2017年10月20日 (金)

ニッセイ基礎研「中期経済見通し」を読む!

先週10月13日付けで、ニッセイ基礎研から「中期経済見通し」が明らかにされています。対象年度は2027年度までのほぼ10年間です。主要国別を含む世界経済の中期見通しと、もちろん、日本経済の見通しをセットでリポートにしています。今日びのことですから、pdfの全文リポートもアップされています。まず、ニッセイ基礎研のサイトからリポートの要旨を4点引用すると以下の通りです。

要旨
  1. 世界経済は緩やかな回復が続いているが、労働需給が引き締まる中でも賃金、物価上昇率は依然として低水準にとどまっている。今後10年間の平均成長率は先進国では過去10年平均を上回るが、新興国は少子高齢化に伴う潜在成長率の低下などから過去10年平均を下回ることが予想される。
  2. 日本はすでに人口減少局面に入っているが、そのペースは想定されていたよりも緩やかで、先行きの見通しも上方修正されている。今後10年程度は人口減少による経済成長への影響を過度に悲観する必要はない。2027年度までの実質GDP成長率は平均1.0%となり、過去10年平均の0.5%よりも高まると予想する。名目GDPの伸びは平均1.8%となり、2023年度に政府目標の名目GDP600兆円が達成されるだろう。
  3. 人口減少、少子高齢化が進む中で経済成長率を高めるためには、女性、高齢者の労働参加拡大を中心とした供給力の向上と高齢化に対応した潜在的な需要の掘り起こしを同時に進めることが重要である。
  4. 消費者物価上昇率は10年間の平均で1.3%(消費税の影響を除く)と予想する。日本銀行が「物価安定の目標」としている2%を安定的に続けることは難しいが、1%台の伸びは確保し、デフレ脱却は実現する可能性が高い。

なかなか包括的によく取りまとめられている印象です。なお、世界経済の中期見通しも興味あるところながら、今夜のブログでは日本経済に関して、リポートからいくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。なお、この見通しでは消費税については、2019年度と2024年度にそれぞれ消費税率を2%ポイント引き上げることを想定しており、従って、予測期間最終年度には消費税率は12%に達します。

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まず、リポートの p.19 から 実質GDP成長率の推移 を引用すると上の通りです。2019年度の消費増税は年度途中の10月である上に、その次の年度の2020年度に東京オリンピック・パラリンピックが開催されることから、景気押し下げ効果は限定的であるものの、逆に、2021年度が東京オリンピック・パラリンピックの反動で成長率が下振れし、また、2024年度は消費増税の影響で成長率が低下します。中期見通しですから、短期変動の循環的要因は必ずしも明確ではありませんが、まあ、そうなんだろうと私も思います。なお、上に明記した以外の年度については、ほぼ潜在成長率見合いの1%強くらいの成長で推移すると見込まれています。

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その潜在成長率について、順序が逆になりますが、リポートの p.16 から 潜在成長率の寄与度分解 を引用すると上の通りです。労働投入のマイナス寄与は必ずしも大きくなく、資本投入と技術進歩で相殺して、ほぼ1%強の水準を確保しています。

冒頭の要旨との重複をいとわず、最後に、リポートの見通しの特徴を私なりにいくつか上げると、まず第1に、消費低迷の主因は巷間いわれているような家計の節約志向や将来不安に伴う過剰貯蓄ではなく、可処分所得の伸び悩みであると明快に指摘しています。私もほぼほぼ100%合意します。まったく、その通りです。ただ、短期的には少し天候要因やマインドも影響するかもしれません。でも、リポートは中期見通しですから、所得要因以外はあり得ないと私も考えています。第2に、消費者物価については日銀のインフレ目標である2%には届かないものの、1%台は確保してデフレ脱却は達成する、と主張しています。私もそう思わないでもありませんが、インフレ率が2%に達しない場合の購買力平価に基づく為替水準がどうなるか、とても気にかかるところです。なお、リポートでは中長期的には経常収支は貯蓄投資バランスで決まるとして、為替相場は必ずしも大きな考慮が払われていません。第3に、というか、最後の最後に、いくつかのキーナンバーをバラバラと脈絡なく取り上げておくと、名目GDP600兆円は2023年度にずれ込み、経常収支は予測期間最終盤に小幅ながら赤字化する一方で、訪日外国人旅行者数は2018年に3000万人を超え、東京オリンピック・パラリンピック開催の2020年政府目標の4000万人を突破する可能性が高く、政府財政のプライマリ・バランスは2024年度の消費増税を盛り込んでも予測最終年度の2027年度にGDP比▲2.2%の赤字が残り、財政収支の黒字化は達成できず、現在の日銀の異次元緩和は2022年度に出口局面を迎え、無担保コールの政策金利は+0.1%に設定され、長期金利も上昇局面に入るが、物価目標の2%を達成できないため大きな金利上昇は見込めない、とされています。ご参考まで。

