消費税率の引き上げも懸念材料となっているように私は感じました。今週火曜日に公表された消費者態度指数が需要サイドの消費者マインドであるのに対して、景気ウォッチャーは供給サイドの消費者マインドを指標ですから、いわゆる「消費者の財布のひもが固い」といった趣旨の表現が「理由集」にいくつか散見されています。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。まず、上のグラフから明らかな通り、2017年102~12月期くらいを直近のピークにして経常収支の黒字幅はジワジワと縮小を見せていましたが、季節調整済の系列では11月の経常収支は黒字幅が拡大しました。しかし、これも上のグラフの黒い部分の積み上げ棒グラフで示された貿易収支は赤字のままですので、赤い棒グラフの1次所得収支が黒字を拡大させており、要するに、ドル金利が上昇しているわけです。先行きについては、原油価格の低下に伴う輸入額の減少と先進国や中国の経済停滞に起因する輸出額の減少とが同時に施行しており、いかにも景気が停滞しているような縮小均衡っぽい動きの中で、どちらの縮小効果が大きいか、ということになります。

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2019年1月10日 (木)

足踏み続く景気動向指数と日銀「さくらリポート」やいかに?

本日、内閣府から昨年2018年11月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月差▲0.3ポイント下降して99.3を、CI一致指数も▲1.9ポイント下降して103.0を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

11月の景気一致指数、2カ月ぶり低下 10月の大幅上昇の反動
内閣府が10日発表した2018年11月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.9ポイント低下の103.0だった。低下は2カ月ぶり。9月は台風などの災害で生産や出荷が落ち込んだが、10月は挽回生産などで前月比で大幅な上昇となっていた。11月は「10月の反動が出た」とみている。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「足踏みを示している」に据え置いた。一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象になる7系列すべてが指数のマイナスに影響した。
鉱工業用生産財出荷指数や生産指数(鉱工業)などのマイナスが目立った。10月に大きく上向いた鉄鋼や電子部品などが11月は反動で落ち込んだ。商業販売額も振るわなかった。内閣府は「9月から自然災害の影響で振れが大きくなっていたが、今後は落ち着いていくだろう」としている。
数カ月後の景気を示す先行指数は0.3ポイント低下の99.3と2カ月ぶりに低下した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は0.4ポイント上昇の104.0だった。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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景気動向指数、特に、CI一致指数は鉱工業生産指数(IIP)との連動性が高いのは従来から指摘している通りですが、最近の動向については、9月には自然災害に起因する供給制約や物流の停滞などから下降を示した後、10月にはその9月の落ち込みからの復旧が見られて大きくジャンプしたんですが、11月指数はまたまたその反動により下降を示しています。引用した記事にもある通り、CI一致指数に用いられている7系列がすべてマイナスを記録しています。すなわち、寄与度の順で見て、鉱工業用生産財出荷指数▲0.59、投資財出荷指数(除輸送機械)▲0.41、商業販売額(卸売業)(前年同月比)▲0.33、商業販売額(小売業)(前年同月比)▲0.29、生産指数(鉱工業)▲0.21などとなっています。そして、統計作成官庁である内閣府の基調判断は「足踏み」で据え置きとなっているんですが、上方改定されると仮定すれば1ノッチ上の景気判断は「拡大」ですから、3か月連続で3か月後方移動平均がプラスに転じなければなりません。10~11月は2か月連続で3か月後方移動平均がプラスを示していて、もしも、これまた仮定のお話ですが、12月統計で3か月後方移動平均がプラスを付ければ、基調判断は「拡大」に戻る可能性があります。そうなれば、いままでも、何回か、このブログでお示ししたように、現在の景気拡大局面が今年2019年1月まで継続すれば、米国のサブプライム・バブルに対応する戦後最長の景気拡大期間72か月を超える計算です。あるいは、このまま足踏みが続いたり、むしろ、景気悪化の方向に動く可能性もないわけではないと私は考えており、いずれにせよ、現時点で利用可能な情報だけからは、確たる判断を下すことは私には出来ません。