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2017年10月19日 (木)

ハリケーンの影響で9月貿易統計の米国向け自動車輸出が伸び悩む!

本日、財務省から9月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+14.1%増の6兆8110億円、輸入額も+12.0%増の6兆1408億円、差引き貿易収支は+6702億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の貿易収支、4カ月連続黒字 6702億円 米向け半導体製造装置など堅調
財務省が19日発表した9月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は6702億円の黒字だった。貿易黒字は4カ月連続。QUICKがまとめた市場予想の中央値は5600億円の黒字だった。米国向けの半導体製造装置など輸出の伸びが輸入の伸びを上回り、前年同月(4866億円の黒字)より黒字幅が拡大した。
輸出額は前年同月比14.1%増の6兆8110億円と、10カ月連続で増加した。9月の為替レート(税関長公示レートの平均値)が1ドル=109.48円と前年同月から7.5%の円安となり、円建ての輸出額を押し上げたことも寄与した。
地域別に見ると、対米国が11.1%増と8カ月連続で前年実績を上回った。半導体などの製造装置や車両エンジンの増加が寄与した。対欧州連合(EU)は11.5%増、中国を含む対アジアも18.7%増となった。
輸入額は12.0%増の6兆1408億円だった。資源価格の上昇や円安で原粗油や石炭などが増加したほか、医薬品も伸びた。対米国ではエネルギー関連のほかスケソウダラのすり身などの輸入が増加したが、3カ月連続の貿易黒字だった。対中国はパソコンやテレビの輸入が増加し、7カ月連続の貿易赤字。対EUは2カ月ぶりに貿易黒字となった。
同時に発表した2017年度上半期(17年4~9月)の貿易収支は1兆9190億円の黒字だった。黒字は4期連続。輸出は前年同期比12.8%増の38兆3738億円、輸入は15.3%増の36兆4549億円だった。輸出は米国向け自動車や中国向け電子部品などが伸びた一方、輸入も石炭や液化天然ガス(LNG)などエネルギー関連が伸びたため6期ぶりに増加し、貿易黒字は前年同期から20.3%縮小した。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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貿易収支を算出するもととなる輸出額と輸入額を数量要因と価格要因に分解すると、輸出額の数量要因は米国向け輸出などが落ち込んで、輸出額の増加幅が縮小しており、他方、輸入額は数量要因が小幅な減少に転じる中で、輸入価格が高水準を維持したことで輸入金額全体のプラス幅は小幅な縮小にとどまっています。引用した記事にもある通り、9月の税関長公示レートは1ドル109.48円と、前年比+7.5%の円安水準であったことから輸出入額ともに円建てで少し膨らんでいます。為替の価格要因だけでなく、所得要因についても、世界経済の順調な回復・拡大に伴って、我が国の輸出がまさに主力輸出品である自動車などで伸びている一方で、我が国の景気も順調な回復・拡大の軌道にあり、従って、輸入額も国内経済活動に応じた伸びを示しており、輸出と輸入がともに拡大する好ましい局面に入りつつあるんではないかと私は受け止めています。4か月連続の貿易黒字はメディア受けする一方で、昨年2016年の年央から後半にかけて、すなわち、6月の英国国民投票によるBREXITと11月の米国大統領選挙のころには、経済外要因ながら、ポピュリズムの動向に伴って世界経済の先行き不透明感が増していた時期ですから、今年2017年にはその反動も感じられます。もっとも、北朝鮮情勢次第では地政学的なリスクの顕在化も懸念されます。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。輸出については、9月の輸出額の伸び率が8月を下回りましたが、基本的に、米国のハリケーンの影響であろうと私は考えています。例えば、米国向け輸出を品目別に原系列の統計の前年同月比で見て、引用した記事にもある通り、半導体等製造装置などの一般機械は+21.0%の伸びを示した一方で、自動車などの輸送機械はわずかに+1.2%にとどまっています。米国向けの電気機械輸出でも、一般消費者向けなどの音響・映像機器が▲17.8%と減少を示した一方で、事業者向けなどの重電機器は+40.0%の伸びを示しています。ハリケーンの影響に伴う米国消費の低迷が我が国の輸出にも現れていると私は受け止めていますが、逆に、極めて一時的な影響でしょうから、天候要因さえ元に戻れば輸出も増加に転じる可能性が高い、と考えるべきです。