最後に、日銀から「さくらリポート」が公表されています。全国9地域のうち、北海道と中国地方の2地域の景気判断を前回の2018年10月調査から引き上げた一方で、ほかの7地域は据え置かれています。なお、全地域の景気判断に「拡大」あるいは「回復」の表現が入っていたりします。以下の通りです。

 【2018年10月判断】前回との比較【2019年1月判断】
北海道基調としては緩やかに回復しているものの、北海道胆振東部地震の影響による下押し圧力がみられている基調としては緩やかに回復しており、北海道胆振東部地震の影響による下押し圧力は緩和を続けている
東北緩やかな回復を続けている緩やかな回復を続けている
北陸拡大している拡大している
関東甲信越緩やかに拡大している緩やかに拡大している
東海拡大している拡大している
近畿台風21号による経済活動面への影響がみられるものの、緩やかに拡大している緩やかな拡大を続けている
中国平成30年7月豪雨によりダメージを受けたものの、社会インフラの復旧等に伴い、豪雨の影響が低減する中で、基調としては緩やかに拡大している緩やかに拡大している
四国回復している回復している
九州・沖縄しっかりとした足取りで、緩やかに拡大しているしっかりとした足取りで、緩やかに拡大している

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2019年1月 9日 (水)

統計として疑問あるも毎月勤労統計から何が読み取れるか?

本日、厚生労働省から昨年2018年11月の毎月勤労統計が公表されています。従来からのサンプル・バイアスとともに、調査上の不手際もあって、統計としては大いに信頼性を損ねたんですが、足元では同一ベースで統計を作成しているとのことです。統計のヘッドラインとなる名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で+2.0%増の28万3607円に上昇しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

18年11月の名目賃金、前年比2.0%増 増加は16カ月連続、毎月勤労統計
厚生労働省が9日発表した2018年11月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、11月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比2.0%増の28万3607円だった。増加は16カ月連続。基本給の増加が続いた。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が1.6%増の24万4981円だった。残業代など所定外給与は1.1%増。ボーナスなど特別に支払われた給与は9.7%増だった。物価変動の影響を除いた実質賃金は1.1%増だった。
パートタイム労働者の時間あたり給与は1.7%増の1134円。パートタイム労働者比率は0.31ポイント低下の30.71%だった。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。
毎月勤労統計は、一部の対象について調査手法が規定と異なっていたことが明らかになっている。厚労省は原因について「調査中」とするとともに、11月分については「調査手法は変えていない」としている。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、毎月勤労統計のグラフは下の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。

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引用した記事の最後のパラにも見られる通り、何分、統計としての信頼性が著しく毀損した統計ですので簡単に我が国雇用の方向性だけコメントしておきたいと思います。まず、景気に敏感な所定外労働時間については、ほぼ生産とシンクロして増減していおり、全体として、2014年の消費税率引き上げ後はほぼ横ばいで推移しています。消費増税が経済の停滞をもたらした点は疑いありません。賃金については、かなり完全雇用に近い労働市場動向のため、最近時点でようやく本格的な上昇が始まったと考えてよさそうです。しかし、まだ前年同月比で+1%を少し上回ったところであり、消費者物価(CPI)の上昇率を十分に上回る段階には達していません。その意味で、消費拡大には力不足の気がします。最後に、完全雇用に近いとはいえ、まだ、フルタイムよりもパートの伸びが高い状況であり、正社員の有効求人倍率が1倍を超えているとはいえ、より安定した雇用の実現がまだ課題といえます。半年余り先の消費税率引き上げに向けて、まだ雇用の拡大が十分かどうか、私は自信が持てないところです。

最後にどうでもいいことながら、私もその昔に統計局の担当課長として、毎月の統計公表の記者会見をやっていた経験があるんですが、今日の毎月勤労統計の公表会見なんて、ホントに針のむしろもかくや、というカンジだったのではないかと勝手に想像しています。

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2019年1月 8日 (火)

2年1か月振りの低水準まで低下した消費者態度指数をどう見るか?

本日、内閣府から昨年2018年12月の消費者態度指数が公表されています。季節調整済の系列で見て前月から▲0.2ポイント低下して42.7を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

12月の消費者態度指数、2年1カ月ぶり低水準 食品価格上昇
内閣府が8日発表した2018年12月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比0.2ポイント低下の42.7と3カ月連続で低下した。指数は16年11月以来、2年1カ月ぶりの低水準だった。内閣府は基調判断を「弱い動きがみられる」に据え置いた。
指数を構成する意識指標を項目別にみると、「暮らし向き」が0.2ポイント低下し40.6と4カ月連続で低下した。冷凍食品などの価格やエネルギー価格が上昇しているほか、世界経済の先行き懸念が影響した。「収入の増え方」は0.1ポイント低下の41.7、雇用環境は0.8ポイント低下の45.8だった。一方、「耐久消費財の買い時判断」は0.4ポイント上昇の42.8だった。
消費者態度指数に含まれない「資産価値」の意識指標は、株式相場の下落を反映し40.9と前月から1.7ポイント低下した。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)について「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月比1.3ポイント低い83.2%だった。「低下する」は0.3ポイント高い4.0%、「変わらない」は1.0ポイント高い10.8%だった。
態度指数は消費者の「暮らし向き」など4項目について今後半年間の見通しを5段階評価で聞き、指数化したもの。全員が「良くなる」と回答すれば100に、「悪くなる」と答えればゼロになる。
調査基準日は12月15日。調査は全国8400世帯が対象で有効回答数は6309世帯、回答率は75.1%だった。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、例月に比べてとても長い記事に仕上げています。続いて、消費者態度指数のグラフは以下の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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消費者態度指数を構成するコンポーネントを前月差でみると、「耐久消費財の買い時判断」は+0.4ポイント上昇したものの、「雇用環境」が▲0.8ポイント、「暮らし向き」が▲0.2ポイント、「収入の増え方」が▲0.1ポイント、それぞれ低下となっています。特に、人手不足が雇用統計などで明らかであるにもかかわらず、雇用環境に関するマインドが大きく低下した点は気がかりです。引用した記事によれば、統計作成官庁である内閣府ではエネルギーや食品の価格上昇に対する消費者の懸念を要因として上げているようですが、消費者態度指数のコンポーネントではなく外数ながら、「資産価値」に関する意識指標は前月差で▲1.7ポイント低下していますので、米国発の株価をはじめとする金融資産価格の乱高下、というか、不安定な金融市場動向が消費者マインドに影響を及ぼしている可能性があるんではないか、と私は考えています。また、これも、引用した記事にある通り、消費者態度指数の2018年12月の水準である42.7は、2016年11月に記録した41.0から2年1か月振りの低い水準なんですが、DIですので水準で見るのは必ずしも適切ではなく、むしろ、2017年11月から2018年1月の3か月連続で記録した44.6を直近のピークにして、ほぼほぼ1年に渡って下がり続けている方向性が、今後、どこまで続くのかを見る必要があります。おそらく、供給サイドのマインドである景気ウォッチャーは今年10月からの消費税率の引き上げ直前の駆け込み需要のころには上昇する可能性が高いと私は考えている一方で、需要サイドのマインド指標である消費者態度指数は、ひょっとしたら、下がり続ける可能性も否定できませんし、もちろん、景気ウォッチャーも消費者態度指数も10月の消費税率引き上げ以降は大きく低下することは確実です。賃上げが十分でないことからマインドだけで消費を牽引するのはサステイナビリティに欠けると、従来からこのブログで主張していましたが、財政的なサポートが手厚いとはいえ、消費税率引き上げを半年余り先に控えて、消費の動向が懸念されます。

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2018年12月28日 (金)

足踏み続く鉱工業生産指数(IIP)と伸びが鈍化しつつある商業販売統計と完全雇用に近い雇用統計!