最後に、米国で金融正常化に伴う金利引上げが議論され、さらに、イェレン議長の後任の連邦準備制度理事会(FED)議長もそろそろノミネートされるかもしれず、為替が動くことも含めて、金融要因から何らかの貿易への影響が生じるリスクについて忘れるべきではないと思います。

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2017年10月18日 (水)

日本経済研究センターによる温暖化ガス削減試算やいかに?

10月13日付けで、日本経済研究センターから「第4次産業革命の中の日本」と題して、温暖化ガス削減に関する試算が明らかにされています。試算結果のグラフを日本経済研究センターのサイトから引用すると以下の通りです。

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化石燃料価格が2050年度までに足元の6倍程度の1バレル当たり275ドルまで上昇すると、7割以上の削減も可能になる一方で、インフレ見合いの2%程度の上昇率で実質横ばいで推移すると、7割削減を目標とすると最低でも総額12兆円程度の環境税=炭素税が必要になる、と試算しています。2025年度以降にCCSによる二酸化炭素の回収・貯留が可能となるという前提ではありますが、第4次産業革命といわれる経済の情報化を進めるイノベーションを加速すれば、環境と経済、すなわち、地球温暖化防止と豊かな社会の実現の両立は十分に可能であると結論しています。

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2017年10月17日 (火)

東京商工リサーチ「全国社長の出身大学」調査結果やいかに?

昨夜に続いて、旧聞に属する話題かもしれませんが、東京商工リサーチから10月10日付けで「全国社長の出身大学」調査の結果が明らかにされています。114万人超の卒業生を擁する日本大学が調査開始から7年連続でトップを守った一方で、都道府県別に詳しく見ると違った特徴もありました。すなわち、東日本が日本大学を中心になど東京や首都圏に所在する大学への一極集中が目立った一方で、西日本は地元や域内の大学が上位を占める場合も見受けられ、東西で異なる傾向が出ています。ということで、下のテーブルの画像は東京商工リサーチのサイトから引用しています。我が母校の京都大学は、どうしても卒業生数が不足しますので、とてもではないです、トップテンには入りません。

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なお、引用はしませんが、東京商工リサーチのサイトでは都道府県別の社長の最多出身大学のトップだけがテーブルに取りまとめられているんですが、西日本では国立大学をはじめとする地元大学が活躍しています。福岡県では福岡大学がトップですし、何と、中国地方5県、すなわち、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県ではそれぞれの県名を冠したを国立大学がトップとなっています。どうでもいいことながら、我が郷里の京都府では全国9位の同志社大学がトップだったりします。

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2017年10月16日 (月)

帝国データバンク「人口減少に対する企業の意識調査」の結果やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、帝国データバンクから10月6日付けで「人口減少に対する企業の意識調査」の結果が明らかにされています。詳細なpdfの全文リポートもアップされています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の概要を4点引用すると以下の通りです。