本日は御用納めの官庁年内最後の営業日であり、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも11月の統計です。鉱工業生産指数は季節調整済みの系列で前月から▲1.1%の減産を示し、商業販売統計のヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+1.4%増の12兆1280億円、季節調整済み指数の前月比は▲1.0%減を示しています。失業率は前月から+0.1%ポイント上昇したものの2.5%と低い水準にあり、有効求人倍率も前月から+0.01ポイント改善して1.63倍と、タイトな雇用環境がうかがえます。まず、3つの統計を取り上げますので長くなりますが、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

11月の鉱工業生産、1.1%低下 生産予測は慎重
経済産業省が28日発表した11月の鉱工業生産指数(2015年=100、季節調整済み、速報値)は前月比1.1%低下の104.7だった。低下は2カ月ぶり。10月に自然災害の影響から大幅に回復した業種の低下が全体を押し下げた。QUICKがまとめた民間予測の中心値(1.9%低下)は上回った。
経産省は生産指数自体は比較的高い水準にあるとして、基調判断は「生産は緩やかな持ち直し」を維持した。
業種別では、15業種中8業種で低下した。10月に上昇した「汎用・業務用機械工業」の低下による影響が大きかった。コンベヤー、一般用蒸気タービン、水管ボイラーなどが低下した。
出荷指数は1.4%低下の103.1と2カ月ぶりに低下した。汎用・業務用機械工業のほか、自動車工業、電気・情報通信機械工業など11業種が低下した。
在庫指数は0.2%上昇の101.5だった。石油・石炭製品工業など8業種で上昇した。
製造工業生産予測調査によると、12月は2.2%上昇、1月は0.8%の低下だった。この数値について、予測誤差の加工を施した試算値は、12月が前月比0.7%低下だった。1月の低下見込みと合わせて、「向こう2カ月の生産予測はやや慎重なものとなっている」(経産省)という。
11月の小売販売額、1.4%増 石油製品の価格上昇続く
経済産業省が28日発表した商業動態統計(速報)によると、11月の小売販売額は前年同月比1.4%増の12兆1280億円だった。前年実績を上回るのは13カ月連続。経産省は小売業の基調判断を「緩やかに持ち直している」で据え置いた。
業種別では燃料小売業が8.1%増と伸びが目立った。原油高による石油製品の価格上昇が続いた。自動車小売業は5.3%増。新型普通車の販売が好調だった。医薬品・化粧品小売業は4.6%増となった。一方、機械器具小売業は3.9%減。スマートフォンの販売が振るわなかった。
大型小売店の販売額は百貨店とスーパーの合計で1.7%減の1兆6423億円だった。既存店ベースは2.2%減だった。コンビニエンスストアの販売額は2.0%増の9716億円だった。
有効求人1.63倍、人手不足で2カ月ぶり改善
厚生労働省が28日発表した11月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01ポイント上昇し、1.63倍だった。改善は2カ月ぶり。高水準が続き、人手不足を背景に企業の強い採用意欲を表している。総務省が同日発表した11月の完全失業率(同)は2.5%と0.1ポイント悪化した。ただ依然として働く意思のある人なら働ける「完全雇用」と呼べる状況が続いている。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人に対し、企業から何件の求人があるかを示す。正社員の有効求人倍率(季節調整値)は1.13倍と前月と同水準だった。
有効求人倍率は10月に8カ月ぶりに悪化したものの、11月は持ち直した。新規求人(原数値)は96万6635人と前年同月比で2.6%増えた。特に建設業(7.1%増)、運輸業、郵便業(5.2%増)、医療、福祉(5.1%増)などの採用意欲が強い。
雇用の先行指標となる新規求人倍率(季節調整値)は2.40倍で前年と同水準だった。
完全失業率は2カ月連続の悪化となった。雇用環境が改善するなか、自発的に仕事を辞め、よりよい賃金や待遇の職を探す動きが活発になっている。
求人があっても職種や勤務地など条件が合わずに発生する「ミスマッチ失業率」は3%程度とされ、3%を下回れば完全雇用状態にあるといえる。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2015年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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引用した記事にもあるように、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前月比で▲1.9%の減産が見込まれていましたから、減産幅は小さいとの受け止めも少なくないようですが、製造工業生産予測調査では12月が+2.2%の増産となっているものの、予測誤差を含む試算では▲0.7%の減産が見込まれており、1月も減産見込みですから、先行きは不透明です。特に、来年2019年は中華圏の春節が2月5日から始まりますので、景気が回復しつつある中国の動向が気にかかるところです。産業別に少し詳しく見ると、9月の自然災害で減産あるいは停滞し、逆に、10月の「挽回生産」で増産した業種が11月統計では落ちています。すなわち、汎用・業務用機械工業や電気・情報通信機械工業などです。繰り返しになりますが、先行きも生産や出荷は弱そうなんですが、例えば、11月統計で生産▲1.1%の減産、出荷も▲1.4%の低下ながら、在庫は前月から+0.2%しか増えておらず、出荷との相対比である在庫率は逆に▲1.8%の低下を示していますから、在庫が積みあがって生産に調整圧力がかかる段階には達していないと私は考えています。ですから、統計作成官庁である経済産業省でも基調判断は「緩やかな持ち直し」で据え置いたのではなかろうかと想像しています。いずれにせよ、中華圏の主節がかく乱要因ですから、来年2019年2月の実績が出るまでは、なかなか先が見通せない不透明感が残るような気はします。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は鉱工業生産指数(IIP)のグラフと同じく景気後退期です。ということで、小売販売額については、ヘッドラインの季節調整していない原系列の統計での前年同月比ではプラスを1年超で続けているものの、季節調整済の系列の前月比ではマイナスを記録し、そろそろ慎重な判断を要する段階に達しつつあるような気もします。特に、今年2018年8~10月には原系列の前年同月比で+2%超の伸びを記録しましたが、商業販売統計の小売業販売額は名目の売り上げであり、現時点で、ほぼほぼ+1%近くに達している消費者物価(CPI)上昇率を考え合わせれば、11月統計の+1.4%の伸びはギリギリで実質プラス、という感じがしなくもなく、今後、国際商品市況における石油価格の低下とともに国内物価が上昇率を低下させ始めると、小売売上額も同時に停滞しそうな気もします。ただ、鉱工業生産・出荷には年明け早々の中華圏の春節がかく乱要因になる一方で、商業販売統計の小売業販売額については来年2019年10月の消費税率の引き上げが消費のかく乱要因であることは確実です。消費税率引き上げ直前の駆け込み需要とその後の反動減の大きさは、財政政策をはじめとして各種の、というか手厚過ぎるくらいの措置が講じられているとはいえ、何とも測りがたいところです。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間は、これまた同じく、景気後退期です。また、グラフにはありませんが、正社員の有効求人倍率も前月と同じ1.13倍と、昨年2017年6月に1倍に達してから、このところ1年以上に渡って1倍を超えて推移しています。こういった政府統計からも、雇用はかなり完全雇用に近づいており、いくら何でも賃金が上昇する局面に入りつつあると私は受け止めています。もっとも、賃金については、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規雇用が増加することから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用状態であり、加えて、雇用不安の払拭から消費者マインドを下支えしている点は忘れるべきではありません。ただ、賃上げは所得面で個人消費をサポートするだけでなく、デフレ脱却に重要な影響を及ぼすことから、マクロの所得だけでなくマイクロな個人当たりの賃上げも早期に実現されるよう私は期待しています。