調査結果
  1. 人口減少が与える影響について、「日本全体」では企業の90.2%、「自社の属する業界」では88.2%、「自社」では78.4%が「マイナスの影響がある」と認識
  2. 自社の経営における人口減少への捉え方について、「経営課題だが、それほど重要ではない」が39.2%、「重要な経営課題である」と考える企業は27.5%となり、3社に2社が経営課題として捉えている。他方、「経営課題ではない」は21.6%にとどまる
  3. 人口減少への対応策、「労働力人口の減少に対応した商品・サービスの開発・拡充」がトップ。次いで、「国内の店舗網・販売先等の拡大充実」が続く
  4. 人口減少への対応策を実施する際の阻害要因は、「人材確保」(72.5%)が突出して高く、以下、「販路拡大」(25.5%)、「他企業との連携」(21.6%)「外部の技術力の獲得」(19.6%)、「企画提案力の獲得」(17.6%)、「技術開発・研究開発」(13.7%)が続く

ということで、私の目から見て、どうして、あるいは、どのような観点から、人口減少が日本経済に問題なのか、という企業の意識は明らかにされていませんし、回答企業がわずかに51社ですので誤差がとてつもなく大きそうな気もしますが、それなりに興味深い調査ですので簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはリポートから 人口減少による影響 について、日本全体と業界と自社のそれぞれについて問うた結果です。プラスの影響は流石にゼロですし、圧倒的にマイナスの影響が指摘されているんですが、それでも、自社へのマイナスの影響は業界よりも小さく、業界のマイナスの影響は日本経済全体よりも小さい、と企業が考えている結果が明らかにされていると私は受け止めています。要するに、ヨソは大変だけど、我が社はそれほどでもない、ということなのかもしれません。

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次に、上のテーブルはリポートから 対応策実施の阻害要因 を引用しています。あくまで、対応策実施の阻害要因ですから、マイナスの影響とは異なるんですが、何がマイナスの影響の原因かが透けて見えるような気もします。というのは、圧倒的に人材確保が上げられており、2番めの販路拡大の3倍近い数字を示してます。すなわち、人口減少の問題は供給サイドであって、需要サイドではない、と企業が考えているような気がしてなりません。

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2017年10月13日 (金)

ダイヤモンド・オンラインによる「全国自治体30代未婚率ランキング」やいかに?

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やや旧聞に属する話題かもしれませんが、10月10日付けでダイヤモンド・オンラインから「全国自治体30代未婚率ランキング」が明らかにされています。上位の各自治体は上の画像の通りです。
未婚率が高いケースにはいくつかのパターンがあるということで、ダイヤモンド・オンラインのサイトから要約すると、第1には何かにつけて「ヨメ捜し」が話題になる農家はじめ第1次産業の従事者が多い街ということで、上のテーブルでは7位の三浦市、8位の常陸太田市、9位の八街市、10位の稲敷市、11位の山武市などで、いずれも農業従事者が10%近いと指摘されています。そして第2に京都市の東山区・中京区・上京区、札幌市中央区、名古屋市中区、福岡市中央区など政令市の中心部にある都市であり、就職で周辺の街、時には県境を超えて多くの20歳代前半の女性が移り住むことにより、30歳代の未婚女性の数が男性を上回って男女の比率がアンバランスになっています。
最近の合計特殊出生率は最低だった2005年の1.26より徐々に回復傾向にあるとはいえ、まだまだ低い状態が続いており、少子化に歯止めをかけるためには20歳代から30歳代の男女が子供を産むのに不安を持たない環境が重要です。現在の総選挙でも、いろんな対策が各政党の公約に盛り込まれているところ、果たしてどうなりますことやら?

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2017年10月12日 (木)

企業物価(PPI)上昇率は順調にプラス幅を拡大!