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2018年12月26日 (水)

リクルートジョブズによる11月のアルバイト・パート及び派遣スタッフの賃金動向やいかに?

明後日の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる非正規雇用の時給調査、すなわち、11月のアルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の調査結果を見ておきたいと思います。

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ということで、上のグラフを見れば明らかなんですが、アルバイト・パートの平均時給の上昇率は引き続き+2%前後の伸びで堅調に推移していて、三大都市圏の11月度平均時給は前年同月より+2.7%、27円増加の1,052円となり、2006年1月の調査開始以来過去最高を更新しています。職種別では「事務系」(前年同月比増減額+41円、増減率+3.9%)、「製造・物流・清掃系」(+32円、+3.2%)、 「販売・サービス系」(+28円、+2.8%) 、「フード系」(+23円、+2.3%)など全職種で前年同月比プラス、地域別でも、首都圏、東海、関西のすべてのエリアで前年同月比・前月比ともプラスを記録しています。一方で、三大都市圏全体の派遣スタッフの平均時給は、直近の2018年9~10月は前年同月比でマイナスを続けたものの、11月統計では前年同月より18円増加、増減率+1.1%を示しています。職種別に詳しく見ると、前年同月から保合いの「クリエイティブ系」以外の「IT・技術系」(前年同月比増減額+46円、増減率+2.3%)、「オフィスワーク系」(同+34円、+2.3%)、「医療介護・教育系」(同+32円、+2.3%)、「営業・販売・サービス系」(同+3円、+0.2%)の4職種がプラスとなった一方で、前月比は「クリエイティブ系」も含めて全職種がプラスを示しています。まあ、年末を控えた11月ですから、季節調整していない前月比の結果は少し割り引いて考える必要があるのかもしれません。いずれにせよ、全体としてはパート・アルバイトや派遣の非正規職員の雇用も堅調と私は受け止めているものの、景気循環の後半に差しかかって、そろそろ非正規の雇用には注視が必要、と考えるエコノミストもいそうな気がします。

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2018年12月25日 (火)

6か月連続で+1%以上の上昇率を続ける企業向けサービス価格指数(SPPI)!

本日、日銀から11月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。前年同月比上昇率で見て前月からややプラス幅を縮小しつつも6か月連続の+1%以上の+1.2%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

企業向けサービス価格、11月1.2%上昇
日銀が25日発表した11月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は105.5で、前年同月比1.2%上昇した。上昇は65カ月連続。伸び率は10月確報(1.3%上昇)からやや鈍化したが、高い伸びが続いており、前月比でも0.2%上昇した。
人件費の上昇を背景に、労働者派遣サービスなど人材関連の上昇が目立った。広告のうち新聞広告が前年同月比12.1%上昇(10月は8.0%上昇)となった。紙面削減の影響で紙面あたり単価が上昇した。半面、運輸・郵便のうち外航貨物輸送が前年同月比11.9%上昇(10月は16.5%上昇)と伸び悩んだ。

シンプルながら包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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繰り返しになりますが、企業向けサービス価格指数(SPPI)の前年同月比上昇率は今年2018年6月から6か月連続で+1%に達しています。その直前の5月の+0.9%の前の4月も+1.0%でしたので、今年度に入ってから、ほぼほぼ+1%に達する水準をキープしていることになります。しかも、私の見る限り、消費者物価指数(CPI)がかなりの程度にエネルギー価格の動向に依存しているのに対して、SPPIについては人手不足による賃金動向に従った動きでしょうから、品目別には毎月のように上昇品目が変化しているように見えます。野球に例えれば、日替わりヒーローということになります。本日公表の11月統計について少し詳しく見ると、前年同月比で見て、運輸・郵便と情報開発とリース・レンタルの大類別が上昇幅を下げたんですが、いずれもまだプラスを維持しており、特に、運輸・郵便は+2%を超えています。ただし、運輸・郵便についてはエネルギー価格の影響が現れていると考えるべきであり、石油価格の下落とともに上昇幅は縮小するものと私は予想しています。他方、上昇幅を拡大したのが景気に敏感な広告です。10月の+1.5%から11月には+2.7%を記録しています。引用した記事にもある通り、テレビ広告とインターネット広告の寄与が大きく、特に、インターネット広告は10月のマイナスから11月にはプラスに回帰しています。そして、相変わらず、人手不足の影響は、土木建築サービス+3.4%、警備+3.5%、労働者派遣サービス+2.8%などのを含む大類別でいえば諸サービス+1.3%に現れています。

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