本日、日銀から9月の企業物価 (PPI)が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は前月統計からやや上昇幅を拡大して+3.0%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の企業物価指数、前年比3.0%上昇 8年11カ月ぶり伸び率
日銀が12日発表した9月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は99.0で前年同月比で3.0%上昇した。上昇は9カ月連続となる。上昇率は8月の2.9%から拡大し、消費増税の影響を除くと08年10月(4.5%)以来8年11カ月ぶりの大きさとなった。世界経済の回復を背景にした原油や銅など国際商品市況の持ち直しを受けて石油・石炭製品や電力・都市ガス・水道の価格が上昇した。
前月比では0.2%の上昇だった。石油・石炭製品のほか、銅の国際価格が上昇した影響で銅地金や通信用メタルケーブルといった非鉄金属製品も値上がりした。
円ベースでの輸出物価は前年比で9.4%上昇し、13年12月(12.7%)以来の高い伸びとなった。前月比では1.1%上昇と2カ月ぶりにプラスに転じた。米南部を襲ったハリケーンの影響による供給懸念からポリウレタンの原料など化学製品が値上がりした。輸入物価は前年比13.5%上昇し、伸び率は13年12月(17.8%)以来の大きさとなった。前月比では1.8%の上昇だった。原油価格の上昇が影響した。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示す。公表している744品目のうち前年比で上昇したのは374品目、下落したのは268品目だった。上昇と下落の品目差は106品目と8月の確報値(109品目)から3品目減った。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルから順に、上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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PPIのヘッドラインとなる国内企業物価の前年同月比上昇率がプラスに転じたのが今年2017年1月統計でしたが、2017年1月の+0.5%から急速にプラス幅を拡大し、10か月足らずで+3.0%に達しています。季節調整していない原系列の指数ですが、国内物価指数の前月比も昨年2016年9月からプラスに転じ、直近9月まで13か月連続で前月比プラスを記録しています。基本的には、国際商品市況における商品価格の上昇、特に、石油価格の上昇による物価押し上げ効果があるわけですが、逆に、こういった商品市況の上昇の背景には新興国を含む世界経済の回復や拡大、昨日取り上げた国際通貨基金(IMF)の「世界経済見通し」の用語を借りれば upswing があるわけで、我が国も含めて世界経済全体でデフレを克服して成長軌道を取り戻すパスに乗っていると考えてもいいのかもしれません。

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2017年10月11日 (水)

IMF「世界経済見通し」World Economic Outlook 見通し編を読む!

日本時間の昨夜、IMF世銀総会を前に国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し」World Economic Outlook 見通し編が公表されています。世界経済の成長率が2017年+3.6%、2018年+3.7%と、7月時点での見通しからいずれも+0.1%ポイント上方修正されている一方で、我が国の成長率も2017年+1.5%、2018年+0.7%と、やや上昇修正されています。まず、同じIMFのサイトから要約を引用すると以下の通りです。

Introduction
The global upswing in economic activity is strengthening, with global growth projected to rise to 3.6 percent in 2017 and 3.7 percent in 2018. Broad-based upward revisions in the euro area, Japan, emerging Asia, emerging Europe, and Russia more than offset downward revisions for the United States and the United Kingdom. But the recovery is not complete: while the baseline outlook is strengthening, growth remains weak in many countries, and inflation is below target in most advanced economies. Commodity exporters, especially of fuel, are particularly hard hit as their adjustment to a sharp stepdown in foreign earnings continues. And while short-term risks are broadly balanced, medium-term risks are still tilted to the downside. For policymakers, the welcome cyclical pickup in global activity provides an ideal window of opportunity to tackle key challenges-namely to boost potential output while ensuring its benefits are broadly shared, and to build resilience against downside risks.

適確に取りまとめられていると思うんですが、やや長くなってしまいました。次に、IMFのブログサイトから成長率見通しの総括表を引用すると以下の通りです。なお、このテーブルだ毛ではやや愛想なしですので、クリックすると別タブでリポートの pp.14-15 の総括見通し表の2ページだけを抜き出したpdfファイルが開きます。

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ということで、リポートでも指摘されている通り、2016年半ばころから世界経済の循環的な上昇局面が力強さを増しており、ハッキリいって、誠に素直に世界景気の強さを評価し直して多くの国や世界経済の成長率が上方修正された、ということなんだろうと私は理解しています。成長率は上振れし、他方で、石油価格の下振れに伴ってインフレ率は下方修正されています。これだけをもってすれば、私のような単純な思考回路を持つエコノミストには、かなり良好な世界経済の先行き見通しだと思うんですが、IMFは世界経済の回復の不完全さを指摘しています。すなわち、IMFのブログサイトを見る限り、世界経済の回復は不完全 (incomplete) であると指摘し、3点、国内的不完全 (incomplete within countries)、国際的不完全 (incomplete across countries)、時間的不完全 (incomplete over time) を上げています。国内的不完全は、すでに分析編で指摘されている賃金の伸びの低さ (wage growth have remained low) であり、国際的不完全は、世界経済の回復から取り残されている地域が残されていると主張しており、新興市場及び低所得の1次産品輸出国、特にエネルギー輸出国では依然苦しい状況が続いている (emerging market and low-income commodity exporters, especially energy exporters, continue to face challenges) と結論しています。最後の時間的不完全は、多くの国々でより長期的な1人当たり所得の伸びが過去のトレンド成長率を下回っていることから、国や地域により原因は異なるものの、先進国では生産性の伸びの鈍化と労働力の高齢化が大きな要因となっており、構造改革政策の必要性を指摘しています。

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最後に、目を国内に転じれば、本日、内閣府から8月の機械受注が公表されています。船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は季節調整済みの系列で前月比+3.4%増の8824億円と、2か月連続で増加しています。統計作成官庁である内閣府では基調判断を「足踏み」から「持ち直しの動き」に上方修正しています。いつものグラフは上の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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2017年10月10日 (火)

小売りが牽引する景気ウォッチャーと黒字が定着した経常収支と日銀「さくらリポート」!

本日、内閣府から9月の景気ウォッチャーが、また、財務省から8月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調史絵済みの系列の現状判断DIが前月から+1.6ポイント上昇して51.3を、先行き判断DIは▲0.1ポイント低下して51.0を、それぞれ記録し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+2兆3804億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の街角景気、家計の景況感が改善 選挙後には懸念
内閣府が10日発表した9月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は前月比1.6ポイント改善の51.3だった。気温の低下で秋物衣料などが堅調だった小売りを中心に家計動向を示す指数が改善した。企業動向では非製造業の改善が目立った。ただ衆院選後の消費環境を巡る不透明感が重荷で、先行き判断指数は51.0へ0.1ポイント低下した。
内閣府は基調判断を「着実に持ち直している」と、従来の「持ち直しが続いている」から変更した。現状判断指数が節目の50を上回ったため。表現変更は4カ月ぶりで、同様の表現を使うのは指数が2カ月連続で51.4を付けた16年12月以来9カ月ぶりとなる。
部門別にみると家計動向が2.3ポイント改善し50.1と、2016年11月以来10カ月ぶりに節目の50を上回った。小売関連が3.8ポイント改善し50.7と、消費増税直前の14年3月(56.4)以来3年半ぶりの高さとなった。企業動向は0.3ポイント上昇の52.3、雇用は0.4ポイント低下の57.0だった。
街角では家計動向について「残暑もなく、秋冬物の季節商材の動きが前年よりも早くなっている」(近畿のスーパー)との声があった。北関東などで新型車の販売効果やスマートフォンの販売好転を指摘する声も出た。企業動向では「海外の景気動向が良くなっている。国内の季節要因もあり国内景気は徐々によくなっている」(北関東の金融業)と指摘されたほか、広告関係から業況改善を示すコメントが目立った。半面、製造業では鉄鋼業などで受注の鈍さを懸念する声などがみられた。
2~3カ月後を占う先行き判断指数を押し下げたのは家計動向。同指数は50.2で、サービス関連の低下を主因に前月から0.3ポイント下げた。「衆議院選挙の影響で企業の接待などの減少が懸念材料」(南関東の都市型ホテル)との声があった。
8月の経常収支、2兆3804億円の黒字 8月として過去最大
財務省が10日発表した8月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は2兆3804億円の黒字だった。黒字は38カ月連続。前年同月に比べて黒字額が4100億円拡大し、8月としては過去最大の黒字額を記録した。第1次所得収支の大幅黒字や8月としては初となるサービス収支の黒字が寄与した。
第1次所得収支は2兆2385億円の黒字で、黒字幅は前年同月に比べて2575億円拡大した。8月としては過去最高の黒字額となった。円安を背景に海外子会社から受け取る配当金が増加した。
サービス収支は202億円の黒字(前年同月は506億円の赤字)だった。黒字転化は8月としては初めて。訪日外国人の増加を背景に旅行収支が8月としての過去最高の黒字を記録した。通信など情報サービス関連の支払いが減少したことも寄与した。
貿易収支は3187億円の黒字と黒字幅が1006億円拡大した。自動車や半導体などの電子部品の増加で輸出が16.3%増加した。石炭や液化天然ガス(LNG)の増加で輸入も15.1%増えたが、輸出増が上回った。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。2つの統計に関する記事を並べましたので少し長くなってしまいました。次に、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りです。影をつけた部分は景気後退期です。

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景気ウォッチャーは、先行き判断DIはほぼほぼ横ばいでしたが、現状判断DIは大きくジャンプして改善を示しました。8月から9月にかけて総合で+1.6ポイントの上昇を見せた中で、3つのコンポーネントのうち、企業動向関連が+0.3ポイントの上昇、雇用関連が▲0.4ポイントの低下だったのに対して、家計動向関連は+2.3ポイントの上昇を記録しており、家計動向関連の中でも小売関連が+3.8ポイントと突出して上昇しています。もっとも、先行き判断DIに目を転じると、企業動向関連が+0.5ポイント上昇し、雇用関連が横ばいだったのに対して、家計動向関連は逆に▲0.3ポイントの低下となっています。それにしても、引用した記事にあるような衆議院総選挙後に対する懸念というのは、どこまで一般化できるんでしょうか。私には疑問です。家計のお話しに戻ると、極めて素直に判断する限り、8月は天候要因などで家計動向はよくなかったものの、9月には天候も回復して8月から9月にかけては上向きに見えるが、しかし、それほど腰の据わった家計部門の回復・改善ではない、ということになります。ただし、現状判断DIも先行き判断DIもともにかなり高い水準にあり、マインド指標の常として、これから先もグングン上昇を続けるという可能性は低いのかもしれません。そうなれば、ユーフォリアによるバブルのような気もします。それから蛇足ながら、統計作成官庁である内閣府の基調判断ですが、先月までの「持ち直している」から「着実に持ち直している」に変更されています。私は頭の回転が鈍いので、違いがイマイチよく判りません。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。引用した記事にもある通り、円安に伴う1次所得収支の円建て額が膨らんだことに加え、おそらくインバウンドなんだろうと想像していますが、旅行収支につれてサービス収支が改善しています。季節調整済みの系列では引き続きマイナスの赤字なんですが、季節調整していない原系列の統計ではサービス収支は黒字に転化しています。政府観光局の8月統計によれば、前年同月比で見て出国日本人数が+3.9%だったのに対し、訪日外国人旅行者数は+20.9%増を記録しています。輸出入はすでに貿易統計で見ているとして、9月のデータが利用可能になりましたので経常収支の対GDP比を計算してみました。1~3月期に+3.8%を示して、それまでじわじわと上昇し続けて来ましたが、4~6月期にはとうとう4.0%をつけてピークに達し、7~9月期も+3.5%と高い水準にあります。サブプライム・バブル末期には+5%近い経常黒字を記録していましたが、貿易収支や経常収支について厳しい見方をする米国大統領の誕生に伴って、それなりの摩擦を警戒するレベルに達したような気がします。

 2017年7月判断前回との比較2017年10月判断
北海道回復している回復している
東北緩やかな回復基調を続けている緩やかな回復基調を続けている
北陸緩やかに拡大している緩やかに拡大している
関東甲信越緩やかな拡大に転じつつある緩やかに拡大している
東海緩やかに拡大している拡大している
近畿緩やかな拡大基調にある緩やかに拡大している
中国緩やかに拡大しつつある緩やかに拡大している
四国緩やかな回復を続けている緩やかな回復を続けている
九州・沖縄地域や業種によってばらつきがみられるものの、緩やかに拡大している緩やかに拡大している

日銀支店長会議で10月の「さくらリポート」が公表されています。上のテーブルの通りです。9地域中の4地域で景気判断が引き上げられています。九州・沖縄ブロックは表現振りは違っていますが、景気判断としては据え置きということのようです。

間もなく始まるIMF世銀総会に向けて、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し」 World Economic Outlook の見通し編が、米国ワシントンDC時間の10月10日午前9時に公表されるとアナウンスされています。日を改めて取り上げたいと思います。

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2017年10月 9日 (月)

ノーベル経済学賞はセイラー教授に授与!

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今年のノーベル経済学賞は、行動経済学のセイラー教授に授与されました。
誠におめでとうございます。

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